世間は連休最終日 荒れないわけがない
えーと、用意する物はティップをML60ベリーとバットをM120で組んだ3メーターちょいのクリムゾンウルフにナイロン4号を巻いた3000番、それとアジを泳がせるための針とイカを引っ掛けるためのヤエンを用意して、サビキは後片付けがちょっと面倒なので撒き餌とアジングタックルの併用、それとヤエンが微妙な時のためのエギングタックルも持って行って…後は竿立てやらギャフやらの一式を引っ張り出したら準備完了。
今年は釣れるかなぁ…アオリならともかく、ソデイカたまに暖かい潮に乗って迷い込んで来る位で居つくわけではないし、本気で狙うなら南の島なんだけども…あまり遠出をするわけにもいかないし、迷い込んできてるのが釣れたら良いなー程度で基本はアオリイカだぁね。
忘れ物は無しの、あったらあったで店長さんの店で買うなりウルカン製の道具を使うなりして、撮影機材も大丈夫の…うん、こんな物だね、それじゃあいつもの堤防まで行きましょ。
問題があるとすれば…3日から続く連休により場所が大分荒れてそうな気がしなくもない、という事かねぇ…ジュリアさんが言うにはお店から見える範囲でも結構居たみたいだし、ダメだったらその時はその時、養殖場のヤリイカとホタルイカで我慢しましょ。
最後にもう一度荷物の確認をしまして、ソデイカ狙いなので大型のクーラーボックス、アジを生かしておくためのバッカン、それと酸素タブレット、エギ1号から3号までハイフラッシュの物で揃えて、アジング用のワームにジグに、気分転換用のシャッド用ジグヘッド、その他諸々…大丈夫だね、台車に全部乗っけたところでいざ出発。
「それじゃちょっと釣りに行ってくるねー」
「はーい、お帰りは何時頃の予定でー?」
「釣れたら直ぐに、釣れなかったら夕方位、大漁だったらお昼頃」
「わからないってやつですね、連休最終日とはいえそれなりに人がいるとは思いますので、トラブルには気を付けてくださいね?ご近所の方であればどうって事は無いでしょうが」
「遠くから来てる人はねー…たまに変な人が混じるからねー…まあ行ってきまーす」
「はーい、お土産期待してまーす」
まずは店長さんのお店で氷を購入しまして、クーラーボックスの半分位まで入ったところでストップ、堤防まで移動したら氷入りのクーラーボックスに海水をそれなりに入れて、撒き餌も作ったらまずはアジを寄せてきて釣ると。
狙いが狙いなのでちょっと大きいやつがほしいので、撒き餌さで小さいのを除けたらちょっと深いところを狙って、4匹位確保したところでアジの尾に針を軽くかけて泳がせ、後はイカがアジを食べ始めるまでのんびり。
ただ待つだけも暇なので、エギング用にと組み合わせておいた方の道具でソルト用ジグヘッドをちょい投げ、最終日とはいえ休日には変わりはないので釣り客はそこそこ、距離は取っているので泳がせも問題なく出来るとはいえ、エギ用の組み合わせだと色々限界があるので走られない様に大きいものは狙わずに…
うーん…いつもならこれで底近くを引いて来れば何かしら根魚が釣れるけど、釣れないと言う事は釣られて居なくなっていると言う事か…粘れば何かしら釣れるだろうけど、エギングもしましょうかね、イカスミはそこかしこにあるし、アオリイカ、もしくはコウイカがいるはずだし、2号位から初めて、そこから小さくしたり大きくしたりでやっていきましょ。
泳がせているアジはまだ元気、イカに捕まる事も何かに食べられる事も無く、たまにチリチリとドラグが出る程度、早い時だと直ぐ来るんだけど…イカもイカでちょっと減ってる感じか、1日と2日も休んで7連休にして入り浸っている人もいるだろうし、イカが好きな人は毎日何杯も釣っていくだろうから…
まあ、慌てず急がずのんびりやっていくしかないねぇ、まだ午前7時とはいえ見渡すだけでも20人は居るし、お昼に近づくにつれて学生さんも増えてくるだろうし、アジやイカ狙いなら時間はあまり関係ないし、アジングエギングの人がどんどん来るだろうから…
そりゃ数も減るよねぇ、1日100人出入りしたとして、ボウズの人を含めても1日で200はイカが釣られてるとして、それが7日間だから1000ちょっと、数は減っていくから1000と言う事は無いだろうけど、まあ500から600は釣られてるよねぇ…
