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半日デート いつかは選ぶ専用車

「お兄さーん、デート行こうぜー」

「いいよー、目的地はどの辺りで?」

「特に当てはない、強いて言えば釣具屋巡り…?せっかくの長期休暇中だし、店長さんのお店以外の釣具屋も見て回りたいなーって」

「なるほど、普段は店長さんのお店しか利用しないからねぇ、店長さんのお店を利用するようになる以前は大型店舗を利用してたりはしたけど」

「そう、その大型店舗をどんな物かと見てみたいのだよ」

「一番近いところだと1時間くらいのところにあるね、そこだけでもじっくり見て回るとなると2時間とか3時間かかるから、大型店舗だけに絞ると2つ3つしか回れないかな?」

「2時間掛かるくらい広いのか」

「片田舎で土地が余っていてかつ周辺に釣具屋無し、だからかなり大きい店舗がドカンって建ってる、まあ川もない海も遠いところだから個人店を出しても…ってやつだけど、大型店舗ならまた今度釣りに行こうって人が仕事帰りとかに寄ったりね」

「じゃあ取りあえずそこに行こう、何も買わないかもしれないけど」

「竿とリールは買ったばかり、その他小物も無い物を探すのが大変だしねぇ」

「ここにいる限り釣り具に困る事はまず無いよね、それ以外にゲームとか本とか大体全部揃ってるけど」

「コツコツ活動を続けてきた成果ともいえるね、ところで変装はしなくて大丈夫?」

「あ、そうだね、俳優とかアイドルってわけじゃないからそれほど騒ぎになる事はないだろうけど」

「大型店舗ともなると客数が多い分視聴者さんもちょこちょこ居るし、リオの影響で始めた子も居るからね」

「買うだけじゃなくちゃんと釣りに行ってくれてたら嬉しいけどねぇ、中にはファッションと同じ様に真似をしてハイエンドを買っている子も居るだろうし」

「居るだろうねぇ、アルマディンフェンリルはさすがにポンっと買えないとは思うし、同じ様に全部買い揃えようとはしないだろうけど」

「買ったのはつい最近でそれまではRシリーズだったから、いきなりハイエンドって事は多分無い…んじゃないかなぁ?アルマディンフェンリルはまだ動画配信で使ってるところは見せてないし」

「次はあれってファッション感覚で買う子が出てくるのは確かだろうね、よし、準備完了」

「こっちも準備はばっちり、それじゃいくかー、初心者マークを付けて」

「最低でも1年はつけておかないとね」


 んー、やっぱりここはいつ来ても広いなぁ、品揃えも大型店舗らしく新しい物も一通り全部揃っているし、見て回るだけでも結構時間が潰せるよねー、周りのお客さんみたいに見るだけで多分買わないけど。

 で、やっぱり気になるのは自分と関係のあるメーカー品、ショアジギのコーナーへ行くとショアシリーズがずらーっと…と言う事も無く、硬さと長さ違いで合わせて8本ある程度、売れて無くなった…というよりは最初から数を仕入れてない感じか、まあ1本当たりの値段が安い分儲けも少ないからなぁ…性能は間違いなく4万台の物より遥かに良いんだけど、それが売れなきゃお店も儲けが少ないのは確かだし、仕方のない部分か。

 ショアコーナーを抜けて上物コーナーへ行きまして、新作の上物竿は…うん、さすがに昇竜はここにはないね、値段が値段だけに付いてくるロッドケースもお高い物だし、ショーケースの中で埃が被らないようにしつつ展示してる感じかなぁ?

