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発売されなかった物もある 美味しい煎餅

「なぁアキラ」

「どうしましたジュリアさん?」

「このクランクとかミノーのリップが付いてないのは未完成だからか?」

「あー…それですか、別に未完成ではないですよ?クランクやミノーを使っていてもうちょっと深い所を攻めたい、浅い所を攻めたいって時用にリップを交換出来る様にしてあるんですよ、ルアーを変えれば良いだけの話ではありますけど、ルアーを100とか200とかポンッと買える人は一部ですし、持ち歩くにしても邪魔になる、と言う事で出来たのがこのリップ交換式。

そういう構想をするメーカーは多くあれど、結局は別物として売った方が儲かるので作らない物でもありますね」

「そもそも長く使うと塗装自体がボロボロになって使い物にならなくなるし、あまり交換する意味はねぇな、それに沈めたけりゃ沈めたいだけロッドを水中に突っ込めばいいだけだし」

「おかっぱりだとそれがあまり出来ないので…ってやつですかね?テスト結果は悪くなかったんですけど、発売される事は無かったって物なので、取りあえず飾っておこうって感じで置いてる物です、ここに展示されてる物は生産ラインに乗る事無く終わった物も多数ありますしね、ソフトルアーの展示は製品しかないですけど」

「ハードはパッケージがなくても大丈夫だが、ソフトはパッケージがないとなぁ…」

「アクリルかプラスチックで模型にするという方法もなくはないんですけどね、展示されているソフトルアーは廃盤になる事もなく今も生産されてますし、気になった物があれば使ってみると良いですよ」

「特に気になってるものは今の所ないなぁ、まだ全部見て回れてないだけともいうが」

「ガレージはかなり広いですからね、隅から隅までじっくり見て回るだけでもかなり時間がかかりますし、こっちの休憩所にも色々展示してますので」

「別に全メーカーの物を集めているってわけではないんだろ?」

「基本的には契約をしているところの物、それ以外は少数、契約しているところの物以外ですとお兄さんの作ったスプーンやら、釣れるんジャーも各色1代目から最新の物まで複製された物が展示、メタルジグやスプーンのコーナーだけでもかなり有りますよー?

展示しているだけで使えない物も結構有りますけどね、実況部屋の物は基本的に持ち出しても良いけど使用禁止、ロストしたらもう手に入らない物が多いですからね、未発売のまま開発終了してプロトだけが残ったリールも展示されてますし」

「発売されてないプロトのリールまで流れてきてるのかよ、普通メーカーが抱えてるか処分してるだろ?」

「回りまわって店長さんが抱えていて、なんやかんやあってここに流れてきたって感じです、店長さんも展示するだけで未使用のままでしたし、一応貴重なので展示してあります、使いたい時はお兄さんが複製した物がありますので、そちらを引っ張り出して使うといいです、まともに投げる事すら出来ないえぐいリールですけど」

「投げれないリールはいらんなぁ…投げれないとか明らかに欠陥だし」

「どんなに軽ーく投げてもバックラッシュするリールですからね」

「ブレーキがいかれてんのか?」

「ブレーキはメカニカルのみ、電子制御らしき物はあるんですけど、どちらかと言えばモーターなんですよね、ちょっとスプールを回すと発電してちょっとずつ加速していく、永久機関に近い物を積んだリールなんですよね、なのでアクセルを踏んだ様にスプールが回転して糸をどんどん送り出して、指で制御しないと盛大にバックラッシュ、というリールになってます。

リールの仕様上遠投しようとしたり、狙った所にスパーンと入れようとするのが非常に難しい、メカニカルで強く締めても回転速度が変わる位で、スキッピングとかそう言うのは出来ないですね」

「ブレーキが壊れたリールよりヒデェな」

「試みは悪くないんですけどね、どれだけかっ飛ばせるリールを作るかっていうのは大事ですし、そういう競争が一番激しかった時期の物らしいですからね」

「ボートでやるなら30メーターも飛べば十分だけどな、でもそういう大会ばかりでもなし、陸からでしか行けないところでやる大会もあるからなぁ、とくにトーナメントで1対1の場合は幅30メーター位の川でやる時もあればでかい湖で陸からやる事もある、そういう時は飛距離が欲しくなるな」

