そういう世界です それはとても冒涜的な…
んーむ…んーむぁ…んーむぉ…なんだろ…ふかふかの布団で寝たはずなのにカチカチの煎餅布団で寝ているような…そもそも布団なんて物はなく地面その物で寝ているような…ちょっと身動きするだけでがさがさと音が…ふむ、なるほど、雑草という名の敷布団に枯葉という名の掛布団か…懐かしい感覚だなぁ…
まあ、そんな事はどうでもいいとして、ここはどこなのかを把握する事が大事、昨日は1号と遊んで、遊ぶ前はちゃんとふかふかの布団の中に潜り込んで寝たはずで、少なくともここはゲームの中じゃなくて、家の裏にある山の中でもなくて…
ふーんむ…よくわからんね、狐さんの気まぐれか、寝ぼけて散歩して知らないところに迷い込んでそのまま寝たか、この2択かな?
取りあえず携帯を確認しまして、現在地を確認…出来なくて、チェインで連絡…しようとしても出来なくて、電波はあるので電話は通じても知らない人が電話に出まして…ふむぅ?んー…
「ヘイ、1号カモン」
「だぁー!いきなり呼ばないでよ!後5秒で制圧して勝ちだったのにタイミング悪すぎるよ!」
「ゲームだから別にいいじゃん、それよりここどこ?」
「ボクに言われてもわからん、その辺の山中じゃないの?」
「使えないやつだなぁ…」
「そっくりそのまま主様に返すわ、もう戻っていい?」
「ダメ、んー…でも1号は呼び出せるんだよなぁ…電話は違う人が出るのに…」
「それはそもそもアクセスの方法が違うからでしょ、人外の技術を使った範囲が無制限でどこからでもアクセス出来る物と、人が作った範囲が限られている物と一緒にしてはいけない。
電話をかけた時に違う人が出るっていうのであれば同じ位発展してる似た様な別の星にでも来たんじゃないの?」
「なるほど、でも山中まで電波が届いているという事はそれなりに発展はしてそうね、取りあえず山を下りるか、お金も持っている物が使えるかどうかを観察して確かめないと」
「で、戻っていいの?」
「ダメ」
んーむ、効果も紙幣もダメ、今いる星が違うとなると当然カードもダメだから…まあ食べ物は適当に木の実やら魚を取って食べればいいや。
「んー…」
「どしたの1号?」
「いやー、なんというか、この世界にはボクを崇拝している集団がいるような…気がする?ボクは混ざり物だからどれに対しての崇拝かはわかんないけど」
「宗教と信仰は余程の事がない限りは自由だからねぇ、取りあえずざっと散策しつつ現在地を確かめて、それから葵さんの家の方角と距離を計算して扉で無理矢理帰る感じ…かな?」
「散策しないほうが早く帰れるんじゃないの?」
「せっかく知らないところに来たわけだし、ちょっとくらいはのんびり散歩していかないとね」
「なんとなく長居しない方が良い気はするけどねぇ、主にボクがゲームをする時間が減る、ゲームの電源入れっぱなしで来ちゃったんだぞー?視聴者はいつもの事かと思って諦めてくれるだろうけどさぁ」
「ならいいじゃん、それじゃ適当に街中をぶらぶらと散歩してみよー、何か面白い事があるかもしれない」
「あ、これすぐに帰る気ないな?」
「お金が使えないのが悲しい所だけどね、それに明日までには帰るから大丈夫よ、明日の昼には会場入りしないといけないし、それまでの間だから…多少はね?」
「まあ…いいんだけどさぁ…さっきも言った様にボクを崇拝している集団がいる様な気がするから、できるだけそいつらに近づかないようにしてくれよ?信者が増えるのは良いんだが付き纏われるのはめんどくせぇ」
「早々出会う様なものでもないでしょ、1号を崇拝とか表立った宗教組織じゃなくて思いっきり地下に潜ってる組織だし、表立ったメジャーな宗教だとそれはそれでやばい気がするけど」
「夢の島国じゃあるまいし、その辺の住民が羽虫やその同類って事はないでしょ、ちゃんと普通の人間社会だし」
「ま、そうよね、取りあえず朝ご飯のために川か海に行って魚でも釣るか」
「一夜にして何でも買える食べ物に困らない金持ちから無一文の無職に転職はウケるわ」
「履歴書やら戸籍が必要のない世界なら日雇いでどうとでもなるんだけどね」
「さて、川で釣りをしていた主様、上流の方から変異した人間の死体が流れてきた今とるべき行動は?」
「見なかった事にして立ち去る、そもそもこの世界の緊急通報の番号知らないし、したとしても身分証やらなんやら必要になるでしょー?長時間拘束されて事情聴取とかあるでしょー?なら最初から見なかった事にして立ち去るのが最良の選択。
というわけでささっと別のところに移動して食糧確保の続きと行きましょ」
「頭が肥大化した上に体の一部が溶けている明らかに怪しい死体を無視して立ち去る2人、これ見る人が見たら遺棄した犯人にされるね」
「運が良いのか悪いのかは知らないけど周囲に人は無し、違う川に行って魚を釣りましょ、もしくは下って行って海」
「このまま下っていくと死体がついて来る様な物だし、他の川でいいんじゃない?」
「それもそだね、次の川がいつ見つかるかは知らないけど、片づけも終わったところで行きましょうかね」
「こうしてまた事件が一つ闇に葬り去られるのであった…」
