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隠し子をお持ち帰り でも特に何も変わらない

 2人の引っ越しが決まってから10日、予定では15日の滞在だったが1日伸びてしまった。

 とはいえ、1日程度伸びたからと言って心配するメイドはおらず、まあ何時もの事かーと。

 ただ、戻るなり部屋替えとちょっと改装をするという事、湖と川をちょっと増やすという事。

 そして…今まで隠していた2人の娘を連れて帰ってきたと伝えた事。

 それにより屋敷は一時大混乱に陥った。

 まあ…混乱の原因は隠し子が居たという事のみで、説明したらすぐに落ち着いたし、湖と川を増やすという事に関しては一部のメイドは大喜び。

 今ある川と湖とは生態系が違うし、同じ種でも大きさがかなり変わっている、なので釣りを嗜んでいるメイドはかなり喜んだ。

 部屋替えに関しては一つ二つ部屋がずれる位なので特に問題は無し、強いて言えばルシフが狐さんの部屋の近くに移動するのと、その部屋の間に2人の部屋が用意されたこと位か。

 部屋替えついでの改装もすぐに終わり、屋敷は以前よりほんの少し広く、大掃除した時より少し綺麗になっていた。


「ところでメイド長、経緯はわかりましたが、そのお二人の実力は如何程で?」

「それは確かに気になります」

「仮にも緊急避難所の管理をしていましたし、弱いとは思えませんが、念の為に」

「試すのは構いませんが、力比べですか?それとも家事能力ですか?」

「もちろん前者です、家事に関してはご主人様に任せればどうとでもなりますので」

 ディアナとミネルヴァは家事能力ほぼ皆無だもんねぇ…家事や雑事の能力なんて下から数えた方が早いし…

 本人達が言うには戦闘に特化している分、家事能力が無いだけ、との事だが…

「一応2人で1人ですので、2対2で挑みますか?それとも2対1?」

「私達は2対1でもいいよ、どんなものか知りたいし」

「ではどちらを相手にします?どちらを選んでも実力は同じですが」

「え?こっちが2人であっちが1人?」

「ですよ?1人で2人を相手にしてみます?別に止はしませんよ」

「んんん?」

「加減してほしいですか?それとも全力が良いですか?」

「んんんんん?ちょっと待って?」

「はい、どうぞ」

「あの2人どれくらい強いの?ぽけーっとしてて強そうには見えないし、隙だらけだし。

言っちゃなんだけど、ユースティアやマキアと同じかそれくらいにしか感じないんだけど?」

「フレール辺りになるともう手も足も出せずに負けそうな気がします、ミアやミウでも怪しい…?」

 うん、ぽけーっとしてて弱そうに見えるのは同意する、今も妹分のカレンにリッカ、宝石姉妹と話をしてるだけだし。

 会話中にダイヤが後ろから飛びかかっても避けてないし。

「それで、どうします?」

「んー…2対2で、2人で1人なら2対2の方が良いでしょう、加減もいりません」

「わかりました、あの2人を恨まないでくださいね?」

 狐さんは2人を手招きして会話をしていた2人を呼び寄せ、ディアナとミネルヴァが2人の力試をしたいという事を伝える。

 それと加減をしなくていいという事も…

「場所はもうここでいいですね、用意するのも面倒ですし」

「庭がちょっと荒れるかもしれませんよ?」

「大丈夫でしょう、何時でもあの2人に仕掛けて下さっても構いませんよ」

「そう…なら早速…っ!」

「っ!」

 ディアナとミネルヴァが仕掛けようとした時、既に2人の姿はその場に無く、ディアナとミネルヴァの正面から2人に抱き着いていた。

「はい、勝負ありですね、敗者は勝者の戦利品なので、2人の好きな様にさせるように」

「えっ!っちょ!まっ!」

「あーれー!」

 憐れ…ディアナとミネルヴァは白と黒のゴスロリ着せられ、いつの間にか用意された机と椅子に座らせられ、着せ替え人形のごとき扱いを受けていた…


「はぁ…はぁ…」

「酷い目にあいました…」

 抵抗しようにも抵抗する前に暴れられないよう、絶妙に抑えられ、一見楽しくお茶会をしているように整えられ、あらゆる角度から撮影され…

 何がどうしてそうなったのか、さらしに法被、太鼓にバチという姿に…

 着せ替えは2人が満足するまで行われ、終わる頃にはディアナとミネルヴァの精神はかなり消耗していた…

「流石お母様の住む屋敷、逸材が多い」

「これだけでも当分楽しめそう」

 2人は満足した後、カレンやリッカの元に戻り再び話し始めた、会話内容は分からないが、皆笑っているあたり、仲良くやっていけそうなのは確かだな。

 狐さんとルシフは既に湖と川を作りに行ってこの場にはいない、なので一方的に打ちのめされた2人を止める者はおらず…

