やっぱり働かない 楽しんだもの勝ち
「そう居やこの国ってブルーギルいねぇの?ぶらぶらーっと回った限りだとバスは居てもブルーギルは1匹も居なかったんだが」
「居る所に居る、居ない所は淘汰されて全滅、特にこの辺りのやつはガーとかコイにやられて全滅したね、本場みたいに2ポンド3ポンドって言う大きさまで育たないし、ある程度育ってもガーが食う、小さいやつはバスが食う、稚魚や卵はコイも食うって感じでいつの間にか消えたよ」
「あー…それは残念だな、ムニエルとかフライが美味いのに」
「こっちは土臭い淡水魚より海の魚を食べる方が多いから食べる人がほぼ居ないのが何ともだけどね、アメナマ…チャネルキャットも本当に割と最近まで食用目的で輸入、養殖してってやってたのにずーっと無視されてたんよ?
それで網が破れたりして逃げたのが自然繁殖して増えて、近くの川でも発見されて、釣り人が持ち込んで放流したとか言うやつもいてなぁ…」
「そもそもあいつら陸上移動出来るじゃん、大雨の日とか特に」
「そう、それを知らん奴は言いたい放題、ブルーギルとかバスを駆除するとか言って池の水を全部抜くとか馬鹿やってる番組すらあったくらいだからね」
「で、それはバスとブルーギルは取れたの?」
「総浚いして30にも満たない小バスが10居ない位、ギルも10に満たないのが30居るかどうか、後は30からのコイと70超えたコイが数匹、20前後のマブナ、って言う結果だったかな?」
「バスとブルーギル全滅寸前じゃねぇか」
「コイも外来種で雑食で水草も卵も小魚も食う一番やべぇやつのに、肉食のやつだけを只管叩くとかもうわけわからんよね」
「コイも駆除したのか?」
「いや、バスとギルだけ駆除してコイは別の池に」
「生態系を自らぶっ壊しに行ってるのはジョークだとしても笑えんな」
「池も池で水を抜いて完全に干上がり、そう直に水をたまる物でもないから乾く間にヘドロの悪臭もねぇ…まあ、その番組はもうぶっ潰れたけど、多額の賠償金の支払い命令と共に」
「生態系壊すだけじゃなく悪臭撒き散らしたらダメだろうな、うちの国だと何万ドルの訴訟になるんだ…?その周辺に住んでいる全員から個別に訴えられて総額数億ドルの請求か?」
「他にも個人で駆除だなんだとやってた動画配信者、あれも生態系を壊しただけだったので各所から訴えられて、ついでに詐欺でも訴えられて…だったかなぁ?」
「いわゆる環境テロリストね、この国だとまだ生き残ってたんだな」
「訴訟大国ほど気軽に訴える事が出来ないからね、そう言うのがのさばっていた時期が長いのよ。
ま、それはそれとして、いつになったらタダ飯食いを止めて店を手伝うんだ?」
「もうちょっとのんびりしたらねー、それにちょっと前に代役勤めたじゃーん」
「と言うわけで拉致って来た、これ以上こいつに食わせるタダ飯は無いって事で、取りあえずルアーの宣伝なり道具の宣伝なり、テスト中の物が有ったら使わせとけば良いよ」
「急ぎのテスト品は無いですねぇ、オールインタックルのテストは先日やりましたし、竿の限界と試すという意味では80のブラウンなんかも釣ってるから十分ですし…と言うよりガイドとグリップが安物なだけでブランクスはマーメイディアとワイバーンのエントリーですし、3メーター位のサメなら余裕で耐えますからねぇ…」
「あれそんなに耐えんの?」
「ULで細いけどマグロとかカツオみたいに常時突っ走る魚じゃない限りは余裕で耐えるよ、上げるのは腕次第になってくるけどね」
「何か丁度良いの有りましたかねぇ…びっくりさせるだけなら1号湖なんかに放り込めばいいんですけど…」
「別に良いんじゃない?口が悪いだけで中身は悪いやつじゃないし、性根が腐ってるならそもそもこいつに付き合ったりしないし」
「パイクとかピーコック、バラマンディを釣る様なテスト品…意外と無いんですよねぇ…忙しい時は次から次へと来るんですけど…」
「エリアキラーのテストは管釣りだけで大丈夫?」
「1号湖でもテストはしてるのでもう十分と言えば十分ですかねぇ…?」
「種類も居るしほぼネイチャーだし、あそこで十分ならどこでも使って行けるね、となると…なんだ?」
「祭典に出す物のテスト自体はもう終わってるに等しい状態なんですよねぇ」
「こっちのフィッシングフェスティバルってどうなん?」
「まあ、普通っちゃ普通ですよ?新製品と旧商品を並べて違いを図解で出していたり、実際に手に取って確かめる事が出来たり、2年くらい前から会場を屋内と屋外の2ヶ所に設置、屋外は湖に設置してあるので実際にキャスティングをしたり、ルアーはフック無しだけど使う事が出来たり。
まあ色々試したりしてはいますよ?ショア用ロッドは距離を出して何ぼみたいな所も有るし、リールもついてない投げてみる事も出来ない、口だけでこう変ったと言われても実感できない、その部分を解消するために湖でぶん投げれる様にしたりね」