「浮いてるからどこかで誰かが見つけるでしょ、沈んでも川岸のどこかに漂着はするだろうね」
「しかし…脳の肥大化…というより変異と溶解ねぇ…色彩とショゴスが同居でもしてんのか?もしくは羽虫の人体実験か…あいつら脳が大好きだし、肥大化させてから摘出とかやりかねんし」
「まあ、どうでもいいといえばどうでもいいね、それじゃ次の場所に行くぞー」
んー…なんだろ、ここはこれが普通なのだろうか、また死体が転がってる…
「これはグールの食い残しかなぁ?あいつら基本的には持ち帰って残さずのはずだけど、よほど腹が減っててここで食べて、何かに見つかったか見つかりそうになっておいて逃げたか」
「さっきとは別件かな?」
「別件だろうね、あっちは実験体が何らかの理由で逃げて溶けて川で溺れ死んだか投棄、こっちは飢えたグールが襲って食べた感じ、あいつら同居はしないから別件だね、グールが信仰するとしたらモルディギアンとかニョグタとか、何も信仰してない集団で生活してるだけの奴らもいるけど…でもまあモルディギアン信仰は珍しいっちゃ珍しいね、あいつは単に地下の死体安置所にいるだけだし、グールも地下に潜ってるからそれ繋がりでって位だし」
「まあ…なんだ、この世界はそれらが間違いなくいて、日常的にどこかでこういう事が起こっているという事だね」
「言えるのは大抵は作り物の紛い物で本物はいないって事かな?イスとかグールとかその辺りは複製体でほぼ本物、モルディギアン辺りからは何となくそれっぽい感じにしたくらい?ボクとか2号なんかはよほど弱体化させてる作り物じゃない限り扱えないのは確実だし」
「それ用に作られた世界かねぇ?」
「だろうねー、VRで神話系TRPG、テーブルじゃなくてトークの方のゲームもボチボチ出てきてるし、それのテストプレイに放り込まれた可能性?」
「でも携帯とかあるしなぁ…GPSは役立たずだけど」
「で、どうする?」
「もちろん見なかった事にして他の場所に行く、次は海を目指して一直線に進んでみようかな?湖でもいいけど」
「海に行ったら行ったで魚野郎やそのボス的な存在が出てきそー」
「何もしなければ無害…じゃないかなぁ?」
「普通に人を襲えば誘拐もしてくるけどね、まあ主様なら大丈夫か」
「あー…ハマグリが美味しい…アワビとウニも美味い」
「食事のためには密漁をも厭わない主様素敵!漁業関係者と警察のみなさーん!密猟者はここでーす!」
「それで来たら来たで皆死にそう、それに獲って来たのは私じゃないし、そこのお魚さん達だし」
「まあね、一応こいつらって自分より強い者には従順だし、滅ぼされないように、あわよくば保護してもらう為に貢物を用意するしね」
「取りあえず沖に浮かんでる甲殻類と貝類の中間はどうしようか?」
「好きにすればいいんじゃない?煮た食べるなり焼いて食べるなり刺身で食べるなり、普通の人間どころかそこの魚類の仲間ですら食べたら死ぬけど、その前に近づくだけでも石化して死ぬか」
「一応2号と同じガタノのはずなんだけどねぇ、2号も混ぜ物だから本物とは言い難いけど」
「オリジナルそのままのアレを混ぜた物と自分で扱えるであろう状態まで弱体化したこれを一緒にしてはいけない、ボクとか2号にしたらちょっとでかいオウムガイみたいな物だよ」
「んーむ、可食部がどれくらいあるかなぁ…大きさが大きさだけに結構とれそうだけど…」
「触手とか触碗はいけるんじゃない?イカとかタコみたいな物だし、殻の中の内臓とかは知らないけど」
「オリジナルと同じであるのであれば何度か捌いた事が有るから、どこが大丈夫でどこが不味くて食べれないかわかるんだけどねぇ」
「食用として捌いた上に食った事がある時点でイカレてるわ」
「いやー…だってねぇ?見た目が殻を被った触手の多いイカとかタコとかそれじゃない?それでちょっと旅行に出た先で海産物が食べたくなったりするじゃない?となると皆のお腹を満たすのに丁度いいかなーって」
「シャンタクも鳥だからって食ってそうな答えだな、一応家畜には変わらんけど」
「焼き鳥にすると美味しいよね、大きいから可食部が多いし、問題は鶏と違って皮がねー、ちょっと今一」
「鳥ではあるけど爬虫類も交じってるしね」
「肉も親鳥どころじゃない硬さだから普通の人は食べれないね、その分旨味が詰まってるけど…んー…」
「どしたの?やっぱりガタノ捌くの止めるの?」
「いや、たまにはシャンタクを狩りに行くのもいいかなーって、最後に食べたのが何百年前とかそんなのだし」
「天然物?」
「狩るなら天然物でしょ、家畜にされてるのを狩るのはただの強盗」
「野生のシャンタク見つかるかねぇ?」
「この星ならいるんじゃない?野生のガタノモドキもいたわけだし」
「野生のーというか、ガタノは養殖されてないからね?ほっときゃ生き返るけどあれ1体しかいないからね?」
「よし、貢物でちょっとおなかを満たしたところで、ガタノを解体しようか」
「ガタノ解体ショーの始まりだぜぇ!」
「しかしあれだね、ここが神話生物が跋扈する世界だとするなら探索者もいるのかね?」
「いるんじゃない?今日もどこかで正気度全部吹っ飛ばして廃人になってます、ってなってそう」
「ここまで身近にいるなら耐性が付きそうなものだけどね」
