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無駄しかない無駄な行動 わん狐

 別荘に行くにあたって用意する大事な物。

 1:縄、数本

 2:首輪、2本

 3:目隠し、2本

 4:手枷、2組

 5:足枷、2組

 6:口枷、2組

 7:白旗

 縄や枷などは千切れず壊れず、着けられたら自分では外せなくなる物を。

 白旗は…使うことが無いのが一番いいんだけどなぁ…

 狐さんもルシフもいるからまあ大丈夫だろう。


 他にも持って行く物を確認。

 着替えは必要なし、食料必要なし、お小遣い…たくさん。

 新しい調理器具…は向こうで作ればいいか、掃除用具も一緒に。

 家具…も状態次第だな、実際に見て確認しないとわからんものは分からん…

 手入れや掃除はちゃんとしてくれているし…

 何もなければお小遣いを渡して、遊んだりお散歩をすればいい。

 忘れ物が無いかの確認をして全て収納すれば準備は終わり、まだ少々時間が有るので暇つぶし。


「ご主人様、そろそろ行きますよ」

「んあ?」

 収納してある物を整理してたら時間になったようだ。

「何ですかその間抜けな返事は」

「ちょっと整理に集中してた」

 広げていた物を片付け整理を中断、残りはまた気が向いたらだな。

「ルシフは?」

「先に行っていますよ、何もないとは思いますが、一応念のために」

「はいはい、じゃあ行こうか」

 屋敷を出る前にヴェスティアに後の事を任せ、狐さんと共に別荘へ。

 何かあったらルシフが制圧するなり戻ってきてるだろうし、何もないのであれば早く合流してお手伝いしないとなぁ。


「いらっしゃいませご主人様」

「お待ちしておりました」

 別荘に到着後は特に何もなく、2人のメイドに出迎えられる。

「ん、今年もよろしくね」

 挨拶もそこそこに中へ入り、各部屋の確認。

 ルシフの姿が見えないが…どこで何をしているのか…

 手前の部屋から入り、備品などが破損していないか、水回りなども問題が無いかを確認。

 ルシフが居ないので狐さんと2人で手早く確かめていく。

「どの部屋も問題はない…かな?」

「ですね、寝室や客室等は問題なし、次はお風呂場や調理場ですが…」

 お風呂場と調理場と言った所で、どこかに行っていたルシフがやってくる。

「ただいま、今帰ったよーって、あれ?ご主人様もう来てたんだ」

「もうというか、予定した時間通りに来たというか」

「まあいいや、お風呂場と調理場は大掃除が必要、後水回りの補修も必要だね。

調理器具も幾つか破損、菜園は問題なし」

「んー?お風呂場と調理場どういう状態になってるの?」

「水回りの破損で調理場は水浸し、お風呂場もあふれ出した水やお湯で石鹸等が壊滅。

お風呂場は今泡塗れだね」

「寝室等に備え付けてるのは問題なかったんだけどねぇ」

「調理場とかお風呂場は独立させてるからねぇ、特にお風呂場とかは大量に使うし」

「それで、破損の原因は?」

「掃除中に水道管や排水するための管を壊した位かな?」

「此処も壊れない加工をするべきかねぇ…

前回交換したの何時だったっけ…?」

「大体…100年位?

ご主人様金属色々持ってきてるんでしょ?

劣化しなくて頑丈なやつ頂戴」

「はいはい」

「狐は2人を連れて調理場とかお風呂場の掃除お願い。

水も止めてるし、排水管も繋がってないからその後になるけど」

「わかりました」

「じゃあちょっとご主人様借りていくから、2人もしばらく休んでてね」

 ルシフに連れられ、離れにある鍛冶場へ行き、水道管や配水管の新しいのを作る事に。


「御所望の金属は?」

「鉄とミスリルが30づつ、後オリハルコンが2」

「はいはい」

「それと純度の高いクリスタルが5、アクアマリンも5かな?」

「んー?クリスタルとかいる?」

「クリスタルは浄化槽を新しく作り変えるのにいるし、アクアマリンも水道とかを屋敷と同じのにするに必要かな?

