いつかは役に立つ研究 広すぎて回り切れてない
「なんと言うか…これ脳がバグりますね…無色透明の見た目はただの水、なのに味と香りは柑橘系のそれだったり、これまた透明で色はついてないのにとろっとした感じと香りは濃いバナナミルクだったり…」
「水と思って飲んだら間違いなく吐き出すぞこれ…せめて色を付けろ色を…」
「依然飲んだ時は柑橘が主だったんだけど、牛乳も分解して、そこから精製して、無色透明にする事に成功したらしい、なのでこの粉末を精製水に溶かせば人工物100%の牛乳水の出来上がり、そこにバナナから精製した香料ととろみ粉と甘味料を混ぜれば無色透明の人工バナナミルク。
無色透明の水にしか見えないけど、成分は牛乳とバナナをミキサーにかけて作った物と全く同じ、そして味や香り、とろみなんかも全て同じ、違うのは色だけ、牛乳成分を濃くしたい場合はこっちの粉末、バナナを濃くしたい場合はこっちの粉末をお好みで」
「最近の農大はわけのわからない物を作ってますねぇ…凄い事ではあるんですけど…」
「だからってなんで色を抜くんだよ…おかげで違和感がえげつねぇわ…」
「この粉末を使えばブラックコーヒーに見せかけたコーヒー牛乳も作れるよ?」
「そんなもん誰が得をするんだよ…」
「ブラックが飲めないけど飲めるって見せかけたい見栄っ張りな人?まあ、そういうのは少数だとして、実際はこれアレルギー対策なのよ、何がアレルギーになるかは人それぞれだし、この果物がアレルギーですって言っても構成している物全てがアレルギーってわけではないでしょ?
なので構成している物を全てバラバラにして抽出して生成、アレルギーとなっている物質のみを取り除いて精製すれば安全に摂取できますよっていう研究、色素を構成しているものがアレルギーだったりする可能性もあるから、それも全部抜いて無色透明にって感じよ」
「なるほどなぁ…だからバナナ一つとっても粉末の種類が馬鹿みたいにあるわけか」
「この精製水も水アレルギーの人がアレルギー反応を起こさない水だったりもするのよ?」
「水アレルギーは30少々しか症例がありませんが、よく反応しない物を精製できましたね?実験に付き合ってくれる人も皆無に等しいでしょうに」
「まだ製品化はされてないけどね、モルモットやマウス実験まで、だし、それから得られたデータではおそらくアレルギーに反応する事はないであろう、ってやつだね」
「で、なんでそんな物が送られてきたんだ?」
「農大に通ってる娘達とやり取りしてて、研究棟で新しい飲み物が精製されたから今度は何ー?って聞いたらこれが届いた、あそこの生協って研究棟で精製された物とか試験農場でとれた青果とか売ってるからねぇ、それを買って送ってきたのかと」
「安全かどうかもわからんものを売ってるのかよ」
「取り扱ってるのは一応安全なものだけよ、乳酸飲料とかヨーグルトとかも置いてるし、試験農場の青果も人体には影響のない程度の農薬だったり、掛け合わせた新品種だったりするだけだし、ちょっと利用する人を人体実験に使ってるような物だったりするだけよ」
「人体実験は十分にやべぇだろ…うん、着色したら普通に飲めるようになった、色って大事だな」
「健康被害は一件も報告されてないから大丈夫よ、石鹸とかシャンプーとかも実験品が普通に売られてるしね、農大に通うって事はそう言う事よ」
「その農大が極めて特殊な環境なだけな気がしないでもないですけど、そういう実験も必要なのは確かですしねぇ、注意書きもなく販売はしていないでしょうし」
「注意書きはあるね、実験品試験品新品種って感じで棚も分けられてるし、普通のメーカー製造品とかも有るには有る、実験品なんかよりは高いからあまり売れてないんだけど」
「安定した物より値段の安さを優先するのは貧乏学生にはよくある事ですからねぇ、通っているうちに感覚が狂っていって実験品でも躊躇わず使う様になる方が多いんでしょうけど」
「この粉末は試験品とはいえ結構な手間がかかってるからそれなりにするみたいだけどね、バナナミルクセット1つ30杯分で5000円、ミカンジュース30杯分で4000円とそれなりにする」