 普通の棚に並べてある物はケースから出して確かめれる様になっているし、その過程で極稀に破損する場合もあるし、あまりにも高い物は…基本的には触れない様にショーケースの中が基本よね、故意じゃないにしても値段が値段なら買い取りになる場合もあるし、昇竜は店頭価格で50万を超えているので…トラブルを極力避けるためにも触れない様にしておくのがいいよね。

 上物コーナーも抜けてショーケースがあるところまで移動しまして…うん、やっぱりあった、昇竜壱弐参がケースの中に並んでて数は…限定1本ずつか、卸値でも40万超えてくるし、そりゃ数を仕入れる事は出来ないよね、10本ずつ仕入れてる店長さんのところがおかしい、かつすでに全部売約済みってのが変なだけで…

 それにしても昇竜は美しいなぁ…扱い方次第では200号竿より強くなるというのに1号竿並みの細さ、グリップの形からグリップエンド、リールシートの形から素材まで拘り抜いて…ガイドもトラブルレスを使用したインナーガイドで徹底的にトラブルを排除、ゴミを巻き込むこともガイドに糸が絡む事は無く、さらに限界まで軽量化をしているのでとても軽く扱いやすい。

 インナーガイドの作りもクリムゾンウルフと同じで油を巻き込もうが内部がべたつく事は無し、それどころかちょっと振るだけで竿先から排出されるのでクリーニングもほぼ不要、巻き込んだ海水も仕掛けを軽く投げるだけで全て竿の内部から排出されるので糸の送り出しも常にスムーズ。

 リールシートも形状と素材を拘り抜いているので、1000番から15000番であれば何番のリールをつけてもぴったりフィット、昇竜用のリールは出ていないのでリールはお好みで…となるけど、合わせて使うのであればワイバーン、もしくはセイルフィッシュの15000番がデザイン的にもぴったり。

 問題は昇竜を買っていく人がいるかどうかって事だろうけども…店長さんのお店を利用している人は比較的裕福な人が多いし、取り扱っている物も不良品がなく信用出来るって事で高いものでも結構売れるけど…ここだと早々売れないだろうなぁ…だからこその限定1本なんだろうけど…

 ショーケースの中をざっと見たところでリールを見ているリオと合流するか、何かを買うというわけでもないだろうけど、何か面白そうな物はあるのかねぇ?


「何か面白い物はあった?」

「んー、特に何も、どれもこれも値段相応、たまに値段以下の酷いのが混じってるし、マキシマとかワールドのリールは高いのしか置いてないのがねー…安いのは売り切れてるとも言うけど」

「安い物でも触ってみると全然違うってのがわかるからねぇ、ゴリゴリだったりなんか重かったりするのは売れ残るね」

「後カヤックとかリールとロッドがセットになった物が置いてないよね、リールとロッドのセットは全くないというわけではないけど、最初からセットになっている安物だけというか」

「あー、そうねぇ、この国はお店が独自で竿とリールを組み合わせてセットで売るってのはしないね、最初からセットにしている物じゃない限りはばら売りだね、セットにして割り引いてちょっとお得にして売るっていうよりはバラのまま売って利益を求める感じ」

「なるほどねぇ」

「抱き合わせ商法とかそういうのに引っかかる可能性があるから避けてるってのもあるんだけどね、要らない物を付けているわけじゃないから実際には大丈夫だろうけど、面倒事は避けた方が良いよねって事でメーカーが最初からセットにしているもの以外はバラ、組合せにしてもメーカー側がこれにはこれって感じで紹介ページに乗せてるくらい」

「それはそれでちょっと味気ないねぇ、とは言っても2回か3回そういうのが置いてある店に行った事があるってくらいだけどね、愛用というほど長くは使ってないけど、グラヴィナクイーンを買ったのも通販だし、行った店には置いてなかっただけともいうけど、国が違うし」

「作ってる国が違うとどうしてもねー、マキシマとワールドは国外にも工場があるから値段をほぼ変えずに販売できるけど、そこまで大きいところって早々無いからねぇ」

「マキシマとワールドが異常なだけな気がするけどね、そのマキシマも一部ミドルとハイエンドはもう作れなくなっちゃったけど」

「国外だとミドルクラスが主軸だからあまり影響はないんじゃないかな?私がトラウトの聖地と呼ばれてる国に行った時に見たお店だとハイエンドはあるにはあるけど個人輸入、というよりマーメイディアとかは国内だけってのもあるけど、ミドルクラスの国外仕様って感じで名前を変えたりキャパを増やしたりした物が主軸だったしね。

マーメイディアとワイバーンのテストでバラマンディを釣りに行った国でも同じようにミドルクラスが主軸で、ハイエンドはほぼほぼ出回ってない感じだったから影響はないはず」

