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種族的な問題 悶絶します

「うーん…」

「どうしました?学校で何か有りました?」

「まあそんな所、座学だとか教官は別に問題ないのよ、ただ車がね、座席を一番後ろまで引いても座り難いし乗り難いんだよね、乗っていれば慣れるかーとは思ったけど慣れる事も無く、そんな感じで地味にねー…運転できなくはないんだけど、ここで乗っている物に比べるとねぇ…」

「それ座先の高さも調整しましたか?前後に動かすより時間は掛かりますし、分かり辛い場所に有りますけど、前に運転した人の高さそのままで乗ってません?この国の人は農耕民族で胴長かつ足が短め、なので高さは弄らずとも前後に動かすだけで調整は完了しますが、そこに狩猟民族で足が長い人が乗ると高さが有ってない、つまり座席の位置が低いんですよ、乗った時にしか居も若干悪くなってませんか?」

「あー…そうだね、確かにちょっと見通しが悪いかも?」

「うちで練習した時は初回時に高さ等を合わせてそのまま固定されてましたし、それですっぽ抜けた感じですね、校内の練習コースはまだ良いですが、路上になると視界の悪さは事故に繋がりますので」

「じゃあ次から高さの調整を忘れないようにしないとなぁ」

「格好をつけて一番低い状態まで下げて、かつ椅子も倒してって人も居ますけど、あれはただの馬鹿だから真似しないでくださいね、当然ながら背筋を伸ばして乗る方が視界は良いですし、椅子の高さも5センチ変るだけで大分違いますよ。

まあ…それでも胴長短足に合わせた設計では有りますので、運転し難いと言う事には変わりはないですけどね」

「そこはもうどうしようもないね、免許を取れば乗りやすい車に乗る様になるだけだし、それまでの我慢」

「それが終わったら終わったで今度は船舶免許が待ってるんですけどね、2馬力のアルミで良いなら必要は無いですけど、1号湖とか2号湖、3号湖で自由に釣りをしようと思ったら最低でも250馬力のバスボートを扱えないと移動だけで軽く3時間はかかります」

「滅茶苦茶広いもんね、1号湖だけでも1周するのにどれだけ掛かるのか」

「吹っ飛ばないように特注した800馬力のボートでかっ飛ばして3時間位ですかね?一直線で突っ走ればそれほどかかりませんけど、1周だとそれなりに掛かりますね」

「水上で800馬力のボートをかっ飛ばして吹っ飛ばないのも凄いけど、風防が無かったらどうなるんだろうね?」

「風圧で吹っ飛んで行くだけじゃないですか?その辺も含めて色々特注なので、船舶免許以外にも特別講習を受ける必要が有りますけどね」

「危ないから?」

「それも有りますけど基本的に安全面は問題ないです、何ならぶつかりそう、座礁しそうって時は事前に速度を落としてくれます、ただエンジンとかエレキが普通の物とは違うのでその辺りで講習が有る感じです、それ以外は普通のボートと…似た様な物ですかね?」

「仕事の量は大分減って楽になったけど、その分勉強する事が多いなぁ…」

「車の免許に船舶免許にと取れば行動範囲が広がりますし、両方取って置く事をお勧めしますよ、バスボートは牽引免許も必要になりますけどね」

「うーん、めんどい」

「一度取ってしまえば楽なんですけどね、それじゃあお浚いで車に乗る所からやってみましょうか」

「えーと、まずは座席を調整して、高さも変えて、バックミラーサイドミラーと調整して…」


 んー、再テストは問題なく2人とも満点、これならそろそろヒルダを書類仕事に回しても大丈夫、ディジーもそろそろ洗剤やら調味料やらをズラーっと並べて適切に扱えているかを確認すれば良いかな?間違えたらその時はその時、間違いを教えて直せば大丈夫、特に重曹は食用と洗い物用で違うし、そう言った物は実物を見せた方が良いと言えば良いしね。

 ヒルダは明日から書類整理の方に回すとして…ディジーに求めているのは掃除や料理、洗濯等の家事手伝いなので…今日のお昼から早速働いて貰いましょうかね、まずは皮むきやら千切りやら、そこから始めて、少しずつ味付けとかそう言う物を教えて行く感じ…で良いかな?