なんて考えているうちにエギの方にイカパンチ、ちょっと緩めて抱きかかえたところでビシっと、んー…それ程大きくはない、網も不要でぶっこ抜き、300グラム無い位かなぁ…アオリではあるけど小さいのでリリース、せめて600から800は欲しい所。
アオリイカは大きければ美味しいと言う物でもないし、美味しく食べるなら800までよねー…そしてアジはまだまだ元気、もうちょっとエギングでアオリを狙っていきましょうかね。
「おーっすお兄さん、なんか良いの釣れた?」
「リリースサイズのイカだけだねぇ、店長さんは晩酌のイカ狙い?」
「そうそう、お昼近くになってお店も落ち着いたし、ジュリアとの話し合いも落ち着いたからちょっとねー」
「1日2日で終わる様な内容じゃないからな、テスト品の送り先位ならここにーってだけで済むが、国外への出荷量を増やしてくれーってなると中々難しいんだよ」
「個人輸入にしても数量制限付いちゃってるからねぇ、どんだけ人気なんだよと」
「店長さんとしては何個まで増やしたいの?」
「今月に10個でラハブが5種、J&Mが3種だから計80個、入荷した翌日にはもう売り切れるから月20から30、出来れば50に増やしたいんだよねぇ」
「大型店舗でも入荷しました、って言っても5つ位だったりするもんねぇ、あっちは取りあえずラハブとJ&Mなら何でもいいやって感じで仕入れれる物を仕入れてる感じだけど」
「それでも釣れるし売れるってのが凄い所」
「それと同じでく向こうにはアナライズとブルーオーシャンがほぼ流通してないんだけどな、ショップに行ってもショーケース入りで高級品だし、似たような物といえば似たような物だな」
「アナライズもブルーオーシャンもどちらかといえば国内優先だからねぇ、マキシマやワールドは国外に支社があれば工場もあるし、そこでロッドもリールもルアーも作っていれば流通もあまり気にする必要はなし、逆に国外仕様のリールの方が需要があって個人で輸入する人がいる位かね?」
「そういえばこっちのスプール浅いよな、20lb60メーターとかマジ?って思ったし」
「ボートでしか釣らない、魚探を見て足元にしか落とさないプロ用に作ってたからそうなったんだよね、後細い糸じゃないと釣れないとか言うセコ釣りしかしないプロも出てきてさー、それでシャロースプールだのフィネスだのってのが出てきて、細いナイロンやらフロロを使うと切れるからってPEの0.6に12lbリーダーとかね、訳の分からん事ばっかりやってるのよ」
「PE禁止の大会とかどうすんだよそれ…」
「その時は4lbとか8lbを巻いて使う、そして国内から出ない、PEを使わにゃどうにもならんグローリーとかそういうのにもまず選ばれないからそもそも大きな大会は出れない」
「つまんねぇ奴らだなぁ…」
「投げるためにPEの1.5とか2で200とか300巻いて投げるっていうのならわかるけど、そうじゃねぇんだよな、魚探見て大きいのが釣れないからどんどん糸を細くルアーも小さくしていくんだよ、そしてそれで作られたリールやらわけのわからん何用何用ってロッドが大量に販売される」
「そもそも釣れるやつは何用何用って選ばんよな、むしろその1本がどれだけ使いまわせるかが大事だし、ロッドチェンジするにしても単に結び直す時間を短縮するのが目的だからなぁ、ベイト3本同じ竿って事も結構あるぞ」
「トレバリーフェスは激戦だもんねぇ、トレバリーだけが対象ではない、いきなりこの魚を釣った人に特別賞でーすってくるし」
「その特別賞がえぐいんだよな、何センチ、もしくは何キロのピタリじゃないとダメだし、特別賞の賞金が10万ドル、そして制限時間も1時間、何が対象になるかわからん以上専用だなんだって考えて作るのは無駄でしかねぇよ」
「そして専用という概念を取っ払ってしまったのがこちらのクリムゾンウルフ、専用にしたけりゃ自分でロッドパワーとテーパーを選んで組み合わせな!って言う変わったロッド」
「お兄さんの青い奴は?」
「あっちはアズライトウルフ、色が違うだけで中身は同じよ、ちなみに開発者であるお兄さん専用というか限定のロッドで非売品」
「ほー…なるほどなあ」