「マーメイディアとワイバーンが出た時に屋内で試投出来る様にしたのが始まり…ではないですけど、あの辺りから会場を少しでも広く、何なら湖も一部貸し切りにして全力で投げれる様に、ってなりましたよね」
「実際に手に取って投げてみて巻いてみて確かめれるかどうかってかなり違うからね、おかげで売り上げも大幅増加よ」
「なーるほどねー、屋内だけじゃなく湖を貸し切りかー、特に実際にリール付きで投げれるのは良いな、竿だけ持ったところで総重量とは程遠いし、リールの重さプラスラインをフルに巻いた時の重さ、想定するルアーを付けた時の重さで変ってくるし」
「ちなみにショア、オフショア、バス、トラウト、上物、それらを全てカバーしているバカみたいなロッドが有るらしいっすよ?」
「昨日も聞いた気がするぞそれ」
「その竿の構造から継ぎ目から素材から何まで設計をしたのが…そこで地面を掘り返しているお兄さん、なんで地面を掘っているかは知らない」
「雪も解けて地面が見えたきたから久々にアースオーブンで塊肉を焼こうと思ってね、時間のかかる物だから今から火をつけて埋めておこうと思ったんだけど…何か用があるなら普通にステーキに変更だね」
「その塊一体何キロ有るんだよ…」
「50キロ位かな?火をつけて燃やして、砂で埋めて2時間から3時間位、直接日に当てず、最初は蒸し焼きで中まで、最後にかぶせた物に火が回って表面だけ少し香ばしく、ってのが難しいのよね」
「でかい家に住んでいるだけあって色々と余裕があるからこそこういう物を作るんだろうか…?」
「意識と考えの違いな様な気がしますけどね、糧を得るために働くか、働くために短時間で味は似の次の燃料を補給するか、特に働かず道楽で料理を作って美味しく頂くか、お兄さんや妹ちゃんはその道楽に入るね」
「パラサイト?」
「似た様な物だけど大分違う、お兄さん自体はヒモと公言はしてるけど、お小遣いで億単位のお金がポンと貰えたりするのでそこいらの無職やヒモとは全然違う、後動画配信者としても生計は建てられてるから、正確には無職とも言えない」
「お兄さんと妹ちゃんの場合はレッドウルフだけじゃなく、マキシマとワールド、新しく出来たネレイドともプロスタッフ、プロアドバイザー、プロデモンストレーターとして契約してますし、お金を貰ってないだけで無職とは言えないんじゃないですかねぇ?」
「マキシマとワールドは仲が悪いとは言わんけど、どちらも大手の同業他社だし、良くその2つと契約出来たな…」
「うちのチャンネルにはマーメイディアとワイバーンの開発者も居ますからね、その伝手でーって感じです、新型のテストは全部お兄さんと妹ちゃんがやってますよ、それで、仕事云々ですが…」
「何かない?昔懐かしサイコロ企画でも良いよ?」
「何それ?」
「サイコロ表って残ってたっけ?」
「新しく作らないと無いですねぇ、あの当時使ってた道具はもうほぼ残ってませんし、色んなメーカーの物を買い集めないといけませんし…」
「今やるならマキシマとワールド、レッドウルフくらいしか使えないね、全メーカーの竿とリールを今直ぐ集めるって事も出来なくはないけど、処分する時に困るしねぇ」
「流石にそんな勿体無い事はしないので…まあ、のんびり肉が焼けるのを待ちながら表でも作りましょうか」
「肉が焼けるまで3時間って言ってなかったか?」
「火をつけて埋めたらもう後は3時間待つだけだから、時間が来たら代わりに掘り起こして貰えば良いだけだね」
「なんじゃこのガレージは…見た事有るスーパーカーが勢揃いじゃねぇか…見た事無いのも有るが…どれもこれも高そうだな…」
「左手のドアを開けると整備用の工具やら何やら、右手のドアを開けるとゲームセンターが有りますよ」
「このガレージはただの車置場って感じだよね、釣り道具が置いてあるガレージはこの更に先、びっくりするぞー?」
「もう既にビビってるわ、車だけで何百億すんだよこれ…」
「さぁ…?車は全部貰い物ですからね、私達の乗っている車の中で一番高いのはアリスの車で8億とは聞いてますよ?」
「ふぁー…どこの石油王が乗る車だよ…」
「ある意味お姫様みたいな物ですよ、そして少々歩いた先にあるこのドアを抜けると…1号湖等の人造湖が有るエリアに入ります、そして釣具やバスボート、牽引するための車に前回使ったキャンピングカーはそっちのガレージに有ります」
「うわぁ…もう何がなんだかよくわかんねぇな…」
「私も最初は混乱した、でもこれが現実、取りあえず舗装された道を進んで行けばガレージに着くよ、標識に従って右に進むとさっきのスーパーカーなんかを走らせることのできるサーキットとか、教習所が有る」
「金持ちってすげぇなぁ…」
「私のお爺ちゃんは嵐が通る事も無い、高波が発生する事も無い、気候も安定した場所の海の権利を買って好きな魚が釣れる人工島を作りましたよ?それも結構な広さで…まあこの国の半分くらいの広さは有りますよ?