「国外の道具は触る事がほぼないんですけど、向こうの道具ってどうなんですかね?」

「電子ブレーキは少数、こっちから輸入した物位しかないな、ブレーキも基本的に特許も無い通常の遠心とマグネットが主流、ラハブとJ&Mも基本的にはその遠心とマグネット、ルアーがメインでロッドとリールはサブ的な物だしな。

それと基本的に力で投げるからメカニカルは強め、遠心とマグネットも強め、キャパは25lb100が基本、そんな感じだな」

「こっちのリールはキャパシティが減少傾向でしたからね、酷い物だと12lb60メーターとかありましたよ、糸を細くスプールも浅く、さらに行き着く所まで行き着いたような物なのが8lb40メーターのベイトフィネス」

「あれなー…プライベートで小物を釣るなら良いんだけどなぁ…大会に持ち込むのはバカでしかないぞ、水草の中から水草ごと引きずり出すとかが出来ねぇし、何も無い水面しか狙えない、海も海でそんな細い糸で何を釣れというのか、トレバリーフェスだと最低でも30lbはねぇとどうにもならんぞ、歯で切ってくるやつが多いからな」

「国内のリールが大容量、糸も太く強くに戻り始めたのは初代マーメイディア等が出た辺りからですね、10グラムという軽めの重りでも20lbの糸で100メーターは飛ばせる、というパフォーマンスがかなり受けたのもありますが」

「10グラムを本当にそんなに飛ばせるのか?」

「屋内無風、もしくは追い風なら投げ方次第で、18グラムにもなれば余裕で130は、パフォーマンスとして投げたのが恵里香さんですし、小さい非力そうな女性でもあそこまで投げれるなら自分でも、ということもあり、とにかくかっ飛ばしたい人がわーっと。

今のマーメイディアはまあそこまで飛ばせる人がいないからってことで20lb150メーターに落ち着いていて、ワイバーンは逆にDスプール採用で20lbが300メーターほど巻けるようになっています、ネレイドから出る新しい物はDスプールを採用してるので、初代と同じ様に20lbを200以上巻く事が出来る様になった、とアイナが言ってましたね。

最近は1つのリールで何でもやろうって人が多いですし、キャスティング性能だけでなくキャパシティを求められる、さらにワイバーンに売り上げ台数で負けた結果、だと思います」

「パッと見は普通のベイトやスピニングなんだがな」

「大きいとパワーが出る、ドラグも強く出来る、キャパシティも増える、ただ重く投げ辛くなる、手の小さい人には扱い辛い、なので小さくても大型よりキャパがある、パワーもある、軽い、ギア比が15までいじれて大型より巻き取り量が多い、そんなリールが選ばれやすいんですよね、今時は」

「ワイバーンも子供位しか使わないような500番ですらドラグが30キロとかあるもんな…」

「キャパシティもPE5号が300巻ける程度にはありますよ?クリムゾンウルフになるとそれ以上ですが、まあ、一応大型になればその分ハンドルの長くなって巻き取り量は増えますし、大型でもちょっと小さい8000番から30000番も需要はあるんですけどね。

ポセイドンとセイルフィッシュは15000から5000刻みで30000まで、3メーターオーバーのマグロやカジキを対象にチューンされているので、対大型魚であればマーメイディアとワイバーン以上ですね、クリムゾンウルフという上には上の物が存在しますけど」

「こっちの道具は色々進みすぎてる気がしないでもないな」

「その分高いですけどね、エントリーとミドルも出てますけど」

「でもやっぱり500番で6万とかは頭おかしいと思うわ」


「こっちの青いロッドとリールはどこのメーカーだ?色的にはマーメイディアに近い感じだが」

「それはクリムゾンウルフが出る前、マーメイディアとワイバーンが出た時期の祭典で抽選がありまして、その時に限定で貰えた物ですね、ベイトとスピニング、右利き用左利き用で計4種、作ったのはお兄さんです。

現存してるのはもうここにある4つと、抽選で当たった物を今も使ってる3人が持つ3つだけだそうです」

「折れたり壊れたりしたとか?」

「転売禁止、という規約を破った人が多数出たので強制回収されて破棄されました、性能的にはクリムゾンウルフのプロトの様な物なので折れる事も壊れる事もないですよ、一応記念品ということで複製して展示されてます」

