本日休業 良い事ばかりではない
「あー、一応大人しくしてるんだ？」
「ご飯食べて釣り、ご飯食べて釣り、ご飯食べて釣りして風呂入って寝る、って感じだけどね、よく分からない魚にのされたまま終わったのが相当悔しかったらしい」
「沖堤防の方に行った？」
「沖堤防近くでキャスティング、トローリングタックルは置いてないしね、以前は有ったけどもう売って処分しちゃったし」
「基本スタイルはキャスティングのスタンディングだもんね、あの船がそう？」
「あの船だね、1号湖の隔離してあるトラウトと違って、6から7メーター位の普通のカジキをスタンディングで1時間以内に釣れるなら2時間か3時間で釣れる程度…では有るんだけどね」
「人それを釣れない魚と言う、ヒラアジ系ってただでさえ力が強いのに3メーターまでいて、更に筋力マシマシでしょ？」
「だね、それでもメイド達からしたらまあこんな物か程度だけど」
「そりゃ力比べしてあのメイドさん達に勝てる様な生物は居ないでしょうよ」
「鍛え方が違うからね、でも力や体力を意図的に落すための道具も有るし、それが有るからいつまででも楽しめる、技術を要する釣りなんかも好きだしね」
「あ、のされた、ドラグ50キロフルにかけてのされなくなった辺りがスタートライン、そこからルアーを壊されない様針を伸ばされない様にコントロールしてようやく勝負に、力や体力はやっているうちに後からついて来る」
「一応メイド達も制限を掛けてウルカン製じゃなく、ポセイドンとかセイルフィッシュを使って釣ってるんだけどね、最大ドラグが50だからPEもそれに合わせてスパルタの一番良いやつで5号150lbのやつ、リーダーもアトナイロンテスト20号280lb」
「投げやすさと強度を重視するとそうなるよね、一体PEだけでいくらかかっているのか…」
「使い捨てじゃないし、ヨレ防止とか時間経過による劣化防止が付いてるから意外と長持ち、だから意外とお金は掛からないね」
「Dスプール様様だねぇ、あ、メイドさんにストップ喰らって本格的に終了した、あの糸を完全に張って引っ張られてる状態で針を外すのってどうやってるんだろ」
「まあ、刺さってるわけじゃないからね、根掛かり外しなんかとあまり変わらない、魚をコントロールして口を開けさせて、ついでに針が外れる方向に頭を振らせてれば簡単にするっと、極めれば0.1号だろうが0.01号だろうが常に魚を頭を自分の方向に向けて、自分の方に向かって泳いで来る様にも出来る、でもそれは技術であって力と力の勝負にはならないから針外し以外で使われる事はほぼ無い、技術ならメダカ釣りで良いしね」
「アレは集中力なんかも必要で地味に疲れるんだよね、気が付いたら掛かっていた、ではなく、自分から針に掛けて釣るってなるとタナゴがどれだけ簡単に思える事か」
「針も大きさもタナゴより小さい物じゃないとダメだし、当然餌もタナゴより小さく、そしてタナゴと同じでどれだけ小さい物を釣れるかと言う世界だしね。
はい、摘まみのカキフライ、花井ちゃんもご注文のタコの唐揚げねー」
「ありがとうございます」
「それにしても…今日はお暇な感じ？」
「そうだね、そろそろ新作発表に備えて皆お財布の紐が固くなってきてるし、ちょこちょこーっと餌を売ったら店仕舞い、だから来月も仕入れ自体はほぼ無い感じ、餌は仕入れるけど、竿とかリールとかルアーはほぼ無いね、6月頭に祭典、終了後新作の予約受付開始、末にパラパラ売れた物とまとめて発注、かな？」
「特にネレイドの新作…と言うよりはネレイドが打ち直した物を待っている人が多いでしょうし、ロッドとリールはほぼ売れない状態ですからね、マキシマ製のロッドとリールはもう在庫含めて売りきったと言うのも有りますが」
「安いエントリーから高いハイエンドまで一気に仕入れるからねー、その為の棚も確保して結構空きだらけになってるんよね、リール用のショーケースもマキシマのリールが入ってた1列すっからかん、竿立ても丸々空き状態。
のべ竿から上物まで、リールも片軸から大型両軸まで、ドカンと一気にだから1日位店を閉めて陳列、整理してから2日目に引き渡し開始、の方が楽だろうねぇ」
「そんなネレイドの新作がもう既にうちには全てある、って言うね、生産ラインに乗ってどんどん作られてるから一足先に、だけど」
