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皆真面目にふざけている (笑)

「ぶっぶー、ぶっぶー」

「うんうん、そっちは危ないからこっちに行こうね」

「ぶうーん、ぶっぶー」

 昨日三輪車で空を飛んだメイドが楽しそうに三輪車を漕いでいる。

 周りのメイドに温かく見守られ、安全運転で庭をぐるぐると回っている。

 どうしてこうなったんだかねぇ…

「あうっ!

…うぅー…まんまぁー!まんまぁー!

ああぁぁぁぁぁ!!」

「ああ、はいはい、痛いの痛いのとんでけー!」

 三輪車が倒れ、ちょっとした痛みにより泣きはじめるのであやす。

 大きいのも用意したがどうしてもこの小さい三輪車で無ければ駄目なようで、大きさが合わないのでちょっとしたことで倒れる。

 中々泣き止まないので頭を撫でつつ良い子良い子と言い聞かせ泣き止むのを待つ。

 ほんと…どうしたらいいんだろうねこれ…

 こうなった原因は今現在ミノムシになって吊るされてるけど…

 何事も限度と言う物が有るんだよ、うん。

「まんまー、ぶーぶー」

「はいはい、今度はこけないように気を付けようね」

 泣き止んだ後再び三輪車に乗り、ペダルを漕ぎ始める。

 遠くからは原因となったメイド達の叫び声が聞こえてくるが無視、暫く反省してなさい…


 昨日寝る前までは少し恥ずかしそうにしてはいたが、特にこうなるようなことも無かった。

 ただ空を飛んでいたのを目撃し、撮影したメイド達からすれば面白かったのか、かなりの枚数が撮られていた。

 正面から撮影した物、真下から撮影した物、お漏らししそうなところを撮影した物、その瞬間と撮影した物、羞恥で泣きはじめた所を撮影した物。

 そして止めにお漏らしにより虹が出来ていた物…それらを見せたらしい…

 その結果、暴れはじめたメイドにより部屋は崩れ落ち、撮影したメイド達は全員ぶっ飛ばされ、同じ苦しみをといわんばかりに身動きが取れなくした状態で吊るし、何事かと集まってきたメイドに写真を見られ…

 辛い事から逃れるために一時的に幼児退行してしまった…

 頭の片隅に何か残ってたのか、三輪車に固執中。

 朝からずっと体の大きさとは不釣り合いの小さな三輪車に乗っていた。

「ぶーんぶーん、びゅーん」

 飛ぶ効果も少しだけ残してあるのでたまに空も飛んでる。

 地面から1メーターも浮かないが、十分といえば十分、楽しそうに乗っている。

「そろそろご飯を食べに行こうねー」

「あーい」

 昼食の時間が近づいてきたのでメイドを連れて食堂に移動。

 退行はすれど食べるものに変化が無いのは救い…か?


 昼食の後は狼三姉妹の所に連れて行き、一緒にお昼寝をさせる。

 面倒見は良いので何かあったら対処してくれるだろう。

 その間に吊るされたメイド達の所へ行き様子を見る。

「ぁー…ぅー…ぁー…」

「………」

「あはは、あはは、あはは」

 1人は笑い、1人はあーうーとしか言えなくなり、1人は完全に無言。

 共通しているのは、3人とも目から光が消えうせ完全に死んでいるのと、足元にポタポタと液体が滴り落ちている事か…

 3人を下し、拘束を解くが、完全に無気力になっており自分からは動かない、それどころか足元に溜まっている液体の上にへたり込んだ。

 何とか3人を立たせ、近くにいたメイドに掃除を任せ、3人をお風呂に放り込んだ。

 お風呂で綺麗にした後は新しい下着や寝間着を着せ、寝室に連れて行き、ベッドに寝かせる。

 多分夜までには正気に戻るだろう…


 やる事をやった後はメイドの身体を張ったお笑いの観賞。

 初日に色々やりすぎたせいか、結局舞台を用意してそこで披露する事に。

 ヴリトラとハクによる漫才、ヴェスティアとエキナセアの一発芸。

 エリスとその侍従達による世界樹の小ネタと豆知識。

 タニアによる花蜜の美味しさランキング、イデアによる淑女の嗜み講座。

 酒飲み達による酒の飲み比べや利き酒など。

 他にも色々あるが笑いから遠ざかっている物もある…


 お題目【セクシーダイコンの作り方と応用】

「まずセクシーダイコンを作るのに一番大事なのは土です。

農場で育てているダイコンは土に硬い部分が混じっていると、その硬い部分を避けるように別れていきます。

ですのでこの硬い部分を意図的に作り、成長した時に綺麗な二股ができるようにします。

それを応用し、硬い部分を型に例えて形を整えていきますと…」

 周りからおおー…という声が上がる。

「こちらは農場組の持てる知識と力を使い、育て上げた一本のダイコンとなります」

 土は綺麗に落とされ、白く輝くダイコンが映し出される。

 そのダイコンは見事に真っ直ぐに伸び、窪みもなく、ワックスを塗っているわけでもないのに、己のツルツル皮だけで光を反射して輝いている…

「では実際に食べてみましょう、味を分かりやすくするために軽く出汁で炊いただけの物、大根おろしをご用意いたしました」

 見ている人全員に昆布出汁で軽く炊いたダイコン、調味料無しの大根おろしが渡され試食開始。

 炊いたダイコンは10分ほど炊いただけなのに出汁は良く染み込み、お箸で軽く押すだけで崩れるほど柔らかい、口に含んでも筋などは無く、口の中で溶けて行くように無くなった。

