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まだどうなるかわからない 骨しかない

「あー、今年の祭典の時は裏の管釣りはやってても表の店は閉めるのか」

「管釣りの方はバイトが居るからね、こっちは1週間は閉める事になるかな?6月の1日から4日まで祭典があるでしょー?それで私の場合会場入りが3日前、今年は花井ちゃんもスタッフとして会場に入るから店を回す人がいないのさー」

「今年は花井ちゃんもスタッフとして入るのか」

「そう、ネレイドってプロスタッフやインストラクターがまだいないでしょー?テスターはお兄さんのところとうちで引き受けてるけど、私とお兄さんはレッドウルフのスタッフとして会場に入るし、解説だなんだってやるのが雇われだとしても詳しい人の方が良い、というわけで比較的暇をしてる花井ちゃんが御呼ばれしたってわけ。

ま、その結果1週間ちょい店を閉める事になったけど、来月の発注の時にネレイドの製品は問屋を通さず直接卸して貰える事になったし、問屋を介すよりはるかに安く仕入れる事が出来るから、店を閉めた分のマイナスは取り戻せるかなと」

「今年はさすがに半公式の大会はないよねぇ?」

「ちょこちょこ会場のセッティングで向こうに行ってるけど、今の所そういう気配はないね、もしかしたらプラも何も無しで当日に発表かもしれないね、その場合道具も何もないから勝負以前の問題だけど」

「会場に展示してある道具…とは言っても、リールだけとか竿だけのメーカーもあるからねぇ」

「だから今年は本当に無い、んじゃないかなぁ?プロ達からすれば大会がある方が嬉しいんだろうけどね、去年と全く同じであれば各賞も取れば合計で1500万位入るわけだし、そんな高額の大会って国内にはないし」

「変な大会は結構あるのにねぇ、ちょい投げでいくらでも釣れるキスに10万とか20万かけて道具を用意して、手返しとか訳の分からない技法を生み出したり」

「あれは本当に意味が分からん、キスを釣るだけならそこのリール付き580か、ちょっとした仕掛けも一緒になった980円のコンパクトロッドで十分だし、餌を短く切ってつけて投げて、後はただ底をずる引き、当たったらちょっと合わせるかそのまま巻くだけで針にかかるし、釣れた10匹の重さを競うー…って言いつつ優勝ラインが15センチ前後のやつを5匹だし、わけのわからん小細工をしたり道具に金をかけてるくせにへたくそすぎるんだよなぁ…掛かりやすくするために重りがこうで針がこうで、底を引く時はこうやってとか当たったらこうやってとか、あーだこーだ言ってる割りには釣果に繋がってないし。

そもそもキスを釣るなら針の大きさと形だけ有ってりゃいいんだよ、重りにしてもバス用のバレットシンカーにサルカン、それとハリス付きの1本針でも1時間もありゃ20から30匹は軽く釣れるし、大会の時期を考えたら遠投する必要もないし、重りはこれの何号で、針と針の間隔はこれ位で、餌の長さはこれ位で付け方はこうで、とか御大層に説明しているくせに15センチあるかないかが5匹で優勝って頭おかしいだろ…10年位前なら環境が色々と死んでたからあれだけど、今の環境で決勝の制限時間は30分で短いからってのは言い訳にはならん…」

「ここの浜でもぼちぼち入ってきてるしねー」

「大会があるのは8月初週、つまりは産卵するために浅場に良型がうじゃうじゃ入ってきてる時期、なのに数が居ない沖に遠投、針の本数も別に制限はないから胴付きの4本とか5本にする人もいる、でも餌取りばっか釣ってキスが釣れないっていう」

「ほんの20メーター30メーターも投げれば20から30のキスが釣れるのに、何で80メーターとか100メーターもぶん投げてるんだろうねぇ…?」

「そういうわけのわからない事するのが第一人者とか名乗ってプロインストラクターになってるからじゃない?プロの言う事だから、プロもやってる事だから、それで優勝してるからって、皆その真似をして釣れなくなって、手返しとか別にやらんでもいい技術が誕生して、プロも含めてどんどん釣りが下手なのが増えていくっていう。

もうそういうやつはプロを名乗るのをやめて、近所でちょっと釣りが上手いおっさん程度で大人しくしておけと言いたいね」

「何の話です?」

「いやー、最近は環境が物凄い改善してどうやっても釣れるのに、それを釣れないやつがプロを名乗ってるなーっていうそういう話」

「んー…?」

「ハゼとかキスよ、どうやっても釣れるのにプロを名乗ってるやつは30分かけても5匹も釣れないっていうお話」

「あー…そう言えばもうそんな季節ですか」

「そんな季節なのですよ」

「予選が6月、本戦が7月、決勝が8月と良い時期なのにリミットメイクまでいかないのは謎ですね、胴付きを使えるのであれば30分で20からの物が30匹は釣れるでしょうに」

