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食べるな危険 凄く美味しそうに見える

 んーむ…これはなんと言えばいいのだろうか…死屍累々…それとも兵どもが夢の後…または五十歩百歩か団栗の背比べ…少なくとも兵ではあったのだろうけど…うん、過程を見てると兵どもが団栗の背比べだな。

 取りあえず罰として飲み物やアイスは出さずに悶えていて貰おう、しばらくはのた打ち回るし、汗も酷い事にはなるけどもう普通の人じゃないから死ぬ事は無いし、反省して貰うと言う事で。

「赤を通り越して青く、そして白くなってますけど放置していて大丈夫なんですかね?呼吸が止まってそうな感じもありますけど」

「呼吸が止まったくらいじゃ死なないから大丈夫大丈夫、食べ物でチキンレースみたいな事をするからいけないのよ」

「屈強なメイドさん達でもダメなものはダメなんですねぇ」

「普通のレッドチリとグリーンチリソースに漬け込んだくらいなら辛いねーってくらいで済むけど、さっき使ったやつはねー、葵さんのところで一番辛いって言われてるヘブンズゲートって言うスコヴィル値が650万あるやつがあるんだけど、それをふんだんに使ったから辛い物が好きとか嫌いとかそういう次元じゃないものに仕上がってるね」

「それ即死しませんか?」

「普通の人ならショック死するね、というよりヘブンズゲート自体が食べ物に使う物じゃない、農薬なんかに使う用の品種、植物には無害で生育にも影響がない製法が確立されてるし、広範囲の農場なんかではこれから作った農薬をぶわーっと撒いて、ついてる虫を殺虫しつつプレーリードッグも遠ざけて近づけなくするっていうやつ。

まあ、世の中物好きはいるから、これで激辛料理を作る人はいたりするんだけどね、そもそも食用ではないから飲食店での取り扱いは不可、食べるにしても自己責任」

「なぜそこまで辛い物を求めるんでしょうねぇ…そこまで辛いともう味なんかわからないと思いますが…」

「度胸試しとかそういうのじゃないかなぁ?激辛料理に関しては割と死人が出てるから、作った人が完食出来てかつ安全なら問題なし、出来ても安全じゃないなら出すんじゃねぇっていう決まりができたけども」

「今のた打ち回っているのを見ると…店で出していいような物ではないですね」

「普通の人なら胃に大穴が空いて吐血してショック死してるだろうね、体が丈夫だからこそそうはならずのた打ち回るだけで済むようにはなってるけど、その分苦しみは長く続く」