「なるほどねー、でも実際ミドルクラスで間に合ってる感はあるよね、グラヴィナクイーンとか一番高いロッドでも130ドルくらいだし、それくらい出せばメーターを上げれちゃうし、合わせるリールも30ドルくらいで十分だし」

「リールは安い分消耗品、みたいな感じもあるけどね、手入れをしたりちょっと弄繰り回せば長持ちするいいリールになるけど」

「私は弄るのは専門外、手入れもマネージャーに投げっぱなしー、やらせて貰えなかったというのもあるけど、貧乏時代は自分でやってたんだけどねー、水で洗う程度だけど」

「分解整備は慣れてる人じゃないと壊すだけだけどね、んー…ネレイドのエントリーがポツポツの、ハイエンドは全部ショーケースか」

「そう言えばうちにネレイドとかワールドのエントリーは無いよね、あっても良い様な気はするんだけど」

「ワールドのエントリーは管轄外、ネレイドのエントリーは触りだけのテストはしてるけど、ハイエンドが大量にあるし、それより下だとRシリーズで十分だからって感じで送られて来る事はない、どのクラスのリールと竿を送ってくるかはアイナとアスカが決めてるのもあるけど」

「あー…そうだねぇ、Rシリーズがあればエントリーとか要らないよね」

「一応マーメイディアとワイバーンのエントリーとミドルクラスはあるんだけどね、滅多に使わないだけで」

「全くないわけではないのか、でも繋がりだよねぇ」

「そうだね、同じブランドという繋がりで展示用に送ってきてるような物だね、それに使ったのは5回もないはずよ」

「勿体無い気もするけど…それより良い物があるからそんな物か」

「ハイエンドのリールだけで4桁はあるし、Rシリーズも20台ずつくらいあるからね、そんな状態でエントリーまで送られたらもう…」

「ロッドも3000本とか有りそう」

「あるだろうねぇ、全部数えたわけじゃないから正確な本数はわからないけど、1ピースモデルに2ピース、3に4に5ピースモデルで全種最低でも人数分、初期のマイナーチェンジで出た5センチ刻みのものはガレージの限界がきて展示用を残して全部売り払ったけど、今は全部残してるから順調に増えていってるねぇ」

「何ピース何ピースってあるけど、3とか4ピースにする意味はあるんだろうか?」

「あまり無い、けど…まあそこは人それぞれ、国外へ行くぞーって人とか、国内でも飛行機を利用する場合は長さに制限があるから4とか5ピースを好むし、車で行き来する人は車の大きさで1から3のどれかって感じ。

店長さんの愛車だと5ピースしか積めないから必然的に5ピースになるけどね、ショア用は3メーターのパックでぎりぎりって感じ、そもそもそういう用途の車ではないけど」

「あの車小さいもんねぇ、私が乗ったら窮屈すぎてアクセルとかブレーキとか踏むのが大変そう」

「パックロッドなら積めなくはないってくらいで買い物にも向いてないしねぇ、本当に趣味だけで乗るような車よ」

「私もそのうちどの車にするかを決めないとなぁ、いまはまだ借り物だし」

「そのうちルシフがどれがいいー?って持ってくると思うけどね」

「今はまだ仕事の関係でほぼ自分で運転する事は無いけど、するようになったら億単位の車がずらーっと並べられるんだろうねぇ…」

「値段は気にしなくていいと思うけどね、デザインとかそういうのを全部抜いたら材料費はその辺の軽と大して変わらないだろうし」

「作ってる人が聞いたら泣きそうだね、あ、マイクロロケットが売り切れ中になってる」

「マイクロベイトをショアから投げて使うにはいいからねぇ、浮くから根がかりの心配もないし、巻くだけでいいし、楽な釣りではあるね、船を使えるならポップフロートでいいけど」

「あー、なんかジュリアさんがごそごそと大量に持ち出してたアレか、浮きと重りが一体になってたやつ」

「そそ、下についてる重りは飛ばし用で浮力には大分余裕があるから、ジグヘッドをつけたりそれなりに大きい切り身をつけても沈まない、タナの調整が出来ないっていう欠点はあるけど、あまりそういう細かい事を気にしないでいい浮き釣りとか、レッドフィッシュを釣る時にジグヘッドとワーム、もしくはマイクロベイトを付けてロングジャークで飛沫を上げながら、っていう道具」