「転売はどうかと思うが、強制回収して破棄ってのもすげぇなぁ」

「スポンサーがルシエラカンパニーですからね、規約を守らない人が悪いとしか」

「そう言えばチャンネルのスポンサーに居るんだったな…世界で一番的に回したらいけないところが…」

「敵に回さなければ良い人達ばかりなんですけどね、家の法にも頻繁に出入りしてますし、困った事があれば相談すれば相談に乗ってくれますからね、多少非合法な事でも力技で解決してくれます、頼む事はまず無いですけど」

「逆らえる人間がいなければ対抗できる国もなし、まあやりたい放題だよな、喧嘩を売った企業が売った瞬間多額の借金を抱えて潰れたとか、個人が相手でも容赦をしない、見放された国は通貨価値が皆無に等しくなり崩壊する、とか言われてるくらいだし」

「まあほとんど事実なんだけどねー、殴られる覚悟もないのに殴りかかってくるほうが悪い!」

「あ、ルシフさん、ガレージに何かご用ですか?」

「おうともさ、ご主人様が煎餅を作るっていうからその材料を釣りにね、養殖してるエビとかイカとかも煎餅にするけど、魚も煎餅にして食べようって事でねー」

「魚煎餅といえば小魚ですけど、何を煎餅にするんです?」

「淡水の方は取りあえずナマズかな?他にはアマゴとヤマメ、それとワカサギモドキとシシャモモドキをちょろっと、ご主人様は海でカニとウニ、ホタテと牡蠣を取りつつ煎餅用のアジを釣ってるよ」

「煎餅良いですねー…私も釣るので食べさせてください」

「良いよー?ジュリアちゃんはどうするー?」

「私もおやつに食べようかね、タカムラの家で食べてた骨煎餅とはまた違うのか?」

「骨煎餅は揚げ物、今から作ろうとしているのは押し潰して圧縮しながら焼くせんべい、タコとエビ煎餅が有名ですね」

「アユのメスが釣れたらそれは別々のクーラーに入れておいてね、そっちは塩焼きにするから」

「アマゴとヤマメの子持ちはどうします?」

「それも焼くよー?腹を開いて余分な内臓だけを抜いて、身を炭火でじっくり焼いて、仕上げに卵にちょっと甘辛いタレを垂らして、塩の効いた身と甘辛いぷちぷちとした濃厚な卵を一緒にね?

アユも内臓を抜いて、ワカサギモドキとシシャモモドキは鱗だけ取って塩焼き、フライとか天ぷらも欲しければ作れるよー?」

「煎餅だけじゃなく普通の食事になりそうですねー」

「ま、そんな物だよ、それじゃ私はちょっくら上流にいるナマズとかヤマメとかアマゴを釣りに行ってくるから、シシャモモドキとかワカサギモドキの方をよろしくー、他にもなんか食べたいのがあればそれも確保しとけばいいよー」

「はーい」

「あいよー」


「このプレス機は業務用ですかね?」

「業務用っぽいけどウルカンに作って貰ったやつだね、だから電気コードなんかがついてないし、安全装置として手を挟んだりした時は重さなんかが掛からないように出来てる」

「こっちの藁を巻いてるでっかい鍋はなんだ?」

「んー…言うなれば持ち運び式の囲炉裏?底や縁までに熱がそれほどいかないようにするために灰か石を敷き詰めて、その上に火をつけた炭を置いて、団子とか餅とか魚なんかを串に刺して焼くの、テレビで見て真似をしたくなったからちょっとやってみた」

「どこかの神社でやっているやつでしたっけ?」

「神社だけでなく、有料公園の庭園なんかでも茶店がやってたりするよー?焼くときは藁にこうやって刺して焼く、大体20分位、団子や餅だと早いけどね」

「今日は団子無し?」

「無し、欲しいのならちゃちゃっと作ってくるけど?」

「食いたいから頼む」

「はいはい、それじゃ煎餅のは各自でよろしくー、わからなかったらルシフが作ってくれるよ」

「さっぱりわからんね」

「私も作った事が無いのでさっぱりです」

「結構簡単だよー?まず閉じてる状態で鉄板の温度を160から180度位まで、ものによって温度を変える感じ、温度が上がったら開いて上下の鉄板に油を塗る、次に煎餅にしたい物を真ん中に、複数置く時は潰れた時に広がっていくのを計算に入れてね?