「7月にこれの上位互換のアルマディンフェンリルってのが出るよー?さらに頑丈になってドラグもマックス100キロになったやつが」
「このリールサイズで100?」
「このリールサイズで、色々限界に挑戦してるような道具と言っていいね」
「むしろ何を釣るんだよ…サメでも釣るのか?」
「対象としては南の島でガーラとかアカジンとかアーラミーバイ、北でカンナギと呼ばれるメーター超えのマハタ、そういう物がライトタックルで狙えてしまう」
「バラムツなんかも狙えちゃうね、しかもドラグフルロックで糸すら出さないパワーファイトが出来る」
「体が吹っ飛んでいきそうだなぁ…」
「まあ、基本的には10段階調整に加えてドラグノブでの調整だから、限界まで締めても最弱は5キロ、だからそこさえ間違えなければ吹っ飛ぶ事はないよ」
「色々変わったリールだなぁ…」
「色々技術を詰め込んだ文字通りのフラグシップだからね」
「ところでそっちのずーっと置いてるロッドは何を狙ってるんだ?」
「ソデイカ、たまに暖かい潮の流れに乗って迷い込んでくるからそれをね、年に2匹か3匹くらいしか迷い込んでこないけど」
「そんな居るかどうかもわからんやつを狙ってるのか…」
「そんな居るかどうかもわからんのが釣れてる堤防だぞー?190オーバーのブリヒラとか、2メーター半のオヒョウとか釣れてるんだぞー?」
「時期が時期なら80超えた寒ブリも良く釣れるよね、っと、んー…これも小さい、持ち帰りサイズが釣れるのはいつのことか」
「連休でアジンガーエギンガージギンガーと一杯来たからねぇ、少なくともアオリは600からは釣られてるはずよ」
「人数を考えると800が10は欲しいんだよね、ソデイカなら1匹で良いけど」
「ソデイカってどんなの?」
「こんなやつ」
「赤いなぁ」
「こいつが1年で20キロ位まで育つ、めっちゃ肉厚で甘くて美味しい、アオリはコリコリっとしていいんだけど、こいつはまた違って柔らかくシコシコとした触感」
「まあ、アジはすでに6回位変えてるけど、アオリすら齧ってこない状態だね」
「それは大分渋いなぁ、エギが無反応でも結構齧ってくるのに」
「おかげで用意したクーラーボックスに入ってるのは弱ってダメになったアジだけっていうね」
「これは晩酌用のイカが釣れるかどうかも怪しいかも知らんね」
「釣り客もどんどん増えてきてるしねぇ、来た時は20人位だったけど今は60人位いるし、テトラの方とか人が入れる場所ないんじゃない?」
「テトラは帰りの道を考えずに降りると帰れんくなるからね、意外と入れそうで入れないっていう」
「昨日よりは少ないな」
「連休最終日だからね、県外から来ていた人は今日はもう来ない、居るのは比較的近場の人位よ、とはいっても4割は遠くから来た人だろうけどね」
「まあ、場所はそれほど空いて無い事には変わらんし、ここで投げるか」
「というわけでお隣におじゃまー」
「どうぞどうぞ、根魚すら釣れない場所だけど」
「1ヶ月位経ったらほぼ元に戻るとは思うけど、来月の末になったら浜のほうに網を入れにゃいかんからなぁ」
「網を入れて魚でも獲るのか?」
「いんや、遊泳可能エリアの設置、たまーにサメが迷いこんでくるからね、人を襲うような種類じゃなくても何かあったら噛んでくる事には間違いなし、と言う事で網を入れて、さらにその外側にも網を入れて2重にして、その内側に居るかもしれないサメやらエイをちょっとした延縄やら浜からぶっ込みで釣って駆除」
「去年はそれほど大きくはないけど2匹位釣れたんだよね、それとアカエイは踏んづける可能性があるのでサメより優先的に」
「エイかー…アレあぶねぇんだよなぁ…釣るだけなら楽しいんだが」
「ジュリアも駆除に参加するー?日当は出ないけど」
「気が向いたらな」
「んー…またアジが弱ってダメになっただけか、これはヒラメも青物も居ないっぽいなぁ」
「連日3桁からの釣り客が来てたし、もうどうしようもないね、ちょっとやってダメだったら船出して沖に行くか」
「それも有りだね」
ソデイカ
1年で20キロまで育つけどアンモニア臭くならず肉厚で甘くて美味しいイカ
アカイカとも呼ばれているのでスーパーなんかにもアカイカという名前てちょこちょこ売られていたりする、刺身だけでなくフライや天ぷら、炒め物なんかでも美味しい




