大体水のせい 落ちても大丈夫
「かー…らっ!普通に食べれるじゃん、って思った口の中が…」
「そらそうでしょ、唐辛子の辛さは少量でも食べれば食べるほど蓄積していくし、間を置かないと唐辛子その物を食べてるのと変わらないでしょ」
「いやー、でも美味しくて手が止まらないんだわ…汗も止まらないけど」
「マサラホット1つに対して普通のマサラ唐揚げを3つか4つ間に挟めば丁度良いくらいですよ、好みにもよると思いますが」
「好評な様で何より、単体で食べるのではなく、酸味が少なく卵の味濃いめのマヨネーズとか、もっと辛くしたいって場合はレッドチリにグリーンチリ、パリッと揚げた麺なんかと組み合わせてもいいのよ?」
「この麺ってほどほどに砕かれてますけど、こういう物なんですかね?」
「そういう物よ、でも食べやすくていいでしょ?」
「確かに食べやすくはありますね、皿うどんのように長い揚げ麺だと砕くか少し水分を吸わないと、ですし、味はほぼないですけど」
「中華麺ではなく、どちらかといえば塩を使わず乾燥もさせていない生そうめん、それを揚げてる様な物だからね、茹でる場合もプツプツ千切れるのも気にせずがっつり茹でる、食感だなんだと気にする人からしたらなんだこれってなるけど、これが使われている所では普通だからね。
で、基本的には無味だからこそこの麺を揚げたり茹でたりして、そこから焼きそばやパスタ、炒め物に加えたりと色々と使えるのよー?」
「今作ってる何かがそれにあたるんですか?」
「そうだね、塩マサラで味付けをした揚げた胸肉を適当にほぐして中華鍋で炒める、そこにレッドチリと酸味の少ない白マヨネーズを入れて、バッサバッサと各種調味料を加えて、ここに揚げ麺をバーッと大量に入れてジャッカジャッカと混ぜて、麺にソースが馴染んだらお皿に移して、パクチーは好き嫌いがあるから青ネギと針ネギで緑と白を足したら出来上がり。
ちなみに料理名なんて言う物はない、強いて言うなら胸肉と揚げ麺のチリソース焼きそば」
「赤ーい、解す前の唐揚げ?からしてもう色が赤い!絶対辛いやつ!」
「色自体はパプリカパウダーでチリパウダーではないから辛くはないよ、お試しに一つどうぞ」
「んー…あ、ほんとだ、どことなーくパプリカ風味」
「本場だとチリパウダー入りマサラで真っ赤に染まるけど、それだとねー、かなり辛いから慣れてないとまず食べれない、今作った焼きそばもチリソースは使ったけどほんのちょっとよ、麺がパリパリのうちにどうぞ」
「揚げ物がメインっぽいですけど、焼き物とかそういうのはあるんですかね?」
「なくはないけど、魚にしても肉にしても揚げ焼きが基本よ、骨ごと食べられるナマズっぽい魚もマサラとチリパウダーで作った調味料を纏わせて、こういう中心に向かって少し傾いてる円形の鉄板、これに油をひいてこの上で焼くのよ、ちなみにこれも料理名なんて物はない、向こうの屋台料理って基本的に名前はないんだよね、類似品でいえばマサラフィッシュフライ、なんだけど、こっちは焼きだから別物、そもそも使ってる魚が違う。
沿岸部だとカツオを使った物もあるんだけど、これもレッドチリパウダー入りのマサラ漬けで真っ赤に、それをしっかり揚焼きにしてカレーと一緒に食べる、そんな感じ、で、焼いた魚自体に料理名はないと」
「なんか適当ですねー」
「使ってる物が魚か鶏かの違いくらいで味付けは基本同じだし、外から流入してきた物以外はほぼ名前がない、ある意味おおらかな国ともいえる」
「色々と不便な気がしますけど大丈夫なんですかねぇ?」
「結構大丈夫よ、それ単体の正式名前はなくても何の何入りとか何の何焼きって感じでメニューがあるから、注文する時に困る事は無い、それに結構ノリの良い国民性だから、よく分かんない時はお任せにすればメニューにない料理人オリジナルの物を作ってくれるよ?値段もお任せになるけど高くても1人前300円くらいで済む」
「はぇー…そこまで安く済むのは羨ましいですねぇ、私の国なんて安いファミレスでも1食800円から、1人前とはしていても量は半人前とかでしたし」
「量でいえば2人前分とかはあるだろうね、その代り衛生なんて言葉はほぼないけど」