「アレルギー反応がでない精製水にアレルギーの元となる物質を取り除いてジュースが作れるなら安い…んですかねぇ…?まずどの物質がアレルギーになっているかを特定しないとダメですが」
「こっちのまだ開けてない箱はなんだ?かなり重いんだが」
「あー…なんだろうね?雑品としか書かれてないから開けてみるまでは何とも?」
「開けてみればわかる事ですね、刃物厳禁とはあるので側面だけを切ったら後は手でピーッと裂いて…あー…なるほど?」
「中身はなんだったの?」
「良く言えば小冊子、そのままで言えば薄い本、品名を言うなら同人誌の詰め合わせですね、全部同じサークルの物のようですが…大体100冊近くありますね…女性向け男性向けと大体半々位で」
「これが同人誌ってやつなのか、結構綺麗に描けてるな」
「即売会などのお祭りまでという期日はありますけど、趣味でやっている分時間をかけれると言うのもありますからねぇ、週刊隔週月刊といった雑誌と違い、こちらは長ければ半年から1年位の時間をかけれますし、参加せずともオンラインでの販売が可能ではありますので、本職より時間をかけれる分丁寧に描かれたりはしますね。
綺麗さ丁寧さで言えば本職よりは上、でも本職はこういう細かいあまり目の届かないところ、トーンでもベタでも白でも良い様な所はベタか白の二択ですね、丁寧に描き込んでも時間が足りないので削れるところは削る、でも一定以上のクオリティは保つのが本職、なので本職とは比べるまでもなし、ですかね?」
「普通なら本職の方が丁寧になりそうな物だが、時間制限があるなら妥協は必要だよな」
「こういう細かい描き込みは同人誌ならではとも言えますね、綺麗だからと言って売れるかどうかといえばまた別問題だったりもしますが」
「一応1人あたり1000万ちょいの貯金が出来る位には売れてるらしいよ?電子書籍にして販売したりもしてるみたいだし」
「流行を抑えて二次創作をしている…というわけではなく、純粋にオリジナルで作って固定ファンがついているのと、読みやすくとっつきやすいから購入している人が多い感じですかね?
でー、こちらの箱は割れ物注意で…フィギュアですね、表紙に描かれているキャラ達の、人気がないとこうなったりはしないのでかなり売れっ子みたいですね」
「そう言う物なのか?」
「そう言う物ですね」
「本は図書室、フィギュアは後でゲームセンターのショーケースにでも並べておこうか」
「しかし、やたらと肌色が多いのは気のせいではないよな?」
「女性向けだろうが男性向けだろうが18禁指定のキャラフィギュアなんてそんな物ですよ、肌色が多いだけでド直球じゃない分まだとっつきやすいですけどね」
「なるほどねー、これも作り込みがすげぇな、うちの国だと間違いなく違法な物にあたるぞ」
「別に見えてるわけではないんですけどね、締め付けの厳しい国だとアウトですよね」
「ま、だからと言って持っていても捕まるわけじゃないけどな、何かをやった時ついでに押収されて罪の一つに追加されるくらいだ」
「取りあえず粉末は台所に置いておくから、飲みたくなった時はご自由にどうぞ」
「自主って気に飲みたくなるって事はまずないだろうな」
「ちょっと変わった飲み物として動画のネタにするくらいですかねぇ…?動画に出して良い物かどうかは謎ですが」
「多分ダメじゃないかな?まだ実験段階の物だし、農大内で安全は確認されていても国の認可があるわけではないし、一応は出さない方が良いんじゃない?農大の生協で買えるみたいだけど」
「まあ、そうですねぇ…見た目だけ真似をして変な物を作る人も出てきそうですしねぇ」
「アレルギーの人でも安心して摂取できますよー、っていうのを目標にやってるみたいだし、見た目だけ真似した透明の物を出されるとね」
「ですよねー、さて、そろそろ片づけて仕事に戻りますか」
「私も海の方に行ってちょっと懐かしい釣りでもやってくるか」
「それは興味がありますねー…でも仕事でついていけない悲しみ、というわけで仕事に戻りまーす」
「なんて事はない、ただ重りと浮きが一緒になった投げ浮きの下にリーダーと、針大き目太目の軽いジグヘッドにワームをつけて投げるだけだぞ?
