出発前の点検整備 意外と残る臭い
えーと、荷物は全て発送済み、使う餌も全てホテルの冷蔵庫と冷凍庫で保管済み、恵里香さん達は国外なのでもう出発済みの冷蔵庫と冷凍庫の中もスッカラカンで氷すらなし、業務用に近い大型冷凍庫の中すら何もない状態…
冷蔵庫も冷凍庫もお片付け完了で旅行中に腐らせる心配はなし、生ゴミも全て処分済みで燃えるゴミも全てゴミ出し済み、家の中も掃除済みの永久機関の自家発電機使用でそもそも電気代はかからないので空調は付けっぱなしで…
ガレージ内の自動販売機は変換用の大豆を大量にストックしてあるので問題なし、庭の芝生やら菜園やらは1ヶ月放置する事になるから雑草が生え放題伸び放題、剪定が必要な気も伸び放題になるからそれは帰ってきてから、1号コピーも1ヶ月丸々休みという事でゲーム内に引き籠り中で出てくる事はない。
うん、大丈夫そうだね、出発するのは明日なので今日はまだこっちで過ごすけど、昼と夜は外食するかガレージの自動販売機で好きな物を買えばよし、とは言っても…ジュリアさんは今日も朝からお出かけ中、ヒルダもヒルダで海の方に行って水泳を基礎からやり直しているので…まあそれはいいや、お昼が1人かそうじゃないかってくらいだしね。
よし、今日は山に行って山道の整備でもしておこうかね、松茸はもうすでに結構食べてるけど、秋に採れる物は夏の物とまた違ってよし、なので安全に取りに行ける様にちゃんと整備しておかないとね。
定期的に整備はしてるからそれほど荒れてはないし、倒木があってもすぐに撤去してるから塞がれるって事はないけど、たまーにヤンチャな熊とか猪が縄張りを越えて入り込んできてたりするのがねー…そう言うヤンチャで無謀な熊と猪には元いたところにお帰りいただかないとね。
取りあえず倉庫に行って山道整備用の道具にがんじきにと用意をしまして…それじゃあちょいと整備に行きましょうかね。
少し気の早い台風の後に一度整備に入っているだけはあって山道自体は問題なし、ちょっと雑草が伸び放題になっているくらいなので草刈りで刈りつつ移動、ある程度移動したら一度かんじきで纏めてリヤカーにぽいっと。
石畳の上に生えている苔は高圧洗浄機で削り取って、削り終わったら箒で水を書き出しつつちょっと周りの土も均して、山道であるという事を示すための地面に打ち込んである丸太も箒で掃いて見えやすくしまして。
道の方へ迫り出してきている枝はちょっとかわいそうだけど切り落とし、柔らかい枝も矯正ではなくバッサリと切り落として整えると、今は柔らかくても月日が経つと太く硬くなってくるし、今はちょっとだけでもそのうち通行の邪魔になるので早目に。
道以外の部分は特に弄らずそのまま、台風や大雨で崩れたり倒木した時は手を入れるけど基本的にはある程度自然のままで、あまり手を入れすぎて撤去しすぎてもよくないし、倒木から生えてくる天然のキノコも採れなくなっちゃうしねぇ…
この辺りにあるのはもう既になんちゃって天然であるような気がしないでもないけど…そこは気にしちゃいかんね、ただキノコが生えやすいように倒木をある程度の長さで切って等間隔でおいてるだけだし、菌床を打ち込んでいるわけでもないし、何が生えてくるかはわからないからきっと天然、秋頃にはきっとマイタケやらシメジやらヒラタケが出来ている事でしょう。
並んでいる倒木もそれらのキノコに適しているけど間違いなく天然、私は倒木を道の邪魔にならないところに処理しておいただけでそれ以外はノータッチ、だから誰が何と言おうと天然!って事になったらいいなぁ…
ま、それは置いときまして、旅行中に台風が最低1回、多ければ2回は来るだろうから整備はほどほどに、大雨が来たら崩れそうだなという部分だけはいつ崩れてもいいように目印を手前と奥側に、崩れない様に補強をしてもいいけど…それはその場しのぎで根元はグズグズになってるからなぁ…水が抜けきって固まれば持ち直すといえば持ち直すけど…次の大雨の時に上から押し寄せてくる水やら土に耐えれるかと言えば…
余計に被害が広がるだけなので1回目でかっつり崩してもう崩れ落ちてくる物がない状態にする方が安全よね、1回耐えても2回目に耐えれるようになるまでは半年からはかかるし、比較的短期間に来ちゃうとさすがにねぇ…
雑草を刈って纏めてリヤカーに入れて、苔が生えてる石畳はデッキブラシで削って、埋もれてる丸太もちょっと掘り出して箒で土を掃いて綺麗にして…見渡す限り赤松だらけの場所に到着と、ここだけはもう完全に人の手が入り切った人工的な場所ではあるけど、これがあるからこそ夏と秋に松茸が採れるのよねぇ…
