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解体の時間です 有名だけど有名じゃない

 1メーター位ある包丁の準備良し、大きめの出刃包丁の準備も良し、ノコギリが不要なように切れ味と強度もある包丁も有って、中落ちを取るためのスプーンも有って…忘れ物は無し、各部位を包むためのペーパーもあるし、発泡スチロールは漁協の方で買えば良いだけだし、送り状もいつも通りに漁協に有るのを使わせて貰えば問題なし。

「用意できたよー」

「はいはーい、撮影機材のほうもいつも通り異常なしー、それじゃ行きますかー」

 よし、それじゃあマグロを預けてある漁協のまで行きましょうかね、500キロクラスのマグロの解体…はうちの海からすると小さいなんて物じゃないけど、こっちだとかなり大きい方だし、ちゃんと丁寧に解体して食べれる部分は余さず…だねぇ。


「へいへいへーい!今日のおねえちゃんねるはマグロの解体ショーをお届けするぞー!ちなみに私は見るだけです、解体するのはお兄さんとメイドさん、店長さんも漁協の人も居ますけど…まあ見物客みたいなものですね、醤油とわさびが入った小皿とお箸を手に持って待機してますが気にしてはいけません。

でー、今回のマグロの解体、普通の解体の方法とは違いますので参考にはしないでください、慣れてなくても出来なくはないんですけど、間違いなく包丁が何本かダメになりますので」

「普通ならノコギリが有るのにそれが無い時点でぶっとい骨を包丁で切り離す気満々だしねー、やってやれなくはないけど難しいよー?」

「まずは出刃を使って頭、エラの部分から刃を入れて…ひっくり返して同じ様に切れ込みを入れて…骨の接ぎ目に持ち替えた包丁の刃先を入れてちょっと捻ると頭がぽろっと、この時点で真似出来る人はそう居ないでしょうね、継ぎ目を切り離して外しているだけなので言葉でいうだけなら簡単、でもやるのはものすごく難しい」

「頭は一旦置いといて次はヒレの切り落としだね、普通ならカツオと同じ様に斜めに入れて骨を避けてバッサリ落とすんだけど、柔らかい包丁?を使ってヒレの周りに少し切れ込みを入れて何かやってるね、切ってるんだとは思うけど」

「迷いなくスーッとヒレに沿って刃を入れてますが…おー…ヒレとその下の骨だけがすぽんっと抜けた、可食部が大幅増ですね、胸鰭にも同じ様に刃を入れて…骨とヒレだけがすぽんっと抜けてくると、これは真似出来ませんね、何より早すぎて何が何だかわかりません!気になる人はスロー再生してください」

「外したヒレについてる骨周りに身がついてないのがやばいねぇ、つまりカマの部分も全部刺身で食べれるって事だぁ!」

「まあ、かなりの大型ですし、スプーンでこそぎ落とせばかなりの量が取れるので食べれなくはないんですけど、大抵カマは焼きになりますよね。

邪魔になるヒレなんかを外した後は…普通に五枚下しですね、ここは何も変わりませんが、違いがあるとすればカマと呼ばれる部分がくっついてる事ですかね?」

「可食部が増えるのは良い事よ、カマの部分の刺身なんて大トロより貴重だぜー?」

「脳天、頬肉に次いで量が取れない部位ですしね、特にひれ周りは筋肉が発達してるし、熟成たせたものはもう別格と言って言い美味しさですからね。

そして五枚下しはもう終了、さすがに早いですね、刃を入れるのに迷いがないですし、もうすっと一発で切り落としてますし、何度も刃を入れないので切り口も綺麗」

「基本は三枚下しと変わらないんだけどね、ヒレと骨のギリギリの所に刃で線を入れて、あとは骨に沿わせて少しずつ切ってはがしていくんだけど…包丁の切れ味がえぐいからすっと引いただけできれいに骨から切り離されていくっていうね」

「骨が太いので中落ちも大分取れると思いますけど、結構ギリギリを攻めてますよね、そして現在柵取り中、赤身トロ中トロ大トロ、これだけ大きいと大トロも半端じゃない量取れますね」

「ちなみにこの柵取り中の整形で出た端切れ、トロなんかの部分の整形中に出た部分を一緒に混ぜて叩くとネギトロができるよー?かなり贅沢だけどね。

普通は市場にはなかなか出すことの出来ない中落ち、さらに腹のすき身を混ぜたものがネギトロとして流通してるよー?」

「すき身は筋や脂ばかりの部分、そして中落ちと混ぜているので普通に美味しいんですけどね、筋は旨味の塊なので徹底的に砕いて混ぜ込むとさらに旨みが増します、市販のネギトロはその筋が入っているので…」