 大根おろしも部位による味の変化は無く一定、甘みが強く辛味はほぼ無い、醤油やポン酢、酢橘などをかけなくてもこのまま美味しく頂ける。

 実にすばらしいダイコンだ…

 用意されたダイコンを味わいつくして一言。

「セクシーダイコンは何所へ行った!」

 出されたダイコンは普通に真っ直ぐに育ったダイコンじゃん…最初に出てきた二股のセクシーダイコンは何所へ行ったよ…

「え?このダイコンかなりセクシーじゃないですか。

このツヤといいテカりと良い、このダイコンを見るだけでもう…」

 駄目だこの農場の主…ダイコンを見て息を荒くしておられる…

 興奮しているケレスの横にいるクロノアに視線を送ると、私は違う!と全力で否定していた。

「ああ!もう駄目!我慢できない!」

 興奮が最高潮に達したケレスは手に持っていたダイコンにかぶりつき、実に美味しそうに齧っていた。

 大根を食べるのに夢中になっているケレスは台車で運ばれていき、セクシーダイコンの作り方講座は幕を閉じた…

 まあ…セクシーかどうかは置いといて、美味しいダイコンであるのは確かだったね。

 また今度量産して貰って夕食に使おうっと。


 お題目【世界樹(笑)と世界樹(本物)の違い】

 おおーい、題目からしてもう悪意に満ち溢れてるじゃん…

 (笑)のほうってエリス達を誕生させた、いわば親じゃない…

 後世界樹世界樹って言ってるけど、あれただの品種改良した梨だから…

「まず地上に存在する世界樹(笑)ですが。

世界樹と呼ばれるようになった経緯からお話しましょう」

 あ、それは知らない、食べ掛けの梨落とした後に気が付いたら育ってたんだよね。

「芽を出した当初は、ほんの少しだけ力を持った、どこにでもある様な果実の木でした。

ですが、周りにある果実の木と違い、その芽はとても長い年月をかけ成長、最初の実を1個つけるまでに数千年の時をかけた、と、世界樹(笑)から直接聞かされています」

 普通ならそこまで時間かからないし、そもそもとっくに枯れてるよね。

「そしてここからが重要です、長い年月をかけ身を付けた木は思ったのです。

実を付けたのはいいけど届けに行く手段が無いし、何所に根を下ろしたのかもわかんないなぁ…

それに梨の木のままだと何所にでもある果実の木と変わらないし、もっとオンリーワンな呼び名が良いなぁ…と。

そう考え思いついた名前が世界に一本しかない木、世界樹だったそうです」

 梨の木の自称かよ!

「その後世界樹の名を広めるのと自身の御世話の為に3つの種族を産み出しました。

森霊・妖精・精霊族の3つですね、最初に産み出された森霊が森人の姿に良く似ているのは。

余分な枝葉を切る人が欲しいなぁ、でも人だと格と威厳が下がるしなー…あっ!人じゃなくて霊的な物にすればいいじゃん!

そんな感じで生み出されたのが私達森霊族ですね、森人はそれより遥か後に自然発生した種族なので似ているだけの別物です」

 種族を産み出せるほど強い力を持ってるのに何なんだろうなぁ…この圧倒的な小物感は…

「森霊族は主に剪定と周りの邪魔な木の伐採、その後切り開いた土地が雑草だらけで微妙だなーと思い、世界樹(笑)は妖精族を産み出し、花などを集めて花畑を島内の各所に作る事に従事させ。