「グールとか羽虫なんかの下っ端なら兎も角、本能的に正気をブッ飛ばしてでも楽になりたいっていうやつには無力だと思う」
「これが鳥がら、これが胸肉、もも肉、手羽先から手羽元、ぼんじりと来て身と肌の間にある脂身、ハツにその他内臓」
「ワーオ、すっげぇ冒涜的な惨状だぜこれ、一般人がいたら発狂するぞー?というより仕留める時の叫び声を聞いた人が数値でいうと1か2は削れてそう」
「その人達は運がなかったねって言う事で、ところでこっちを影から窺っている羽ムカデはどうしようか?」
「あー、狩人ね、放っておけば良いんじゃない?攻撃してくるなら仕留めればいいし」
「あのムカデも中がトロトロで美味しいんだよね、脚も太いからカニと変わんないし、身の質は違うけど、焼いてとろっとろになったところをちゅるっと」
「あれも食ったんかい」
「焼いたら固い繊維が融けてトロトロに、生だとゴリゴリでえぐみが強いけど、焼いたらもう…」
「あ、逃げた、一応あいつら人の言葉はわかるし知能がちゃんとあるからなぁ、上位者には勝てない、何なら使役される側ってのを理解してるし、特に命令もないなら逃げるか」
「飼育されてる羽ムカデなのか、それとも野生なのかで対応は変わるね」
「様子見してたって事は使役されてるやつじゃない?追跡すれば飼い主のところに辿り着けると思うよ?狩人を使役出来るやつは結構いるから誰が飼い主か知らんけど」
「いきなり押しかけて行っても迷惑なだけだろうし、今はシャンタクの処理を最後まで終わらせないとね」
「解体が終わった後にまだやることがあるん?」
「ハーブソルトで塩漬け、ハムにしても美味しいのよ」
「なるほど、鳥肉である事には変わりがないからそらハムにもなるか」
「鶏と違って寄生虫がついてないから生ハムも作れるよー?」
「なお普通の人間が食べると発狂する模様」
「しないよ?別に毒があるわけじゃないし、ゴリゴリに固いだけだし、羽ムカデも1回火を通したら生の蟹と変わらないから」
「調理済みの物なら大丈夫か、捌く前の物を見たらやばそうだけど」
「食べたいならまた今度シンエンチホーにでも行って狩ってくるよ?あそこのは全部野生だし」
「野生のヨグソトースとかアザトースとかその他諸々が仲良く殺し合いをしながら同居してるのはあそこ位だと思う、ガタノは兎も角シャンタクと焼き狩人は食べてみたいかも。
元々食べなくてもいい種族だし、ボクの元になった生物もそれを食べたとかいう記憶がないんだよね」
「こっちが胡椒と鷹の爪入りスパイシーハーブソルト、こっちが香りだけのマイルドソルト、こっちが粉末醤油と大葉などを合わせた和のハーブソルト」
「結構な量を使うね」
「塩漬けはこんな物だよ、よし、それじゃあもうちょっと散策して野生の羽ムカデを探そうかな」
「その前にこっちに気が付いた人がいるみたいだけどどうするー?逃げても追いかけられると思うけど」
「関わるのは面倒だからいやだけど、追いかけられると言うのも面倒だからねぇ…適当に話を合わせて言い包めたりすればいいか」
「この血だまりをどう言い訳するかだね」
「まだ向こうからは地面が草木で見えないだろうし、パパパっと証拠隠滅すれば万事解決」
「ワーオ、物凄い単純な解決方法」
「山道を歩いてた時に何かの雄叫びのような鳴き声の様な物が聞こえてここに来たと?」
「そう、こういう木の実を拾っている時にちょっとね、こっちは娘のイチゴです」
「イチゴです、お父さんとドングリを拾いに来てました!」
「なるほど…ですがここ最近この辺りでは不審な死を遂げる物が多いので早く山を下りた方が良いですよ?」
「そうそう、今日は川で頭が肥大化して半身溶けた死体が上がってたしねー」
「一昨日は山道に入る麓で首なし死体、最初はちょっとした行方不明者を探すだけの依頼だったのがどうしてこんな事になったのか…」
「ほーん…」
「誰か居なくなったのー?」
「あ、私達はこういう者です、家出した猫探しから落し物の捜索、デートの代行まで何でもやる探偵兼何でも屋です」
「あ、どうも、私の事は適当にお兄さんとでもパパさんとでも」
「それで探偵のお兄さんとお姉さんはどうしてここに来たのー?」
「それは説明するとお嬢ちゃんにはちょっと難しい話になるかなー?」
「まあ、簡単に説明をすれば行方不明になった探し人が最後に目撃されたのがこの山道の入り口、という情報を得てここに来たのです、その途中で悍ましい叫び声が聞こえたのでこちらに寄り道を」
「少し前からこの山には近づくなとか色々いわれてたんだけどねー、でも探し人が山道を進んでいったというのであれば追いかけるしかないじゃない?前金だけじゃ生活はできないわけだし」
「前金で500万、死体で見つかった場合は250万、生きていれば1000万の以来となれば多少の無茶をしますよねって、そんな感じで山を登ってきたわけです」
「なるほど、まあ私達はドングリなんかの木の実を拾いに来ただけだし、そろそろ山を下りようかな?」
「それなら私達もついて行っていいでしょうか?」
「それはまたなんで?」
「お恥ずかしながら…山道を外れてた時点で道に迷ってまして…」
「あー…」
「何やってんだこいつら…バカなのか…?」
