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皆真面目に戦っている 最終奥義

 屋敷が崩壊する恐れのあったゲーム大会が終了し、6日目の朝。

 今日の日程を確認。

【鳥人コンテスト】

 これは…荒れるな…


 鳥人コンテストのスタイルは主に3つ。

 1:自らの腕力だけで空を飛ぶ、道具に頼らない、手と腕だけをばたつかせて空を飛ぶ。

 2:2人または3人1組になり、相方をプロペラの如く回して空を飛ぶ、要は人間竹とんぼ。

 3:フリースタイル、何でもあり。

 これが基本となる3つのスタイルで、気分によって追加されたりする。

 どれが一番やばいのかと言えば…全てである。

 浮遊したり、浮遊した状態から風を操作して空を飛んだり、種族によっては自前の羽で飛ぶ方が手っ取り早い。

 だが、そこをあえて腕力だけ、相方を回して飛ぶという事に焦点を当てた結果…


「ぬうううううぅぅぅぅぅーーーー!!!」

 1人のメイドが腕を高速でばたつかせ、今飛び立つ!

 …そして吹き荒れる風、発生する衝撃波。

「そこ!障壁甘いぞ!」

「ひいいぃぃっ!!髪の毛にかすったぁ!」

 更には真空刃に鎌鼬等が会場内を飛び交い危険地帯に。

 そりゃね…空を飛ぶ鳥さんみたいに身体は軽くないし、羽なんてものもない、有っても使用禁止。

 皆己の腕力だけで空を飛び、チェックポイントを抜け、区間タイムを争っている。

 身体を水平にしている者もいれば、垂直で飛んでいる者もいる。

 ただやはり、荒れ狂う風や衝撃波に真空刃が飛び交う中を無理やり飛んでいるだけあって、被害が加速度的に増えていっているのが問題か。

「障壁を抜けた刃が森の木を切り倒してるううぅぅーーー!」

「誰か今飛び立とうとしてるやつ止めろ!障壁組に回せ!」

「無理です!もう残ってるの私達だけです!」

「だああぁぁぁ!!あいつら後でぶん殴ってやるうううぅぅーーー!!」

 うーん、観ている方は楽しいんだけどねぇ…現場組は地獄か…

 物理法則?ああ…あいつはいい奴だったよ…


 続いて人間とんぼ部門。

「手と足の角度をもう少し…手が後1度くらい下に傾けて…

掴んでいる腕はそのまま!もうそのまま動かさないでー…

よし!」

 流石に竹とんぼの様に簡単に回せるわけではないので、羽となるメイド、棒となるメイドを筒の中にセット。

 後は一気にロープを引っ張り回転させ、空に飛ばす。

 当然空を飛ぶにはかなりの力と回転を必要とし、羽となるメイドの角度が少しでもずれればあらぬ方向へ飛んでいく。

 羽根となるメイド、棒となるメイドが一体と化し、ピクリとも動かなくなるのがコツ、角度を設定し飛ばすメイドも角度設定が悪いと、飛んだ直後に墜落して恨みを買う。

「いくぞー!」

 ロープの長さ制限はないのでどれだけ巻きつけるかはチーム次第。