「あー…安全と引き換えですか…」
「食材が常温は基本よ、その日のうちに使い切りだから痛む事は無いけどね、後屋台料理でお腹を壊したって人もちょこちょこ出るけど、単純にレッドチリとグリーンチリにお腹が堪えられなかったが、飲んだ水が合わなかったかのどちらかで傷んだ物を食べたからではない、と言う事だね」
「国外へ行った時はミネラルウォーターを買って飲めって言うよねー」
「ミネラルウォーターでなくても良いからジュースとかを買って飲むのが基本だね、はい次の料理、マサラ唐揚げとパリパリ揚げ麺の和え物」
「本当に唐揚げと揚げ麺を混ぜただけというのが何とも…ネギが追加されていたり追加で味付けをされているのでただ混ぜただけとも言えませんが…」
「おかずなのか主食なのか、どっちなんでしょうね?」
「人によってはおかず、人によっては主食かな?焼きそばとかラーメンでご飯を食べるかそれだけで済ませるかって話と同じだし」
「でも普通に美味しいからどっちでもいいや、唐揚げを噛んだ時にカリっと、そしてじゅわーっと旨みと肉汁が溢れ出てきて、パリパリの揚げ麺が口の中でそれらと合わさって程よく…」
「ただ…カロリーが怖いですね、揚げ物中心ですし、毎日食べていたらお腹がポッコリと出てきそうです」
「今年の夏は南印フェアって感じでこういう物が多く追加されるから、その時は頑張って運動しようね」
「遊べる物も多いですし、遊び倒せば運動量は大丈夫なんでしょうけど、食べた直後のぽこっとでたお腹はさすがに…女性しか居ないとしても恥ずかしいものがありますね…」
「そこはもうセーブして食べるか気にせず堂々とするしかないというか…私にはどうしようもない問題だなぁ…」
ふーんむ、屋内プールの遊具は特に何の問題もなく、ローションスライダーやローションレスリング用の設備も故障もなく安全性も問題なし、ちょっと気分で追加した宙を泳げるプールも問題なし。
スライダーは狼三姉妹にテストをして貰ってるけど、勢いを思いっきりつけて射出されてもクッションが柔らかく受け止めて勢いを完全殺してから着水するので怪我をする事はまずない、水面に叩き付けられる事も無い。
レスリング用のどんどん傾いていく床も一定以上の力が掛かった場合はクッションになるので安心安全、なぜかシエルとマスター代理が投げ技を中心にテストと言う名のキャットファイトをしているけど、叩き付けても叩きつけられた側に衝撃はないのでこれも怪我をする心配はなし、狼三姉妹が本気で殴っても完全に吸収するので…頭から落ちても大丈夫と。
実際マスター代理がシエルにツームストンやパイルドライバーという、レスリングはレスリングでもプロレスの技をかけてるし、シエルもシエルでどこで覚えてきたのか、パワースラムにブレーンバスターとプロレス技で返してるし…
安全面を試すテストとは言え、王族相手にツームストンとパイルドライバーはさすがにどうなんだろうねぇ…叩きつけた所で頭にふんわり手を置いたくらいの衝撃しかないけど、見る人が見たらびっくりするどころじゃ済まないだろうなぁ…
ま、投げ技はテスト中の今だけだし、安全面はバッチリで怪我をする事は無いからあまり気にする事はないか、なんでプロレスを始めたかは知らないけど…
でー、思い付きで追加した水場を宙に設置したプールの安全テストは…うん、こっちも問題なさそうかな?広さが150メーター平方の深さが4メーターの、宙に浮いてる水場は140平方の深さが同じ、昇っていく水流の強さも問題なし、下りも緩やか、高さが30メーターほどあるけど、落ちても叩きつけられる事はなく、着水直前にクッションとなる力場が発生して衝撃もほぼなく着水するのでこちらの安全面もばっちり。
空中にある水場から落ちた時の速度は通常通りだけど、水に叩き付けられさえしなければ怪我をしないので、そこはもう一種のスリルを味わうアトラクションとして楽しんで貰うとしましょ、カナヅチの場合水流に乗れば上がれてはしてもすぐ下に落ちてくるので、楽しむ楽しまない以前の問題だけど…そこは浮き輪を流しておけばいいや、常に流れはあるし、上に行った浮き輪もそのうち下に流れる水流に乗って帰ってくるし、浮き輪がなくて上に行けない、っていうカナヅチの娘も大丈夫でしょう、多分。