「ん?お嬢ちゃん何か言ったかい?」
「なんでもなーい」
「まあ…じゃあ山道の方まで歩いて行こうか…川沿いに下っていくだけでもそのうち海に出るとは思うけど、道なき道だからおすすめは出来ないか」
「すみません…」
「この川って麓の川や海まで繋がってるのか?」
「そりゃ大なり小なり普通は繋がってるでしょうよ、途中で干上がったりしてなければだけど、川を見つけたらひたすら水を追いかけて進んでいけば結構な確率で人里に出れるよ?」
「地図あったっけ?」
「ほらよ」
「山道がここで、現在地はわからないけど死体が上がった川がここ、この川を遡っていけば…この山に当たるのか…つまり死体が遺棄されたのはこの山?」
「水量と深さを考えればなくもない…?」
「行方不明の人を探しに来たのか遭難状態から抜け出したいのか死体の出所を確かめたいのかどれかにしてね…」
「出来れば全部で、職業から謎は解き明かしておきたいので」
「強欲な奴らだなぁ…」
「見てる分には飽きなさそうだね、巻き込まれたくはないけど」
「あー…やっと山道まで戻ってきたぁ…進んでる時はそうでもなかったけど…ここは結構薄暗いなぁ…」
「陽が当たらないからこそ雑草も生え辛く、その前に踏み固められて道になりやすいってね」
「パパさんはタフだねぇ…お嬢さんを肩車したまますいすい進んでいくとか…」
「お父さん強ーい」
「ところで…どこか…休憩するところは…ありませんかね?」
「人が入ってた山なら山頂か中腹に休憩所があるんじゃない_位置的に多分山頂を目指すほうが近いけど」
「で…では…先導を…お願いします…」
「カンナはもうちょっと鍛えるべきだな、そんなんだからせっかく見つけた家出猫に逃げられるんだぞ」
「うるさい…前金貰ったその日にキャバ嬢に貢いで逃げられたバカアキには言われたくない…」
「それは俺も同意する、タカアキはもうちょっと節制するということを覚えような?」
「へいへい、アツシ所長の言う通りに努力しますー」
「んー…山頂へ続く道とは別に道が続いてるけどどうする?奥の方にそれなりに大きい建物が見えるけど」
「あ、じゃあそこに行きましょう、訳を話せば休ませてくれるかもしれませんし、トイレも借りれるかもしれませんし、行方不明になった人の情報が得られるかもしれません」
「急に元気になった、そんなにトイレに行きたいのか?その辺で済ませりゃいいのに」
「そういうところだぞタカアキ」
「それじゃあ私はイチゴがまだドングリを欲しがっているので館の周辺をうろついてきますね」
「そろそろ夕暮れ時なのでお気をつけて」
さて…館からちょっと離れたところで…
「んー…どうしようかね?」
「好きにしたら良いんじゃないの?別に抜け出して帰っても獲物に逃げられた位にしか思わないでしょ、それに初めて会った3人に協力する義理もなし」
「だよねー、でもこの館の主があれを飼ってると思う?」
「思わない、ちょっと面白そうだからと貸し出されてる位だろうね、何か追い詰められそうとか嗅ぎ付けられそうなら嗾けてみてねーって」
「グールは別件で最初の変異した死体の出所だよねぇ?この館は」
「館の主は多分ミゴの中途半端な技術に魅了されたんじゃない?一応あれでも人知は超えてるし、狂信者とかマッドサイエンティストならそんな物よ、核技術をばらまいた時もそんな感じだったし」
「でー、これで大体合ってるの使用人さん?」
「大まかには、狩人は私のペットですね、貸し出しているわけではありません、館の主がミゴの科学技術に魅了されているのは正解、麓近くの山中であった死体はどこかから入り込んだグールの物で私とは無関係ですね」
「さて、ここからが問題、野生の羽ムカデってこの辺にいない?」
「狩人のことですか?」
「そうそう、あれ焼いて食べると美味しいのよ、生だと固くてえぐみが強いけど、しっかり焼いて殻を割ると中がトロトロでねぇ…」
「少なくともこの山に野生の狩人はいませんね、召喚すればいくらでも呼び出せますが」
「あ…そういえばシャンタクをここに来る途中で狩ったけど、ペットだったりする?」
「ペットですね、ですがご安心を、代わりはいくらでも用意出来ますので」
「ならよかった」
「ま、上位存在からしたら狩人にせよシャンタクにせよいくらでも代わりの利く存在だしなぁ、ボクも呼び出そうと思えば呼び出せるぞ!ゲームが崩壊するからやらんけど」
「崩壊はしないんじゃないかなぁ?街は壊滅するけど、ルシフがすぐにメッておこりながら鎮圧するだろうし、森には駄犬、火山にはひよこちゃん、氷山にはぽっぽちゃん、洞窟にはちょろ助とかにょろぞーがいるし」
「そうだった、あの世界は地味にシンエンチホーよりやべぇのがいるんだった、弱体化されてるけど」
「そちらのお嬢さんは?人ではないようですが?」
「まあただの立体映像だね、今は、存在でいえば使用人さんと似た様な物よ」
「ひれ伏すがいいー、これでもヨグソトースとアザトースを取り込んだニャルラトホテプ様なるぞ!」
「そういう気配は全くしませんが?」
「立体映像だからね、後しっかり躾はしてあるから」
「縛り付けられてなかったらとっくに受肉してるぜ!」