「その辺りはもう色々とずっぶずぶなテスターの特権よね、普通のテスターならコーティングもしてない状態のブランクス、テストが終わったら返却、そしてその後に竿が貰える、なんて事は無いし」
「プロであれば提供して貰える事も有りますけどね、要は宣伝になる、使わせれば買う人が次から次へと出てくるほど影響力が有る、と思われて居れば次から次へと新しい物が送られてきますね」
「その辺りは今も変わって無い気がするけどね、あまり影響がない、まあちょっと売れたらラッキーだなって程度の人の所には新しいソフトルアー、それとハードルアーがいくつか、竿やリールなんかは送らない、そしてルアーなんかの追加は無い」
「中には自分からすり寄って行って催促する人も居ますしね、そう言う人はいつ切られてもおかしくは無いですが」
「だからこそ単価の安い物しか送らないんだよね、後は自分で買え、ただで欲しけりゃもっと有名になって誰もが買いたくなるような宣伝をしろ、もしくはあの人が使ってるんだからと思わせる位有名になれって。
他には品性とかそう言うのも求められるけどね、最低でも模範的な釣り人でないとメーカーの名前に傷がつくし」
「うちはもう適当に新作が出たよーって適当に使ってるだけだけどね、ちょこちょこっと説明はするけど」
「ま、お兄さん達の場合はむしろ初心者からプロまで使う道具を作ってる側だからね、その辺も含めて色々規格外」
「私も店長もやっていた事なので規格外かどうかと言えば微妙な気がしますね」
「今の時代ではって事よ」
「はい、ホタテの甘露煮の天ぷらとフライ、更にタルタル大量」
「そのまま美味しい甘露煮を天ぷらとフライにすると言う贅沢、そして誰が天ぷらにタルタルが合わないと言った！と言う悪魔の組み合わせ…これは酒が進むわ…いくらでも食べれる身体万歳」
「花井ちゃんはたこわさ、それと刺身盛り合わせ」
「んー…ジュリアはまだ船で頑張るみたいだねぇ、何度やっても無理だとは思うけど」
「その内釣れる位の体力と力が付くって感じでやってそうでは有るね」
「はー…タイの刺身が美味しい…」
「負け犬が飯を食いに来たぞ、首輪を着けてペット用の皿に盛ってやれ」
「なにをー？じゃあタカムラはあれが釣れるのかよ？」
「無理だね、だから今はまだ挑まない、のされて間抜け面をしてるジュリアを見ながら飲む酒は美味しかったぜ？」
「そんな物関係なくここのお酒は美味しいですけどね」
「昨日はカレーを食べたし、今日は何を食うかなー…」
「負け犬は犬らしく骨せんべいでも食べときな！」
「なにをー」
「はい刺身に使ったアジの骨せんべい」
「サクサクしてうめー、あ、鶏の唐揚げくれ、大盛りな、タカムラとハナイは何を食べてんだ？」
「今食べてるのは釣り餌にも使えるキビナゴの刺身を軽く漬けて握った寿司」
「タラバとズワイガニ、それとエビのしゃぶしゃぶです、休みの日くらいはたっぷり食べませんとね」
「ほんとなんでも出て来るよなぁここ、注文して出て来ない物が無いんじゃないか？」
「サンクスビギング伝統の火災ターキーも頼めば出て来るんじゃない？」
「アレは料理のりの字も知らん馬鹿と火が好きな馬鹿がやるから火事になるだけだ、凍った物を熱した油に放り込んだらすぐ溶けると思ってんだよ、あの手のやつらは」
「ターキーは解凍するの時間がかかるからなぁ、2日前位から解凍しておけばいいのに当日冷凍庫から出す、または買う、そして馬鹿みたいに熱した油の中へ投入、そして溶けた水が蒸発、膨張して油爆発、火災へ」
「消防が絶対やるなよって警告動画とかテレビでもやるなよってやってもやる馬鹿が居るんだよなぁ…それだけ馬鹿が多いって事なんだろうけど」
「ウォーターサーバー用のボトルを使った火の実験で燃えてる紙を入れて入口を塞ぐと潰れるって言うやつ、あれを見た馬鹿が屋内で液体燃料とガスを注入して火を入れてロケット化、そして爆発ってのもお前んとこの国のやつだよな」
「馬鹿は火を扱うのが好きだからな、度数の高い酒に火をつけて飲もうとしてこぼして自分の股間を燃やして再起不能になったやつも居るし、紙幣を液体燃料に漬けて液体が燃えている間は紙幣は燃えない、ってやってたやつも燃料をひっくり返して火傷、共通してるのは消火するための物を一切用意してない、それとただの馬鹿って事だな」
