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あまり身体には良くない 手が止まらなくなる

 えーと、何々…魚屋さんで牡蠣が20キロ、肉屋さんで手作り生ソーセージが5キロと鳥皮が20キロ、豚の背脂が20キロの牛脂も20キロ、八百屋さんでネギが30生姜40ニンニク10キロ、酒屋さんで20年物の紹興酒が10本…多いねぇ…

 ソーセージは今日の夕食用で、牡蠣はオイル漬けにオイスターソース、鳥皮等は脂を取って…か、この辺りも消費量が多いからなぁ…炒め物だけじゃなく当然揚げ物に使っても美味しいし、ラーメンに油そば、汁物の香りやちょっとした旨味足しと言った時にも使うし、何だかんだですぐ無くなるのよねぇ…

 特に最近は豚の背脂に牛脂自体を食べる事も有るし、いくら有っても足りないと言えば足りないか、でも実際美味しいもんねぇ…背脂乗せのフライドポテト…そこからさらに広がってトロトロになるまで煮た鳥皮やら牛脂やらもトッピングに加わったし、そうなると背脂以外の消費量も増えるので…

 多いとは思っても皮やら脂は倍あっても良い気はするね、あまり大量に買う場合は流石に事前時連絡を入れておかないとちょっと待たされる事になるけど、んー…どうせすぐ無くなる事を考えると…倍位買って行くか、ソーセージはそのままで。


「今日は牡蠣が50キロ、それと個人的に伊勢海老が20位」

「エビもキロか?」

「キロで、ちょっと贅沢な使い方をしてやろうかと」

「頭は味噌汁、身は味噌もしくは醤油焼き、天ぷらに唐揚げ、餡かけに刺身に、まあどうやっても美味いな」

「紹興酒に浸けて内容物を吐かせるのも有りだけど、紹興酒自体はダメになるのがねぇ…」

「簡単に言えばゲロ塗れになった酒だからな、車エビをその状態の紹興酒で煮る物もあるが…ありゃダメだな、やるなら完全に吐かせた後に新しい紹興酒に入れ替えてやる方が良い、紹興酒で煮てやると美味くなるのは確かだが、臭いを消すためにやってるのに何で臭いの元が有る状態で煮るのか…」

「単純に作ってる人が紹興酒をケチってるからじゃない?そうでなくても良い物は高いし、そのまま流して捨てるってなるとねー…まあ若干味は落ちるけど、安い調理酒に紹興酒を少々、ついでにハチミツもちょっと入れてその中に放り込むと安く上がるね、それで吐かせる物を吐かせて絞まった所で紹興酒で蒸し煮、これなら旨味を増やしつつ香りもバッチリだね」

「財布が許すなら最初から最後まで紹興酒のみだがな、取りあえず用意するのに少々時間が掛かるからその辺をぶらついて待っててくれや」

「肉屋に八百屋とよる所があるから大丈夫、それじゃお願いねー」

「おう」


「鳥皮に豚の背脂、牛脂がそれぞれ60キロ、それとソーセージ5キロで良いんだね?」

「用意できる?」

「豚の背脂と牛脂は問題無し、鳥皮は1羽から取れる量が知れてるからちーっと時間が掛かる、輸入物でも良いなら300キロは軽く用意できるさね、国産に比べると物はそれ程良くはないがね」

「脂を取るだけならそれでもいいんだけどねぇ、最近は皮をトッピングに使う事が多くて」

「あー、華が言ってたねぇ、皮やら脂やらを揚げた芋に乗せて食うんだろ?」

「そうそう、他にはミミガーとかチラガーを唐揚げにしたりしたのに乗せたり、大体何にでも合うんだよね、おかげで脂を取るだけでなく、何かとトッピングしたりと言う時に使うから消費量が多くて」

「鳥皮は兎も角として、背脂と牛脂は引き取り手が居なきゃどうせ捨てる部分だから好きなだけ持って行きな、その代り出来た物を華に持たせてうちにもよこしな」

「この近辺だと牛脂と背脂は近所に配ったり、欲しい人が取りに来てもまだなお余るかー」

「氷屋が軽食を出してる位で使う様な料理屋なんてないからね、量が量なら加工してる所に引き取りに来て貰うんだけどね、量が微妙で使い切れない時はどうしても廃棄するしか無いからね。