「他にもクトゥグアなんかもほんのり混ぜてたりするから、まあキメラといえばキメラだね」
「…嘘を言っているわけでは無いようですね、何を考えているかは読めませんが」
「それで、これを知った使用人さんの答えは?」
「何もしませんよ、下手に攻撃しよう物ならこっちが消滅するでしょうね」
「よくわかってんじゃーん、どっちが上かわかったらのなら野生の狩人を1匹よこしな!主様がご所望だ!」
「では少々お待ちください、今から使役をせず召喚しますので」
「これでお土産が全部で3種になったね、カイタコモドキと鳥とカニモドキと」
「ガタノトーアをタコモドキで持ち帰ろうとしてる時点で割とシャレにならんね」
「殻の中は肉厚のアワビともホタテの貝柱ともいえる身、足は上質なこりこりのタコ、何も間違ってはいないね、内臓はまずくて食えないけど」
「どうぞ、ご所望の野生の狩人です」
「はいはい、それじゃあちょいとかわいそうだけど食料になってねー?ちゃんと身は余さず食べるからねー?」
「この光景をグールとかミゴなんかが見たら何を思うのか」
「普通に崇拝するだけでは?」
「だよね、ガタノ殴った時も魚野郎達はすぐに貢物を持ってきたし、あいつらそういう種族だもんなぁ…」
「よし、さくっと絞めて解体もパパパッと胴体と足とで分けてお終い、火入れはまた今度だね」
「ところで今日の宿はどうなさいますか?そろそろ陽が暮れますが?」
「場所の割り出しはもう終わったから帰ろうと思えばすぐ帰れるし、明日の会場入りは昼までにつけば大丈夫で直接合流もできなくはないから…うん、泊って行った方が楽しそうだね」
「わかりました、館の主が実験台として手を出そうとする可能性がなくはありませんが、それとなく手を出さないように根回しはしておきましょう。
それと…一緒に来た御三方は如何致しましょうか?」
「別に知り合いでも何でもないから好きにさせたらいいんじゃない?その結果館が崩壊しようが甲殻類が全滅しようが知った事じゃないでしょ?」
「ですね、それではこちらからは何もしないという事で」
「もう少し親子ごっこをしなきゃならんのかー…まあいいか、親みたいな存在である事には変わらんしな!」
「お父さんだよー?」
「ママー」
「色々食い違ってるようですが?」
「あぁ、主様は性別が不定形みたいな物だから、男でも女でも気分次第で変えれるのよ」
「なるほど、理解しました」
んー…やはりこの鳥は美味しい…固いのでかなり薄切りにする必要はあるけど、この薄さでも噛めば噛むほど旨味が…さらになかにはトロトロになるまで焼いた羽ムカデの身を包んであるので更なる旨みで…
「ウメー!これウメーな!食った事無い様な味だけどウメー!」
「こちらは山鳥を使った生ハムでカニのムースを包んだ物になります」
「なるほど、ジビエの一種ですか」
「寄生虫などの心配はない物を使用していますのでご安心を、こちらは生タコと真珠貝のカルパッチョになります」
「真珠貝って…何貝ですか?」
「アコヤ貝と呼ばれる貝です、形はホタテに似ている貝ですよ、その中でも特に大きく育てた貝柱の大きい物を使用しています」
「こんな美味い物が食えないなんて、お嬢ちゃんも残念だなー」
「あれだけ小さいとちょっと疲れただけで熱が出て倒れたりもしますよね」
「後で食べさせるから大丈夫よ」
「それにしてもすみませんねぇ、泊めて貰える上に食事も用意して貰えるなんて」
「いえいえ、気にしなくて良いんですよ、夜の山道は危険ですし、この辺は猪も出るので人が通らない夜のうちに襲われたら死に繋がりかねませんからね」
「猪は危ないもんねー…山から下りてきた猪に襲われて全治2週間とか、当たり所が悪いと牙が刺さって大量失血で入院とかあるし」
「ですので山を下りるにしても登山客などが行き来する朝から昼間が良いですね、今日のところはお食事を楽しんで明日のお昼にでも下山するとよいでしょう」
「はーい、そうしまーす、美人の使用人さーん、生ハムとカルパッチョのお代わりをくださーい」
「わかりました、少々お待ちください」
「ワインもセラーにある一番良い物を出してあげなさい」
「よろしいのですか?」
「こういう楽しい食事の場で飲んでこその物だろう」
「それでは、セラーの方に行ってまいりますので、お代わりは少々お待ちください」
「なんか結構凄い物が出てくる感じ?」
「いやいや、1本20万位の物ですよ、高い物と比べると随分と安物ですがね、値段だけでなく飲み比べた結果これが一番、となって常に1本は持っておく様にしてあるのですよ」
「お酒も好みという物がありますよね」
「私はお酒が飲めないからこれで失礼しようかな?イチゴの様子も見ないといけないし、落ち着いたら使用人さんに部屋に何か持ってきてくれるように伝えてもらえると?」
「はいはーい、じゃあ俺がパパさんの分も飲みまーす、それと伝えておきまーす」
「これだからバカアキは…」
「成功報酬の分け前削って無駄遣い出来ない様お灸を据えた方がいいのだろうか…」
んー…微妙に月の形や大きさ、星座なんかも配置が違ったりしてるなぁ…もうちょっと拡大してじっくり観察して…ふむ、あそこが使用人さんの本拠地…というより夢の島国かな?