此処の結構古いからねぇ、水道管とかも全部取り出さないと」

「結構な大工事になるなぁ…」

「まあ、屋敷と同タイプなら水道管が要らないし、排水さえできればいいからね。

取り出すのと設置するのは狐に任せればすぐ終わるでしょ」

 金属を加工し、屋敷にあるのと同タイプの蛇口、新しい浄化槽、浄化槽に送るための排水管を作っていく。

 浄化された水を排出するための管なども忘れずに。

「よし、こんな物でいいかな、じゃあ戻ろうか」

 手早く加工し、作り終えた物を別荘に運び込み、ちょっとした工事が始まる。


「今ある水道管と排水管を全部取り除いて、各部屋に有る蛇口も全部これに交換。

排水管と浄化槽はこれに交換で」

「わかりました、では2人は各部屋の蛇口の付け替え。

そののちに調理場とお風呂場の掃除という事で」

「それとこれが何所か不調をきたして、水が止まらなくなった時に止める奴。

今度のは全部独立してて、何所かが壊れても他の所は正常に動くから、ちょっと混乱するかもしれないけど。

取り扱いと修理用の奴は後で書いておくね」

 ルシフは2人に新しい蛇口、狐さんに排水管と浄化槽を渡し、ソファーに寝そべる。

 付け替えが終わるまでは一緒にしばし休憩…

「あーそうだ、新しい蛇口は固定さえできればどこに付けても使えるから。

一度に出せる水の量も無制限、勢いはそれほどでもないけど出しっぱなしには注意ねー」

 簡単な注意だけをして寝そべりながら説明書等を書いていく。

「排水管自体も浄化、洗浄機能があるから、もし浄化槽に届く前に途中で管が破損しても、漏れ出てくる水は綺麗な状態だね。

それでも一度に浄化できる量は知れてるから浄化槽は必須だけど」

「もうとっくに狐さんも2人も付け替えに行ったよ」

「あ、そう?

説明書と修理マニュアルを2人に押し付けとけばいいか」


「古い蛇口に水道管、排水管に浄化槽、各所に水を送り込んでいた石はどうします?」

「新しいのと違って特に細工はしてないからなぁ…鋳潰して再利用かな?

取りあえずご主人様にパス」

「はいはい」

 古い物は全て収納、後で鍛冶場に行って鋳潰しておこう。

「それとこれが説明書と修理マニュアル、それと水が止まらなくなった時に止めるやつ、後で試しておいてね」

 2人に説明書などを渡し、ソファーから起き上がる。

「さて、試運転も兼ねて調理場とお風呂場の掃除と行こうか」

 調理場組とお風呂場組と別れて掃除開始、まずはお風呂場から様子見…


「これはまた何とも…」

 壁、床、浴槽ともに、石鹸などの泡が付着し、乾燥してへばりついている。

「なしてこんなことに?」

「洗い流そうとしたところで水道管の破損、止めに行っている間に洗剤や石鹸が融けだし、噴出する水によりお風呂場全体が泡塗れ」

「ああ…ね…」

 お風呂場と調理場はかけてる圧が他より強かったからなぁ、それで破裂…か?

「破裂元は?」

「そこの壁ですね、ひび割れた部分から噴き出したようで」

 確かにひび割れがある…頑丈に作ってあったとはいえ築何年だ…

「築200年位ですね、普通ならもう4回は建て直ししてます」

「もう別荘自体建て替えたほうが良い気がしてきた…」

「なら新築同様にしましょうか?」

「ガタが来てたのはお風呂場と調理場だけ?」

「一番酷かったのがお風呂場と調理場、他の部屋も済むには問題はないですが、細かい所ではもう駄目なんじゃないかと」

「……」

「家具類は問題はないんですけどね」

「新しく浄化槽とか蛇口とか作った意味は…」

「それは建て替えた後に使えますので」

「掃除する意味は?」

「無いですね」

 この狐さんめ…分かってて報告しなかったな?