「まあ、油関連での火災ならこの国でもちょこちょこ有るけどな、揚物中に火を着けたままどこかに行く、そして燃える、まだ燃えてるだけならゆっくり蓋をして酸素を断つなり、蓋が無いなら絞ったタオルで塞ぐなりすりゃ消えるのに、何も知らん奴は直ぐに水をぶっかけたがるんだよ、それで爆発して全焼コース、良くて半焼。
それでもほとんどの料理人は知ってるからそうするなよって教えるし、放っておいても大丈夫な温度管理の出来るフライヤーで揚げ物をする事が多いんだけどな」
「はい、追加の唐揚げ」
「んー…何個食っても飽きる気がしねぇ」
「休憩したらまたのされに行くの？」
「どうすっかなぁ…ドラグが緩いと全部持って行かれるし、フルロックでものされてるとそのまま持って行かれて強制ストップだし、狙いを他の物に変えるかなぁ…」
「変えなくても沖堤防より内側に移動すれば大きさが普通の物程度になるよ、それでも通常の物より走るから苦労するとは思うけど」
「負けた気がするけど…釣れないよりはマシかぁ」
「やーい負け犬ー、アオリの握り頂戴ー、それとネギトロ中巻き、それと卵」
「しゃぶしゃぶにブリとフグを追加で」
「お前ら食ってばかりだなぁ…どんな胃袋してるんだよ…」
「はっはっは、大食い選手が尻尾巻いて逃げる位には食えるし太る事も無いぜー、良いだろー？」
「まあ、ジュリアさんもその内ね、はい、油物を取った後のお茶、ちょっと苦いけど余計な油分を完全に分解してくれるから胃もたれする事が無いよー？」
「やべぇ物が入ってんじゃないかって効果だな…」
「お茶を飲むのも作るのも好きだからね、ちょこちょこ研究してはブレンドしてーの副産物かな？身体に害はないから大丈夫よ、大量に飲んでもちょっと苦さで辛くなる位」
「確かににげぇ…でも後味は悪くない、ちょっと休憩したらまた船の上でキャスティングしてくるかー」
「頑張れー、のされたらまた負け犬って煽ってやるから」
「ひでぇやつだ」
「はい、追加注文のアオリイカの握りとネギトロ中巻きに卵、ブリとフグねー」
「明日に備えて今日は食いまくるぞー」
「あー…やっと面倒なのが居なくなった…人がばらしてるのを見てそんなに面白いかね？」
「むしろ仲が良い事の表れじゃないかな？もしくは積年の恨みがちょこっと籠ってるとか」
「うーん…後者は心当たりが無くも無い、優勝を掻っ攫って行ったり、借りたルアーをそのままパクったり、それどころか大会のタックルを忘れて丸々借りたまま返してないし…」
「それで恨みを込めるなと言う方が無理では有るね、優勝に関しては勝負だから割り切ってるだろうけど、借りた物を未返却は…」
「向こうには無い道具でさー、すんげえ使い心地が良かったんだよ、その後個人で輸入したりもしたし、まあ結局最後の最後まで返さなかったけどな、折れるまで使ってやったわ！
後その頃にはもうタカムラは新しいリールとロッドを作って使ってたしなー、あまり気にしてない物かと？
あぁー…それいい、それ効くわー…」
「1日中投げ倒してGTを釣ればそりゃガッチガチになるよね、今の肉体はまだ老体に近いし」
「タカムラとハナイみたいに全盛期に戻るのはどれ位掛かるんだ？あいつらだけ若返ってるのすげぇ嫉妬するんだけど？」
「んー…まあ1ヶ月もここで過ごしていればそれなりに、2ヶ月位もすれば全盛期位までは戻るかと、今まで通りのジュリアとして露出する場合は今の老体に近い感じのメイクをしないとダメだけどね」
「わざと年を取っている様にメイクをするとか面倒だなぁ…」
「今はフェイクコスチュームが有るからメイクも必要は無かったりもするけどね、店長さんも花井ちゃんも今はそっちで誤魔化してるしね」
「ま、良い事ばかりじゃないよなぁ…若い頃の私の姿を覚えているやつはそれ程居ないだろうけど…あぁー…これ良いわー…終わる頃には腰も治ってそう…」
「のされてのされて後半戦はのされはしなかったものの無茶をしたから…まあ腰が壊れるよね、それじゃ解し終わったから鍼打つよー、抜く頃には完全に治ってるはず」
「あーい」
若返り
いつの世も若さを永遠に保ちたいと言う人はいる、なので若返った姿を露出のはあまり好ましくない
店長さんと花井ちゃんは混乱を防ぐ為にあえて若返る前の姿に見える様にメイクをしている、最近はフェイクコスチュームのおかげでメイクの必要はなくなった