「普通のマサラホットならほど良い辛さで美味しいんですけどねぇ」

「誰が一番辛い物を完食出来るかって勝負を始めた報いだね、残さず完食したところは褒めてあげるけど」

「残していた場合はどうしたんです?」

「細かくしてチャーハンとかそばに少量混ぜて食べれる程度の辛さまで落とすだけかな?もしくは釣り餌に使う」

「魚が逃げたり食べたら死んだりしませんかね?」

「唐辛子の辛さは痛覚だから、魚は痛みを感じる事がほぼ出来ないし、食べた所で影響はないのよね」

「なるほど」

「後唐揚げとかを餌にして釣るってのは割と有る事だから、困ったらそれを餌に別の食べ物に変えてしまうってだけだね、出来るだけ食べ物として処理するけど」

「取りあえず泡を吹いて倒れてるタカミヤをどうしましょうか?」

「気絶してるならそっとしておくのがいいかな?」


「チキンバーガーサルサソース多めで」

「はいはい、ジュリアさんは今日もGT狙い?」

「いや、今日はクロダイとヒラメだな、このすぐ裏の川はクロダイだけじゃなくヒラメもいるんだろ?」

「いるね、スズキもいるしフグもいればハゼもいる、ウナギは上の方に行かないといないけど」

「ウナギってルアーで釣れるのか?」

「ミミズその物と言えるソフトなら投げて放置しておけば噛みついては来るんじゃない?」

「それなら最初からミミズをつけて投げとくわ」

「だよね、はい、チキンバーガーサルサソースたっぷりマッシュポテト付き」

「マッシュポテトは頼んでねぇなぁ、食うけど」

「釣った魚が食べたい場合は裏口から入って調理場に放り込んでおいてね」

「食べるならヒラメだなぁ、エンガワの握りが食いてぇ」

「身の方は?」

「寿司に合わせたいから普通に刺身だな、それより」

「何か気になる事でも?」

「なんでこんなに死屍累々になってるんだ?」

「誰が一番辛い物を一番早く完食出来るか、っていう勝負が行われたからだね、使った唐辛子がヘブンズゲートだから死屍累々にもなるよねって」

「バカだろ?」

「バカだね、完食はしてるからいいんだけどね」

「でー、この纏わりついてる3人はどうすれば剥がれてくれるんだ?」

「昨日餌付けでもした?」

「食ってた唐揚げをいくつかな」

「またくれると思ってついてきてる状態だから、適当に何かを買ってあげるか、上げれる物は何もないって言って追い返すしかないね」

「小さい子供を追い払うのもなぁ…何か丁度良いのはあるのか?」

「基本的には何でも食べるけど、そうねぇ、肉なら何でも喜んで食べるよ」

「じゃあ満足しそうな肉料理を作ってやってくれ」

「はいはい、狼三姉妹もカウンターに座って大人しく待とうね」

「さて、バーガーも芋も食い終わったし、裏に行って釣りをするか」

「はーい、頑張ってねー、そして三姉妹には特大ステーキね」

「でっ…か…何キロあるんだよそれ…」

「1つ5キロくらいかな?」


 ウナギを背開きで開きまして、肝と骨を取り除いたら串を打って炭火で軽く焼き、軽く焼いたら蒸して身をふんわりと、その間に骨も焼いてタレの中に入れて、肝も串に刺してじっくり焼いたら蒸し終わった身と同じ様にタレをつけて香ばしく焼いたら…

「あー…胃に直接くる良い匂いが…まだお昼の2時だというのに…」

「あ、復活したんだ?」

「まだ口の中がかなりひりひりしてますけど何とか、胃も少々痛いですけど」

「辛い物を早く食べれたりしても偉いって事は無いし、美味しく食べれる程度に止めないとダメよ?」

「いやー…これならメイドさんにも勝てると思ったらつい、結局は引き分けでしたけど」

「回復速度で負けだと思うけどね、はい、口直しと胃を治すためのアイス」

「ありがとうございまーす!あー、甘くて沁みるー…」

「で、お昼はどうする?7時間くらい気絶していたわけだけど」

「食べます食べます、量自体はそれほど食べてないのでお腹はすいてます、なのでそのウナギをください」

「これは注文の分だからその後でね」

「そう言えばタマキ達はいずこへ?友達を置いてどこかへ行くとは薄情な」

「薄情であるなし以前に呆れただけだと思うけどね、普通の人なら即死の可能性がある唐辛子を食べてるわけだし」

「なんとなく勝負を挑みたかってん…」

「次回からは食べ物関係以外にしようね?はい、蒲焼きの前に白焼きと刺身、これをちびちび摘まみながらちょいと待っててね」

「へーい」

「あ、そうだ、蒲焼はどっちがいい?」

「どっちとは?」

「一度蒸して脂をちょっと落として身をふっくらさせた物か、蒸さずに焼いて脂たっぷりで身がしっかりした物か」

「両方で」

「はいはい」

「しかし…ここのウナギは大きいですよねー、皮が厚ければ身も厚い、脂もたっぷりで食べ応えが抜群、刺身も文句なしの美味しさ」

「普通のウナギだと血をちゃんと落として、そこから薄造りでちょっと食べ応えがなかったりするけど、このウナギは肉厚だからねー、そして追加の皮の湯引きと炙り湯引き」

「湯引きも美味ぇー」

「ウナギといえば蒲焼き、ってなるから湯引きで皮を食べる事はあまりないのよね、生の血が毒だから刺身で食べるのがちょっと危ないってのもあるけど」

「聞いた事が有る様な無い様な?」

「ウナギの血は生だと毒、火を入れたら無毒化、だから刺身にする場合は専門店でもちゃんとそれを学んだ人じゃないと出せない、フグみたいに免許があるってわけではないけど、毒である事には変わりないからね」

「それがここだと食べ放題、しかも無料!白焼きお代わりー」

「蒲焼きが控えてるけど良いの?」

「白米を食べずにウナギのみなら余裕、なの白焼きのお代わりを」

「ほどほどにね」

「んー…美味い、居酒屋で飲んだくれてる人の気分が少しわかりそうなそうでもないような」

「美味しい物があるから飲んだくれてるわけじゃないと思うけどね」

「仕事に疲れてないとお思いかー」

「疲れてるのは仕事が原因ではなく、夜更かしをしてゲームをしてるからだと思う」

「ぐふっ…どこからその情報を…」

「普通にタマキちゃんとか付き合わされてる使用人さんから、休みの前の日ならいいけど、そうじゃない日は程々にしようね?体力が有り余って大丈夫、とは思っていても意外と蓄積するからね、はい、蒲焼き2種お待ち」

「よし、これを食べたらどこかに遊びに行くかー」

「あ、そうだ、去年もそうだったけど、8月になったら私も旅行に行って不在になるから、基本的には自動販売機で食べたい物を買ってね?後葵さんの家に行くのはいいけど当然他の皆旅行に行って不在になるから、街に遊びに行きたい時はメイドの誰かに頼んでね?」

「はーい、とはいっても街に言って何かをする様な事もないかなぁ…声をかけられるのも面倒だし…わざわざ人ごみの中に行くのもねー…ちょっとはマシになってるとは言っても知らない男から声をかけられたら間違いなく殴り飛ばすだろうし」

「遊びに行くなら街その物を封鎖して、店員もルシフの回し者かつ女性のみにしないとダメだろうねぇ」

「ゲームセンターなら葵さんの家にありますし、読みたい漫画は全部家にありますし、ここの宿泊施設にもゲームセンターはあるので…ここにない食べ物を買う時にガレージへ行くくらいですかねぇ?お弁当の類はないですし」

