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駆除が大変なやつ 頼れるのはマンパワー

 んー、大量大量、ざっと500キロ位は獲った気がするけど、最低でもまだこの倍からは獲らないとダメってのを考えると…駆除は大変だよねぇ…これだけ大量発生するという事はそれだけ海藻が豊富であり、さらには環境が良いと言う事では有るんだけど、こいつの場合はちょっと危ないからなぁ…

 よし、また潜ってどんどん駆除していくか、目標としては今日中に1000キロ、出来れば1500キロからは獲って少しでも中に入ってくる数を減らさないとねぇ、こいつらは海藻が有れば有るだけ全部食っちゃうし、こいつらも生きてるだけだから別に悪いって事は無いんだけど…それは普通の状態に限る、なのでどんどん獲って駆除しちゃいましょ。


「おつかれーい、海の中はどうだった?」

「ガンガゼやらムラサキウニが通って来たと思わしき所は焼け野原だね」

「だよねー、ここよりちょい南の方で大量発生して、駆除してるから流れて行く事は無いよーとは聞いてたんだけど…包囲網を抜けてきたのか、それとも危ないからって手を抜いて放置したやつがいるのか…」

「多分後者じゃないかなぁ?抜けたって程度なら少量で数もそれほどだろうけど、トン単位で水揚げされてるし、取れない岩の隙間にいるやつも砕いて潰して…だから、そもそも駆除してないと思われる」

「一応発生した地域より外を覆う様に網を張って駆除をしてたはずなんだけど…北上してこっちに来たという事は…少なくとも北側を担当した漁師やダイバーが補助金だけをがめて何もしてない可能性があるなぁ…焼け野原に張っている所辿っていけば担当した漁師とダイバーが割り出せるだろうけど…あまり意味はないね」

「がめた補助金を返せ、位にしかならないよね、それよりこっちに国からの補助金は回ってこないの?塞き止めるための網もタダじゃないし、ダイバーを雇うのもお金がかかるし」

「一応漁協が交渉はしてるんだけどね、ガンガゼとムラサキウニが大量に北上してきて磯焼けしてる、これが予想進路と予想される被害と予想されるガンガゼとムラサキウニの量、それと現在駆除で水揚げした総量を叩き付けながらね」

「私とメイド達が担当した周辺だけでも2トンは揚がったし、岩の隙間にいたのを足せば3トンも超えるし、割とシャレにならない位発生してるね、それだけ海藻が豊富で食べ放題増え放題だったんだろうけど」

「この辺りはねー…結構お金を出して環境整備とかやってたからねぇ…だからこそ大量発生されるとさらに爆発的に増えれば被害も大きくて辛い…」

「普段は増え過ぎない様に食用やら餌用やらでどっちも獲ってるもんね」

「なんかやたらとガンガゼとムラサキが増えてる、ってのは聞いてたんだけどねぇ、わずか数日でこのざまよ、明らかにこの周辺で自然発生した物、ではなく、南の方から進行してきてるから確実に駆除をさぼったやつの付けがこっちに来てるんだよなぁ…」

「ガンガゼとムラサキウニが推定1500トン大進行、通ってきたルートはもう岩と砂しか残ってないだろうね、唯一の救いはしっかり食い溜めしてて身がしっかり詰まってて美味しいと言う事、ガンガゼも水の綺麗な所で育ってるから臭いも無いし、手間はかかるけど食用として売りに出せるって事だね」

「というよりはそうでもしないと磯焼けした所を戻すのに掛かるお金がねー…少しでもお金に換えて元を取らないと…しかし推定1500トンか…北上しながらあほみたい食ってに増えたんだろうなぁ…」

「ここより南はしばらく不漁になるだろうねぇ、海藻に居つく魚って多いし、メバルなんかは水揚げ量激減確定だろうね」

「向こうの被害は知らん、駆除するための補助金を貰って何もしなかったのが悪い、こっちも少なからず被害は出てるけど…全域ではなくまだ一部、これ以上こっちに入ってこれない様に網を何重にも張ってるし、それによる魚の被害もまあ多少は出るだろうけど、一面焼け野原になることとどっちをとるかといえば…ね」

「海藻が残っていれば魚はまた戻ってくる、海藻が食い尽くされて焼け野原になってしまえば今残ってる魚も産卵場所がなくなったり隠れ場所がなくなって…だから後者の砲が辛いもんねぇ」

「ま、何とか駆除するための補助金を出して貰える様に交渉を続けつつ、漁場や釣り場等を守るためにも駆除は毎日続けていかんとねぇ」

「毎日獲っても次から次へと南の方から移動してくるだろうね」

「そこが辛い所よねぇ、駆除が終わるまで1日も休めないし、補助金が貰えれば駆除するための道具も追加購入できるし、持ち回りで出来る様にするためにもどうにか補助金をもぎ取らんと」

