一応展示品 末期の所が多め
えーと、まずはへこんだり穴が空いたりしている所を修繕しまして、傷も綺麗に消したら磨き上げて塗装、乾かしてからコーティング、エンジンを含む駆動系を取っ払って効率の良い永久機関の物に積み替えて…うん、こんな物かな?使い道はこれと言って無いし、ちょっと目立つ置き物位にしかならないけど、客寄せにはなるから十分と言えば十分よね。
操縦席やらその周りについてくるシステムは…弄らなくても良いか、誰かが乗り込んで操縦するわけでもなし、こびりついた血やら汚れやらを落として殺菌と消臭をしておくだけにしておいて、最後にルシフに渡したら今日のお仕事は終わりと。
しかし…一体これをどこに飾るというのだろうか…客寄せに使うって言ってたからテーマパークか、それとも閑散として客入りの悪い観光地か…多分前者かな?テーマパークは割と何でも有りな所があるけど、これを飾る観光地は迷走してるかやけくそになって何でもいいから目立つ物を、って考えてるだけだろうしなぁ…
さて、細かい部分の塗り忘れがないかを確認しつつルシフが来るのを待ちましょうかね、どうやって運搬するのかは知らないけど…
「おー…中々に大きいメカですねぇ…どの作品の物かは知りませんけど…自作?」
「自作ではない、散歩中に拾った物の1つだね、まだ何万何億って感じで拾った物を収納してるけど、取りあえず客寄せならこれかな?って感じでレストアしてた、外見以外は別の素材に置き換えたりで別物と言って良いかもしれないけどね。
一応細かい部分の塗り忘れもないし、コーティングもばっちりだから後は欲しいって言ってたルシフの渡すだけ、なんだけどまだ来ないのよねぇ」
「拾い物…持ち主云々以前にこの星にあってはいけない物では…?」
「大丈夫大丈夫、動く様に永久機関に交換したり駆動系も弄ったりはしたけど、認証カードがないとそもそも起動して立ち上げる事すら出来ないから」
「そういう問題ではない気がしますけどねぇ…これ絶対そういう世界の軍事兵器とかそういうやつでしょー…」
「まあ、そうだね、でもパイロットは死んでたし、機体も穴だらけで放置されて回収される様子もなかったし、ならその辺に落ちてるのを全部貰って行っても誰も困らない、リサイクルするならとっくに回収されてるはずだしねー」
「回収する余裕がなかっただけな気がしますけどねぇ…ドッグタグの様にすぐ回収出来るような物じゃないですし…」
「どうだろうねぇ?でもこういうのは早い者勝ち、回収しないままほったらかしにしてるのが悪いってね」
「現地でもそうなんですか?」
「そうだよー?放置されたままの機体はちょっとしたお宝みたいな物だし、動く物ならそのまま修繕して解放軍とかゲリラの兵器に、動かない物ならばらしてニコイチ修理、ついでにシステムも書き換えて起動も容易にって感じ」
「なるほど…それならさっさと回収しない方にも問題がありますね、実際鹵獲した兵器の方が使用率が高くなりますしねぇ、相手が予備部品や弾薬を運んできてくれるようなものですし」
「そうされないためのカード認識だったんだろうけどねー、でもシステム周りと積み替えると動くっていう欠陥、新しい物にした所でまた対応した物にっていういたちごっこで戦争に終わりはないね。
ま、そんな物はどうでもよくて、ルシフはこれをどこに展示する気なのだろうか…」
「実際に動く兵器を展示する所がぶっ飛んでますねぇ…ところでこのメカのスペックは?」
「んー?まず大きさが大体35メーターで見たとおりの二足歩行型だね、重量は意外と軽めで75トン、武装を含むと82トン位かな?」
「戦車が大体1両40から50なので…確かに軽いですね」
「動力は小型の多次元融合炉だったけどあまり安定してないから駆動系と一緒に積み替えて、今は小型永久機関になってるね、こっちの方が安全かつ安定しててロス無く力が伝わって出力が3割増し、暴走する事も無ければ消滅する事も無し」
「多次元融合路…名前からしてヤバそうなんですが…」