 巻き終えたメイドが最初はゆっくりと、段々と加速させ勢いよく回転を始める。

 ここぞと言うタイミングで一気にひっぱり、羽と棒としたメイドが空に飛びあがる。

 そして発生する小型の竜巻…

 とんぼとなったメイドは天高く飛んでいった…


 人間とんぼ部門の優勝は宇宙進出が3組で同率1位で優勝。

 優勝者以外の参加者は、現在発生した竜巻や暴風などの後片付けに追われている。

 勝てば高みの見物、負ければ後片付け、敗者にかける情けなどないのだ…


「ままー、おなかすいたー」

「あぁ、もうそんな時間か…」

 コンテストが2部門終わった所で昼食時。

 後片付けを続けているメイドは終わるまで昼食抜き、無情なり…


 午前中に動き回ったせいか皆何時もより昼食は多めに取り、その後体を休めるために仮眠。

 鳥人コンテストで一番危険な部門、フリースタイルに向けて備える。

 フリー…つまり自由なだけあって何でも許される。

 今から道具を作って飛んでも良いし、羽がある物は自分の羽で飛んでも良い。

 むしろ普段と同じ様に、宙に足場を作って歩いても良い。

 飛ぶのを妨害しても良いし叩き落としても良い、制限時間まで空にいた物が勝つ。

 複数人残った場合は設定してある限界高度に近い者の勝ち。

 はてさて…今回は誰が勝者となるのか…

 地上からの妨害役として活躍しそうなディアナとミネルヴァは現在退行中。

 今日も木陰で不参加の三姉妹達と共にお昼寝。

 誰が妨害に回るのかにもよるけど、荒れそうだなぁ…


 フリースタイル部門の開始が告げられ、参加者は各自相手の位置を確認しつつ、自分にとって最適な場所を選ぶ。

 無策に飛び立てばその場で撃ち落とされるので、まだ飛び立つ者は一人もいない。


 開始から10分経過した頃に動きが有り、一人が飛んだ瞬間撃ち落とされ、そちらに目が言った直後、何人かが飛び立った。

 出来るだけ高く、後続を撃ち落せるように、地上から放たれる対空射撃を避けて飛んでいく。

 途中2人ほど撃ち落とされたが、4人は限界高度まで到達、それぞれ四隅に散って行った。

 四隅に陣取った四人は追いかけて飛んでくるメイドを撃ち落とし、地上にまだ残っているメイドは飛び立つメイドを盾にするか、背後から撃ち落としている。

 20分経過した頃、四隅に陣取っている四人には妨害として、回避に専念すればギリギリ避けれる位の攻撃が妨害役から放たれている。

 その隙に、まだ地上に残っていたメイド達が一斉に飛び立つ。

 妨害は一番高い所にいるメイドを優先的に狙い、たまに隠れているメイドを炙りだす。

 避けれない攻撃は飛んでこないので、回避に専念さえできれば避けれるのだが、当然合わせるように周りからも攻撃が飛んでいくので、限界高度にいるメイドは既に四隅から離れ、不規則に旋回して回避しているし、ドッグファイトをしているメイドも居る。