「今は純粋にマンパワー、人海戦術でどうにかしてるだけだし、網やらなんやらを大量に設置するだけでも大分進行を抑えられるからねぇ」

「漁を放棄すれば網やらなんやらを設置に回せるけど、そうすると貯金を吐き出して生活する事になるし、市場から養殖してない魚が消えるね、漁師町としては致命的すぎるけど、ウニは大量に出てくるね」

「この近辺はしばらくウニが激安で買えそうね」

「お兄さんもガンガゼを大量に買って行ってよー?しばらくは1個10円から20円位になると思うし、ウニ入りのコマセを作るなら今が買いだね」

「そうだねぇ、今日獲った分が売りに出るのは明日だろうし、安かったら大量に買ってウニ入りのコマセを作ろうかな?」

「まあ、余ったら余ったでうちでもオリジナルのブレンドとして売るだけだけどねー、中身と殻を分けて、トゲと殻と内臓は焼いて粉末にして、可食部はペーストと干し、冷凍の3種を作って」

「同じコマセばかり撒かれて反応が鈍くなった魚には効くのよね、南の島もこれが良いよーと言われているやつも反応が鈍かったりするし、ブレンドは何種類あっても困らないね」

「さてと、漁協に電話して餌用のガンガゼを多めに回して貰える様に言っておくか、余る様なら全部買うとも」

「毎日トン単位で駆除出来るように網は張ってあるし、他の釣具屋に回るとしても300キロは仕入れられそうだね」

「そんな状態でも実際のところちっとも美味しくないのが本当にもう…」

「以前からこの周辺に住み着いて居る物の適度な間引きと、北上してきている侵略ウニの完全駆除と、どちらも手を抜けないのがねぇ」

「何とか国と話をつけて補助金を引っ張り出してウニの足止め兼駆除用の網を買って、ダイバーの数も増やして対処していくさ」

「ダメだったら…」

「その時はその時、この近辺の漁協全てと結託して今年一杯は都会だけ卸値50倍にするからなって脅しをかける、普通なら通らないけど、通らないなら魚介類の流通を完全に止めてしまえばいいだけだし、こういう時にこそコネを使っていかないとね」

「魚屋さんに事情を話せば確実に動くだろうけどね、魚屋さんがもうそこには回さないって言ったら市場を畳む事になるし」

「それが嫌ならちゃんと補助金を回してねってやつよ、さて、ぼちぼち日が沈んできてるし、店を閉めるか」

「私も帰って駆除ついでに撮影した海の中がどうなっているかの動画を上げましょうかね」

「あ、その動画データ後で頂戴、交渉材料にするから」

「はいはい、帰ったらそっちに送っておくね」

「お願いねー?」


 えーと、店長さんのパソコンに動画データは送った、無編集版も動画サイトに投稿して公開済み、後やるべき事は…少なくとも今日はもうないな、何かをするにしても明日、なのでちゃちゃっと夕食を作って明日に備えましょ。

 海開きに備えてエイやサメの駆除もしないといけないけど、それ用の網も今はウニの足止め用に回されてるし、何をやるにしてもまずは補助金を何とか引っ張り出すところから、よねぇ…


「でー、海の中はどうだったんです?店長さんと漁協が依頼として出すって時点で碌な事にはなってないと思いますけど」

「アウラにざっと調べて貰った限りでは推定1500トンのウニが北に向けて大侵攻中、通った後には砂と岩しか残ってない感じだね、海藻なんかの餌が豊富なところを目指してどんどん北上して、移動中さらに増えて…って感じ?

都会の方で4ヶ月前に大発生したやつで駆除もしてるし補助金も出てるし…って考えてたらまあ…うん、補助金だけ貰って何もしてないのが居て、増えに増えて辺り一帯を食い尽くしたウニは…って感じかな?

南下して行ってはいないから、北側を担当した所だけが何もして無いみたいだね、その放置した付けがこっちに回ってきてるんだけども、国としては4ヶ月前とはいえ駆除するための補助金は出した、全て駆除したという報告は受けた、ってなってるから結構渋ってるみたい」

「データがないと動けないと言うのも有りますけど、すでに補助金を1回出していてかつ全て駆除した、という報告が飛んで行っているのであればなおさらでしょうねぇ…それより国の方から調査員は出さなかったのかという話になりますが、基本的には働かない人の方が多いですからねぇ、報告を鵜呑みにして素通しした感じですかね?」

「いまはまだ磯焼け状態になっていても魚は残ってるけど、獲れば獲るだけ数が減って、さらに産卵場所なんかもないから、都会の方ではこれからじわじわと漁獲量やらなんやらが減っていくだろうね」

