カニではない 混乱する見た目
「え?これカニじゃねぇの?」
「違いますよ、カニ風味カマボコです、それっぽく見える様に着色しているだけです、カニは結構高いですけど、これはカニを1杯買う値段で山盛り買えます」
「カニと変わらない味だからてっきり普通のカニかと思ったわ、食感は何か違う感じがしたけどよ」
「あー…味覚が若干鈍い人は食べても気が付かないって言いますからねぇこれ、更にカニに近づける方法も有りますけど、まあカニカマである事には変わりませんね、その方法は味覚と嗅覚を誤魔化してカニっぽくしているだけなので」
「こうまでしてカニが食べたかった種族なのか?」
「否定はできませんね、カニが高級品だからこそ安価で購入できるカニ風味カマボコが誕生、数十年経った今も売れ続けているわけですし、最近ではウニ風味プリン、またはカマボコ、いくら風味ジュレに人口いくらにと色々有りますよー?
ウニといくら、カニもうちは好きなだけ捕れますけど、カニカマに関してはカニカマだからこそ作れる物が有りますからね」
「それがこの天ぷらか」
「いえ、天ぷらは普通のカニでも出来ますよ?味は全然違いますけど、だからこそこうやって巻き寿司にすると普通のカニで作るより美味しいんですよ」
「サラダ巻きもカニカマを使いますからね、そこにカロリーを足すともっと美味しくなるって言う、天丼のタレもいい仕事をしてますよねこれ」
「うちのスーパーの定番商品ですからね、サラダ菜を敷いて卵にカニカマ天を乗せて、天丼のタレぴゃーっと掛けて巻くだけ、普通の白ご飯じゃなくて寿司飯だから良いんですよこれ。
問題はお値段が1本180円なので出したらこればっかり売れると言う所ですね、350円の海鮮巻きや298円の上巻きが売れないんですよ、安いだけだと売れないんですけど、これ普通に美味しいから滅茶苦茶売れるんですよねー…」
「売れて困るのか?」
「安い物ばかり売れると高い物が売れないので地味に売り上げが下がるんですよ、なので定番では有りますけど1日20本限定だったりします、特売の日は他の物を出さずにこればっかりと言う事も有りますけども」
「売り上げが下がるのに売り続けると関わってんな」
「儲けが無いわけじゃないですからね、後店舗によって定番は違いますので、全体の売り上げで言えば問題は無いですね」
「ふーん、そんな物か」
「そんな物です、1店舗しかないなら大問題ですけど、うちは全国展開なので1店舗位売り上げが低くてもトータルで言えば結構儲けてますからね、赤字続きの場合はテコ入れしますけど、売れる物しか売らないって方向にすれば廃棄も減って確実に黒字にはなりますので」
「うどん残り5玉ー、おかわりは早めにねー」
「ざるで1玉くださーい」
「俺もざるでくれー」
「はーい、今日のテストを返すよー、ヒルダは95点で漢字間違いが1つ、ディジーが70点で漢字は有ってるけど読み間違いがちょっと多め、訓読みと音読みの違いに気を付けて行こうね」
「んー…これどの漢字が正しいんだ?」
「手に持つ方の箸じゃなくて、渡る方の橋が正解、お箸でする箸渡しと言うのも有るけど、それは人が橋を渡すのが元になっている言葉だね」
「ややこしいなぁ…」
「ディジーはちょうふくをじゅうふくと読み間違い、最近はどっちでも良いって言う人も居るけど、訓読み音読みを正しくできない人が増えて来たから仕方なしに改定されてそうなっただけで、正しくはちょうふくね。
どっちでも良いからーって感じで覚えちゃうと、後で取り返しのつかない事になったりするからしっかり復習しておいてねー?特に読み間違いは人に通じないし、商品名を読み間違えると相手にも迷惑が掛かるし、特にヒルダの場合は書類整理のお手伝いだから漢字間違い読み間違いは特に気を付けないとね」
「うへぇーぃ…」
「それじゃあ今日の授業はここまで、直す所を直してから自由時間ね」
「ただ会話するだけなら苦労はしねぇんだけどなぁ…文字を見て読んでとなるとどうしてこうも面倒臭く…」
「そう言う世界だから仕方ないね」
んーむむむ…これはどうやってフォローをした物か…ちょっと本気を出すと一方的になるし、今の状態を維持すると負けが確定なわけで…まあ良いや、個人成績が下がるわけじゃないし、今の拠点を死守して次のマッチングに期待しよう。
「なぁ」
「んー?」
「こっちの世界ってこういう物で戦うのか?」
「だねぇ、こういう銃と呼ばれる物が主流だね、他にも大陸間弾道ミサイルと言うのも有るし、航空機を使った…まあゲーム内でも有った爆撃とかがこっちでの戦争の仕方だね」
「簡単に死んでいってるが結構威力は高い?」
「まあそれなりに?でもこっちの世界だからこそ使える武器であって、ヒルダの世界だと物理放送に重力にと色々違うからその辺の石を投げる方がまし、それらを無視して使ったとしても…」
「なるほど、作るだけ無駄だな」
「作って有用だったらとっくに作ってるってやつだね、それにゲームと同じ様に音が出るし、そんな物を使ったらあっと言う間に獣たちに囲まれて…だねぇ、閃光弾なら怯むだろうけど、真正面から来るだけじゃなくて隠れて襲って来る事も有るし、全部が全部には効果は無いからやっぱり居場所を知らせるだけで微妙」
「人に対しても微妙そうだなぁ…」
「密集してる所に投げればいいんだけど、範囲はそれ程広くないしね、こっちで有用だから向こうでも有用かと言えばそうでもないって事よ、特に大戦の時なんて魔石を使ってあーだーこーだ色々やってるはずだしね、生きるか死ぬかの瀬戸際でケチるって事はしないし」
「だよなー、それ以降も出て来てない時点で今より便利な武器は無いって事だよな」
「その代りこっちだと魔法は使えないけどね、使う方法も有るけど、干渉の仕方が全く違うからまず使えない、使えたら才能の塊だね、それでも種火を起こせるかどうかくらいだろうけど」
「主様は使えるのか?」
「まあ普通に、っと、試合終了した」
「LOSE…」
「ルーズ、失うとか負けるとかそう言う意味だね」
「なんだ、あれだけ殺しておいて負けたのか」
「個人戦じゃなくてチーム戦だからね、1人が頑張っても周りが押されてるとどうしようもないね、救援に向かうと言う事も出来なくは無かったけど、それをすると守っていた所が無人になるからポイントが入らなくなるでしょー?
