面倒な集団 食事はバランスよく取ろう
おーおーおーいぇーおーいぇー…っと、馬鹿な事やってないでそろそろ現実を見るか…まず2号店が完全復活、それは問題無し、テーブルやら何やらの請求も全て王城、そこから店を大乱闘で破壊した貴族2人に行ってるので問題無し。
1号店も順調でドリンクバーも好評、オレンジとグレープフルーツは在庫が無くなった後一切追加してないけど追加の要望は無し、人気のあるレモンとライムは今月分はもうストック済みなので問題無し、ただし値上がり次第終了とは書いてあるので期間限定みたいな物と認識してくれて…いるはず。
問題は…急な菜食ブームが起きて売り上げが激減中と言う事か…一応ピーマンとか玉ねぎとかも取り扱ってるには取り扱っているけど、それとユッケなし冷麺フライドオニオントッピングだけで済ませる人が増加中。
それを見越して仕込みの量も減らすには減らしてるけど、売れ残りの方が多いので必然的にカレーの量も増加、カレーも肉が入っているには入っていると言う事でこちらも売り上げ減少中…どうした物かねぇ…と言うより何が原因で菜食ブームになったのか…
この辺りは王女様やらリサ、シエルに店長代理にマスター代理を呼んで話を聞く方が早いか。
「えー、今日の議題、急激な菜食ブームとその原因、それとどうやっていつも通りの売り上げに戻すか、取りあえず肉が大量に余ってて大変な事になってるから、少しでも消費する意味を兼ねて食べながらで」
「全部奢り?」
「売れなさ過ぎて余ってるからね、牧場の方で加工するのを止めるのが早いけど、それはそれで一番美味しい時期を逃すから止めずに続けて貰ってるけど、その分出荷待ちの熟成肉がどんどん冷蔵庫にねー…劣化防止機能は付いてるから何時まででも保存は出来るけど、保存できるようには限界と言う物があるし、少しずつでも良いから消費しないと入りきらなくなる。
まあ、余裕を持って大きめにしてあるからまだ大丈夫だけど、長く続く様だと限界がその内来るからねぇ…」
「よし、主様の奢りだー、オパールとオニキスも好きな物を頼めー」
「がう」
「ヴォフ」
「閑古鳥が鳴いていると言うわけでもないんだけど、入ってくる客の9割が玉ねぎとかピーマンにトマト、少しでも野菜を食べないとと言う人向けの肉を巻いて食べる様のリーフレタスしか頼まないんだよね、タレはいつも通り消費されてるけど」
「焼いた野菜にタレを付けて食べるだけでも美味しいですからね、それで、急激な菜食のみに等しい食事が流行した原因ですか…そうですね…他国での美容健康法と言うのが伝わって来たからかもしれません。
かなり離れた所で国交はほぼ無いに等しい国なのですが、その国に住む人達は肉を一切食べず、野菜のみの生活で肌も美しく、また太る事も無く痩せて良い手皆若々しい、と言う話が行商人を通して入って来た様で」
「それと同じくして動物を殺して肉を食べるのは野蛮だと言う話も少しずつ広まって、面倒な人に絡まれたくない人以外はもうどこに行っても野菜しか頼まないと言う状態になっているのが現状ですわね」
「流石に王族貴族に喧嘩を売る度胸は無いのか、2号店は普通に肉の方が注文は多いですし、貴族階級ではない人が利用する所にのみ出没、牧場も第一から第三までシエル様の所有と言う事になっているので暴徒は押し寄せていません」
「暴徒にまでなってるの?」
「一部ですが、牧場の柵を破壊して家畜を強奪、その後野に放ったり森に放ったり、漁業に関しても漁船に穴を空けたりと言う報告は入ってきています、全員犯罪奴隷として鉱山送りになりましたが、そう言った意味では数が減って来ていた鉱山用の犯罪奴隷が補充できたので良し悪しですね」
「嫌な補充方法だなぁ…」
「それ以外に使えそうにないんだよね、やたらと怒りっぽいし、我慢すると言う事を知らないと言うか、検分に付き合わされた時の暴徒を見たら肌はがっさがさ、張りもなければしわにシミだらけ、毛もボロボロだったね、だからどこも奴隷として欲しがる事が無いから強制的に鉱山送り」
「家畜は野に放っても魔物の餌になるだけなんだけどねぇ…しばらくはその辺の草を食べていきるだろうけど、野生で生きて行く力は無いし」
「現状どこに潜んでいるか分からない状態になってきていますので、トラブルを避けるために野菜しか頼まないと言う人が多い状態ですね、襲撃されるお店も有るようですし、今の飲食店はボロボロですね」
「んー…菜食の流行と言うよりは、思想が一気に伝播して行ってる状態かぁ…でも野菜だけは身体に悪いよ?そう言う種族なら兎も角として、肉主体で食べないと体調を崩す種族も居るし、バランスよく食べないと雑食な種族も居るし、何より長生き出来ない。
する気が無いならまあそれでも良いけど、体内バランスがおかしい事になってるから、常にイライラもすれば真面な思考回路にすらならないからふとした事で起るし、善悪の判断も出来なくなって…ってなるし、各地でどうのこうのってなってるのはそれが原因かなぁ…?」
「国としてお触れを出した方が良い感じですかね?」
「そうだね、葵さんの所だと民主主義だの個人の思想までどうのこうのってうるさいのが居るけど、ここだと基本的に王政でいざとなれば独裁でどうにかできちゃうし、野菜のみの生活は危険だからちゃんと肉も魚も食べる様にって出せば良いと思うよ?