「せっかく長い時間をかけて戻した環境を台無しにした漁協はしばらく吊るし上げというか、永遠に晒し上げられるんでしょうねぇ」

「地図で出すと…都会のこの湾内から大量発生が始まって、だんだん外に向かって広がって行って、この辺りで南北に分かれて、南に進んだのはここでピタッと止まって、北に進んだのはこのルートで侵攻してきて今ここで足止め中。

でー、大体ここからこの辺りまではウニが足の踏み場もない位ひしめき合ってて、これが毎日この辺りまで入ってくるから漁師さんは休む暇も無しってやつだね、特にこの近辺って環境改善を真っ先にやっていた所で海藻が豊富だし、多少外れたところでも種子がついて繁殖して…だから、それを食い荒らして繁殖して増えて、ここにいた時の何十倍にも増えちゃった感じ、ここでちゃんと封じ込めて駆除しておけば被害は広がらなかった感じだね」

「昔ガンガゼやムラサキウニの駆除をせず放置した結果、各地で磯焼けを起こして近海の海産物が全滅しかけたのを知らない世代が漁師をやってるんでしょうかねぇ?」

「どんな所でも世代交代はあるけど、過去から何も学ばないというのは問題よねぇ」

「一体何のための歴史なのか…水産系の学校なら必ずと言っていいほど入る内容なんですけどねぇ…水産系を出た人が漁師になるとは限りませんけど」

「駆除動画で生計を立ててる人もこっちには手を出さないよねぇ、漁業権の問題もなくはないけど」

「漁業権もありますけど、元々いる種類のウニですし、外来種みたいにとりあえず悪、こいつがいるから生態系が、っていうイメージを植え付ける事が出来ないからじゃないですかね?何より危ないですし、あの手の駆除動画ってカミツキガメとか、アライグマとか、毎年死人を出してるハブとか絶対に手を出しませんからね、ハブは外来種ではないですけど」

「数十年かけて完成してる生態系を壊すより前に海産物が無くなるかどうかの方の駆除をしてほしいところだねぇ」

「国内に元からいる種類のウニだし、放っておいて増えたら獲って食えばいいじゃんって返してきそうな気がしますね、放っておいたら割とシャレにならない事態に…もうなってるんですけども」

「少なくとも都会の海産物はまた改善前の時代に戻っちゃったね、せっかく戻ってきて増えたメバルとか今の代で終わりまであるんじゃない?」

「ガンガゼとムラサキウニは海藻があればあるだけ食い尽くしていきますからねぇ…しかも問題なのは移動中の痩せたやつは中身がすっからかん、食用にするには磯焼けを起こしそうな位食われてる途中の物を…ですからねぇ…」

「今日獲ったのは詰まってたけど、これからどんどん中身がスッカスカになっていくだろうね、食用にしないのであれば撒き餌なり肥料なりで使えるけど」

「逆に言えばそれ位しか使い道がないし、儲けも無いので労力に見合わないんですけどね、だからこそスカスカのムラサキウニをキャベツで育てるという事をやっている場所もある位ですし、そのウニにしても養殖場を作ったりキャベツを用意したりで費用に見合ってないですからねぇ」

「ある意味イナゴみたいな物だからねぇ、陸地でイナゴが農作物から雑草から全てを食い尽くすなら、海ではガンガゼとムラサキウニが海藻を全て食い尽くすまで止まらない」

「蝗害はもう発生する事が無い様に対処されてますし、もし発生しても初期で止めれるんですけど、海の中というだけで…」

「行動が制限されるし、殺虫剤みたいな物を撒くわけにはいかないし、撒いても海の底にかつ特定の物にだけ、さらにそれらに効果が出るまで薄まらない様になんて言う事をやらないとだしねぇ、そんな物を今のここで作れるわけもなし、人海戦術で確実に1つ1つ駆除する事位しか出来ないのが現状だね」

「どの位で駆除が完了しますかねぇ?」

「少なくともここより先には入ってこれない様に工夫して網を張ってるし、補助金も降りて資材を買い足す余裕が出来れば秋の初めには?」

「それ位で終われば早い方…でしょうねぇ」

「ま、そんな感じでサメ除けの網がまだ張れてないから、エイやサメを狙って釣りに行くのは当分先だねぇ」

「エイとサメの駆除も大事ですけど、そっちを優先すると被害が広がりますしねぇ、仕方ないですね」

「海開きが7月中頃だから、7月頭に網を張れたとしても結構ギリギリだね、遅れる可能性もなくはなし」

「その時はその時でしょうね、さて、そろそろ松茸ご飯が炊けますし、用意してる物を仕上げていきましょうかね」

「だね」

ガンガゼとムラサキウニ

周囲に海藻があればあるだけ食い尽くす、そして増える、大量発生したら…

磯焼けの原因の一つでもある、けど漁業権等の問題もあるので獲る場合は近くの漁協で聞こう

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