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使った後は? 向いてるかどうかによる

 んーむ…この地味な作業が何とも…使った分は加工して補充しておかないとダメなんだけども、一度に使った量がねぇ…流石に10キロずつは多すぎたのではなかろうか…餌用に加工したバナメイエビだけでも赤青黄で計30キロ、アサリとハマグリも生と蒸しで計40キロ、イソメとモエビ、マエビにホタルイカにヤリイカはもう元に戻ってるから良いけど、加工品はねー…

 剥いたエビをボウルに入れたらニンニクやらカレーやらでまず香りと味付け、それが終わったら食紅で色を付けて、全体に色が馴染んだら小分けにして冷凍、アサリとハマグリも生と蒸しで分けて冷凍、エビの殻は油に使ったりビスクにして、貝殻は一旦燃やしてから砕いて肥料にといつものコースで…

 うん、大変、一発ネタのために餌を大量に使うとひたすら補充する作業に追われるという…でも受けたから良いか、釣果もばっちりだったし、餌を無駄にしたって事もないしね。

 よし、まずはエビ10キロ剥き終わり、香りと味のパウダーを混ぜたらどんどん剥いていきましょうかね。


「エビの頭だけで何キロあるんですかねぇこれ」

「意外と軽いからそうでもないけど、まずは揚げて油を作る所から…だから意外と手間がかかるね、美味しいビスクを作るなら揚げずにオーブンで焼いた方が良いんだけど」

「油で揚げた場合は何か不都合が?」

「油っぽくなる、旨味やらなんやらはそれ程影響はしないけど、別物と言っていい物になるね、作り方が違うし」

「以前揚げたエビは砕いて炒飯なんかに使ってましたけど、ビスクはどういう物なんです?」

「エビを粉末になるまで砕いて、トマトも完全に砕いて、塩で味を調えてさらに裏漉しして…簡単に言えばちょっと煮詰めたエビとトマトのスープ、カニでもできるからまあ甲殻類の殻をトマトで煮詰めたスープ?

殻を砕いてちょっと煮詰めるから、ガツンとエビの香りが来るし、旨味も余すことなく…かな?」

「アクアパッツァとは違うんですね」

「基本的には同じ物が入ってるけど、作り方を変えるだけで別物になるってやつだね、アクアパッツァは魚介とトマト、エビなんかも入れたりするし味付け自体もほぼ同じ、ビスクの場合はそこからさらに踏み込んだ、さらに味わい尽くす、と言った物かな?

なので材料がこちら、白ワインに塩と胡椒、香草とトマト、生クリーム、そして完全に砕いたエビの殻、もしくはカニの殻、アクアパッツァの場合はこれに魚介姿をそのままに煮た料理だね、そのままと言う都合上貝の殻とかエビの殻とか、魚の骨でちょっと食べ難かったりするけどね」

「貝や魚はビスクにはならないんですかね?」

「甲殻類を二度焼きとか二度調理事からきている料理名だし、貝と魚だとまた違う名前になりそうだけど、野菜を使ったクリームベースのスープもビスクっていうし、完全に砕いてクリームベースにすれば何でも良いとは思う。

貝の殻は無理だけど、魚の骨はしっかり焼いて臭みを飛ばして出汁が出る様にして、そこからしっかり砕けば出来なくはない、と思う、簡単にやるなら煮干し、貝でやるならホタテか牡蠣が良いかな?」

「淡白な物か旨味が強い物が好いという事ですかね?」

「そうだね、野菜の場合は旨味はそれほどなビスクだし、カニやエビは濃厚なビスクになるし、取りあえずトマトを白ワインで煮て、塩コショウで味付けして、裏漉しして生クリームを入れて仕上げればビスクっぽい物にはなるよ」

「あまり作ったりしないのは手間がかかるから…ですかね?」

「いや?大抵の場合エビの殻は炒め物用に回すからだね、香りも旨味、さらに焦げているわけではないので苦いと言うわけでもなくエビの濃厚な旨みもたっぷり、炒め物に中華スープに、エビシュウマイとかワンタンの餡にちょっと混ぜたり、蝦油自体も使用頻度がそれなりに高いからね、揚げカスが余っていたり油が余っていたりしない限りは…だね。

カニだと次の日にはビスクにしたりするんだけどね、カニでも油とか揚げカスが作れなくはないけど…まあ、エビの方が向いてるっちゃ向いてるね、ズワイガニを使った油もあるにはあるけど」

「向き不向きの問題ですか」

「そう、カニもまあ向いてなくはないんだけど、エビの方がはるかにそれに向いてるから、ってやつ、値段の問題も有るけどね」

「値段の問題であるのならここの場合いくらでも作れるのでは?」

「作れるよー?でも作っていないという事はあまり受けがよろしくないという事、蝦油を作る時は頭を使う、つまりミソと呼ばれる部分も揚げて香りなんかを移すんだけど、カニの場合ミソと呼ばれる部分はそもそも食べちゃう、そもそもエビとカニのミソは違う、と言うのもあるのですよ?