作ったのはルシエラカンパニーなのでちょちょいのちょい位で作ったみたいですけどね」
「ジュリアよ、これが道楽を極めた結果だ」
「職業アングラーとしては羨まし過ぎる環境だなぁ…人工島は何ぼ位掛かったの?」
「えーと…領海権だなんだとそう言う物も有ったので…総額50億ですかね?場所的には船も通らない、漁もしていない、するには遠すぎる場所なので安く買えたそうですよ?
人工島を作るのにかかった費用の方が多かったらしいです、何せ海のど真ん中、そこに砂浜やら堤防やらを再現しつつ、人工的に雨を降らせる装置やら何やら、安全対策だなんだとやったらそれだけ掛かったと」
「50…どこの金持ちだよ…」
「ヘラクレスとヘイズルーン、フリートに東野コンツェルン、そこの立場上一番偉い人達ですね、あの爺共金は一杯持ってますので、後は知り合いと言う事で結構割引も有ってそのお値段ですね、ドルですけど。
あの建物が釣具を保管してるガレージですよ、中には休憩所や新しいルアー、リールにロッドを開発してる作業部屋も有りますけどね」
「鷹村の店より大きくね?」
「昔は小型店舗位、マーメイディアとワイバーンを作ってから竹の様にロッドが大量に並んで、置き場所が無くなった結果中型店舗位に、それでしばらくは大丈夫だったけど新作が出る度に増えて行って、現在は種類もかなりあって大型店舗並みに、そして中は中で…」
「そこは見てのお楽しみですね」
「もうここに住むー、道具も全部持って来て国籍も変えるー」
「ジュリアが壊れた」
「主に何が琴線に触れたんでしょうかね?」
「近未来的なガレージが、じゃない?お国柄SFチックなのが結構好きな人種だし、タブレットの操作1つで見本が出て来たり、手に取って確かめる事が出来たりとか、こういうギミックはロマンの塊だしねぇ」
「作ったのはお兄さんですけどね、バカンスに行っている間に大幅に改造されてこうなったってやつです、その前は普通にお店風だったんですけどね、近未来風祭典会場、だそうです」
「取りあえずジュリアがぶっ壊れてトリップしている間にサイコロ表を作るかー、昔みたいにもう折れるかどうかって言うドキドキは無いけど、外れを引いた時の悲壮感は無くなってないからそれなりに楽しめるであろう」
「タナゴ竿でジョイントベイトを引いたらもうエイトトラップ位しか出来ませんからね、後テクトロ」
「糸が無制限なのが救い所だよね」
「釣れなきゃ意味が無いですからね、まずのべ竿が入って、のべ竿もタナゴ用の100からコイ用の1000まで、次に振り出しが来てこれも120から上物の600まで、ルアーにエギにショア、オフショア、船用に筏用、フライも各長さ毎にダイスを割り当てて、リールも500から30000番、ベイトリールに小型大型両軸、片軸にフライリール、リス車…うちに有るのはこんな物ですね」
「そして次に来るのが釣り方、餌か疑似餌かの2択が入って、最悪フライリールで泳がせをする事になれば上物でルアーフィッシングもあり得ると」
「お兄さん達良くこんなぶっ壊れた企画をやってたねぇ…」
「あの時はまだ常識的な範囲でしたけどね、道具も一纏めにしてこのセットこのセットって感じで」
「好きに釣るだけ釣った後に勝負方法をサイコロで決めるって言うパターンも有ったね、そこに何が生息しているかを調べる所から始めないとだけど、おかっぱりでも船でも、ただ何で勝負するかは分からないから釣った物は片っ端から写真にとって保管、どの魚かを決めて、1匹の大きさか重さか、合計した数か長さか重さか、そう言う変則的なのも良くやってたねぇ」
「勝負方法はまあどうでも良いとして、ルアーも細分化して絶望を味わって貰う方向で行くかー」
「どうなるんでしょうねぇ?」
「この際釣り場所もサイコロで決めようか」
サイコロ企画
サイコロの出目は絶対、サイコロの指示通りの道具を使って釣るべし、でも使い方は自由なので発想が大事
タナゴ竿を引いても何も釣れないと言う事は無い、けどリーチが短すぎるのと柔らかすぎるので辛い