「肉眼で見えるのですか?」
「見ようと思えばどこまでも?」
「しかしあれだね、滅茶苦茶堅苦しいニャルラトホテプとか主様の前位でしか見れないんじゃない?超がつくほど弱体化に加えて劣化品なのもあるんだろうけど」
「これでも旧支配者が相手でも負ける事は早々無いのですけどね、この肉体が滅ぼうが消滅する事はありませんし、ですが…」
「主様の場合はねー、その気になれば分体とか影と呼ばれる本体とは程遠いのが相手でも本体を消す事が出来るからね、ケンカを売らないのが賢明だよ。
ボクはしょっちゅう叩かれてるけどな!いたいけな幼女を叩くとかマジ鬼畜!」
「躾は痛くしないとわかりませぬ」
「限度って物があるんだよなぁ…」
「地下にいるミゴが動き始めましたね、ここには来ないように言い聞かせておきましたが」
「そう言えば地下にいるのはミゴだけ?川に流れてきた死体を見る限りでは色彩とかショゴスもいそうなんだけど?」
「いますね、色彩により変化させた場合脳はどうなるのか、取り出した後の体は邪魔になるのでショゴスで片づけていますので」
「脳を研究したところで何がどうなるってわけじゃないんだけどねぇ、そんなんだから万年下っ端で玩具なんだよ」
「あ、そういえば3人組が探してた行方不明者ってどうなの?」
「どんな方ですか?」
「たしか…」
「分厚眼鏡で中太りで腹がちょっと出てて、剥げてはないけど薄くて、なんかぶふぅぶふぅって呼吸をしてそうなやつ」
「最後の情報要る?」
「見た目のイメージからしたら間違いなくでしょー」
「その方であれば研究所から逃げ出したみたいですね、ショゴスに溶かされている時に取り出した場合はどうなるか、の時に他の実験体が暴れましてその隙に、の様です」
「あー…と言う事はあの頭が肥大化して半分溶けてる死体か」
「あの流れてきたやつが探し人だったかー、あの3人は死体が流れてきたという話だけで死体を確認してないみたいだし、依頼は失敗っぽいねー、見分けがついたかどうかわからんけど」
「そもそも生きてここから出られるかどうかが問題じゃないかな?」
「TRPGならもう詰みの盤面だよね、地下には色彩とショゴス、ミゴは何匹いるか知らないけど、研究所って事は5匹は居るだろうし、館の周りには追加されたシャンタク1羽と狩人1匹、味方は自分達以外には居ない、何なら山に登る必要もなかったのにこんな所まで来ちゃって…何の罪もない人をこんなところに連れてくるなんてなんて酷い主様なんだ!」
「今すぐ脱出してもシャンタクと羽ムカデと甲殻類が追いかけるだろうしねぇ」
「まだ3人でワインを飲んでいるようですが、酔い潰れて寝るか、1人になったところで研究室へご案内ですね」
「酔い潰れて寝ると3人纏めて捕獲してご案内、1人になると状況を見計らってサクっと、寝てたら寝てたでそのままご案内ー…クソゲーってレベルじゃねぇぞ!キーパーがプレイヤーにぶん殴られてもおかしくないシナリオになってんぞ!」
「巷ではそういう物が有るらしいですね、我々を題材にどう立ち回るかという物が」
「そういうものを参考にしていたりする?」
「しますね、実際に考えた人がその状態になった時にどういう立ち回りをするのか、またプレイした人がどうするのかを眺めるのは楽しいので」
「それでこそニャルラトホテプ、己の娯楽第一なだけはあるぜ」
「あ、悲鳴が聞こえた、この声は…カンナちゃんか」
「1名様ご案内ー、TPRGなら戦闘技能があればゴミの様に蹴散らせたりするけど…」
「かなり強力なテーザーを持っているのでそれで気絶して終わりですね、実験が目的なので出来るだけ傷つけず迅速に、それを全て避けて攻撃したところで無駄でしょう、TPRGとやらにある装甲の上位みたいな物を纏っていますし」
「うーん、これは紛れも無くクソゲー、深追いして真実を追い求めた探索者をロストさせるためだけのシナリオだね」
「死体を行方不明の人だと断定出来ていればこうはならなかっただろうねー」
「直接見てない状態で断定はできないんじゃないかなー?しかし他2人の悲鳴は無し、となると男2人は寝込みをやられた感じか」
「こうしてまた行方不明者が増えていくのでしたとさ」
「チャンチャン、まあそれはいいとして、また今度夕食に食べた物を向こうでも作ってよー?」
「祭典が終わった後にでもね?」
「食という物に興味はないのと食べる必要がないので食べた事はありませんでしたが、意外と美味しかったですね、人の体を使っているからかもしれませんが」
「元の姿だとねー、そもそも食べるための口がなければ味覚すら存在しないからね、味覚なんかがある人型の特権ってやつ…よ…?