 そして開始40分で参加していたメイドも残り5人まで絞られた。

 制限時間まであと20分、勝者無しも有りえるフリースタイル、残っている5人は生き残れるのだろうか…


 フリースタイルは生き残った最後の賭けに出たメイドが限界高度まで飛び、撃墜されたが地面に着く前にタイムアップ。

 撃ち落とされはした物の、地面にはまだついていなかったという事で勝利を得た。

 景品などは出ないが、生き残ったという栄誉は得られる。

 得られるが…撃ち落とされたメイドは気絶していた…

 ニールやティア達が龍になってても装甲を簡単に貫く威力の物も混じっていれば、当たれば確定で気絶するのに何所までも追尾してくる物混じっている。

 賭けに出たところ全方位を囲まれ気絶、そして墜落した。

 とはいえ勝利は勝利、気絶して真っ白になっている状態で台座に座らされていた。


 勝者の特権である特別製に椅子に座り、今日が終わるまでのあとわずかな間ではあるが、気分は女王様。

 気絶から復帰したメイドは好き放題に振舞っている。

 お茶の時間ではお菓子を献上させたり、肩を揉ませたり。

 夕食の時間は自分で取にいかず、命令して取りに行かせる、また特別メニューの注文も許される。

 調理場では特別メニューをひたすら作っている。

 そして忘れてはいけないのが、別に勝っても景品は無い、今はみんな笑って従っているが、ヘイトはどんどん溜まっていく。

 爆発する寸前を見極めて爆発前に止めれるかどうか。メイドの手腕が問われる。


 7日目、今日の日程が明かされる。

【異種格闘技大会】

 昨日フリースタイルで勝利を得たメイドが若干青い顔をしている。

 どうやら見極めに失敗して爆発させたらしい…

 お菓子を献上させられたメイドはやる気満々、肩を揉まされたメイドは…そうでも無いな。

 すっきりした顔をしているから多分、昨晩何かが有ったのだろう、青い顔をしているメイドも何か疲れてるし。


 参加者は…三姉妹は今日も不参加、ニールやティア達も不参加。

 ついでにエリスにタニア、イデア達も不参加。

 確実に上位に入れそうなニール達がなぜ不参加なのか…まあ早い話が勘弁してくださいと、メイド達による一斉の土下座が綺麗に決まったのである。

 なので今回はニール達は審判に回り、三姉妹はポップコーンを摘まみながらルシフと観戦。

 まずは人数を減らすためにバトルロイヤルが開始された。


 バトルロイヤルの開始直後、予定調和というか案の定というか…

 お菓子を献上させられたメイドが青い顔をしていたメイドに飛びかかり、一方的に蹂躙。

 襲い掛かられたメイドは前日の疲労を引きずり、一切の抵抗も出来ず撃沈。

 襲い掛かったメイドはその後棄権し、気絶したメイドを引きずり屋敷へと戻って行った…

 何所で意識を取り戻すかによってメイドの運命が変わるであろう。

 部屋の中で気が付けば手遅れ、入る直前なら皮一枚、調理場近辺で有れば満足するまでお菓子を作り食べさせれば解決。

 お風呂と言う可能性もあるが…そっちでももう手遅れだな…

 連れ去られたメイドに敬礼!…は要らないか、自分が招いたことだしね…


 格闘技大会は16人まで絞られ、トーナメントに移行。

 当然というかなんと言うか、ダイヤ、サファイア、ルビー3姉妹は勝ち残っている。

 狼三姉妹、ティアやニール、ヴリトラにハク、エリスにイデアにタニア達に対して勘弁してくださいと、綺麗な土下座は決めたが、そこに宝石姉妹は含まれていなかった。

 さらにテレサやフローレンスも含まれていなかったので…

「もう一度…なにとぞもう一度やり直しを…」

 生き残った9人は再び土下座をしていた。

 三姉妹やニール達の不参加を勝ち取って、テレサ達の存在が頭から抜けていたらしい。

 ダイヤたちはテレサやフローレンス、三姉妹の遺伝子とニール達の鱗等から作られたメイドなので弱いはずが無く…

 乱戦でボロボロになっているメイド9人に対してテレサ達7人は無傷、それも綺麗に分かれている。

 生き残ったメイドに勝ち目はなく、恥も何もかも投げ捨てての土下座と言う手段に出ていた…


 9人の綺麗な土下座により、9人のメイドによる訴えを狐さんは受理。

 人数が半端なのでくじ引きで抜けた7人を補充。

 暫しの休憩の後トーナメントが始まる。

 ただ休憩するだけなのもあれなので、テレサ、フローレンス、ダイヤ、サファイア、ルビー三姉妹の7人によるバトルロイヤル形式でのエキシビジョンマッチ。

 どれだけ重症になろうと狐さんとルシフの手により治療されるので手加減なしの全力。