 さて、それじゃあまずはディジーを連れてお買物に行くところから始めましょうかね、最近はもう耳や尻尾を隠さずともそう言うコスプレとか、ルシフが少し前に売りに出した皮を被る物とか、そう言った物として認識されるので実に楽で良い、でもニット帽が無いと耳が冷たくなって辛いので帽子は必要だけども。

 あー…んー…まあ良いや、お出かけ用の服は一旦背丈の近いアヤカから借りて、仕立て屋さん採寸やら何やらをして注文して…そうなるとヒルダも一応必要だから連れて行くとして…ヒルダの服は恵里香さんに借りれば良いか、それでもちょっと大きい位だけど、一番近いのがねぇ…

 気を取りなおして、それじゃあ準備を済ませたらお買物に行きましょうかね。


「おー…これがこっちの街並みか、全然違うな、皆車とやらに乗って移動してるし」

「都心部だと逆に乗らないですよ、人が密集しすぎて車だと逆に移動に時間が掛かるので歩いての移動が基本です、しかし…一度でも行けば分かりますけど、人が住むような場所ではないですよ?密集しすぎて治安が終わっているので都心部なのにスラムと変わらないって言う。

この程度の片田舎なら近所付き合いも有って平和なんですけどね、都心部は近所付き合いと言う物はほぼ無し、住んでいる人の8割は見栄だけで済んでますし、そう言う人達は精神的にも余裕がないですし、ストレス解消にと飲み歩いたりなんだり、そしてそのまま路上で寝たり、そう言う人を狙った置き引きは毎日ありますし、人が多いと詐欺にカルトにと言った集団も集まりますので…」

「地獄か何かか?」

「似た様な物ですね、実家と今住んでいるとは別に本宅が都心部の真ん中に有りますけど、そこに住む気は全く一切無いですね、それ位酷いです。

見栄で済んでる人は言ったように色々と余裕が無いので、無理してそう言う所に住んだ結果、給料は良いはずなのにお金はたまらない、残らない、そしてどんどん疲弊して行って周りに当たるんですよ、本宅の周りに住んでる人達の中にもそう言う人が居ますし、盗みに入ろうとする事も有れば、柵を乗り越えようとして落ちたから慰謝料と治療費で5000万寄越せとか、頭のおかしい人がいるんですよね、当然通るわけも無く国家権力にお持ち帰りして貰う事になりますけど、前科が無いと即逮捕からの刑務所域とはなりませんし、大抵は直ぐ出て来るのでその後も嫌がらせがですねぇ…」

「面倒臭そうだなぁ、貴族同士の争いみたいな物か?」

「それより酷いんじゃないですか?図式で言えば私が頂点、嫌がらせだなんだと喧嘩を売ってきているのは底辺、ヒルダにわかりやすく言えば貴族に平民が一方的に喧嘩を売って、でも法治国家なので私刑に処す事が出来ない、加害者である平民の方が擁護されて被害者の貴族が攻撃される、そんな感じです」

「治安も何もねぇな、貴族が居なくなったら平民は野垂れ死ぬしかねぇぞ、守ってくれる奴が居なくなるし、盗賊に襲われるか同じ平民で争うか」

「当然平民同士でも争っているのが都心部です、田舎でもまあ無くは無いですけど、それは大抵よそ者に対してか、村八分にされる様な事をしたかのどちらかですね。

さて、仕立て屋さんに着きましたよ、まずはここで採寸と冬物を急ぎで、ですね、仕事に関しては私服でも大丈夫ですが…念の為スーツも仕立てて置きませんとね」

「スーツって…あの動き難そうなやつか?」

「逆に言えば歩いたり座ったりしかしないから動き難い物になった、とも言えますね」

「わざわざ動き難い服を着るとか襲ってくださいとか言ってる様な物だな」

「まあ、着る事はほぼ無いですし、何かあったら破けば良いんですよ」

「それなら最初から動きやすい服を着ておけよって言いたいね」


「食塩…藻塩…岩塩…ハーブソルトにスパイスソルト、ガーリックソルト、オニオンソルト、バジルソルト、マサラソルト、桜塩に梅塩、竹塩…拘りの塩田塩…塩だけでもかなり多くありませんか?」

「食に対する意識の違いだね、拘る人は塩にも拘る、お手軽に味付けを済ませたいと言う人はハーブソルトなんかのスパイスや香りを漬けた物を選ぶ、そんな感じで塩1つとってもこんな感じに種類が多いわけだね」