それで、鳥皮はどうするんだい?」

「輸入は剥いでその後特に何もせず冷凍?」

「何もせずそのまま冷凍さね、洗浄位はしてるがね、だから臭いは気になるほどでもないさね」

「どうせ生姜とかネギとかが入るからなぁ…かき集めるとなると時間が掛かるだろうし、その冷凍でもいいや」

「はいよ、背脂と牛脂は裏の冷凍庫に入ってるから好きなだけ持って行きな、何なら空にして行ってもいいさね」

「じゃあ全部貰って行こう、トッピング用の煮込みもそのまま味を付けた物と、脂を取るついでに揚げてカスになった物とで2種類あるからいくら有っても足りないのよね」

「健康も何も無い食事だねぇ、でも我慢してる方がよほど身体に悪いからね」

「肉ばかり食べていると言う事も無し、何なら昨日の夕食は白菜と油揚げとこんにゃくの煮物、アサリの味噌汁、アジの塩焼きと割と普通な物だったね」

「我慢しなさ過ぎも問題、バランスが大事さね」


「ただいまー、メモより大分多くなったけど買って来たよー」

「おかえりー、多くなるのは大丈夫ですが、具体的にはどれ位?」

「牡蠣が50キロ、伊勢海老が個人的に欲しかったから20キロ、背脂と牛脂は冷凍庫に有ったやつ全部、鳥皮は300キロ、ニンニクや生姜、ソーセージは変わらず」

「多いですねぇ…意外と早くなくなりそうな気もしますけど」

「メイド達もちょこちょこ食べにくるしね、取りあえず鳥皮は一旦茹でて汚れを取って、それから煮込みと脂用で分けて、生姜にニンニクにネギにと刻んで香りを付けたりだねぇ」

「増やした分の牡蠣とエビはどうするんです?」

「オイル漬けとオイスターソースだけと言うもなんだし、生と焼き、フライに牡蠣飯も作って食べようかなって。

伊勢海老は刺身に唐揚げ、頭は味噌汁、他には真っ二つにしてニンニク醤油で焼いたり、味噌だったりもろみを塗って焼いてやろうかと」

「あー…良いですねぇ、考えるだけでもお腹が減ってきそうです、でもその前に下処理を済ませて脂なんかを取ったりしませんとね」

「炒め物に油そばにラーメンに、揚物にも使う事が有るから消費がねー…」

「うちの食費がうなぎ上りに上昇中なのは人数が増えた結果なので別に悪い事ではないんですが、量が量だけにこういう作業にかかる時間が増えたと言うのが…ねぇ…」

「そのために家事手伝いとして1人増員したわけで、その内大して時間が掛からなくなるはず、コンロの数を増やさないとダメかもしれないけど」

「コンロもオーブンの数も変わってませんからね、そこもまた後々考えないといけませんね」

「この生姜は皮を剥くんですか?」

「臭い消しと香り付け用だから、こうやってばらしたら皮は剥かずにそのまま輪切りで、ネギは青い部分と白い部分を分けて、青い部分はそのまま、白い部分はみじん切り、ニンニクは皮を剥いたら叩いて潰して香りを出して、そこからみじん切り、これを有るだけ全部」

「多いですねぇ…」

「炒め物用揚げ物用の油が無くなったりした時はこんな物ですよ、それじゃ頑張ってやって行きましょー」

「ま、こっちも終わり次第手伝うから意外と終わるのは早いよ、刻み終わったら後は火に掛けるだけだしね」

「鳥皮も一度茹でて汚れを取ると言う手間が有るだけで後は変わりませんしね、こうやってざっと表面だけ茹でて、汚れを落としたら適当にダンダンダンと包丁で叩き斬って、後は底が深い鍋、量が少なければ中華鍋で良いんですけど、ここは寸胴で行きます、この中に鳥皮、豚の背脂、牛脂と別けて入れまして、後は火に掛けるだけ、たまにかき混ぜて熱を均等に入れる、それを繰り返して最後に揚げカスを回収、生姜とネギの葉の部分を使うのはその揚げカスを取った後だね」

「なるほど、一緒に入れて、ではないんですね」

「一緒に入れても良いんだけど、鳥皮とか背脂、牛脂のカスは単体でも使えるから、後で取り除く手間を考えるとね、後火が通る時間の違いと言う問題も有る」

「纏めてやった方が美味しくなる物、纏めてやると雑味やらえぐみが追加されて悪くなる物と有りますので、そこも覚えて行きましょうね、基本的には火の通る時間にさえ気を付けていれば大丈夫ですが」

「みじん切りにしたニンニクとネギはいつ使うんですか?」

「それは刻み終わったら直ぐに、なのでどんどん刻んでいきましょう」


「では、刻み終わったニンニクとネギを先程作り終えたばかりの油を使って炒めます、寸胴で炒めるので少々混ぜ辛いですが、やっていれば慣れるのでこれで。

程々に炒めた所で鳥皮、背脂、牛脂を入れて軽く炒めます、炒めすぎると脂が大量に出て来るのでこちらも程々に、そしたら次に水、砂糖、醤油、鳥皮と一緒に買って来て貰った紹興酒で更に香り付けして少し煮込みます。