 ルビー三姉妹がテレサに襲い掛かるが、テレサは軽くいなし、三姉妹に一撃づつ入れ意識を刈り取る。

 ダイヤとサファイアも2人でフローレンスに襲い掛かったが、此方も一撃で意識を刈られ倒れ伏す。

 ニールやティアほどではないとは言え、高い防御性能を持つ宝石姉妹を一撃で仕留めるほどの強さ。

 土下座を決めたメイド達は明後日の方向を向いて現実を見ようとしていない。

 テレサとフローレンスの2人が対峙し、互いに隙を伺い動きが止まる。

 5分ほど見詰め合った後、テレサが先に仕掛け、動き始める。

 それに合わせるようにフローレンスは横に少し動き…

「!?」

「げふっ!」

 倒れてたダイヤを持ち上げて盾にした…

 テレサの掌底はダイヤの胸を的確に打ち抜き、ダイヤは吐血、テレサはダイヤの陰に隠れたフローレンスを見失い…

「がっ!?」

 フローレンスが貫手でテレサを背後から貫き決着。

 テレサは血を吐き、ビクンビクンしていたが、直ぐに治療され傷口はふさがり元通り。

 血を吐いたダイヤも元通り。

 サファイアとルビー三姉妹は意識を刈りとられただけなので無傷だった。

 短時間ながらも本当に元聖女なのかどうかを疑う戦い方、容赦なく娘のように育ててきた現聖女であるテレサを躊躇いなく貫手で貫いたフローレンスに土下座を決めたメイド達は恐怖していた…


 エキシビジョンマッチの後に行われたトーナメントはとくに盛り上がりも見せず。

 戦っているメイドだけが盛り上がり、観戦しているメイドはたまにチラ見する程度でお菓子を摘まんでいた。

 決勝に残った2人による熾烈な戦いが始まるも、やはり食べ放題のお菓子に目が行く。

 お菓子が無くなる前には決着が付き、表彰式が行われ、恥も外聞もプライドも全て投げ捨てて得た勝利を称えられる。

 優勝者はトロフィーを掲げ、雄叫びを上げた…

 もう少し女の子らしい事をしよ?


 ほぼ全てが出来レースで有ったような異種格闘技大会が終わり、夕食の時間。

 何だかんだで前日の激しい運動の事も有り、お腹は減るもの。

 皆よく食べ、山盛りの料理がどんどんメイド達の胃袋へと消えていく。

 食べ終わり少々休憩し、皆でお風呂に入り体を念入りに磨く。

 この日ばかりは自由時間は無く全員集合、参加者を選抜し、夜の部が開催される。

 夜の部スペシャルマッチは1対30…この戦い…負けられない!


 1対30のスペシャルマッチは朝まで行われ、勝者は机の上にトロフィーを並べる。

 空き瓶という名のトロフィーを…

 審判はギブアップを認めてくれないし、セコンドから飛んでくるのはドリンクだもん…

物理法則

何でもかんでも捻じ曲げれるメイド達のせいで出奔した

多分地上の片隅で泣いてる


宇宙

ちょっと息苦しい程度の場所

ウルカンがたまに金属とか採りに行ってる


人間とんぼ

心技体の全てが試される

1人で出来なくもない


異種格闘技大会

種族の垣根を越え死力尽し戦う

種族により耐久力・防御力・機動力・攻撃力に差がかなり出る為、かなり危険な格闘技大会

夜のみ行われる特別マッチもある


土下座

弱者に許された奥義

1人であれば一蹴される可能性がある、しかし集団でおこなえば成功率は爆発的に増す


聖女流掌底

どんなに厚い装甲だろうが中に衝撃を打ち込み内部を破戒する

ダイヤの肋骨は砕け、肺や心臓はぐっちゃぐちゃ、普通なら即死

加減すれば相手を無傷で無力化できる


聖女流貫手

どんなに厚い装甲でも貫く、正確には振動で削りながら綺麗に穴を空ける

テレサの背骨や内臓は綺麗に削り取られた


聖女流肉盾

足元に転がってる人を盾にする

勝てば正義、勝った者が常に正しいのだ

でもある意味自分の血を分けたダイヤを盾にするのはどうなのよ…観戦してたメイドはドン引きした


異種格闘技優勝トロフィー

土下座女王の証

優勝したのは事実ではあるが、また土下座を決めて相手に辞退をして貰ったのも事実

トロフィーは貰えても栄誉や名誉、最強の名は貰えない


審判

倒れたメイドのカウントは取るが、ディフェンディングチャンピオンのギブアップは認めないしカウントも取らない

頭には狐の耳とお尻には狐の尻尾が有る


セコンド

タオルは投入するが投げるのは試合終了後かつ汗拭き用、主にドリンクを投げ込むのが仕事

肌は白く髪も真っ白でおめ目が真っ赤、三姉妹と仲がいい

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