「贅沢と美味いは別って事だね、そして柵取りもあっという間に終わって次は中落ち、スプーンで身のかけら1つ残さず取り除いてボウルの中へ、そしてそこに先ほど言ったすき身も全部どーんと入れて後でネギトロだね、でもその前に中落ちを頂くぜ!」

「すでにネギトロに混ぜるしかない端切れなんかも刺身にして食べてる人がいますしね、私は撮影をしているのでお先にどうぞ」

「その中落ちをよこせー!」

「店長さんがボウルに向かって突撃していったところで、次は脳天、そして頬肉と余さず取って、目玉もとって、頭を真っ二つに割ってこそぎ落とせる身は全てこそぎ落して、解体は終了ですかね?

頭も骨周りももう可食部は残っていない、尾の部分も完全に骨のみ、ここまで余す所なく綺麗に骨のみにされるとはマグロも予想していなかったでしょうね。

頬肉と脳天は希少部位なのでこれは持ち帰ってうちで食べます、今日はマグロ尽くし予定です。

そして次に手を伸ばしたのは中落ちとすき身を入れているボウル、こちらは漁協の機材を借りて徹底的に砕いてネギトロにする方が均一になっていいんですが…

まずは筋だけを取り出して包丁でひたすら細かく叩きまして、次に中落ちを少し粗目に、脂の部分は少し細かくしてボウルの中で混ぜたら特性ネギトロの出来上がりですね、中落ちが粗微塵になっているので食べ応えがある、油は細かいので口の中で溶ける、粗微塵の中落ちを噛んでいる時に細かくされている筋から旨味が出てくる、これは美味しいですよー?脂がきつくて大トロはちょっと…という人も美味しく頂けると思います。

目玉は…ここで焼いて皆でつつく感じですね、周りについている肉は頬肉と一緒に持ち帰ってうちで食べます」

「贅沢にも程があるよねー、大きさが大きさだから刺身でもかなりの量が取れるし、叩いてなめろう風にする必要もないし」

「仕事が忙しく家に帰って来る事ができないA5達には悪いですが、実家の方に赤身から大トロまで送るのでそれで我慢してくださいねという事で。

そして目玉がホイルに包まれて火の中に放り込まれたところでフィニッシュ!いやー、素晴らしい、本来なら頑張れば取れるのに…という部分にすら身が残っていない、本当にもう食べる事の出来ない骨と皮しか残っていないと言う、ここまで余さず食べられるのであればマグロも本望でしょう」

「いや、ホント凄いね、500キロを解体するのに15分も掛かってないし、それどころか解体に慣れている人ですらどうしても残っちゃう身が全く残ってないし、これ普段から魚を捌いている人が見たら感動物だよ?捌いた事が無い人は勘違いするだろうけど、大きな魚でも普通ここまで綺麗には取れないからねー?」

「もう骨を焼いて出汁を取る位しか使い道が残されてませんよねこれ、それじゃあ家に持ち帰るのも微妙、ネギトロに混ぜるにしても…と言う端切れをつついていきたいと思いまーす」

「中落ち美味しかったよー?今はもう全部ネギトロになっちゃってるけどね」

「市販品とは違う粗微塵で中落ちが十分味わえるので大丈夫ですね、この中トロの端切れにわさびを乗せて、醤油をちょっとだけつけて…んー…たまりませんねぇ…」

「この端切れの量だけでも何人前あるんだろうねぇ…極力減らしたみたいではあるけど」

「整形する時にどうしても不揃いな端切れは出来てしまいますからね、お店によってはその歯切れを全部混ぜて安く売っていたりもしますけど、うちのスーパーだと柵取りや刺身を取った後に出てくる切れ端、それを角切りなんかにして大きさを揃えて、ざっと混ぜ合わせた後に丼にして売ってますね、見た目は普通の物に比べると少々悪いですが、味は保証しますよー?」

「綺麗に切ってる物を乗せるだけが海鮮丼じゃないってやつよね、んー…美味い、花井ちゃんのお土産にいくらか中トロなんかの端切れを貰っていこうっと」

「端切れの刺身、それと今焼いてる目玉を食べたら送り状を書いて各地に発送ですね、ミスフラワーの実家はうちの山の麓にある商店街ですし、帰りにこれどうぞーって置いてくるだけなので送り状は要らないですけどね」