少し煮込んだら火から下して、蓋をして冷めるのを待って、完全に冷めたら上に冷え固まった脂の膜、下がゼラチンで固まった出汁に別れるので、完全に固まったらその脂の膜を取り除いて完成です、取り除いた脂はこれはこれで炒め物なんかに使えますので取って置きます、若干甘いですけどね」

「甘くなるんですか?」

「脂と言うより付着しているゼラチンがね、砂糖が入ってるからその部分が甘くなる、それと、冷やして固める時にこれ、ざる用の金網だけど、これを沈めておかないと浮いてきた皮とか背脂が冷え固まる脂とくっ付くから、それはそれで脂とゼラチンを分ける時に苦労する」

「ま、脂を砕いて混ぜちゃってもいいんですけどね、ですがその場合も一旦取り除いて、じっくりと冷まして作る柔らかい脂ではなく、低温で一気に冷やして固める硬い脂にする必要が有ります」

「低温で一気に冷やすのとそうでない物はどう違うんです?」

「言うより見た方が速いと思いますので実物を見せますけど、こっちが0度以下の場所で一気に冷却、こっちは25度くらいの場所でゆっくり冷やして固めた物、一気に冷却するとカチカチに、比較的暖かい所でゆっくり固めると程々に柔らかいまま、まあこれは理科とかその辺りの話になりますので、動物性の脂を固めたい時は冷蔵庫などで冷却、柔らかい物に仕上げたい時は25度位でゆっくり、と覚えておけば良いです。

今回はカチカチに固めたいので煮込み終わったら蓋をして外に放り出しておきます、雪の中に突っ込んで置けば冷えるのも固まるのも早いですからね、逆に炒め物用等の油はここでゆっくり冷まします」

「それで、次は揚げカスの処理、このまま塩を振って食べても美味しいけど、これの一部…まあ3分の1位かな?それ位の量を取り分けて、包丁でざくざく刻んで細かくします、程々の所で取り出した生姜とネギも細かくして、刻んだカスと一緒にボウルの中へ入れて混ぜる、これだけ。

これでもう炒飯に使ったり、ちょっとした炒め物に混ぜたり、ラーメンや油そばのトッピングにしたりと結構使える油かすの出来上がり」

「割と余すところが無いんですね」

「だよー?まだ山盛り残ってる方のカスもまた半分に分けて、そっちはこの甘辛タレ、砂糖に醤油、鷹の爪で作ったシンプルなタレだね、コーンスターチやら何やらを入れてとろみを付けてあるけど、それをカスに掛けて全体にしっかり絡むまでよく混ぜる、これでカスを使った物が3つ出来たわけだね、炒め物用に細かくして揚げたネギと生姜を混ぜた物、塩だけを振った物、甘辛タレと混ぜた物で」

「そして料理をしている人の特権、このカスをパリパリと摘まみながら料理が出来る、食べ過ぎると身体には良くないですが、もうそんな物は関係ないので好きなだけ、普通の人だと間違いなくプクプク太ります」

「全部カロリー爆弾だしね、でもだからこそ美味しいのよね」

「確かに、塩だけの物も甘辛も癖になる美味しさですね、飽きずにいくらでも食べれそうな気がします」

「実際にビールが有ると山盛りあったのが気が付いたら空になっているくらいにはペロッと行けちゃうんですよね、唐揚げ以上に危険な物です」

「分かる気がします、これは止まりません」

「でもまあ流石に手を止めて貰わないと困るんだけどね、そうしないと作業が終わらないから、少し摘まむ程度なら良いけど本格的に食べるなら全部終わってから」

「はーい、と言うわけで次はカチカチに固めた脂の処理、これは細かくする必要があるから熱が伝わり難い様にゴム手袋をして、この穴の開いたおろし金で粉状にする、粉状にしたら先程も言った様にゼラチンで固まった出汁と混ぜて均一にする、これで出来上がりです。

後はフライドポテトや唐揚げ、チキンカツにフライドオニオンに掛けたり、茹でただけの麺に絡めて簡単油そばにしたり、餃子や春巻きの餡に混ぜたりと使い道は多いですよー?」

「ネギとニンニクもたっぷり入ってるからね、それじゃあ混ぜ終わったら物から小分けして冷蔵庫に保存、それが終わったらもう後は自由行動で、洗い物も有るけどね」

「牡蠣とエビはどうするんです?」

「そっちは休憩を入れたら全部やっておくよ」

「楽が出来る、やったぜ」

「手伝わなくて良いんですかね?」

「手が疲れ切っている状態だと牡蠣の殻を剥くのは危ないし、伊勢海老もコツがいるからまた今度だね」

「取りあえずつまみ用に塩とタレを各種確保しておこうっと」

鳥皮

唐揚げにしても焼いても脂を取った後のカスも美味しいカロリー爆弾

コラーゲンたっぷりとは言っても経口摂取で得られる物に効果はそれ程無い、全く無いわけでもないので効果は一応ある、けど実感できるほどではない

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