だからカニは余った部分をオーブンで焼いて、砕いて、トマトと一緒に煮込んで裏漉ししてーってなる」

「はー…なるほど…色々考えられた結果、なんですね」

「だよー?今回はカスはあっても蝦油が少ないから油を作って、揚げた殻をビスクに転用かな?ネギと生姜も揚げるから、その揚げカスも砕いて、ビスクに使う感じで」

「わかりました、こちらの剥き身は?」

「ビスクに入れるやつだね、スープだけでも美味しいけど、入ってる入ってないでまた変わってくるからね、殻から出る旨味と身から出る旨味は別、適当にこの位の大きさに切って、後で作るスープで軽く煮て火を通すだけ。

で、今回のビスクはどちらかといえば中華風、なのでー…こちら、中華麺用の小麦で麺を打ちましょう、今日は洋風と中華の融合だね、ビスクは一応白ワインなんかを使って作るけど、そこに少しタバスコとお酢を少し入れて酸辣湯風に仕上げて、酸辣湯風エビのビスクラーメン…かな?

普通にパスタでビスクパスタも良いけど、たまには変わり種というより創作料理をね?というわけで麺打ちをよろしく、もう使い方はばっちりだよね?」

「分量通りの小麦とかん水、塩を入れてスイッチを入れるだけですよね?太さは?」

「中太平の縮れで、若干パスタに寄せたいからね」


「酸っぱ過ぎず辛過ぎず、コシの強い平の縮れによく絡んで…たまにはこういう創作も良いですねぇ、洋と中を混ぜただけですけど」

「エビが濃いなぁ…それに酸っぱいのに辛いってのが…」

「ヒルダはこういうの食べた事無い?」

「無いなぁ…元貴族つってもほとんど海の上だったし、食べ物に関しては昨日食べた鍋とか刺身の方が近いんじゃないか?船の上だと火は使えないから乾物が中心になるが、取りあえず醤油を積んでおいて航海中に釣った魚を刺身で食うってのは普通にあるな、乾物ばかりも飽きるし。

陸上に居る時は居る時で寒い時期なら鍋物、暑い時期なら冷汁とか、うちの家は貴族とは程遠い物ばかり食ってた気がするな…あまり儲かってなかったせいかもしれないが…」

「比較的この国に近い食生活となると…お茶碗に盛られたご飯にお汁、季節の野菜に焼き魚や煮魚、または刺身、油で揚げるというものが浸透していれば天ぷら、漬物に…ですかねぇ?」

「シエルに聞けばわかるかもしれないね、一応一時的にとはいえ嫁いで行って暮らしてたわけだし、お城で生活してたはずだから何を食べていたかは聞けばわかるはず」

「鍋物に関してはこっち…というより今の時代だと美味しい食べ方の1つ、寒い時期とはこれ、という食べ物ですけど、大名からしたら何れそれ、ありえねーって感じだったらしいですからね。

鍋ひとつで全ての具材を煮た上に複数人でつつく、と言うのは卑しいとか、行儀も悪く礼儀作法もなってないとかそんなので」

「鍋美味ぇけどなぁ…お高く留まってる連中からすると同じ鍋をつつく、ってのがダメなんだろうな」

「お兄さんのお店も鍋物を出してましたよね?」

「もつ鍋ね、複数人でつつく大きい鍋はないし、家族連れでもお鍋の大きさは1人鍋用のまま、でもそれはお店という場所の都合でもあるね、一応こういう物があるよーってのは伝えてあるし王様は家族団らんの時につつく事もあるし、農場とか牧場で働いている娘達は数十人でつつける大鍋を持ってる。

牧場の中にはヒルダと同じ西の国の元貴族もいるけど、郷に入れば郷に従えみたいな感じで普通につついてたよ、嫌がる様な感じもなかったかな?元の性格もあるかもしれないけど」

