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出目は今一 用水路にも意外と居る

 おー…さむっ…流石に冬の川辺はテントから出ると冷えて行かんね、雪はあまり積もっていなくても川辺は少々凍り付いてるし、気温も低ければ風も冷たい、水も冷たい、でも空気だけはこれでもかと澄んでいるので気持ちは良い。

 さて、まずやるべき事はお湯を沸かしてお茶を淹れて、少し温まったら釣り道具を引っ張り出して、ヤマメかニジマスを釣って朝食にでもしましょうかね、でもその前にお米も浸水させておかないとだねぇ…

 お湯を沸かしている間に着替えて、寝袋を畳んで、ついでにお米を飯盒の中に入れて浸水させたらお茶を淹れて一服、少し温まった所で持って来ていた釣り道具を出しまして、流れもぼちぼちあるし、岩も多いから…ミノーから使って行こうかね、ダメだったら色々変えて行けば良いや。


 飯盒を火に掛けて、その間に釣れたヤマメの処理をしまして、焼く時はちょっとびっくりする位塩を多めに振って、火の距離に気を付けつつ串を固定して、じっくり中まで火を通して、でも皮は焦げ過ぎないように注意して…

 先に火に掛けて置いたご飯を火から下して蒸らしつつ、ヤマメをもう少し焼いて、しっかり火が通った所で火から放して朝食の準備が完了、追加のお茶の準備したら早速食べましょ。


「やっほーお兄さん、川辺にテントとか寒くなかった?」

「テントの中は結構温かいから大丈夫よ、で、学校の方は?」

「まーだダメだねぇ、学生寮だけかつ1人だけなら寮の除染だけで済んだんだろうけど、コッソリ戻された畜産の棟は複数あって、監視カメラで複数の棟を出入りしてるのが確認されてるからそこの検疫も終わらない限りどうにもならないし、校内もうろついて複数の人と接触してるのが確認されてるからもう大変。

症状が出ていようが出ていまいが接触、または近くを通っただけでも強制検査入院、変異して無ければとっくに解放されて再開してたんだろうけどね、マスクもせずその辺で咳込みやがってあの糞野郎…」

「インフルは空気感染だし、乾燥してると元気になるもんねぇ」

「マスクをしてれば湿気で多少外に出るのを抑えれるんだけどね、かくいう私達も実際1週間位前までは検査入院だったのだよ、そいつが移動した場所、居た場所を通ったりしただけでも強制的に病院送りで検査、同じ場所に滞在した場合は検査と入院、つまりは学食を利用していた人達全員病院送りになったわけなのだよ、学内パンデミックって奴。

変異して無ければワクチンなり、発症しても薬を処方して貰って大人しくしておけばどうにかなったんだけどねぇ…」

「年始から病院は大パニックだね」

「実際そうだったよー?全員隔離されてる状態だったし、症状が出てない場合は検査後様子見、問題無しとされたら解放、少しでも症状が出始めていたら点滴やら何やらで完治するまで入院続行、かなり性質が悪い物に変異してたっぽいよー?

まあ、場所柄学内変異は良く有る事なんだけど、今回は規模が規模だけに流石に閉鎖ってね」

「大変だねぇ…それで結果として今日も暇を持て余してぶらぶらしていると」

「そうそう、講義の時間まではまだだいぶあるし、実習はやりたくても出来ない状態だし、今日の講も1つで終わりだし、今の時期家の手伝いとは言ってもやる事がそれ程無いから暇で暇で」

「遊びに行けば良いんじゃないの?」

「街に遊びに行くにしてもお金がねー…そもそもお金が有ればどうやって暇を潰すか悩みはしないわけで、街に行って買い物にカラオケにゲームセンターにって頻繁にいけるし」

「釣りをしながらのんびり過ごすと言うのも有りだけど、今の時期は水が冷たいからだめか」

「ニジマスとかヤマメ、もうちょっと上に行ってイワナを釣るには良い時期なんだけど、如何せん寒すぎる、釣りをするならそれなりにしっかり準備してこないと辛い、今はただの散歩だからこれでも良いけど、やるなら服の下に新聞紙を仕込まないと辛いわ」

「新聞紙は流石に胴体部分しか使えないけどね、最近はこう言う物も釣り用品として出てるよー?」

「薄い手袋にしか見えないけど」

「予備が有るからどうぞ、色は白と黒、それに赤と青の4色しかないけど、肘から指先までしっかり温めて手先が冷えるのを防いでくれる、でも風は通るから手汗でどうのと言う事にはならないし、滑り止めも付いてるからずれない」