「まあ、メーカーが稼ぐために色々やった結果では有るんだろうけどねー、わざと数が釣れないやつをプロとして担ぎ上げて、やたらめったら難しく釣れない状態にして大会を開いて、高い道具の宣伝をしてそれを売りつけるっていう」

「フカセなんかはプロって感じがするんですけどねぇ、餌取りをよけて本命の所まで落とし込む方法とか、潮の流れを的確に把握する観察眼と経験とか、上と下とで潮の流れが違うのでそれもしっかりと見たり」

「ハゼとかキスは子供が浜辺や川岸からちょいっと投げて釣るような魚だし、大会を開くにしても…ねぇ?今度参加して思いっきり荒らしてやろうか…」

「子供のポコポコプロレスに本職が出張って行くような物なので、予選の抽選時に弾かれると思いますよ」

「プロとは一体…」

「まあ、今はそれは置いといて、大会があるかないかわからないというのが問題よ」

「そうだねぇ…去年は私達がプラ1日だけで優勝、社長と副社長に至っては0であの成績でしょー?だから会場入りの日とか開始前日に大会がありまーすってきそうで怖いんだよね、それを見越してボートと道具を持っていくか、無いと楽観視して手ぶらで行くか」

「あったとしても参加するのが誰になるのか、大会形式はどうするのか、ですね、2人1組が基本として、どのプロがどのメーカーにつくのか、同じメーカー同士で組むのか、それとも抽選でペアを決めて1時間毎に操船権が移るタイプか」

「前回は操船権は無いに等しかったしね、同じメーカーでペアも決まってて、打ち合わせでどの時間どこを攻めるとか決まってたし、1人5匹ではなく2人合わせて5匹のメイク、だれがどれを釣ったかは記録されてたけど」

「ネレイドの場合はプロとしてスタッフに入るのは私だけですし、そうすると人数不足で参加出来なくなるので、同じメーカー同士ではなく、抽選でペアを決めて、の可能性が高いですね、ある場合はですが」

「我らがレッドウルフの社長と副社長も人数合わせで出場したし、各メーカーから4人じゃなく2人の出場なら社長であるアイナちゃんか会長が出るんじゃない?」

「それを考えると無くはないですねー…一応会場入り前日に道具位は一通り持って行っておいたほうがよさそうですね」

「ボートも持って行っておけば万全なんだろうけど、なかった時の事を考えると…後レンタルボートでもどうとでもなるっちゃなるし」

「こういう時あるかないのかがはっきりとわかってないのは辛いねぇ」

「公式なら年間予定の方に何月何日にーって書いてあるけど、メーカーが絡んでいるとはいえ、成績には残らない半非公式だからねぇ、参加費用なんかがあるわけでもないし、やっぱやーめた、ってのも出来なくはない」

「そもそもバスじゃなくてヘラとかそういう大会の可能性もなくはないよね、もしくは複合、初日これ2日目これ3日目これって」

「それをやられるとレッドウルフは辛いんだよなぁ、契約してるのって恵里香ちゃんも含めて3人だし、それと同じでネレイドも人数がね」

「全般何でも出来るって時点でハンデはほぼ無いに等しいですけどね、連日出場で疲労がどうのって位ですかね?それも心配する必要はないですが」

「会場入りするまではわからないってのが性質悪いよなぁ…ま、今年は無い物と考えて、もし有ったら取りに帰ってくればいいか」

「無い方が平和で良いんですけどね、雑誌社の方からインタビューだなんだと受けなくていいですし、ブースに来た人に説明するだけで済むので楽ですし」

「ま、どっちが楽だと感じるかだね、でー、お兄さん今日は何が入用で?」

「あ、そうだね、オモック用のナツメを3号から10号まで、ばら売り用のやつを100ずつ、丸とナス型1号から5号を100、タイコとオタフクが5から12を100、リーダー用スパルタとグラディエイターの3号から20号を50ずつ、ハリス用スフィア0.01から3号を10ずつ。

狐針1号から4号を200、流線が3号から6号を100、メバル用8から10号が100、チヌグレ1から5号100、タマン13から18を100、ムツ30から50号を100、海用オフセットとストレート1から3を100」