「ヴェスティアとかエキナセアが海の家に常にいるから、頼めば何でも作ってくれるとは思うけどね、ハクとヴリトラの場合は麺類が基本になるし、コウの場合だと点心なんかの軽食が基本になるけど、基本になるというだけで作れないわけではないから、ステーキが食べたければステーキを、ミックスフライのタルタル丼を食べたいなと思ったらそれを、桶に入った大盛りの海鮮丼が欲しいならそう頼めば作ってくれるね」

「桶に入った大盛りの海鮮丼はテレビで見ると凄く美味しそうに見えるんですよねぇ…桶というだけで桶の大きさ自体は普通の丼くらいですけど」

「桶の大きさは1番大きいのでこれだね寿司飯が5キロ入って、錦糸卵を敷き詰めて、後は何丼にするかで具材が変わってくる感じ、これはウニとカニといくら、さらに大トロも生と炙りと漬けの3種をこれでもかと使った物だね、総重量でいけば8キロくらい」

「おおぉぉー…美味しそう…皆で囲んで器によそって食べたいですねー…」

「でもこれで1人前だったりするのよね」

「ワーオ…一体どこの誰がこんな大量の海鮮丼を…」

「隣で特盛うな丼を食べてるティアかな?」

「マジスカ、こんなに細いのに?一部それなりに大きいですけど」

「これでも一応龍族の端くれですので」

「人型にはなってるから燃費はましにはなってるんだけどね、元が元だから結構食べる、食べなくても大丈夫だけどこういう時くらいはね、というわけで特盛桶海鮮丼お待ち」

「大食い大会に出たら軽く優勝出来そうですね」

「種族差という暴力で軽く優勝出来るだろうねぇ、葵さんのところでもそうだけど、そういうのって種族差があまりないからこそ出来る事だったりもするのよ?

鍛えれば追いつけるし、追い越せるし、でも元から備わってる種族と言う差は人の寿命では越えられない物なのよね、寿命がなければ努力次第で追いつくけど…そうだねぇ、王女様の世界で闘技大会なんかをやってるけど、大体皆自分の種族を活かした戦い方になってるでしょ?」

「そうですねぇ、ティタノ族であればその巨体を活かした破壊力で広範囲を薙ぎ払ったり、門を突き破ったり、逆にハーフフットやラビニア族の人達なんかは小ささや素早さを生かしてますし、力勝負って事はしませんね、力勝負を挑むと確実に負けますし」

「それと同じ様な物だね、ティア達龍人族に大食いで挑むのは象と蟻くらいの差があるわけよ、つまり最初から勝負にならない、スポーツにしてもゲームにしても普通の人であるからこそ成り立つ競技、と言えるかな?」

「あまり差が出そうにないゲームでも差が出る物なんです?」

「意外と出る、まず反応速度が違うからFPSやTPSなんかだとどうあがいても勝てなくなる、卓上遊戯の将棋やチェスにしても終始掌で踊らされるくらいには頭の回転速度なんかが違う。

まあ、後者に関しては種族差は微々たる物だけど、それでも頭を使うのに特化した種族は強いね、10人くらいなら将棋にチェスに麻雀にと同時進行で相手に出来るんじゃない?」

「そこまでぶっ飛んだ人は早々居ませんけどね、タニアとエリスは出来そうですが、お代わりをください、今度は刻みわさび混ぜで」

「はいはい、まあ、そんな感じで、普通の人だからこそ成り立つって感じで、多種族が住む所では大食いとかそういうのはあまりない感じだね」

「なるほど、私も海鮮丼ください、見てたら食べたくなりました」

「何丼をご所望で?」

「漬けマグロ丼!大トロが美味しそうで美味しそうで…」

「はいはい、この調子だとお昼は食べ過ぎで動けなくなりそうね」

「それはそれでよし!食べ過ぎても後悔はしないのだ!」

「体重計に乗ってやべぇーってなってるらしいけど、そこに関しては?」

「む…胸が育っただけだから…体形は一切変わってないから!」

「育っているのに代わってないとはこれいかに、ま、一時的に増えてるだけだから気にする事もないけどね、はい、ティアの特盛海鮮丼刻みわさび混ぜ、それとタカミヤちゃんの大トロ漬け丼ね」

「わーい、今日はもう開き直って食べ尽くすぞー」

「私も今日は1日中食べ倒しましょうかね」

「じゃあ今のうちに追加の食材を取ってくるか、ついでにタカミヤちゃん用の胃薬も調合しないと」

「さすがに胃薬が必要になるほど一気に食べたりは…するかもしれませんね!」

「それじゃちょっとしばらく海の家を離れるから、その間に誰か来たら注文を取ってメモしておいてねー?」

「はーい」

桶の海鮮丼

基本的に桶自体の大きさは普通の丼とさほど変わらない、でもなぜかちょっと豪華で美味しそうに見える

テレビの場合は物撮り用で余分に盛ったり見た目が良いようにしているので実際に頼むとがっかりする事もなくはない

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