「おお…これは良い…肌触りも良いし、分厚い手袋を着けなくても温かい、いくらすんのこれ?」

「18000円かな?シルクのような肌触り、かつここまで薄くするとどうしてもお金がねー、更に手首から先は滑らない様にも工夫されてるし、手汗も解消したり、色んな技術が詰め込まれているわけなのですよ」

「たっか!それにこのまま魚を触るわけにはいかないよなぁ…」

「そうだね、これはあくまでのサポーターと防寒を兼ねた物、この上から耐水性のあるちょっと長めのグローグを着けて、これでようやく餌とか魚とかが触れる状態だね」

「めんどくさいけど、臭いもつかない、手も冷えないとなるとこの方が良いのか」

「滑らないから素手で触ってるのと変わらないから結構いいよ、水に浸けてもグローブは水を通さないし、インナーグローブが温めてくれるから水を冷たく感じる事が無いし、完全武装すれば川に入って釣りをする事も出来るね」

「便利では有るけど流されたら即死だろうなぁ」

「入ってきた水までは防げないからそこは気を付けないとダメだね」


「さて、私はそろそろ講義が始まるから帰るけど、お兄さんはどうするの?」

「テントを片付けたらまた次の場所を目指していどうかな?昨日はそのままついて来てここにテントを張ったけど、またサイコロで行先を行き当たりばったりで決めつつ…かな?」

「もうちょっとゆっくりして行けばいいのに、田んぼと畑、川と山以外ほぼ何も無いけど」

「キャンプをするには良い場所であるのは確かなんだけどね、ぶらぶらと旅をするのが目的なので居座るのはちょっとね、と言うわけで片付けをしたらスーパーによってから出発だね」

「スーパーにはよるんだ」

「移動中に飲むボトルのジュースをね、この辺りコンビニないし」

「無いね、最寄りのコンビニまで徒歩1時間、スーパーは徒歩30分、どちらを利用するかなんて考えるまでも無く」

「コンビニに有ってスーパーに無い物は無いよね、こういう所だと」

「チケットの発券から何まで全部スーパーで出来るからね、コンビニもどこも出店してないから出店したって感じだろうし、利用客はほぼ居ないっぽい、後高いもん」

「同じジュースがスーパーの倍の値段で買える素敵なお店」

「チラシに入ってると3倍の値段って事も有るね」

「と言うわけで片付けも終わったし、そろそろ行くねー、藤ちゃんにもよろしく言っておいてねー」

「はーい、またねー」


 朝食は食べたからお弁当やらおにぎりは不要として、お茶はちょっと多めに500mlボトルを2本、他に買う物は無いので袋は不要でシールだけにして貰って、1本はリュックの中に、もう一本は腰に下げてるボトル用カバーの中に入れて…これで準備完了。

 それじゃあまずはバス停を目指して移動しまして、そこから何ヶ所目の停留所で降りるかを決めて、最寄りの駅まで歩いて…だね、よし、行くか。


 んーむ、サイコロの出目は微妙、2つ目の停留所で降りる事になったけど少々景色は変わり、車どおりはそれなりに多く建物も増えて来て、でもここから最寄りの駅までは更にバス停を1つ越えて行かないとだから…のんびり歩いて2時間位か、昨日バスに乗ってきた方向とはまた逆方向に来てるし、来た道を戻っていると言う事も無いので順調と言えば順調か…?

 取りあえずぶらぶらと歩きつつ、お昼までは適当に用水路やら川やらを探して釣りをしつつ、お昼になったらお店を探して、お昼を食べたら駅を目指して一直線と行きますかね。

 でもそれはそれとして、交換した連絡先からずーっと連絡が来ているので既読を付けて、適当に返信をしたら買ってきたお茶の蓋を開けて一口、んー…よく冷えてる…冷蔵庫以下の気温だと保温効果の無いカバーであろうと冷蔵庫に早変わり、でも歩き続けていると温かい物より冷たい物で少し冷やすのが大事なのでこれ位が丁度良い。

 適度に体を冷却しつつ、しばらく歩いた所で用水路を見つけたので釣り道具を引っ張り出して、この用水路は山の方から水が流れて来ていて、大元はあの山で…携帯で地図を見る限りは用水路の上の方にはヤマメやニジマスの養殖場が有って…ふむ、ヤマメとニジマスは居そうな気がするね。

 ここも朝と同じでミノーを投げてちょこちょこっとやって、お昼近くまで遊んだら食事が取れる所を探して、お昼ご飯を食べたら予定通りに駅を目指して一直線、だね、それじゃあちょこちょこっと釣りをしてみましょ。


「あんちゃん何か釣れるかい?」

「20位のヤマメと40位のニジマスかな?多分上の養殖場から流れて来たのが成長したやつ」

「流れて来たのも意外と長生きするもんだねぇ」

「川の水がそのまま来てるし、水生昆虫も居ればハヤとかもいるだろうし、餌には困らないだろうしね、どっちが掛かるかはわからないけど、簡単に釣れるからおかずを一品増やしたい時には良いんじゃないかな?