アウラを筆頭とした人魚族のメイド達が水流を無視して登ったりもしてるけど…んーむ…チャレンジ用の激流でも作った方がいいかねぇ?周りに流れが影響しないようにその場所だけ、にする必要があるけど、それくらいなら大して手間はかからないし、アウラ達が一通り泳いでテストが終わって帰ってきたら聞いてみるか。
「店長ー」
「はーい、何か御用ー?」
「バレーボールが無いんですけどどこに置いてますー?」
「あー、バレーボールは今水流を確かめるのに全部流してるからこっちのプールにあるよー」
「水流をー…って…またとんでもないプールですねこれ…空中に透明度の高い枠でも置いてるんですが?」
「いや?単純に水その物を浮かして水場を作ってる、見て分かる通り端の方は下に水が流れてて、ちょっと見え辛いけど内側に何か所か上に昇るための水が流れてる。
まあ、簡単に言えばポンプとかそういう設備を一切使わず、ちょっとしたそういう力場?みたいなのを使って噴水の様に水を上に送ってって感じ、だから貫通して落ちてきた時も叩きつけられる事はなく、そのままぽちゃんって軽く水の中に落ちる感じ、大体100メーターくらいから飛び込んでもプールサイドからちょっと飛び込んだくらいにしかならない」
「かなり広いですし、浮き輪に乗って流されるだけでも楽しいでしょうねぇ、落ちる時が垂直なので少々怖いですが」
「こっちからは見えないけど奥側は角度がついてるよ、80度くらいだけど、ゆーっくり流されていくから、ワザとに跳ねたりしなければ落ちるって事もないね、それを確かめるためのバレーボール」
「あー、なるほど」
「ちょっと移動しまして、あんな感じで見て分かる通り、高さの割には流れの緩い川程度の速度でしか水が落ちて行ってないのね、水の厚さも1メーター半あるから無理に突っ込まないと早々貫通はしない。
角度がかなり急だからちょっとスリルはあるけど、落ちる速度自体はそうでもないっていうね、落ちても大した事ないけど、はい、流してたから濡れてるけどご所望のバレーボール、水を吸ったりはしてないから拭けばすぐ乾くよ」
「ありがとうございます、でもバレーで遊ぶより皆を呼んでこっちで遊ぶ方が楽しそうな気がします、プールバレーとか水球もありますし」
「プールバレー用のネットは作らないとないけどね、それに上下ともに水深は4メーターで足がつかないから、休憩用の大きい浮き輪とかも浮かべておかないとかなり疲れるよ?後上も流れがあるから常に流され続ける」
「そこはもう下に流されたらその時はその時でまた上がるだけですね、それと…ネットは作ってくださいますよね?」
「まあ、いいんだけどね、要望が有るものは出来るだけ追加する方針だし、遊べる物は多い方が良いからね。
それじゃプールバレー用のネットを作っておくから、その間に呼んでくるといいよ」
「はい、お願いしますね」
「おわああぁぁぁー…」
「落ちていったね、本当に床がなくて浮いてるのね」
「水面が下側にもあるというのは不思議な感覚だねー、下から頭を出していても浮力は上に働いているから上に引っ張られるし、あ、着水した、でも飛沫はそれほど上がってないね」
「店長が言うには怪我なんかをしない様にクッションみたいな力が働く様にしているそうですよ?なのでどんな高さから落ちてもプールサイドからちょっと飛び込んだくらいにしかならないとか」
「なるほどー、まあ、下に落ちたタカミヤが戻ってくるまでは上に浮かべてる浮き輪に乗ってごろごろしよーっと、審判がいないとバレーが出来ないって事はないけど」
「そうだねー、浮力で上に引っ張られるとはいえ油断すると私も落ちあっ…」
「…上側に戻りましょうか」
「そうしましょう」
「こうならないために4メーターというかなり深めの状態にしてあるのね…」
宙に浮いてるプール
水場その物を宙に浮かせて昇りと下りの水流で行き来出来るようにしてあり、かつ浮力は上に向かって働いている
浮力は上に向かって働いている、が、潜れば下から頭を出すことも可能、肺の空気をほぼ全て吐き出せばどんどん沈むので…調整を失敗した2人は落ちていった…