「私も実家に送りたいけど釣ったのは私じゃないからできないぜ!」

「その代り前回の船釣りで釣ったアマダイやらなんやらを大量に持って行ったでしょうに」

「まあねー」


「さて、解体ショーの収録やら何やらが終わった所で、持って帰る量自体は300キロ少々あるんですよねー…」

「アイナちゃん達に10キロずつ送ったとしても元が500キロクラスだし、微々たる物でしかないよね、内蔵と骨を抜いたら500もは無いけど、可食部だけで400キロ少々あるのは確かだし」

「この後メイドさん達がワーッと来ることを考えると地味に足りなかったりもしますけどね、なので帰ったら帰ったでお兄さん所の海で漁に出て、追加でマグロを捕ってきて、それをマグロステーキやらなんやらに使って、持ち帰ったものを全部刺身って感じですかねー?」

「そうだね、帰ったらもう一回マグロを解体しなきゃ」

「まだ1種類だけなのでましな方だとは思いますけどね、多い時は魚だけでなく肉も有りますし」

「焼肉と寿司、さらにラーメンやらなんやらが同居しているのを見ると沢山食べ太郎を彷彿とさせるね、この辺りにはないけど」

「あれ地域限定かつ美味しいという評価と微妙という評価で別れてますけど、実際どうなんですかね?」

「肉は薄いし寿司は全部冷凍の寿司ネタ、ラーメンも麺が伸びるのを見越して中太の焼そば用の麺を使ってるし、ラーメンの出汁も1.5倍位に薄めてるから薄いんだよね、食べ放題じゃなかったら行かないレベル、でも安いから量を食べるなら悪くない、肉自体は薄いだけで物が悪いだけじゃないし、寿司もスーパーのパック寿司と思えば納得できる、ラーメンもやっすい学食と思えばまあそんな物だよねって。

だから味にうるさい人よりは沢山食べる学生に向けた食べ放題の店って感じかなぁ?舌が肥えてくると美味しいとは言えなくなるけど、量が食べたい人からすれば程々には美味しいし、安いから値段の割には美味しいからと人気はある。

地域限定で他県にないのは店舗数を増やすと赤字で潰れるからだろうね、味で売っているわけじゃないから他県で売れる保証はないしね」

「仕入額も物によっては変わってきますからねぇ、それを考えると地域限定で他県に進出しないってのはある意味正解ですよね」

「まあ、最後に利用したのは何年も前だし、今もずーっと同じままかはわからないね」

「県を2つも跨いでわざわざ食べに行く必要もないですし、そこへ釣りに行く事も無いでしょうし、名前だけは知っているで終わりそうですね」

「世の中の8割は名前だけ知っている、で終わる物の方が多いよね、特に地域限定品で通販も無理っていうお店の場合は」

「そんな店長さんのお店は実は国内総人口の9割は知らないという現実」

「興味がない人は調べ様とも知ろうともしないからそんなものよ、特に釣りはお金がかかる趣味だしね、最近はかなり安くなったけど。

興味を持ったとしても通販で適当に、もしくは近くにあるお店の店員の進められるがままに物を買うだけ、そういう人からすればただの店主だもんよ、誰が何を生み出して何を作っているかなんて関係ないしね」

「その道では有名、でも興味がないただやってみようかなと思っただけの人は知らない、良く有る事ですね、何の開発者ですって言っても興味がない、ただ使っているだけの人からすれば誰それ?ですからね。

現在のRシリーズ等の安い竿のブランクス、さらにはリール、ハイエンドのクリムゾンウルフを設計したのがお兄さんですって言っても知らない、これ作った人なの?で終わりますからねぇ…業界からすれば凄い人なんですけど…」

「アイナとアスカもそうだよねぇ、父親は国内2台家電メーカーの社長だから有名だけど、その伴侶や子供の名前は知られていないっていう」

「知らなくても生きていける、知っていても意味はない、っていう方が多い結果ですかねぇ?アイナ達が個人で興した会社もいまや年商20億からと業績はかなり良いですけど、そこで働く人や関係のある人以外には無名ですしね」

「全部積み終わったよー」

「はいはーい、それじゃあ帰りましょうかね」

「はーいおつかれー」

知らない人は知らない

とある事柄、業界においてはかなりの有名で世界的な知名度はある、でも興味がない人は知らない、そういうもの

これを知ってないと恥ずかしいと思っている物でもそう思っているのはその人だけだったりもするので知らないのは恥ではない、どういう人であるか、どういう物であるかを聞かずに知らないものを知っている振りするのが恥

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