「なーるほど、でもこっちでそういう物は見た事無いなぁ、あるなら店長さんのお店で扱っててもいい気がするし」

「浮きは浮き、重りは重り、飛ばすための浮きもあるけどあくまでも飛ばせるだけの浮き、ってのがこっちの浮きだからねぇ、浮きと重りが一体かつヘッドが飛沫を上げるための形状、ってのはこっちだと作ってないのよ、浮き釣りとルアーフィッシングを合わせる発想がないとも言うけど」

「確かに、こっちの釣りを見てると浮きイコール餌釣りみたいな考えが第一に来るけど、浮きをつけてその下にルアーっていう考えは出てこないね、ルアーは動かさなきゃ食いついてこないって考えもあるし」

「そう、だからこっちはそれ用の浮きがないのよね、後あったとしても使えるのは青物で浜から投げるには…だし、船を出せるならトップウォーターでもジギングでもってなるしで、そういう発想が出たとしても需要がー…ってやつ。

それにポップフロートは投げても60から80メーター飛ばせるかどうか、かつロングジャークしないとダメ、ショアでやるには飛距離が足りないしちょっと疲れる、この国で製造されていたとしても環境にはあまりあってないってやつなのよね」

「環境は大事だよねぇ、場所が良ければ釣れないって事は無いんだろうけど、全国どこでも対応ってなると…」

「100メーターからはかっ飛ばせるマイクロロケットのほうが向いてるってやつだね、サーフでも堤防でも、使い方もただ巻きで良くて投げれる幅さえあればいい、特にサーフとなるとボイルとかナブラとか鳥山が発生するのって100メーター以上先である事が多いし、湧いてる時って大体水面近くにいるから浮くってのはかなり利点なのよね、ジグだと着水直前からブレーキをかけて沈まない様に…ってする必要があるけど、最初から浮いてるならその必要もないし、下に付けるマイクロベイトをペンシルにするもよし、アルミ製のスプーンでもよし」

「10センチもない小さいペンシルとか、そもそも巻くだけで十分なスプーンを100メーター以上飛ばせるってのはかなりのアドバンテージかぁ」

「ま、買った人が最初から付属してくるマイクロベイト以外の使い道を思いつくかどうかはまた別問題だけどね」

「割と思いつきそうな気がするけど…思いつくならマイクロロケットに似たような物がとっくに出てるか…」

「だね、さてと、ぼちぼちお昼が近いけどどうする?」

「あ、もうそんな時間か、見て回るだけでも時間が流れるのは早いねぇ」

「適当なお店に食べに行くか、それとももう帰ってのんびりするか」

「んー…もうちょっと見て回りたいような気もするけど…他の店舗もこんな感じ?」

「系列は違うけど品揃えは似たような物だね、自社製品が違う程度」

「じゃあもういいか、今からだとちょっと遅くはなるだろうけど、お弁当とかそういう物もあるし、帰ってのんびりするかー」

「お昼から何するかもぼちぼち考えないとだけどね」

「釣り!っていう気分ではないし、お兄さんの部屋でゲームでもするかぁ」

「いいよー、対戦でも協力型でも1人プレイでも」

「1人プレイのゲームに茶々を入れるってのも楽しいよね」

「罠を踏んだ時とかね、よし、買う物もないし、帰ろうか」

「だね、帰ってまずはお弁当、それからゲーム!」

「1号コピーが乱入してきそうな気がしないでもないけど…まあいいか」

「その時はその時じゃない?」

専用車

適当なタイミングでルシフが用意してくる億単位の専用車、安全第一ドライブレコーダーも常時稼働、もしぶつけてもぶつけられた相手が悪い事に出来る書類付き

実はデザイン料やらなんやらを抜くとその辺の軽自動車1台と材料費はそう変わらない、でも製造法が違うので強度から何まで桁違い、なので軽自動車と材料費が同じ、などと言ってはいけない

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