その赤松で出来た森もかなり広いから手入れがちょっと大変ではあるけど…松くい虫の侵入は防がないとダメ出し病気も防がないとダメ、適度に剪定をして松がちょっと伸びすぎたり形が変になるのも防がなきゃダメと…形はまあどうでもよかったりするけど、伸びすぎると日影が多くなりすぎるのがねぇ…
まずは防虫から初めて1本1本松をじっくりと観察して…うん、松くい虫等の害虫はついてないね、ついてたらついてたでそれはもはや虫に似た別の生物だけど…1年くらいは持続する特別配合の虫除けを使ってるし、松くい虫等の害虫が近づいたらその場で死滅するようにしてあるし、それでも取りつく事が出来たのであれば…姿形が似ているだけの益虫なので放置。
防虫剤の散布が終われば次は剪定、松の剪定はただ枝葉を切ればいいという物ではなく、切る場所を間違えたらあっという間に悪くなって枯れてしまうので切るところを間違えないように注意、庭木のように刈り込みバサミでバチバチ切ってしまうと後が大変…
まあ、そういう剪定や刈込が出来ないだけで、基本がわかっていれば誰でも出来る事ではあるんだけども、三つ又なっていればその間を、新芽が出ていれば手で摘み取るだけ、それだけで剪定自体は終わりだから楽なものよね、形を整えるなら他にもやる事はあるけど…この赤松は盆栽ではなく松茸用だからなぁ…日差しが通って風当たりがよくなればそれで良し。
選定で落とした新芽や枝葉は松周辺に適当に捨てておけば大丈夫、程よい隙間が出来てまつたけが育ちやすくなるのでこれはこれで大事、本数が多くのんびりやっていると間に合わないのでちょっと急ぎ気味で作業をしまして…
んー…?遠くの方にあまり見慣れない熊が居るなぁ…新しく生まれたやつなのか、それとも縄張りを突っ切ってきたやんちゃ坊主か…こっちを警戒して出てこないあたり怖いもの知らずのやんちゃ坊主ではなさそうかな?
まだ大きさもそれほどだし今年生まれたやつかな?ちょっと目を合わせるとびくついたりしてるし、ちょっと親から離れて初めてのお散歩とか冒険とかそんな感じっぽいね、何か悪さをしているわけでもなし、そのうち匂いを追って親が迎えに来るだろうからそっとしておきましょ。
松の剪定が終わって現在時刻が2時くらいの、お昼はまだ食べてなかったからシートを敷いて自動販売機で買っておいたお弁当を広げて、ポットを取り出してお茶も入れたらちょっと遅めのお昼ご飯、今日は1人だし誰も居ないのでちょっと贅沢にステーキ弁当、自動販売機をこっと弄って普段よりさらにいいお肉にしたのは皆に内緒…
このねー…5センチはあろうかという極厚のお肉がいいのよねー…100グラムだの200グラムだのと細かい事は言わず、ジュリアさんが焼いたどーんと巨大なテンポンドステーキの様に大きな塊肉だからこそ味わえる美味しさという物もあるのよねぇ…
お弁当だからちょっと冷めているという問題はあるけど、それでも柔らかく美味しい、脂がそれほどない赤身を使ったので脂が固まって嫌な感じになると言う事もなし、ソースがなくても十分美味しいけど玉ねぎをたっぷり使った玉ねぎソースにつけて食べるとさらに美味い…
そして時間の経過でどうしても出てくる肉汁を吸った敷物のパスタをソースに絡めれば…不味いわけが無いんだよなぁ…お店がお店ならこの肉汁を吸ってソースを絡めただけの敷物パスタで800円からは取れそう…パスタだけでも300グラムくらいは入ってるけど。
取りあえずお昼を食べ終わったら何をしようかな…松の手入れと山道の整備は終わったから…川の方もちょっと見に行こうかね、山道が崩れた時にちょろっと確認はしてるけど地形がちょこっと変わってる可能性もあるし、変なところに水が流れて行ってたらそれはそれで大変だからちゃんと確認して…
なんだかんだでやる事はぼちぼちあるな、基本的にはあまり手を入れなくても大丈夫といえば大丈夫だけど、川の水は家の方まで引いてあるってのもあるし、流れと水量が変わるとちょっと不都合が出る部分もあるからなぁ…ダメになってたらパイプを一旦全部抜いて引き直せばいいだけではあるけど…軽く修正するだけで問題なく使えるならそれが一番いいよね、あまり弄繰り回さなくて済むし。
お弁当を食べ終わったら川を見に行って水を引き入れてるパイプも確認して、そのままパイプを辿って家に帰るコースでいいかな?今のところ問題なく菜園用の水は使えているから問題はないと思うけど、時間差で来る事もあるからしっかり確認しておくのも大事だよねー。
「だーめ、これは味付けしてるから上げない」