「ご主人様」

「ちょっと裏庭行こうか…」

「…はい」

 ウクレレに虎柄のビキニに角が2本と言う出で立ちの2人に引きずられていった…

 だがひとこと言わせてもらいたい。

「背中に背負う太鼓を忘れている」

「遺言はそれでいいですね?」

「ほら、キリキリ歩く」

 楽しそうに会話する姉妹の後ろで惨劇が幕を開けるのであった…


「ご主人様、新しくできた湖に早速釣りに…どうしたんですかその格好?」

「いや、ちょっとね」

 ディアナとミネルヴァに弄ばれ、網タイツにやたらとふわふわもこもこしたボリュームのあるカボチャパンツ、チューブトップに小さな羽、ゴージャスなロールヘアに輪っか、鼻眼鏡に吹き戻し笛と、何がしたかったのかよく分からない姿にされていた…

「とりあえずお召替えしましょうか…」

「うん…」

 アウラに連れられ空部屋に入り、服は全て脱がされ下着から選び直し、鼻眼鏡をかけるために出していた耳をひっこめ何時もの狐耳に戻す。

 髪型に合わせるように、下着を黒のレースにガーターとストッキング、赤と白が入り混じったドレスに日傘と、パッと見はお嬢様の様なスタイルに。

「ふぅ、これでいいでしょう、では早速釣りに行きましょう」

「え、この格好で?」

 何所からどう見ても釣りには向いていない服装で釣りに行くと言う…

「激しく動かなければ問題は無いでしょう?

新しく作られた湖には小舟や椅子も用意されていますし、座ったままでも釣りができるようになっています」

「ならいいか」

 アウラと一緒に新しく作られた湖へと移動、既に何人かが釣りをしているが、何時もとは違う魚を相手にしているので四苦八苦しているようだ。

 シンプルに浮き釣りで餌を試してみたり、ルアーを試したり、投げ釣りやフライを試してみたりもしている。

「まだ何かが釣れたメイドはいないようですね」

「持ってくる時に、寄生虫等の食中毒を起こす可能性のある奴を全部処理しただけで、環境とかはそっくりそのまま持ってきてるから、食性は変わってないはず」

 クリアウォーターに餌となる大量の小魚、水草や沈んでいる木などもそのまま、水温や気温に至るまで全く同じなので、頑張れば釣れなくはない…はず…

「陸からにします?それとも船?」

「陸からの方が良いかな、小船だと船が持って行かれるから」

「それほどですか?」

「大きいやつはかなり大きいよー」

 竿を取り出し、備え付けられている椅子に座り、後は適当に投げ込む。

 今回は食べるために釣るのではなく、アウラの付添いみたいな所も有るので、近場に泳いでいる小魚狙いでのべ浮き。

 アウラはルアーで何が掛かるかを試すようだ、近場を泳いでいる小魚以外はまだ何が居るか分かっていない状態なので、各自それも相まって未だに釣れていないようだ。

 メイド達は四苦八苦している中、のべ浮きで10センチくらいのフナを釣ってはリリース、釣ってはリリースを繰り返し。

 少し大きめの15センチくらいのフナはキープ、スカリに入れて泳がせておく。

 4匹くらいキープできたところでのべ浮きは終了、投げ竿に変更し、フナに針をかける。

 重りは付けず針のみ、フナの重量だけで軽く投げる。

 すると、着水後すぐにフナは何かから逃げるように泳ぎはじめ、その逃げる動きを少し止めてやると…

「よし、食った」

 流石食欲旺盛な魚達、群れから離れたのを見つけるとすぐ飛びついてくる…

 椅子から立ち上がり、しっかり針の部分まで食い込むのを待ち、合わせる。

「んー…ちょっと小さいか?」

 感じからすると…ちょっと大きめのバス…?

 適当にいなしつつ、少しづつ巻き寄せてくるが、何かやたらと抵抗してくる、泳ぐ方向も一定せず此方に向かって泳いでくることも。

「んー…?」

 ちょっと糸を大量に送りだし自由に泳がせてみる、すると今度は一直線に泳ぎ始めたので、糸を止めて動きを一瞬止めてみる、すると…

「おおう…もう一匹食ってきたか…」

 竿が更にしなり、先ほどより力強く、重い手応えになった。

「今度のはちょーっと大きいなぁ…」

 針が外れないよう、無理をせず巻いていくのが基本だが…これ完全に呑み込んでるなぁ…

 感じからすると完全に獲物を一飲みにしているので、針も完全に呑み込まれて掛かっている。

 こうなると駆け引きも何もないので、力づくで強引に引き寄せ、糸を巻き取っていく。

「何が掛かりました?」

「バス…からの別の魚かな?」

 強引に巻き続ける事2分、フナを食った魚を食った魚がお目見え。

「そこそこ大きめ…かな?」

 水面近くで大暴れして水しぶきを上げているニジマス、立派に育ったなぁ…

 目測で2.5メーター、130キロ位か…?

