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そこまで拘る方が稀 使える物は再利用

 えーと、まずは用意した豚の塊肉を滅多刺しにして穴だらけに、次に塩をちょっと多めに擦り込んだらさらに紹興酒をかけてグニグニと揉んで、しばらく置いて馴染ませたら蒸篭で中まで蒸しつつ八角で少々香りづけ。

 蒸し終わった物を醤油にネギと生姜、煮干しに鰹節にと入れたタレに漬けて中に染み込むまで放置…した物がこちら、タレの中から肉やネギやら生姜やらを取り出したらタレに水飴を加えて火にかけて、取り出した肉は遠火でじっくり温めつつ焼いて、さらに水飴を溶かしたタレを塗って照りを出して…

 これでチャーシューは完成、タレはもうちょっと煮詰めて味を濃くしつつ、温泉卵も大量に作ってネギを刻んだら…


「もう封を切って出すだけのレトルトチャーシューも悪くはないですが、美味しさを求めるならやっぱり手作りですよねぇ…」

「レトルトの物を食べた事が無いのでわかりませんが、ご主人様が昨日から仕込んでいた物と比べるとそこまで違うんですか?」

「全然違いますね、こっちは脂はとろりと、身はホロホロと崩れますが、レトルトは身がゴムっぽい、脂もどことなく硬いんですよね、そういう加工をしていると言うのも有りますが…まあ用途も違いますね、あっちはラーメン用であって丼用ではない、対してこっちは丼用に作られたチャーシューであってラーメン用ではない、と言う事ですかね?」

「なるほど…でも以前食べた物とそう変わりない様に感じますが…」

「ちょっと前に作ったラーメンに乗っていた物は縛って丸く形が崩れない様にして、他にも所々作り方が違ったりで柔らかいんだけど崩れにくくはなってる、このチャーシューはラーメンのスープみたいに暖かいスープに浸すと水分を吸って簡単に崩れちゃう、ラーメン用はそう言う事が無く崩れにくい風に作ってるのよー?」

「見た目が同じで食べた感じも同じなんですけど、そういう違いがあるんですねぇ…」

「そこまで拘って作る人の方が稀ですけどね」

「俺は美味ければ何でもいいや、大盛りでおかわり、温泉卵も2つで」

「食べる側はそんな物だよね、はい大盛り」

「私も美味しければあまり気にはしないな、世界中飛び回ったり国内でもその辺中走り回ってたらぱっと買ってぱっと食べるってのが基本になるしな」

「同じ様に世界中を飛び回っていても職業が変わるとそうなるんだねぇ、私なんて体系を保つために完全に管理された状態での食事だったし、こういう物を食べる、なんてのは少し前まで無理だったからねぇ、いまだに何を食べても感動してしまうよ」

「トップモデルは修行僧か何かか…?」

「似た様な物だろうね、1日の摂取カロリーはここまで、かつ食べていいのはこれだけ、と食べるものの指定まで入っていたからねぇ、運動量、つまり1日に歩いていい距離も決められていたし、我ながら中々に凄い生活をしていたよ、それが普通になっていたから気にはならなかったけどね。

んー…小盛りでおかわり、温玉無しでネギちょっと多めで」

「はいはい」


 んー、チャーシュー丼のタレが余ってるけどどうしようかなぁ…それなり…というほどではないけどぼちぼち余ってて、でも夕食に使うほどでも無し、味付け的に何にでも合うといえば合うけど、手堅いのは唐揚げ…かなぁ?

 でも今から作ってというのもちょっとアレなので…ガレージにある便利な自動販売機の使いどころよね、タレの量から考えて…4キロはいけるか、ちょっと薄くなってもいいなら5キロ、でも上からさらにかける物があるから多少薄くても大丈夫なので5キロほど、使う唐揚げは塩と胡椒と片栗粉のみで作ったシンプルなものにしまして、台所に持ち帰ったら大きいボウルに入れて余ってるタレを上からかけてボウルを振って全体に絡まるまでよく混ぜる。

 混ぜ終わったら少しおいて衣にタレを染み込ませて、その間に玉ねぎをみじん切りにして、卵を溶かずに5つほどフライパンに、白身が固まり始めたら玉ねぎを加えて黄身も混ぜて崩して軽く炒める、黄身に火が入ったら火を止めてマヨネーズを適当に、香り付けにタイムを少々加えてよく混ぜれば…なんちゃって手抜きタルタルの出来上がり。

 生の玉ねぎと違って火を入れたからこそ出てくる甘みや旨みががいいんだよね、火を入れすぎるとしゃきしゃきとした触感もなくなるので炒めすぎ注意だけど。

 そしてこの出来たなんちゃってタルタルをタレと絡めた唐揚げの上にドバーっと全部かけたら…鶏の唐揚げの甘辛タルタルソース掛けというカロリー爆弾の出来上がり、でもこれが美味しいのよね、ザクザクとした厚めの衣にタレが少し染み込んで、さらに玉ねぎの甘みと旨みが出ているタルタルソースもよく絡んで…