「中途半端に扱うと危険だね、色んな次元を無理やりくっ付け様としてるから暴走すると辺り一帯が消滅するし、これを扱ってる所でも後3000年は安定しないままかな?100年単位で暴走する確率は下がっていくだろうけどね。
一応多次元融合路のメリットとしては、色んな次元を無理やりくっ付け様とするから結構なエネルギーが発生しまして、エネルギーが溜まって暴走して消滅する前に他に分配して、安定させてしまえば限りなく永久機関に近い無限のエネルギーを生成する事が出来るのね、つまり燃料を馬鹿みたいに食うであろうこういう機体も簡単に動かせるだけのエネルギーを確保出来る。
デメリットとしてはエネルギー量が安定しない、常に揺らいでいるし、その揺らぎに関しても高波だったり凪だったり押し寄せる津波だったり、全開で動かしたい時に出力がいきなり落ちれば急に限界を振り切ったりと兎に角扱い辛い、さらに暴走したらエネルギーを発生させるためにくっつけようとした次元と衝突して辺りが消し飛ぶ、その時の威力が…これに搭載されてた小型融合路1つで半径5キロ位は消滅かな?」
「危ないなんて物じゃない物をよく動力に出来ますね…」
「一応緊急停止機能がついてるからね、ちょっとでもオーバーヒートしそうになるとすぐ停止、駆動系にダメージが入ると停止、動力にダメージを受けると期待の爆破にエネルギーを使って機能停止、っていう運用方法、まあどのみちパイロットは助からないね、宇宙での活動時もこれで酸素生成やら気圧調整も行ってるし、機体を少し浮かせて機動力を得るための反重力もここから引っ張ってきて起動してる。
逆に言えば兎に角色んな事に消費して安定化を図ってバランスを取っているわけだね、1つダウンしたくらいではどうって事無いけど、限界を超えそうになったりそういう原因が出来ると強制停止しますよって言う作りになってる。
戦争の協定の中にも動力炉は絶対に狙うな、ってのがある位だしねー」
「もしわざとに暴走させた場合は…まあ報復として動力炉が破壊されるんでしょうね…」
「そう、国中のエネルギーを賄ってる大形にもなると星に軽く大穴が空いて大陸が消滅するからね、だからそう言うのは解放軍やゲリラですら守ってる。
でー、次に武装、実弾が入った大型ライフルが1丁、大体直径35センチの小型マスドライバー、レールガン式とマスドライバー式とがあるけど、拾ってきたのは後者を採用しているメーカーの物だね、射出速度は大体秒速5850メーター」
「あら、マスドライバーにしては意外と遅い…と思ったけど、直径35センチの実弾と標的の大きさ、使用場所が真空の宇宙空間と思えば結構えぐいですね、撃たれたら避けれませんよ」
「兵器が変わっても基本的に当たり所が悪ければ即死というのは変わらないという事だね、ひょっとしたら今もどこかの星に落ちてる隕石はそういう所から飛んできた実弾兵器の慣れの果てかもしれないね」
「あー…金属隗だったりするのってそういう…」
「次が近接戦闘用ブレード、刺突も可能な様に先は細め、切るよりは突く事の方が多めかな?そのままだとあまり切れないけど、起動すると鉄板位なら紙と同じ様に切れる、分子から切り離してる感じだね」
「そうまでしないと切れない感じですかね?」
「そうだね、この世界にはない金属が使われてるし、硬度やらなんやら桁違いだからね、今はもう装甲を変えたから切れないけど元の金属なら簡単に切れる、切れるけど、まあティアなんかの鱗は切れないし、ケレスが生やした木も切れないし、肥料用の鱗から栄養を吸って生えてきた雑草も刈れないね」
「雑草強すぎませんか…」
「切れないだけで抜けばいいんだけどね、土はフカフカだし、別に岩に生えてるってわけじゃないし、それに水分を飛ばせば燃えるし」
「普通に見えてもやっぱりどことなくおかしいですよねぇ、お兄さんの屋敷があるところは」
「大丈夫大丈夫、肥料用の鱗から栄養を取られない限りは普通の雑草だから、で、武装はこの2つだね、基本的には接近される前にやれ、接近された場合はブレードで応戦すべしって感じ、機動力も中々の物だから、結構近接先頭になる事が有るみたいよ?