「この胡椒とブラックペッパーって何が違うんだ?見た目は同じっぽいけど」

「同じですよ、和名か英名かの違いです、それとGSとかBARABAと頭についてるのはメーカー名、メーカーによって香りが違うのでこだわる人はそこにも拘ります」

「ふーむ…同じ物でも交易で仕入れてきた奴が違うと質が変わる様な物か?」

「そんな感じですね、安い物は大量に仕入れていると言うのも有りますが、物自体はそれ程、高い物は香りが良い物を選んで作っています」

「高い物を買えば安定、と言うわけでもなさそうだな、これだけ種類があると」

「人には好みと言う物も有りますからね、それとうちは人数が多いので調味料は基本的に業務用です、取りあえずこれだけありますよと言うお勉強ですね」

「気になった物が有れば買っても良いけどね、大体使い切りになるけど」

「料理をおいしく作るコツは基本的に調味料をケチらない事、素材そのものの味と言うのも有りますけど、基本的には少し濃い位の方が美味しいですからね」

「こっちに来てからいろいろ食べたけど、醤油とこれって違うのか?」

「色が似てるだけで別物ですね、醤油も英名でソイソースとは言いますが、ウスターソースは原料からして違います、各種野菜にスパイスを加えた物、なので味も香りも違います、うちではまだウスターの方を使った物は出してませんし、今日はそれを使った物にしてみましょうか」

「どういう味なのか気になるな」

「それは夕食までのお楽しみと言う事で」

「ウスターソースを使うと言う事は…んー…のり弁?」

「フライ単体でも良いですけど、ご飯に少し染みたのも美味しいですからね、それにしましょうか」

「ディジーは何か気になる物は?」

「この緑色のソースが何なのかと、ほうれんそうピューレと書いているのは分かるのですが、ピューレが何なのか」

「ピューレはペーストより更に水っぽい、けど裏漉しをしてより滑らかにした物の事だね、これに生クリームを加えたりすればソースになるけど、これをパスタ生地に加えると言う事も出来るから割と万能」

「使い勝手は良いんですけど、使いすぎと食べ過ぎには注意が必要です」

「大量に食べると腹でも下すのか?」

「いえ、そう直に何かが起こると言うわけでもないんですよ、ただですね…えーと…コレ、大量に摂取するとココ、ココにこれが出来ます、人体が感じる痛みの中で上位3つに入る程の痛みが襲って来る様になります、体外に出るまで当然苦しむ事になりますし、体外に出た後も通ってきた所が少し痛んだりします。

小さいと直ぐに大概まで運ばれて痛みは消えますが、絶妙な大きさだと出て来るのに半日からは掛かる、長いと1日以上」

「あー…悶絶石か…酒と肉だけで過ごしてる船乗りがたまに自慢げに見せびらかしていた事が有ったが、これでも出来るのか…」

「これでも、出来る時は何を食べても出来ますけどね、体質とかその地域の水の性質とか色々有りますし、ただ、これを大量に摂取すると出来やすいのは確かです」

「悶絶石ですか…私はどういう形か見た事が有りませんが、こういう形をしていたんですね…」

「船乗りはこれに耐えてこそ一人前の男、見たいな所も有ったりするからなぁ、こんなのが出て来たぜって周りに見せるんだよな」

「洗ってるのなら良いですが、洗ってないと雑菌が湧いて汚いので記念に保管する場合はちゃんと洗いましょうね?」

「しねぇよ…と言うよりなった事ねぇよ…」

「私も無いですけどね、その辺り気を付けてましたし、もう出来る事は無いですし」

「私は有ります…寝ても痛い、立っても痛い、救護院に行っても直ぐに治るわけでも無く…」

「怪我をしたとかそう言うのじゃないからね、膀胱から通ってる管を刺激している石を取らない限りはずーっと続くから癒した所で何の意味も無い、癒すなら体外に出た後だね」

「こちらだと超音波で砕くとか、利尿剤や管を広げる薬を飲んで短時間で体外に出すのが一般的ですね、病院が休みで閉まっている時は利尿作用のある飲み物とツボを刺激して頑張るしかないですね」

「悶絶石が出来た時はどうだったんだ?」

「最初は腰痛かと思いましたが、時間が経つに連れ段々と痛みが下腹部に移りまして、それからすぐに痛みで汗が止まらない状態に…かといって痛みで意識を失うわけでも無く…」

「ま、今は大丈夫でしょうし、出来たら出来たで即日治療してくれるので苦しむ事は無いかと。

それより今日の夕食ですね、白身魚フライを作る必要が有りますし、鮮魚コーナーで魚を買うとして…タラが入ってるかどうかですね」

「無かったらその時はその時、冷凍物を買って帰るしかないね」

「ですね」

悶絶石

結石の事、人体が感じる痛み上位3位に入る位痛い、人を痛めつける様な形をしている

出来やすい食べ物も有るけど体質も関係あったりするし、住んでる地域の水道水も関係が有ったりするので、気を付けていれば出来ないと言うわけでもない

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