 タレ自体もネギやら生姜やらで旨みや香りも足されているし、どうやっても不味くはならないよね、余程極端な事をしない限りは。

 見栄え的にはお皿に移した方が良いと言えば良いんだけど、すぐになくなるだろうし、ボウルのまま置いておけばいいや、おやつが出来たよーと各所に連絡を入れて…これでもう10分もしない間に無くなる、はず。

 もし余ったらその時はその時、ガレージのちょこちょこっとした改造をしつつ摘まめばいいや。


「今度はガレージの何を弄ってるんです?ちょっと前に自動洗浄を追加してたみたいですけど」

「あまり大規模ではないけどあったらまあ便利かな?って物」

「今でも結構充実してますからねぇ…サンプル展示室と化したフロアも自動で清掃してくれますし」

「今追加しようとしてるのはダメになったサビキや胴付きを自動で針と糸に分解処理してくれるゴミ箱、まあ纏めて捨てても大丈夫といえば大丈夫なんだけど、針はまだ使えたりするからね」

「あー、そうですねぇ、ダメになったとは言っても絡まってどうにもならないってだけで針は無事ですし、ばらせば再利用できますからねぇ」

「手で糸を切ってばらしてってのも時間がかかるし、その辺を自動化しようかとね?やろうと思えば新品の物に再生成する事も出来なくはないけど、それだとお金を使わなくなっちゃうしねぇ」

「ソフトルアーを溶かして再利用、ハードルアーを再塗装して…ってのとはまた別ですしね」

「消耗品は次から次へと使ってこそ、使い捨てではなくある程度は使いまわすけども」

「錆びたり絡んでダメになるまでは使えますしね、蛍光玉なんかは糸と一緒に処分?」

「蛍光玉は再利用、浮き止めなんかにも使えるし、捨てるのは絡んで解けない糸と錆びた針だけかな?よし、これで多分完成、適当に結びコブが付いている針を放り込んで、取り出し口を開けると…うん、結びコブが取れた針だけが出てくるね」

「じゃあこっちの絡んでどうしようもないゴミ箱送りになってるサビキや胴付きは…針とサルカンなんかの再利用が出来る物だけになって出てきますね」

「ハリス付きにしてもいいけど、ハリス用の糸も大量にあるからねぇ…そこまで徹底する必要はないよね」

「ですね、ハリスだけで何本ストックがある事か…」

「50メーターのハリス用だけでも0.01から3号までが50本ずつはあるからねぇ、0.01はタナゴとかワカサギ位にしか使わないけど」

「使う時は使うんですけど、使わない時は全くですしね、5号からのリーダーは海で大量に使いますけど、あっちはボロボロになって結びかえるからですし、淡水の延べ竿だとそういう事はないですからねぇ」

「華ちゃんとシエルがタナゴやらフナやらでちょこちょこ使う位だからね、それでも一回結んだら針が錆びたりダメになるまでは使えるし、針の結び目から切ればまだまだ使えるしで減らないんだけど」

「フカセだと場所と釣れる物が釣れる物なので基本的には3号から、1号2号は極稀にという程度、メイン用の糸はまた別にあるので…減らないですよね」

「フカセもねー、アイナ達はそれほどでルアーが多いし、ジュリアさんもルアーが基本で餌が少々、リオは何でもやるけど今はまだライトタックルでチニングだったり投げて巻くだけのライトジギングだったり、透さんと春香さんはよくわかんない、葵さんは気が向いたら程度で釣りをしない事の方が多い、ロザリアも同じく」

「その割りには人数分ののべ竿や上物が届いてるんですよね、無いよりは有る方が良いんですけど」

「皆で並んでやるなら長い上物より短いライトタックル、長くても2メーターちょいのショアロッド、3メーター有る物は人数とどこで使うか次第」

「3人4人程度なら長さはそれほど気になりませんけど、皆でワーッて行くと結構な人数になりますからねぇ。

取りあえずサビキの返しを潰して、糸を結んだら蛍光玉、さらに毛針用の羽をちょこちょこっとつけて…」

「オイカワ用?」

「そんな感じですね、たまにはのべ竿でオイカワとかアブラハヤ、モツゴやモロコを狙うのも良いかなーって思いまして、特に今の時期のオイカワは婚姻色が出てますし、小物釣りでも見栄えは結構いい方になりますしね」