それと、ちょっと注意しないといけない事もあるからそれを実演するために牡蠣を煎餅にします、まずは牡蠣に小麦粉をたっぷり、粉は別に叩き落とす必要なし、粉をつけたら広がる範囲をざっと感覚で計算して配置、まあこの大きさなら1つでいいけど。

そしてここからが大事、プレスを始めるといい音がするんだけど、ここで一気に圧力をかけると」

「おわっ」

「こんな感じで爆発します、これはまあ科学の問題だね、一気に熱されて蒸気になった水分の逃げ道がなくなって、柔らかい部分を突き破って噴出して爆発するってやつ、まあ勿体ないからこのまま煎餅にするけど。

最後まで行ったらここから60秒から90秒、家庭用の小っちゃい、この位のやつだと圧とか色々足りないから焼き時間がやたらと掛かったり焦げたり、そもそも潰れなかったりするけど、これは最大2トンまで掛かるから一気に中心温度も上がってパリッパリになる、業務用が大体1トンね。

そして90秒位経ったら開いて、こうやって破れたり千切れたりして隙間が出来ている所に煎餅生地を少々、そしてもう一度閉じて、さっきと同じだけ圧力をかけて締めて、60秒位焼いて横からびよーんって出てきた生地をスクレーパーかヘラでしゃっと切り落として開けば…はい、特大牡蠣煎餅の出来上がり、簡単でしょ?」

「そのびよーんって出てきてる固まってないのは大丈夫なのか?」

「これは水分が抜けてないだけで火は通ってるからこれはこれで美味しいのよ?それと水分が多い物の爆発を防ぐにはゆっくり締めていくのが大事、少なくても爆発はするけど、一気にぎゅっと締めない限りは隙間から蒸気が抜けて行って爆発しづらくなるから、そこを見極めてだね。

まあ取りあえず牡蠣煎餅を食いねぇ、焼き立てのパリパリは美味いぞー?後見た目の通り薄いから結構食べた気になっても量はそれほどではない」

「大直径50センチ位と大きくきく見えますけど、1ミリもないですもんねぇ…厚さが…」

「大体0.5ミリとかだね、もっと圧力をかければ0.1ミリとか出来るけど、食べ応えはなくなるね、業務用の倍位掛かるようにしてるのはガザミなんかを完全に潰す為だね」

「牡蠣の味が濃いなぁ…これは酒が欲しくなるわ」

「水分が抜けて旨味の塊になってるからね、煎餅の生地は小麦粉と片栗粉が1対1、それにソースと青のり少々、お好みで削り粉や紅ショウガを入れて溶いた物、だからこの生地だけでも美味しかったり。

さぁどんどん好きなものを煎餅にして食べるがいい!」

「カニはばらさずもうこのままですか?」

「そう、そのまま、エラも何も取り除かず殻ごとメキメキっと、そしてちょっと長めにかつ強めに圧力を掛けてあげれば全部食べれる。

見た目よく焼きたいならこうやって足を広げて、垂直に圧力が掛かるようにして締めて行って、ハンドルを回してメキメキ鳴り始めたらゆっくりと、そして最後までギューッと締めて2分待つ、そして開いて、隙間が出来ないように生地を流してもう一回焼く、するとこんな感じで綺麗にカニの形そのままの蟹煎餅の出来上がり」

「余す所無く食えるのが良い所だなこれ、んむ、カニもカニで酒がほしくなってくる」

「割となんでも煎餅に出来るから、気になった物があればどんどんやってみると良いさー、ちなみに肉でやるとジャーキーみたいになるよ」

「それはまた今度華ちゃんに肉を頼んでからですね」

「団子の用意が出来たよー、後はもう焼くだけー」

「よーし、それじゃあ煎餅をぱりぱり食べつつ焼きつつ魚と団子を焼いていくかー」

プレス煎餅

業務用であれば大体1台50万からで買える、が、それ用の三つ又コンセントがなければ使えない

エビでもイカでもタコでも肉でも潰せるものであれば大体何でも煎餅にできる、欲張って入れすぎるとはみ出てきたり爆発して無駄になったりする

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