「がう…」
「ほら、向こうにお迎えが来てるからお帰り」
「ぐるぅ…」
「そんな目をしてもダメな物はダメ、美味しい物は秋の物々交換まで我慢してね」
残ってるステーキと敷物のパスタを食べきってお昼ご飯はお終い、お茶を飲んで一息ついたら川に行きましょ。
「んー…なんか主様獣臭い…」
「一応帰ってきてからシャワーは浴びたんだけどまだ臭う?」
「微かにだけど臭う、マーキングとかそういう臭いではないけど」
「そんなに臭いか?」
「普通の人の鼻だと臭わないと思う、けど獣人族からすればちょっとな」
「お弁当を食べてる時にちょっとじゃれ付かれてたからねぇ、それで臭いがちょっと染み着いたんだろうね」
「この尻軽主様めー」
「向こうからじゃれついて来ただけなのに尻軽とは失礼な、それに向こうはまだ子供だしただ遊び相手を探してただけだよ」
「野生の子熊がこの人私の物ーってキープする事ってあるのかねぇ?」
「無くはないんじゃないかな?その場合本能がかなり強いとか野性的な感じな感覚になるだろうけど、後ヒグマなら一度自分の物って決めたらそれに執着したりもするしねぇ、こっちにいるのはツキノワグマでヒグマではないけど」
「まー、臭い的に雄っぽいし、キープって感じじゃないのは確かだね、ところで夕食は何ー?」
「各自自動販売機で好きなお弁当と飲み物、冷蔵庫も冷凍庫も昨日使い切ってすっからかんだからね」
「手抜きにもほどがあるぜ主様」
「とはいっても明日の午前中にはもう家を出て南の島に向けて出発だよ?そうなると食材を買うわけにはいかないし、洗って片付けるだけでいい自動販売機のお弁当か、外に出て外食かってなるね」
「外で食べるとなると…麓の氷屋か」
「氷屋さんだね、あそこなら耳と尻尾出しっぱなしでも周りからじろじろ見られる事もないし、和食洋食中華と色々食べれるしね」
「氷を売ってんのか食べ物を売ってんのか今一わからん店だよな…」
「一応氷屋さんだけあってかき氷とかフローズンドリンクとか美味しいよ?外食チェーンの元締めをやってるから色々作れるし、周りに八百屋さんやら魚屋さんやらもあるし、定期的な製品チェックとして抜き打ちで冷凍の食材なんかも抜いて確認してるのもあって、氷屋なんだけど頼めば大体なんでも出てきちゃうっていう」
「今日は疲れてるから外に出て食べる気はしないなー…完全に解放されて久しぶりにがっつり泳いでかなり疲れたし」
「溺れない程度に泳げればそれでいいんだけどね、それに泳ぐなら明日から好きなだけ泳げるし」
「それはそれこれはこれ、海の女がみっともない泳ぎ方するくらいなら動けないくらい疲れ果てても基礎からやり直した方がましってな」
「ま、沖磯とか沖堤防とか場所によっては落ちたら一発アウトなところもあるけどね、泳ぐ泳がない以前に激流に飲まれて沈んでいくし」
「大丈夫、空中にあるプールの下りを泳いで登れるくらいにはなったから多少きつくてもいけるぜ」
「アレに比べると流れが複雑だったりサメがいたりもするんだけど…まあ大丈夫か、落ちる前に引っ張り上げればいいだけだし」
「取りあえず自販機のところに行ってさっさと飯にしようぜ、疲れてるのもあるけどそれ相応に腹も減ってるし」
「そうだね、それじゃあガレージに行って夕食にしようか」
「そういや荷物はもうとっくに向うに送ってるけど、飛行機はチケットを取ってねぇよな?どうやって行くんだ?やっすいやつに乗るのか?」
「いや、明日の朝になったらノエルさんが迎えに来るから、その車に乗って最寄りの飛行場から専用機に乗って一気に南の島まで、1日かけて国内を空から堪能して、ってのも出来るよ?」
「贅沢というかなんというか…」
「初めての飛行機で窮屈な思いをするよりはいいよね、普通なら長い待ち時間に長時間の空の旅で座席から立つってのはあまり出来ないし、自由に動き回れる専用機の方が色々と楽ってやつだね」
「どういう飛行機かは知らないけど一応楽しみにしておくか」
「話してないで早くガレージに行くぞー、今日は鶏がら醤油に鶏がら塩鶏白湯の3種のラーメンと唐揚げ大盛り、それとカニチャーハンだー」
「いつでも食べ放題みたいな物だけどほどほどにね」
専用機
ディジーやヒルダは普通にパスポートを持ってるしチケットは取れるのだが…色々と窮屈なので専用機での移動になる
燃料は不要で何日でも空に滞在できる、何なら他国の領空にも勝手に侵入してもお咎めなしなのでやりたい放題できなくもない、けど…ご主人様は一度日替わりコースみたいな感じで空のお散歩をしてさすがに怒られた