精霊族は、今日は暑いなぁ…もっと涼しい気候が良いなぁ…雨も最近振ってねぇんだよなぁ…と。

島内の天候や気温管理の為に産み出されたようです」

 えぇ…

「紆余曲折もありましたが、最終的には梨をお届けするという事に成功はしたのですが…

年に3個しか実をつけないので、結局はお届けしたのは1回だけ、だったんですよねぇ…

地上ではまず実を付けるための栄養がカツカツですし、無理に実を付けると島内全域が砂漠になりますしね…色々と欠点だらけでした。

此方に来ることにはすでに梨の品種改良も進んでおり、収穫量も多く味もそこそこ良かった。

結果世界樹(笑)の梨っていらなくなっちゃんたんですよねー、地上に残って居る同胞には必要ですが」

 梨の木ぃ…

「まあ世界樹と呼ばれるようになったのは梨の木の自称、種族を産み出したのは出来るだけ快適にかつ楽に過ごしたいからですね。

そんなあれでも長い年月を生きているだけあって力も強いですし、野生の空飛ぶ蜥蜴程度であれば島に近寄る事すらできませんでしたけど」

 そんなところにヴェスティアは1人で潜入して全員に排他主義を植え付けたんだよなぁ…

「(笑)の方はもういいでしょう、次は本物の方ですね」

 エリスによる世界樹講座はしばらく続いた、持ち時間無制限だから長いわ…

 エリス・タニア・イデアとその侍従達合わせて15人の所集権は現在庭にある梨の木、残り135名は地上にある梨の木が所有権を持っているとの事。

 梨の木が常にバックアップを取っているので、何らかの事故により死んでも何時でも復活できるとの事、やろうと思えば増えることも出来るらしい。

 能力が下がるわけでもなく、同じ状態で増えるので単純に倍になるって言ってた。

 梨の木ってなんだっけ…?


 お題目【イデアによる淑女の嗜み】

 淑女の嗜みで何を教えるのかなーと思ったら。

 1:人前でパンツを見せない

 2:バタバタ音を出して走らない

 3:部屋を散らかさない

 4:ご主人様への挨拶は丁寧に

 と、前半部分は極々普通、なんてことの無い物だった。

 7:ご主人様より先にいかない

 8:自分から求めない

 9:常に優雅であれ

 10:常にお淑やかであれ

 後半部分もね、後半部分もこの字面だけ見れば普通に見えるさ…

「繰り返しますが、7から10は非常に大事です。

ご主人様の許可が出るまでは果てずに耐えるのです、ご主人様の口から求めるように促されたとき以外も求めてはいけません、私達はご主人様に仕えるメイドであり、そう言った事を専門にする女性ではないのです。

何時いかなる時も優雅に美しく、落ち着きお淑やかに、そうして寵愛を賜るのです」

 なんで昼間から精霊族のマナー講座をしてるんだろうね…

 聞き入ってるメイドもメイドだよ、誰か止めてあげようよ、これ1から10まで全部イデア達精霊族がやっているベッドの上でのマナーだよ…

 そうと気が付かなければ日常のマナーとしても通用するように隠してあるけどさぁ…

 ちなみにイデアがこのマナーを全て守れた事は無い、どこかしらでやらかす。

 御付の侍従は守り切れることはあるのにね…


 お題目【ティアとルビーの効率のいい書類整理講座】

 これは凄かった。

 何が凄いって、書類全て消し炭になった。

 確かに火を点けてまとめて燃やしたら効率よく整理できるよね、書類自体無くなるもん…

 燃やされたのは焼却処分予定だった書類だったからよかったけど、間違っても新しいのでやらないでね?

 やけにすっきりとしたやり遂げた顔をしてるけど…


 お題目【調理場組の一発芸】

 ヴリトラ、ハク、コウ、ヴェスティア、エキナセアの5人による一発芸。

 ヴリトラとハクが小麦粉などを辺り一面にばら撒き、地面に落ちる前にコウが霧を発生させ水分を含ませる。

 ヴェスティアが粉一粒残さず一気に圧縮、エキナセアが圧縮された物をこれでもかと伸ばす。

 出来上がったのは絹のように細く、それでいてしっかりとしている不思議な麺だった。

 凄いと言えば凄いんだけど、出汁もない状態で食べるものではないな…小麦の味と香りしかしない…

 次回に期待しよう。


 その後もいろんなお題目が消化され、何だかんだで楽しい一日だった。

 夕食前に吊るされていた3人は復活、退行したメイドは…

「まんまー、ごはんー」

「はい、あーん」

「あー…んっ」

 退行したままだった。

 最終日までに治るかなぁこれ…

世界樹(笑)


イデア達精霊族の掲げる淑女

パンツを見せない:要は見えないように、自分でスカートを捲り上げちゃ駄目

バタバタ音を:呼ばれたからって走って行ってはいけません

部屋を散らかさない:脱ぐ場合はちゃんと折りたたんでまとめる、脱ぎ散らかさない

挨拶は丁寧に:今日もよろしくお願いします

5-6飛んで先にいかない:文字通り、行かないと変換しても良いしイカないと変換しても良い、ご主人様の後ろを歩いて行く

求めない:あれが欲しいこれが欲しいと言ってはいけません、促されたときに欲しいと言いましょう

常に優雅・お淑やか:何が有ろうと優しく対処し、上品に答える、そして美しく乱れる

飛んだ5-6も字面だけはまともな内容


精霊族は基本浮いて移動してるのでそもそも足音は無い、多分気の持ちよう

イデアは毎回8で引っかかる、つい我慢できず欲しがっちゃう

侍従達は一応立場上は下っ端なので全部守れる、我慢が出来る

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