 調理場に行きルシフと合流、別荘の外に出る。

 後は狐さんに純度の高い石を渡して別荘の建て替え作業は終わり。

 新しく作った蛇口や浄化槽はそのまま流用と言う心配りに涙が出るね。

 だったら最初からそうしてくださいとしか言えない…

 出迎えてくれた2人のメイドも呆れた顔をしてみてるし…

 狐さんの手により新しくなった別荘を眺め、各部屋の確認とか、お風呂場などの掃除という無駄な行動とか…

 さっきまでやってた事は一体なんだったんだろうなぁ…


「新築は新築でいいなぁ」

「ちょっと時間がたってるのも味があっていいけどねー」

 新築になった別荘の中でちょっと逃避。

 狐さんは新築にする気で、ルシフは修繕する気で…結局新築にしてお終い。

 まあ、水回りは今使ってるやつの方が良いからそこは救いか…

「狐もさー、新築にするなら最初に教えてよー」

「伝える前にルシフは先に出ていましたし、此処についた時も1人で何やら水道管やら色々確認していましたので」

「むぅ…」

「ご主人様、本日の御予定はもうお済ですか?」

「あー、うん、そうだね…修繕することも無く、全部新品になったし…」

「では」

 2人のメイドは手を差し出してくる。

 差し出してきた手の上に宝石細工の宝石箱を乗せる。

「それでは少し失礼して…」

 宝石箱を開け、中身を確認する2人、中に入っている宝石を確認し、光に透かしたり、ルーペで確認したり…

 一つ一つ中に入っている宝石を確認し、確認が終わり次第いそいそと仕舞い込む。

 宝石箱を仕舞い込んだ2人は身だしなみを整え、メイド服に汚れなどが無い事を確認。

「こほんっ…」

「お父様っ!」

 咳ばらいをした後飛び込んでくる2人を受け止め、そのままソファーに倒れ込む。

「あぁ、お父様お父様お父様…」

「一杯サービスしますね!」

 お小遣いを上げた途端これである…

「一体誰に似たんだろうねぇ…」

「さぁ?少なくとも私達ではないと思います。

ご主人様でもないと思いますし」

 ほんと…この宝石好きは誰に似たんだか…


「はいはい、2人とも今はそこまで」

 押し倒されて10分ほど、マーキングだけでなく、さらに激しいものになってきたので待ったがかかる。

「お母様達も混ざりますか?」

「私達は何時でも行けますよ」

 お尻と尻尾を振って狐さんとルシフを誘う2人…

「後にしな…さいっ!」

 ルシフは2人のお尻を叩いて止める。

「ひゃんっ!」

「ひんっ!」

「ほらほら、新しくなった部屋とかを見に行くよ」

 新しくなった部屋等の確認に行こうとするが…

「はぁ…はぁ…」

「んっ…ふぅ…」

 顔を赤くして、更に誘うように尻尾とお尻を振る2人…

「はぁ…ご主人様、首輪と縄頂戴…」

「はい、どうぞ」

 ルシフは2人に首輪と縄を着け、そのまま引きずって行った。

「ほんと…誰に似たんだろうなぁ…」

「さぁ?ご主人様でもなく、私でもなく、ルシフでもなく…

外見は間違いなく私達の血を引いているんですけどねぇ?」

 引きずられ、途中で四つ這いになり移動している2人を見守る。

 舌を出し、息を荒くし、尻尾も相当興奮しているのか激しく振れている。

「犬…だよなぁ…」

「狐のはずなんですがねぇ」

 首輪と縄を着けられ、四つ這いになっている2人はとても嬉しそうだ。

「何所で教育を間違えたのか…」

「何所でしょうねぇ…」

 一体どうしてああなったのか…深く思い出しても思い当る事は無いのであった…


 部屋や設備を確認し終えたルシフが戻ってきてソファーに倒れ込む。

「お疲れ様」

「本当に疲れた…」

 部屋と設備を確認するだけでここまで疲労させるとは…

 ルシフを披露させた2人は犬のように座り込み、何かを待っている…

「待て」

「くぅーんくぅーん」

「きゅぅーん」

「お手」

「はっはっはっ」

「わんわん」

「やっぱり犬だよねぇ…」

 2人の頭を撫でながら興奮して垂らしている涎を拭いてやる。