「オイカワを釣るなら店長さんの実家寄りの川…かな?本流の方はちょっと広すぎるし、外道もちょっとねぇ…」

「ですねぇ、ヘラはまだ何とかなりますけど、ダントウボウとかコイとかアメナマとか食ってきたらどうにもなりませんからねぇ…場所を選ぶ必要があるのは確かですね」

「今すぐ行くってわけでもないだろうけど、行くならそれなりに作ってはおかないとね」

「ぼちぼち前倒しで色々と忙しくなってきていますし、土日という世間一般の休日は私達には適応されませんし、行けないまま終わる可能性もなくはないですね」

「本職を投げ捨てるわけにはいかないもんね」

「弟が継ぐ事はまず無いとして、甥が継ぐのか、それともまだ見ぬこれから生まれてくるかもしれない姪か2人目の甥のどちらか…ですかねぇ?お爺ちゃんみたいに後数十年は…って事も無くはないかもですけど。

お爺ちゃんに合わせるなら孫位の代、甥が結婚して生まれた子供が中学に上がった位でちょっと会社経営してみようか、って感じですかねぇ?とっととぶん投げてしまうなら甥に押し付けりゃいいんですけど」

「その時に甥は叔母を恨むのか、それとも恨む暇もない位に仕事で忙殺されるのか」

「間違いなく後者でしょうね、それでいてかつきっちりと大学卒業まで単位を落とさず学業も頑張らないといけませんからね、恨むとかそういう事を考える暇なんてありませんよ、遊ぶ暇もほぼなくなるので友達は間違いなく減りますし、その件で恨まれる可能性はありますが…

ちゃんとやってれば給料として月に100から200は出しますし、買いたい物は大体何でも買えるようになるので気にしないかもしれませんね」

「買えるだけで遊べないのはちょっとねぇ…それでもついて来てくれるのは真の友達か、それともお金の臭いを嗅ぎ付けたろくでもない奴か…」

「透と春香みたいなお金なんて関係なくついてくる人は早々居ないでしょうねぇ、というよりあの二人は元々お嬢なのでお金は別に、というタイプですが」

「そういうのを見極めるのも大事ではあるけど、はたして中学生にそれが出来るかどうか…あ…」

「どうしました?」

「糸を結ぼうとして勢い余って針先が指に刺さって針先が折れた…」

「普通なら刺さっても針は折れないんですけどね、どれだけ固い皮膚をしてるんですか…」

「こんなプニプニの指と皮膚」

「さらに荒れもなくすべすべ、全国の女性が見たら間違いなくふざけんな!って言いますね、あれだけがっつり魚を掴んだりなんだとやっててこれですし」

「それを言ったらここに居る皆当てはまっちゃう」

「少なくとも昔はスキンケアだのなんだのとちゃんとやってましたからね、それでもガサガサになる時はなってましたけど、その時の視点からいうと…怨嗟の声も上がりますよね」

「んー…まあ、怨嗟の声を上げてる人はもっと頑張ってということで、取りあえずこれだけ有ればオイカワ釣りなんかには十分かな?」

「そうですね、飲まれたりしない限りは大丈夫、多少飲まれても外せるので10本もあれば十分ですね」

「それじゃあ残りの針はリサイクル用の箱の中に纏めておいて、次回撮影用の道具のところに置いておきましょうかね」

「問題はいついけるようになるかが謎、こればかりはどれだけ前倒し出来て少しの間余裕が出来るかによりますからねぇ…前倒しするにも上だけでどうにかなる物ではなく、下もちゃんと機能していないとダメですし」

「上だけで計画書を作ってもその通りに動くとは限らないし、色々擦り合わせとかもしないとダメよね」

「昔からそういう事を続けているのでもう慣れっこですし、大体どうとでもなると言えばなるんですけど、たまにそれをぶち壊すようなポカをやらかす人が出てくるのが何とも…ほんとたまーに株の値段を間違えて出す人が出てくるんですよね…そのために2重3重のチェック体制にしてはいるんですが…時間がかかって面倒だからと1人でポチーってしちゃう人がですねぇ…それで昔会社が一つ飛びかけましたし…」

「色々大変ね」

「大変なんですよー?そう言う事が起こらない様に前倒ししつつも色々と対策を、ですからね」

「さて、やる事はやったし、休憩所で冷めないように保温しておいた唐揚げでも食べましょ」

「甘辛のタルタルソース付き?」

「そう、おやつあるよーって伝えてたやつ」

「あー…その唐揚げなら三姉妹が食べつくしていきましたよ、なので1つも残っていません、休憩所にあったのも持っていかれました」

「あらま…まあいいか、なんとなくおやつは唐揚げの気分だし、自販機で新しいのを買えばいいや、タレとタルタルはないけど」

「そうですね、私は塩唐揚げでお願いします」

「はいはい、それじゃあお茶の用意をよろしくー」

唐揚げの甘辛タルタルソースかけ

カロリー爆弾、それ以上それ以下でもない

下味は塩のみ、追加しても呼称だけ、衣は片栗粉のみで真っ白になるまでかつ厚めでザクザクに、とろみをつけた砂糖と醤油ベースのタレを全体に絡め、仕上げにタルタルソースをお好みで、チキン南蛮とはちょっと違う

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