「また随分と買うねぇ」

「ジュリアさんが来てから消費が激しくてねぇ、海の方で釣りが出来る様になったからメイド達もテストを兼ねて色々やっているってのもあって針と重りがどんどん無くなるし、リーダーも無くなっていくし…」

「ロストしても回収される様になっているとはいえ、折れた針とかボロボロになったものはそのままだもんね」

「ただ回収するだけだからね、リサイクルはしてるけど」

「その気になればロストしないよう、リーダーも傷が付かないように出来るだろうに」

「でもそれだとテストにならないという悲しい現実、どういう状態でどれだけ無茶をすれば針が折れるか伸びるか、竿がバラバラに折れるか一ヶ所から圧し折れるか、糸が切れるか切れないか、ドラグが壊れないかどうか、そういうのを確かめるとねぇ」

「製品になった物なら気にしなくていいけど、テスト中の物は壊してなんぼみたいなところがあるしねー、簡単に折れる竿とか要らないし、ドラグが簡単に壊れるリールも要らないし」

「まあ、そのおかげでネレイドの製品は結構良い物になったと思うよ?エントリーでもそう簡単には折れないし、磯堤防用の上物もエントリーのお値段が15000円位なのにタマンの80とか行けるし、扱い方次第ではメータータマンも行ける」

「それはなかなかコスパが良いね、堤防シリーズよりはまだまだ劣るだろうけど」

「基本的にレッドウルフ製品は値段と性能が吊り合ってないからねぇ、良い意味の方で」

「花井ちゃーん、注文分ありそうー?」

「ないですね、追加発注をかければ来週には揃いますが」

「じゃあ追加発注でー、私もテストするにはしたけど触って無い物の方が多いからねー、それだけ性能が良いならのべ竿とか上物も10本ずつ位は仕入れるか」

「なんだかんだで元になってるのがマーメイディアのブランクスだしね、リールもマーメイディアの派生みたいな物だし、フカセを始めるならこれって感じでエントリーの上物とレバーブレーキリールを組み合わせた物を置いとくのもありだね、どっちもエントリーなら合わせて3万もしないし」

「ビッグゲームをやるならレバーブレーキは要らないけどね、エントリーでビッグゲーム出来る方が色々とおかしいけど」

「そこはほら、技術が進歩したと思えばね?」

「レッドウルフが台頭してきてから一気に進んだよねー、安くて強くて折れにくい、リールも高性能、1万円あれば数年前のハイエンドクラス以上の物が買える、堤防シリーズは長い分さすがに竿が1万位するけど」

「レッドウルフがなかったらここまで進化してなかったかもしれないね」

「追加発注飛ばしましたよ」

「はい、ありがとさん、代金はいつも通り引き落としで、だね」

「それでお願い」

「あ、そうだ、帰ったらジュリアに明日ボート持っていくねーって伝えておいてー、さすがにラッピングするためのシートが国外からの取り寄せだからちょっと時間がかかったけど、ちゃんとジュリアのデザイン通りには出来たからね。

傷に水垢にコケ等防止のコーティング剤が明日には乾くと思うし、遅くても夕方までにはお届け」

「はいはい、それじゃまた明日ー」

「まいどー、また何かあったらよろしくー」


「という感じで、ちょっと遅れたけど明日には納品出来るって」

「番組の収録に行ってたから遅れたってわけではないんだな」

「番組収録は1日で夕方には終わってるし、乾くのを待ったりする時間もあるからねぇ、今は最後の仕上げのコーティングを乾かしてる状態だから、遅くとも明日の夕方には来るはずよ」

「ボートのラッピングって地味に重要だからなぁ、ブランドアンバサダーは続けてるから宣伝をする必要があるし、その時に同業他社のラッピングボートに乗ると後がめんどくさいんだよなぁ…マキシマとの契約はまだ残ってるからその時はアイナボートを借りてるが、そのボートにしてもアナライズとかブルーオーシャンのロゴが入ってるやつもあるだろー?だから扱い難いのなんの」

「色々縛られてるってのは大変ね、ところで恵里香さんに丸投げしたカンパチは?」

「美味かったぞ、もう骨位しか残ってないんじゃないか?」

「そっかぁ…まあ、メイド達が来ているならそうなるよね、適当に冷蔵庫を漁って何か作ればいいや」

「冷蔵庫も空になったからディジーが買い物に行ってるよ」

「オーウ…」

コーティング

傷が入らない様にしたり錆びない様にするための物、若干強度を上げる意味もある

シートだけだとすぐボロボロになるのでちゃんとクリアコーティングはしておこう、無しだとちょっとした傷から水圧で一気にボロボロになって剥がれるので

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