そういえばあいつらシャンタクとか狩人とかガタノ食ったんだよな?」
「そうだね、少なくとも2皿はお代わりしてたよ」
「普通の人間が食ってもいいものなのか…?」
「正体を知らず食べればなんて事は無いただの山鳥とカニとタコだよ、毒もないし」
「それを知らずに実験体として死ねたのは幸運だったのかなぁ…?」
「館の主に関しては最初から狂っているので平気でしょうね」
「最後の晩餐が神話生物の盛り合わせとかしったら死んでも死にきれないだろうなぁ…」
「どうだろ?お代わりするほどだったし、あれ美味しかったなー程度で終わるんじゃない?というより実物を見せないと想像ができないでしょ?」
「それもそか、それより何か変わった物が見える?」
「クトゥグアが太陽のふりをして遊んでるのと、ハスターの衣が黄色じゃなくてカレー色になったのと、アザトースが寝ぼけて隕石にぶつかったのとかかな?」
「なにそれすっげぇみてぇ、黄色じゃなくてカレー色のハスターとかめっちゃからかいてぇ」
「カレーを食べててバッシャーってこぼしたのが原因だね」
「カレーに負ける黄衣とかくっそウケるわ」
「確かにそれは面白いですね、ぜひその状態で信徒に召喚されてみて欲しい物です」
「カレーの神として信徒がさらに増えそうな気がしないでもない、というかなんでカレー食ってんだあいつ?」
「呼び出されたのがカレーの国だったから?」
「あいつは地味に人型に近いし、サインを書いたりする位には信徒に甘いからなぁ、付き合いで食ってたんかなぁ?」
「今呼び出してみる?カレー臭がするけど」
「絶対碌な事にならねー、でもからかいてー!」
「じゃあちょいちょいちょいっと」
「で、私を呼び出したのは誰ですか?」
「そこでお茶飲んでる主様、僕は実体がないから臭いがわからないのが辛いぜ」
「結構スパイシーなカレーの匂いがしてるね、向こうはマサラマシマシなのもあるけど」
「いつからカレー臭漂う黄衣の王になったのですか?…ぶふっ」
「よーし、お前らそこに並べ、1人ずつ首を跳ねてやる」
「残念、ボクは実体がないんだなぁ、そして干渉しようとしてもボクより強くないとダメなんだなぁー」
「私と争っても泥沼になるだけですよ?」
「じゃあせめてそこで茶をしばいているやつ…は無理だな…こっちが死ぬわ…」
「よくお分かりで」
「お前が大人しくしている時点で十分おかしいんだよな、で、何のために呼び出したんだ?」
「主様が衣にカレーをこぼしてカレー色になったって言ったからからかってやろうぜーって?大丈夫大丈夫、カレーの色もちゃんと洗えば元の色とそれほど変わんないから!」
「あっちのカレーはスパイスなんかの都合で黄色く染まるからね、しっかり洗わないと匂いは落ちないけど」
「というわけでもう帰っていいですよ、ですが部屋はちゃんと消臭してから帰ってくださいね?次の実験体がここに泊まる時にカレー臭が嫌になって逃げ出すと面倒なので」
「うるせぇ!好きでこぼしたわけじゃねぇんだよ!私としてはここを消し飛ばしてもいいんだぞ!?意味もなく呼び出されておとなしくしてるだけでもありがたいと思え!」
「壊された所で私は遊び場を変えるだけで困りませんので」
「あー…こいつめんどくせぇ…」
「お茶飲む?」
「飲む…人の姿を取ってるせいか胃痛がするわ…」
「しかしあれだねぇ、やっぱりTRPGでやるとこのシナリオクソゲーにもほどがあるわ、どうやってクリアすんだよこんな物」
「真実を追い求めず行方不明者の死体を確認してはいお終いがグッドエンドかな?」
「結論、何も始まらない」
「始まった時点で終わりが来ますね、ハスターまで追加されましたし」
「何の話をしてるんだ?」
「私達を元にしたTRPGなる物があるんですよ、それで今の状況をこれに置き換えるとハスターが来る前に研究所送りになった3人組は探索者、いわゆるプレイヤー、ここの館の主が表ボス、地下にいる色彩とショゴスは触らなければ別に、夜になると実験体を捕獲に来るミゴが裏ボス、私は面白ければどちらでも良いのでジョーカー、こちらのお二方も盤面を好きに弄れるジョーカー。
クリア条件としては館の主を始末するか無力化すること、ミゴを全て無力化する事ですね、シャンタクと狩人は私が指示を出さなければ動きませんし、ショゴスは定期的に餌を貰っているので基本無害、色彩はちょっと叩けばすぐどこかに行きますし、その辺りは気にしなくていいですね、実際館の主なり地下のミゴなりがいなくなればしれっとどこかに消える予定ですしね」