タカムラが言うにはこっちだと流行らないし釣れても青物位だろうって、似た様なのは祭典で出てたみたいだが、ここのガレージなら一応あるんじゃないか?とも言ってたし、まずはそれを探してからだな」
「重りと浮きが一緒のやつ…あー…ポップフロートですね、バカンスで国外に行った時に買い溜めしたやつ、大量にありますよ?赤色でも黄色でも緑でもピンクでも、浮き釣り用品を展示してるところに並んでるはずですし、それを作ってるメーカー名で検索しても出てきますよ?」
「メーカー名は知らねぇ、袋から出してばら売りされてるからメーカー名なんてどこにも書いてねぇし」
「あー…ばら売りを買えばそうなりますよね…私達の場合は全色箱買いしたのでメーカー名は書いてあったんですが…タブレットで検索をする場合はキャストキッドで検索をすれば出てきますよ」
「ふむ、それじゃぱぱっと引っ張り出してやってくる」
「はーい、行ってらっしゃーい」
「うん、ちゃんと釣れるな、なんでこっちの国だとこの釣りをやらねぇんだろうなぁ?マイクロロケットっていうこれと似たようなのが作られたみたいではあるけど」
「ソフトルアーを浮き釣りで使うっていう発想がないから、あったとしてもこういう投げれて水飛沫を上げれる浮きがないから、だろうね、だからマイクロロケットがショアジギ用の新しい道具だーって言ってこの国では発表できてかつ結構高い値段で売りに出す事が出来てるわけだし」
「新しいって事はないんだけどなぁ、うちの国だと割とメジャーな釣り方だし、普通の餌釣りに使ったりもするけど」
「マイクロロケットも一応利点はあるんだけどね、素早く巻き取る必要はあるけどただ巻でいい、羽がついていて投げるのに適した形をしているので飛距離が出やすい、さらにその羽が水をまきあげるので小魚が逃げているような飛沫をあげれる、って所かな?簡単に言えばマイクロベイトをぶん投げる事が出来てただ巻くだけでいい楽な釣りが出来る、というのが売り、こっちは投げれるけどただ巻くだけじゃなくて自分で動かして飛沫を上げる必要があり。
問題はマイクロロケット1つでこの浮きが10個は買えるって事かなぁ?」
「値段は大事だよな…っと、もう一匹、今度は何かなー?」
「カンパチかブリか、そのどちらかかな?小さいヒラマサという可能性もなくはないけど」
「レッドフィッシュやボーンフィッシュも居なくはないんだろ?」
「居なくはないけど、エリアが違うかな?ボーンフィッシュを釣るなら船であの山の向こう側まで移動すればマングローブエリアがあるから、そこで浅瀬に降りてサイトでもちょっと深い所でも、レッドフィッシュのその辺りにいるかな?」
「そっちのエリアはまだ行ってないなぁ…というより広すぎる、堤防だけでも4つも5つもあるし、沖堤防も同じだけあるし磯も多いし、川も川でクロダイとスズキがメインの海の家裏と、シープスヘッドやらスヌークやらがいる別の川もあるし、ここから見えてる沖堤防よりさらに奥に行くとサイズもおかしくなってくるし…」
「メイド達が小さいのじゃ満足出来ないっていうから…ね?小さいのが嫌いっていうわけでもないけど、たまにはパワーファイトもしたいって事で」
「そのパワーファイトにしても色々制限を入れてるんだろ?それで釣り上げるんだから異常だよな」
「まあ、制限を入れないと小魚を釣る感覚で釣り上げちゃうしねぇ、それにがっつり刺さってる反しの付いているネムリ針であろうとロッドワーク1つで簡単に外せる技術も持ってるし、その気になれば魚の泳いでいく方向すら自由にコントロールできちゃうね」
「走られないよう潜られないようにコントロールをしろとは言うが、魚の泳いでいく方向自体を自由にコントロール出来るようになってるやつは普通いねぇよなぁ…実際やってるのは引っ張って強引に向きを変えようとしてるだけだし」
「メイド達の場合魚が自分の方に向かって一直線に泳いで来る、っていうコントロールも出来ちゃうからね、力で釣るか技術で釣るかの違いだから有りか無しかで言えば有りだけど」
「実際にその釣りを見せられたら何人のプロの心が折れるんだろうなぁ…」
「漁師も心が折れちゃうかもしれないね、特にマグロ、餌を確保するところから始めて大きいのが食うかどうかは運任せ、かかったら機械で一気に巻き上げ…だけど、狙って400キロ500キロクラスのマグロを釣る事が出来るし、使う針にしても糸にしてもタナゴ用とか0.01号の糸でそれが出来ちゃうし、ちょっと失敗したらすぐ糸が切れちゃうけど」
「何をどう極めたらそう言う事が出来るのか…」
「糸を通じて微妙な力を伝えて、そっちの方向に泳いでいくのは不快だなって思わせて方向を変えるって感じかな?極めると自分の好きな方向に自由に泳がせる事が出来る、けど、大体1000から2000年ほど集中して練習してようやく入口かな?細い糸を使ってどんな魚でもってなるともっと」
「私は普通にパワーファイトと少しの技術でいいわ、先が見えなさすぎる…」
「長く続けていればそのうちよ、ところでボーンフィッシュのいる場所に行ってみる?」
「そうだなぁ、場所だけでも確認しておきたいし行ってみるか」
「それじゃ移動するから道具を固定したら座ってねー」
「はいよー」
人工物100%ジュース
元はただの水道水だったりただの果物だったりする、が…科学の力で抽出したりばらばらにしたりして作っているので…
一応アレルギーの元となる物だけを抜いたその物が作れるので将来的には役に立つ、と思われる