この機体の場合は動力部に銃撃を受けて、行動不能になって接近された後にコクピットにブレイドをグサッと、だからシステム周りもちゃんとレストアして直してある」
「なるほどー、これ普通の人間が扱う事は出来るんですかね?」
「出来るね、動かすだけならシステムが全面サポートしてくれるから楽、一応半重力がついてるから空も飛べるしマッハ2位なら出せる、かかるGに関しては干渉して通常時と変わらない様になってるから安心、常に地に足がついてるのと同じ感覚、車を操縦するのと大差ないんじゃないかな?」
「これがマッハで飛び回る戦場…末期も末期な気がしますね、陸海空宇宙のどこからでもマスドライバー式のライフルが撃てるわけですし」
「だねぇ、だから宇宙に逃げた人も結構いる、宇宙が戦場になる位には技術が発展してるし、何千年と時間をかけて移動するような移民船だってある、問題はよそ様が管理してる宙域、第一世代とか、第二世代の良識派とかに争い事を持ち込むと1人残らず消されるね、第一世代に関しては入ってきた時点で争い事があろうとなかろうと平等に」
「1人残らず消す良識派とは一体…」
「そりゃ1人でも残ってたら争いの種になるし、自分の所に厄事を持ち込む前に処分をした方が良いって言う判断よ、良識派とはいえ誰に対してでもやさしいと言うわけではないし、他に喧嘩を吹っ掛けたりしませんよというだけであって、争いの種になりそうな物は最初から消してしまうってやつよ」
「あ、やっと取りに来た、レストアも終わってペイントも元通しにしておいたけど、一体どこに飾るのよ?」
「飾るというよりはロボット展覧会?あれにうちが作りましたーって持って行ってやろうかと」
「おーぅ…展覧会にこの星だとオーパーツどころじゃない物を持ち込もうとしてますよ…ロボット開発をしてる人達が泣きますよ?」
「はっはっは、私もご主人様がこれを出してくるとは思わなかった、飾るのに丁度良いやつとしか伝えなかったからだろうけど、人と同じ位の大きさの作業ロボット程度でよかったんだけどねぇ」
「ルシエラカンパニーならアンドロイド位は簡単に作れそうですけど、それじゃダメだったんですかね?」
「アレだと人に近すぎてロボットって感じがしないじゃない?だからいかにもメカです、ロボットです、ってのが欲しくてね」
「んー…じゃあこれとか?」
「ブラウン管テレビにタイヤ…?」
「ここと同じ様な文明を辿りつつもなぜか液晶等より先に人工知能が発達しちゃった所の物だね、動力は核燃料」
「危なすぎる…」
「安全のために抜いてあるから大丈夫よ、起動する時も代用の物を使えばちゃんと動くし」
「問題はこっちの回線に繋げる事は出来ない、かつ回線速度が電話回線レベル」
「物凄いちぐはぐですね、なんでそんな状態で核を燃料にする人工知能を搭載したロボットが作られてるんですか…」
「それこそちょっとした妖精さんの悪戯みたいな物よ」
「妖精さん、別名オリジナルニャルラトホテプ、面白い事のためなら割と何でもやる」
「おーぅ…なんかもう色んな意味で役満ですね…」
「第一次大戦の時点ですでに核を実用化してかつ主砲の弾頭に核も使う様に入れ知恵をしてるからね、さらに人工知能の基礎みたいなプログラムをばら撒いたり、そんな所で作られたのがこの家庭用ロボット家政君7号、燃料が核を使ったバッテリーなのでどこでもテレビを見れるし自走するし、買い物のお供にも出来る、ただ手はついてないからオプションで取り付ける棒に買い物袋を提げる位しか出来ない」
「技術も発達してないのに人工知能の基礎だけをばら撒いてるから色々変な事になってるんだよねー、容量不足で書き込みエラーを出して頻繁にバグったり、同じ所をぐるぐる回り始めたり、チャンネルが変わりまくったり。
で、この家政君7号はなんと!お値段が78万ドルで容量が5メガもあるんですよ!なおビット」
「640バイトしかないじゃないですか…しかもめっちゃ高い…」
「年代でいえば向こうはまだ1930年位だしねー、ちなみに二次大戦は発生しなかった、一次でバカみたいに核を使って悲惨すぎるってなっちゃったからね、後住める所も減って人口も激減して、って感じ、為替レートは大体1ドル247円位ね。
取りあえず色んな意味でこれは無しで、一発ギャグ狙いならありだけどポンコツすぎる、フロッピーより容量の少ない人工知能搭載のブラウン管とか使い道がないわ」