「これでそこそこですか…?」

「この湖だとそこそこだね」

 カワマスとニジマスは今の所最大3メーター、ブラウンとレイクは5メーター位は確認済み。

「確かにこれだと小船は持って行かれますね、ちょっとした漁船かクルーザー辺りを用意しないと…」

「だねー、まあ大きさによって住むエリアが決まってるから、近場ならここまで大きいのはいないかな?

たまーにこうやってエリア外から獲物を求めてやってくるけど。

一匹丸々塩焼きにする程度なら近場とか、この湖から流れてる川で釣ればちょうどいい大きさだね」

 暴れているニジマスをいなしつつ、簡単に説明。

 しかしどうやって取り込もうか…


 スカリに入れていたフナは全てリリース、ニジマスはその場で絞めて解体。

 飲み込んだ針を回収し、切り身にして今夜の夕食に。

 解体中、胃の中からはやはりバスが出てきた、もう死んでいたので魚粉に変えて肥料にしておいたが…

 釣りは終了して屋敷に戻り、頭や骨は肥料に、身はヴェスティアに渡して切り身にして貰い、その間にお風呂でちょっとした汚れを落とす。

 汚れを落としたら調理場へ行き、切り身にして貰ったニジマスの調理を開始。

 とはいえ特に捻った物にはせず、シンプルに塩焼き。

 汁物も油揚げだけの味噌汁、ご飯に山菜おこわ、それと大根の漬物とシンプルに纏める。

 居なかった間は肉肉肉と肉尽くしだったらしいので、こういった物の方が良いだろう。

 山菜おこわが出来上がり、魚も焼ける頃にはちょうど夕食の時間に。

 狐さんとルシフに連れられ、2人が食堂に入ってきて軽く説明を受けている。

 説明を受けつつ夕食を受け取り、狐さん達の近くに座り夕食を食べ始める。

 それに続くようにメイド達も食堂に入ってきて、夕食を受け取り席について食べ始める。

 今日はおかわりをする者もおらず、久々となる料理を味わっているようだった。


 おかわりも無かったので食材は余り気味、なので今日は夕食に出した物を同じ物をヴェスティアとエキナセア、リッカにダイヤと一緒に食べる。

 余ったニジマスの切り身は後で燻製にでもしておこう、山菜も水煮にして保存しておくか。

 夕食を食べ終えた後、ヴェスティア達は一足先にお風呂へ、1人残って厨房の掃除をしていると帰ってきたなーって感じがする…

 掃除を終えたらお風呂へ、お風呂から上がれば遊戯室で就寝までの時間つぶし、時間が来たら寝るだけ。

 遊戯室に行くとやはり2人は狐さんから説明を受けて色々と挑戦中、周りも受け入れているので馴染むのにそんなに時間はかからなさそうだ。

 お風呂上がりのお茶を飲みながらメイド達を観察し、就寝時間より早く眠気が来たので早めに引き上げ。

 寝室に戻りベッドに潜り込む。

 戻ってきたという感じはするものの、疲れたようなそうでないような…そんな不思議な感覚に包まれて眠りについた。


 深夜に目を覚ますと、両脇にはリッカとカレン、上にはダイヤが乗っかっており、全く動けない状態に。

 寂しかった…というわけでもなく、単純に2人に狐さんの左右を譲った結果、こっちに流れてきたらしい。

 先に誕生したのはあっちではあるが…譲っている辺りはこっちの方がお姉さん…と言う感じかねぇ…?

 ダイヤはたまに乗っかって寝ているので多分関係は無いな。

 そう言えば顔合わせはしたけど、まだ自己紹介はさせてないし、朝になったら2人に自己紹介をさせないと…な…

 そう考えながら再び眠りについた。

着せ替え人形

ご主人様が頻繁になっている物

奇抜な衣装から可愛い衣装、見ただけで押し倒したくなるような衣装まで何でもござれ

たまに奇抜すぎて別のメイドにまともな服に着せ替えられる


半径1キロ位の大きな湖、中心に近づくほど魚が大きくなる、でも最大5メーターくらい

獲物を求めてたまに外周部までやってくる

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