「今日はもう何もできそうにないね、夕食もこの2人が落ち着いてから…と言いたいけど駄目そうだね」

 待てを解いたら間違いなくこの場で押し倒される、そのくらい興奮している。

「ご主人様他に何を持ってきてる?」

「手枷と足枷、口枷に目隠し、後は白旗」

「白旗以外全部頂戴、部屋に放り込んでくるから…」

 ルシフは手慣れた様子で2人に枷を装着、そのまま担いで連れて行った。

「犬でちょっとした被虐嗜好があるとか、どうしてあんな娘に…」

「どうしてでしょうねぇ…」

 狐さんと2人で興奮が最高潮と言わんばかりに尻尾を動かし、担がれて運ばれていく2人を見送った…


「ただいま、後は2.3日放っておけば勝手に果てて元に戻る…と思う…」

「お疲れ様、何食べる?」

「麺類が良いなぁ」

「狐さん…は聴かなくてもいいか」

「酷いですね」

 ルシフの注文は麺類、狐さんはいつもの様に稲荷。

 年末の茹でてないそばが余ってるし…

「きつねそばと稲荷のセット、天ざると稲荷のセットどっちが良い?」

「天ざる」

「天ざるで」

「はいはい」

 別荘を出て菜園で野菜の収穫、肉類や魚介類は無いので野菜天のみで。

 カボチャにサツマイモ、茄子とピーマン、後は玉ねぎとニンジンのかき揚げで。

 稲荷は胡麻だけのシンプルな物を。

 後はそばを茹ででそばつゆをそば猪口に注いで完成。


「できたよー」

「おー」

「では頂きます」

 食べるのは3人だけなので、そばも天ぷらも稲荷も各一皿に大盛り。

「たまにはこういう食べ方も良いですよねぇ」

「あの2人が盛って無かったら此処に混ざれたんだけどね…」

「それは元に戻ってからという事で…」

 天ぷらもかき揚げもそば猪口にそのままそばつゆの入ったそば猪口に突っ込んで食べる、小皿も無し。

 型っ苦しい食べ方などはしない、ただの家族団欒。

 まあ屋敷でも似たようなことになるけどね、仲のいいメイド同士で一つのお皿をつついてるし。

 自分たちが美味しいと思う食べ方で食べるのが一番。

「生姜有ったっけ?」

「はい、どうぞ」

「ありがと」

 生姜などの薬味も後から足して味の変更、好きに食べる。

 天ぷらの山もそばの山もどんどん減って行き、稲荷も含め綺麗になくなった。

「ご馳走様でした」

「ご馳走様」

「お粗末様」

 食べ終えた後は3人で片付け、3人で新しくなったばかりのお風呂で入浴。

 部屋で放置している2人の事は特に何も考えずに就寝時間まで遊戯室で遊んだ。


「ふむぐうおう」

「んむぐぅぐぉ」

 ルシフと狐さんと別れ部屋にはいると、枷がつけられ、縛られたた状態の2人がベッドに寝かされていた。

 興奮は冷めやらず、ますます興奮度も上がっているようだ…

 部屋から出ようとすると扉が閉められ、出れなくなる。

「2人が元に戻るまで部屋から出てこないように」

 閉じ込められた…

「白旗は?」

「駄目です、放っておけば2.3日、相手をしてあげれば1日で戻るでしょう?

此処で過ごせる時間はそう長くないのですから、1日でも早く戻すように」

「はい…」

 相手をしてあげれば1日で戻る…それは間違いない…

 よし、頑張ろう!


 しかし、目隠しと首輪、口枷を付けて夜のお散歩とかお父さんはどうかと思います。

 お母さんも何か言って上げなさい。

「ノーコメント」

「娘が満足してるなら…まあ…」

 お母さんは娘達の味方だった…

大皿

一皿づつに別けない、皆でつつく

天ぷらなども豪快に山盛り


枷各種

マゾっ狐用

何所でどう育て方を間違えたのか…

首輪と縄を着けると元気に四つ這いで走り出す、わん狐


お小遣い

宝石各種、1個当たり金貨50枚~

コレクションするだけで売ったりすることはない

これが無いと素直にお父さんと呼べない


水道管に排水管

経年劣化でぶっ壊れた


新築

ご主人様とルシフによる修繕と各所の確認は無駄になった

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