それと野菜のみって言う思想に染まった人の末路、まあ鉱山送りになっている話しも合わせて出しておけば効果的かな?
それと同時にその野菜しか食べないという国の実態調査、肌が綺麗で若々しいとは言っていたけど、短命でそもそも老人が居ない可能性もあるし、そう言う野菜以外を食べると体調を崩す種族と言う可能性もあるから、そこもきっちり調べて追々公表したりしないとだねぇ」
「では早速暗部を向かわせる方向で、それとまずは王都内の正常化からですね」
「ちなみに野菜のみと言うのは極々短期間、まあ…そうだねぇ…北西地区の食事からしても2日か3日、それも1月に1回位に止めておく方が身体には良いかな?
それ位なら体内のバランスは崩れないし、詰まっていたりする物を綺麗に掃除してくれるし、そう言う時には悪くないのよ、でもずーっと続けると足りない物が出て来て…まあ簡単に言えば頭がおかしくなる、欠乏している物を身体が求めるけど、それを無理矢理押さえ込んで野菜のみで補充しようとするし、野菜では絶対に取れない物も有るからどんどんバランスが崩れて行って正常な思考が出来なくなる」
「各地で頻発している喧嘩はそれが原因ですかね?」
「カジノの方も酷い物ですよ、今までは負けても1杯飲んでクールダウンと言うのが基本でしたが、どこからともなく流れてきた人達が半分以上を占める様になって直ぐ、負けたらテーブルを叩く、ディーラーに難癖をつける、チップを投げつける、果てはサービスドリンクを運んでいる給仕に暴行を働く、治安が途轍もなく悪くなっているので入場の際に身分確認を強いられている状態になっています、一見はお断りで以前から通っていた人限定で開放している様な物です、おかげでカジノとしては儲けが減っていると言って良いですね」
「焼肉屋に関しては警備担当が全員纏めて叩き出したので事なきを得ていますが、店から出た後に食べた客をを襲撃、と言う事も起きていますので、現在はメニューに野菜しか載っていない状態ですね、売り上げが激減しているのはそれが原因です、裏メニューとして名前を変えて出してはいますが」
「馬肉を桜、猪肉を牡丹って言う名前にして穴を掻い潜るとかそんな感じかあ…」
「それでも頼む人は激減、どうしても野菜中心で提供する事になっていますので…」
「ついでに言えば店員も襲撃される可能性があるからほぼ建物から出て来ない状態だね、農場組は野菜を運搬してるだけだからなんて事は無いけど、焼肉屋は肉を取り扱ってるお店だからねぇ、だからその辺りもどうにかしないとダメだね」
「あの手の集団は手段がおかしいんだよねぇ…葵さんの所にも居るけど、個人でやる分には良いけど他人に押し付けるし、肉はダメと言いながら肉に限りなく近い代替品は求めるとか訳の分からない事を言ってるし…
そもそもの基準が動物は痛みも感じるし鳴くけど野菜は鳴かない、ってだけだからね…痛覚が無いだけで野菜も生きてるし、人からは感じ取れない物で通じ合ってたりするんだよー?波長を出したり僅かな香りを出したりなんかで。
だから花や葉を引きちぎった人が近づくと物凄い警戒を促す波長と香りを出すし、水やりをしている人に対しては警戒心は無かったりするし、感情らしき物も有るには有るんだよね」
「主様は言葉が分かるの?」
「聞こうと思えば、基本的に何とも思ってないけど、やっぱり攻撃してくる物が居たら警戒はするよ、植物も生きてるわけだし、種を遠くに運ぶわけでもなく、ただただ貪り食い続けた動物にブチ切れて、毒を生成して実は葉に仕込んで辺り一帯のその種を全滅させたって事も無くは無い。
人が食べる野菜に関しては水やりとかしてるし、食べるその時までちゃんと育ててるから早々毒化はしない、果物も水をやったり無駄に伸びた枝葉、人で言えば髪の毛だね、それを切ってさっぱりさせたりと世話をしているから、そこを管理している人に対しては警戒心はほぼ無し、知らない人が来たり身をもぎ取って盗まれるとちょっと毒化が進む、そんな感じ」
「こわー…」
「今はそんな話より、菜食のみの暴徒をどう炙り出して制圧するかですね」
「一番簡単なのは嫌がる事をする、屋台で肉を焼いて売るとか、広場で堂々と肉を焼くとか、その上で挑発を入れる事かな?そうすれば沸点が限りなくぬるま湯程度まで落ちてる菜食のみの人は暴走する、後は適当に罪状を付けて牢獄へご招待?