街中の用水路だとどぶ臭かったりで難有りだけど、ここなら水は綺麗だし、普通に美味しいと思うよ?完全養殖に比べると今一かも知れないけど」

「じゃあ今度道具でも買って来てやってみるかねぇ、餌は何が良いんだい?」

「一番簡単なのはいくら、それとミミズかな?この辺りならミミズを確保するのに苦労はしないはず、道具も2メーター位ののべ竿に針と浮きと重りの簡単なやつなら3000円もしない位で揃えれるかな?」

「なるほど、じゃあ今度買って来てやってみるか、ミミズは自分とこの畑なり山に行けばいくらでも取れるしな」

「お店によってはこう言う所でこれを釣るって言うとそれに合った物を出してくれるけど、高い物を出して来たり、のべ竿と言う事で糸も0.3とか0.4なんかの細い物を出してくるから、食べるために釣るなら1か1.5号のちょっと太目…メモ帳か何か持ってます?」

「ただの散歩中だから持ってないな」

「のべ浮きで一番お金が掛かるのは竿だから、高い物を勧められてもそれは無視して、レッドウルフってメーカーののべ竿、タナゴ用の1メーターからコイ用の10メーターまで有るけど、その中のフナ用、単純に長さで分けてあるだけだから、そのフナ用の2メーターを買えばここでは丁度良いはず、お値段も店頭なら700円位、糸が切れなければ6キロのナマズが来ても折れないから結構丈夫でいいよー?」

「レッドウルフって所の物を買えば良いんだな、ありがとよ」

「高い物は良い物と言うのは確かだけど、安くても良い物は良いからね、それに安い竿ならもし何かあってもすっぱりとあきらめがつく」

「確かにそうだな、それじゃ頑張れよー」

「お昼も近いからそろそろやめるけどね、お店を探さないと」

「この辺りはあまりいい店は無いからちょっと遠くへ行かないとダメだな、向こうに見える山を少し上って行けば猪鍋を出してるいい店が有るぞ」

「駅とは逆方向かー…でも行ってみようかな?」

「そこそこ有名で街の方からも食べに来る人がいるからな、猪鍋と山菜と茸の釜飯がお勧めだぞ」

「ふむ、それじゃあ道具を片付けたら行ってみようかね」

「車通りも有るから大丈夫だとは思うが、山道は氷りやすいからな、転倒しない様に気を付けろよー?」


 はてさて、釣りをしている時に出会ったおっちゃんから教えて貰ったお勧めのお店に来たわけだけども、街の方からも人が来ていると言っていただけあってぼちぼち混んでるねぇ…これはちょっと待つ事になりそう。

 取りあえずお勧めされた猪鍋と釜飯を注文しまして、出て来るまでは暇潰しでまた届いていた物に既読を付けて適当に返信、質素なお昼ご飯ーって返信と共にご飯にお味噌汁、漬物とレバニラ炒めっぽい画像、もう一人からは夕飯の残りで唐揚げを使った親子丼ーと言う画像つきの返信。

 これは…私もお昼ご飯の写真を撮って画像を乗せるべきか…でもまだ届かないんだよねぇ…注文した品が届くのを待ってる途中とでも書いておくか。

 流石に食事中まで携帯を触るわけでは無いらしく、ピタッと止まった所でようやく猪鍋と釜飯が届いたので一応写真を撮って乗せてから食事開始、量はそれなり、釜飯も山菜と茸が割と多めの味濃い目で結構美味しい、これは確かに街の方から来て食べたくなると言うのも納得。

 ゆっくり味わって食べたら駅へ向かって…その後の出目次第でどこに泊まるかを考えないとね。

新聞紙

服の下に仕込むと防寒になる便利グッズ、腕までカバーしようとすると少し難しい

カバーする部分が増えれば増えるほど動き辛くなる、そしてちょっと爺婆臭いと言うデメリットも有る

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