「ただ、ゲームなら基本的に前情報が云々とか、探索やらなんやらをして証拠集めとかをするんだけど、ここに来た時点でもう詰みというか、どうにかしてそこの劣化ニャルを味方に引き入れないと絶対に全滅する。
まず夜になって寝た時点で1人1人確実にご案内、残り1人になったら叫ばれてもいいのでこんばんわしながらテーザーで気絶させて、で全滅確定、そもそも初対面の人を攻撃する、なんてのはイカレタやつ位しかやらないし、もう館に入った時点で全滅エンド確定なんだよね。
今日ここに訪れた3人はある意味で幸運であり不幸でもあった、館に目もくれず山頂を目指していれば生還出来た、もしくはどうにかして主様を口説き落して味方につけていればミゴも色彩もショゴスも全部纏めて消し飛んでた、でもダメだったと」
「人間社会では何の感情もない初対面の人相手に協力を仰ぐ、なんてのは緊急時以外ありえないですからね、これがゲームであれば説得なり言いくるめでクリティカルを出せば良かったんでしょうけどね」
「まあ、どのみちここに来た人間は絶対に死ぬってやつだな」
「そういう事ですね、ハスターもこちらのゲームブックを読みますか?暇な時に信徒を使って遊べますよ?」
「要らねぇ、信徒を減らしてどうするんだよ、居ても居なくても変わらんが」
「結構遊べますよ?その辺の一般人を適当に選んでお金をちらつかせて競わせるとか、ここみたいに適当な奉仕種族に餌をちらつかせてその行く末を見守るとか」
「趣味悪いやっちゃなぁ」
「あ、それと今太陽の近くでクトゥグアが太陽の真似をして遊んでるそうだよ、それ位暇をしているやつが多いし、遊ぶのは悪い事じゃない!」
「あいつも何を一体やってるんだか…からかえる様なやつなんて限られてるからやりたい放題なんだろうけど…で、私を呼び出したあんたは何をやってんだ?」
「元の世界…というより惑星の位置やら距離やらは割り出し終わってるから、明日には帰れるように扉をつないでおこうかとね?帰ったらここにはもう戻ってこないから片道切符だけど」
「なるほどなー、大体どの位のところに住んでるんだ?」
「ざっと宙図を描いたとしまして、今いるのがこの1ミリ程度の惑星、元々いたのが同じくこの1ミリ程度の惑星、屋敷があるのがもっと離れたこの2ミリ位の惑星、海とかガレージもその中の星の衛星として存在してるね」
「スケールがやべぇなぁ…光年は基本として兆とかそんな単位じゃ足りんわ」
「ちょっとズレはあるかもしれないけどね、これ以上小さく書いたらさすがにね」
「これでも十分見づらいわ、惑星全部まとめて1ミリの点とか、後2ミリって地味に主様の惑星でけぇな!」
「まあ、遊びに来るならご自由に、かな?」
「門を開いたとして、開くのに何日かかるんだこれ?」
「ゲームの用にMPだのなんだのと言った物はないからどうって事はないけど、集中して5日はかかるんじゃない?」
「やってやれなくはないかー…まあ気が向いたらだな、そっちに行っても信徒はいないだろうし」
「いないね、シャンタクとかそういう存在もいないし、それと君達のオリジナルといえる存在がいるのがここ、消滅したくなければここには近づかない事だね」
「まだまだ遊びたいので消滅したくはないですね」
「それじゃそろそろお風呂に入って寝ようかな」
「では私は失礼しますね、部屋の片付けもしなければなりませんし」
「一方的に呼び出された私はどうすりゃいいんだ?」
「帰れば良いんじゃないですか?」
「ひでぇ!」
クソゲー
TRPGのシナリオに当てはめると生還率0%の間違いなくクソゲー、死体を川岸で確認できていれば生存、もしくは館によらずに山頂まで行って休憩をしていれば生還もできて死体確認で追加報酬も貰えた
ゲームと違い確実に捕獲するために寝込みを襲撃、テーザーで確実に気絶させてからお持ち帰り、残り1人になれば叫ばれても大丈夫なのでたまにサービス精神で、館から飛び出してもシャンタクと狩人に捕獲されるので詰み
先代シャンタクは夕食の食卓に並んだ、野生の狩人も食卓に並んだ、ガタノも食卓には並んだ、けどそのうち海に捨てられた脳から再生する