ついでにそう言う人達はもう表情からして色々余裕が消えているから、野菜のみで生活するとこうなるぞとしっかりと周りに見せつけておくのも大事かなぁ?
後…その暴徒は本当にこの国の国民かが怪しい所では有るね」
「鉱山送りにされた暴徒はほぼ全て流れ者ですね、今の所国民は1人も居なかったと思います」
「じゃあ国民の人達は警戒して出て来てないだけと…こういう物は周りに扇動やら何やら、ついでに宗教化する前に潰しておくのが良いし、国内だけでも早めに一掃しちゃうのが良いね、方法としてはもうまずは王都内から、大々的に肉を使った祭りでもやると情報を流して、そうすると必ず反応して動くのが居るから追跡、抗議活動をするために集まるだろうからそこを一網打尽…かな?」
「地味では有りますけど有効な手では有りますよね」
「と言うより、売り上げをどうするか、流行の原因は何なのかを聞こうとしただけなのになんでこうなってるんだろうね?」
「流入して来た暴徒のせいじゃないですかね?」
「潤いすぎていると言うのも考え物だよね、ボクの国には入って来てないみたいだけど、取りあえず事前に侵入を防ぐように手紙でも送っておこうーっと」
「リサの国はまあ…大丈夫じゃないかなぁ?」
「なんでよ?」
「そもそもそんな事をしたら命に係わるから、後種族的に肉も食べないとダメなのに、それを断って野菜のみって人は基本的に砂漠を越える体力が無い、つまり街に辿り着く前に野垂れ死ぬ」
「あー…そうだね、ボクの国は砂漠に囲まれてるし、馬車なんて便利な物は無いしね」
「しかしまあ…どこの世界どこの国でもそう言う集団は出る物だねぇ…」
「主様の所も居るの?」
「私の所は居ないかな?うちの所は一応神教、神の教えでどうこうって感じだし、その神様として祀られているのがうちのメイド、もしくは知ってる人でしょー?だからこれは身体に悪いって一斉に通達すればピタッと止まる。
止まらない時は存在しない神、もしくは自分を神だと言い張る物が絡んでるから、定期的に掃除してはいおしまい、みたいな?
人口は少ないけど、長い歴史があるだけはあるし、歴史の生き証人みたいな人も居るから、過去にこう言う事が有った、結果全員身を滅ぼした、みたいな事も正確に伝わってるからねぇ、そう言う馬鹿は早々出て来ない」
「過去に有った出来事が正確に伝わってそれを学べるのは良いですね、この国では長寿の種族はそう居ませんし、大体はどこかに籠って出て来ないですし」
「マスター代理みたいな変わり者が居ないとそうだろうね、長生きする分時間の感覚が違いすぎて他と合わないし、そうすると同種族、もしくは同種の別種みたいな近しい主とのみしか交流しないし、国も基本的には持たない、長生きすると言う事は国も1代で相当長く続くけど、それはそれで代替わりの多い他の種族とは上手く行かないしでねー。
そう言う物だと割り切ってるうちが珍しい方に入る…かなぁ?一応神とされてるメイドやら知り合いの教えが強いと言うのも有るけど」
「取りあえずは肉を使ったお祭りをすると情報を流せば良いんですのね?」
「そうだね、王都中のあちらこちらに張り紙なりなんなりして、怪しい人が居れば追跡、の地道な作業かなぁ?」
「今日から暗部は全員落ち着くまで休みなしですね、お父様の暗部も身辺警護を残して全員借りてこないと」
「ま、こういう物の対処は早ければ早いほど良いし、そう言う考えすら残さない、残すと言うのであれば事細かに記録にとって、バランスの崩れた食事はこうなりますと大々的に公表する事だね、種族の違いによるバランスのとれた食事はこう言う物、と言う情報も必要だけどね」
「被検体は監獄にいくらでも居ますし、そう言う記録は簡単に取れそうですね、鉱山で死ぬか監獄内で死ぬかの違いでしかないですし、研究職を何人かそちらに回しましょうか」
「さて、それじゃあ方針も決まった所で、後はもう食事を楽しむだけだね、今日はもう店仕舞いしてお店にある肉を全部放出するから好きなだけ食べて行っちゃって、しばらく休みが無くなるであろう暗部の人達1階を貸し切りで良いから」
「明日の営業はどうしましょうか?」
「落ち着くまでは店を閉めてまた海の方にでも避難だね、カレー小屋の方も全くとは言わないけど売れない状態が続いてるし、そっちも一緒にだぁねぇ、カレーのストックは海の家で使う事にするよ、ペーストにしても売れない物は売れないし、いつ再開可能になるか分からないし」
「出来れば今月中に決着を付けたい所ですね」
生き証人
ご主人様が観察、管理している世界では普通に2000から3000年生きている人も居るので、過去に何が有って何が原因かと言う話も正確に伝わっている
そうでなくてもそれより長生きしてるメイド達が常に記録を取っているので過去に何が有ったか、どういう結末を迎えたかも正確に残っている