「味にうるさい貴族ならなおさら食ってみろって思うけどな、おかわり」

「はいはい」


 お昼を食べ終わった所で…午前中に仕込んでおいたエビを着色して仕上げ、小分けしてパックしたら冷凍庫へ入れまして、次に塩を抜いて乾かしていたアサリとハマグリの貝殻を焼きまして…焼き終わったら砕いて、そして袋詰めしたら肥料をストックしている園芸用の倉庫に運び込んで…

 でー…昨日出来なかった道具の手入れをしまして…ダメになった針は糸と針、古い重りは変換ボックスの中に入れて、まだ延べ棒を作れるほど貯まってないので特に何もしない。

 そしてここから、まずは竿を洗って塩を完全に落として、リールもスプールをぬるま湯の中へ入れて軽く振りながら塩抜き、本体もバケツの中に突っ込んでハンドルをぐるぐるーっと回して、水分を軽く振って落としたら乾かすだけ。

 錆が出る事もなければ腐食する事もないからやらなくてもいいと言えばいいんだけど…洗わないと海水淡水ともに何とも言えない臭いがするのがねぇ…特に魚やら餌やらを触った後に洗わず放置した場合は…夏場ではないし、ざっと水洗いだけはしておいたから大丈夫だけど、ちゃんと洗っておかないと後がねぇ…なので今日は念入りに洗ってから乾燥と。

 洗い終わって乾燥待ちまで行ったら在庫の確認、以前は自分で調べないとダメだったけど、今は端末で調べれば何が何個あるのかすぐにわかっていいよねぇ、大型店舗並みの在庫を抱えていて色々桁がおかしいという事を除けば…

 各種シリーズ物の竿が全種人数分有って、更にリールもあって、そこにマーメイディアにワイバーンがエントリーからハイエンドまで全種人数分、クリムゾンウルフも私と恵里香さんの分だけとはいえ全種あるし、そこにアズライトと一足先に届いたアルマディンフェンリルが全種…

 頻度は高くないけどたまに使う万能振り出し竿に最近テストが終わったオールインタックル、クーラーボックスも小型から大容量の大型まで予備を含めて3つずつ、ランディングネットにアパレル全般に、フィッシュグリップ、プライヤーも契約している所の物がほぼ全種人数分。

 針や重りにしても各メーカーで色々出してるし、もう糸を結ぶだけという仕掛けも一杯あるし、それに関してはもう在庫が各50から100は有って…在庫が少ないのは特に宣伝する必要のないハリス付きの一本針、ハリスが付いてないバラの針や重りなんかの自分達で買ってくる分くらいで…

 糸もクロートーと契約してからはテストラインも含めて大量に届くので在庫過多、糸の値段がどうのと1000メーター600円の安い糸を愛用していた頃が懐かしい…今も使ってるけど。

 そーしーてー…ルアー用品が盛り沢山、アナライズのハードルアー全種50個、ブルーオーシャンのソフトルアー全種50袋以上、ニューポークも全種30以上、意外と少ない個人で買ったレッドウルフ製のルアーが10個ずつくらい、現在購入が難しいGBも全種20個ずつ…タイラバやらなんやらもえぐいくらいにあるので…もう完全にお店だよね、物量だけでいえば…

 取りあえず補充が必要なのは…んー…またカーボン針がなくなってるな…店長さんに10個位お願いしておいて、トラウトキラーもエリアトラウト用はあれどネイチャートラウト用の太軸10号と12号がなくなっているからこれも30ずつの…こんな物か。

 針だけを無くしたのであれば重りは使いまわせるし、古くボロボロになった物であれば再加工して新品にすればいいだけだし、重りやサルカンは意外と減らないね、減るときは一気に減るけど、後で根掛かりして切れた糸や針と一緒にちゃんと回収はしてるしなぁ…

 でもメイド達が最近よく釣りをしている海の方は回収があまり進んでないみたいだし、また近いうちにザーッと掃除をして、纏めて全部変換ボックスに放り込んでスプーン用の金属に加工しちゃいましょ。

 よし、在庫の確認が終わった所で店長さんに注文を飛ばして、干してる道具の乾燥が終わるまでは整理の続きが出来ないし、休憩がてらにゲームセンターで遊びつつ何か適当におやつでも摘まみましょうかね、夕食を何にするかはその後で考えればいいや。

酸辣湯

酸っぱくて辛いスープ、苦手な人はちょっと苦手

辛みをタバスコで、酸味はそのまま酢で少し足して酸辣湯風ビスクに、そして中華麺を追加して洋と中を合体させた、味付け次第ではそのままエビラーメンになる

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