「じゃあ…これなんかどう?自然環境改善用人工知能搭載アーク、ちょっとバグが酷いから起動出来ないけど」
「致命的なバグが有るんですか?」
「んー…これ単体なら無害、これ自体は自分で動けないし、回線は有線で無線非対応だし、ただ…」
「回線に繋いだ状態で起動すると世界中のパソコンを乗っ取る、そして軍事兵器やらなんやらを人口が多いところにポンポンぶち込んで人口を減らして、最終的に星の生命という生命を全て滅ぼしてリセットするって言うバグが発生してるのよ」
「今の自然環境を改善するにはどうすればいいですか?答え、全てを無に帰してリセットすればいい、だからねぇ、シンプルイズベストな答えを導き出しちゃったわけだね」
「なんでしょう…そんなヤバイロボットや人工知能ばかり作ってるんですかね?他の星系に住んでいる人達って…」
「ま、割とよくある事よ、それにうちが作ってるアンドロイドみたいなのもちゃんといるからね、取りあえず…もうちょっとましなやつない?コンパクトで高性能でこれぞロボットっていうやつ」
「コンパクトで高性能…じゃあこれとか?」
「お、良いねぇ、大分ボロボロだけどレストアすればいけそう」
「これは…いわゆるパワードスーツとかソレ系ですか?」
「だね、この中に入って自分の手足で動かすタイプのメカ、ただこっちでも開発されてるアシスト用パワードスーツなんかとちがって、脳波を読み取って空も飛べるのです、最高時速は驚異のマッハ7、当然Gは内部に掛らないようになってるし装甲もかなり頑丈、マグマに突っ込んでも燃えない、水深15000メーターでもへっちゃら、武装は漢らしく近接武器のみ、当然宇宙だって飛び回れる。
問題は動力が小型次元融合炉って事だねぇ、この背中にあるスラスター、この中にそれが入ってた」
「その融合炉って流行りなんですかね?そっちの大きいのにも使われてたみたいですが…」
「簡単に無限のエネルギーを引き出せるという点では優秀だからねぇ、ちょっとした事で消滅するけど、取りあえずこれを修理するかー、動力は効率より出力を重視した永久機関にして、武装は付けなくて良いや、後は暴れたり持ち逃げ出来ない様リミッターてんこ盛りで」
「一定の範囲を超えたら自動で戻るように、危害を加えようとしたら内部に電気ショックで搭乗者を無力化のシステムも組んだ方が良いね」
「それもそうだね、でもまずは装甲やら駆動系を修理して、永久機関もこれ用に作ってだね、というわけでご主人様、これ用の金属をよろしく」
「ベースは何にする?アダマン?ヒヒイロ?アポイタカラ?」
「合金に来たら強度はどれも変わらないし、ヒヒイロとブルークォーツにアダマンタイトとミスリルを混ぜた合金で色にも拘ってみようかな?正面から見れば白金、角度が変わればスカイブルーで」
「んーと…ヒヒイロ6のクォーツ1アダマン2のミスリル1で…温度がこの位の圧縮がこれ位の…形を整えて磨いて…はい、出来上がり」
「さすがに色々工程を素っ飛ばすと早いねぇ、後は新しく出来た外装に変えつつ内部もちょこちょこっと弄って…システムのプログラムもちょちょいと弄って…完成!」
「10分もかからずに超速で完了するレストアとは…プラモデルでももっとしっかり時間をかけてやりますよ…」
「気にしない気にしない、でも見た目通りどこにも傷はなく新品その物、リミッターもがっつり積んで防犯対策もばっちり、それじゃ展覧会に持って行ってくるぜー」
「はーい、行ってらっしゃーい」
「こっちの大きいメカと電源が落ちてるブラウン管となんかやばい奴はどうします?」
「んー…ま、収納の肥やしかな?」
「ですよねー、飾るにしても邪魔なだけですし」
「よし、片づけた所で…お風呂に行くか」
「ちょっと塗料臭いですもんね、最後のやつは塗装とかしてませんでしたけど」
「あれはもう塗装せずともそういう色を金属につけたからね、それじゃまた後でー」
「はーい、また後でー」
ロボットとメカ色々
色んな所に散歩へ行っているのでロボットやらなんやらも結構拾って収納されている、でも基本的には肥やし
性能が高い軍事品から使えないネタの様な物まで色々ある、が、前者が転がっている所は大体終わらない戦争状態、後者はちぐはぐな事が多い