それに頭上には常にUAVが飛んでいて常にこっちの位置が相手に筒抜けてる状態だし、離れたら直ぐ制圧されるでしょー?撃ち落とした所で押されてる状態だから相手は直ぐに呼び出せる状態になるからどうしようもない。
まあ、どうにかしようと思えばできなくは無かったけど、個人成績には影響しないからまあ良いやーって感じで放置してみた」
「仲間を見捨てるとか酷い主様だ事で」
「知り合いとか仲間内でチームを組んでいるわけでも無し、見ず知らずの人達と組んだ時はこんな物よ」
「そうじゃない時は?」
「程々に本気を出して勝つ」
「程々で有って全力ではないんだな…」
「さて、夕マヅメでございます、ここではあまり関係は無いけど夕マヅメです」
「何言ってんだ?」
「いや、何となく?昨日はシンプルに船の上から針に餌をつけて落とすだけの釣りだったみたいだけど、今日はちょっと変わってこちら」
「なんだこれ?ミミズっぽい形はしてるがなんか違うな」
「これはソフトルアー、もしくはミミズを模した物である事からそのままワームと呼ばれる事も有る疑似餌だね」
「疑似餌か、それなら形は違えど使った事が有るな、もっと大きく大雑把な木製だったが」
「それはハードベイトと呼ばれる硬い素材でできた物だね、どっちが良いどっちが悪いなんて事は無いのでその辺りはお好みで、ズラーっと揃てあるから気に言った物をどうぞ。
今日はこれを使って夕食の材料を釣ります、釣れなかったら若干寂しい夕食になります」
「だからほぼ総出で来てるのか?」
「そうだね、それとは関係なく船でちょっと沖に出て昼間からずーっとマグロモドキを狙ってるアリスも居るみたいだけど」
「んー…あの遠くに有る小っちゃいのがそうか」
「流石に船に乗ってただけあって目は良いね、最近は釣りが出来る範囲を広げたから船に乗って釣りに行く事も良く有るね、アルミボートだから多くても3人位だけど。
まあそれはそれとして、ここで狙うのはクロダイ、沢山泳いでるのが見えるでしょー?あれを釣ります」
「餌を使わない理由は?」
「あのクロダイが好んで食べるカニがここには存在していない、持ち込むなら持ち込むで寄生虫やそう言った物が居ない状態にした物を持ちこまないとダメで面倒、アサリやハマグリ、牡蠣なんかを使って釣ると言う方法も有るには有るけど…そっちの方が良い?」
「釣れない事も有る疑似餌より確実に釣れる餌の方が楽しいからそっちにしてくれ」
「慣れれば疑似餌でも釣れるし、餌の交換が必要無いから楽な事も有るんだけどね、それじゃあはいこれ、付け方は分かるよね?」
「まあ、一応は、前じゃなく後ろから針を刺して通すんだっけか?」
「そうだね、もう1つの付け方としては片側の貝柱を切って自体を開いちゃう、それから身の方に針を刺してこのまま投げる、金づちで殻を割っても良いけどね、でもお勧めは貝が閉じた状態のまま刺す事かな?」
「開いたり割って付けると何かあるのか?」
「フグが多い、砂に潜っていて見えないだろうけどクサフグが沢山居ます、なのでこうやって…ソフトルアーを底まで沈めるとあっと言う間にボロボロになって帰ってきます」
「見るも無残な姿だな」
「こんな感じであっと言う間に齧られるので殻付きのままの方が良いね、クロダイなら貝を噛み砕いて食べれるけど、フグはそこまで口は大きくないからね、それじゃやってみよう」
「これだけ居たら流石に釣れない方がおかしいから釣れないって事は無いだろ」
「だね、疑似餌の方は兎も角、餌釣りの場合は」
「投げて直ぐだったな」
「ま、餌だしね、針が刺さってるかどうかは別だけど」
「そんなもんこうやって思いっきり引っ張れば大丈夫だろ」
「クロダイは口が堅いからね、結構強めにしないと刺さらない、その位強く引っ張れば刺さってるとは思うけど」
「釣りの経験が無いわけでも無し、道具の形が少しは変われど基本は変わらねぇだろ?」
「変わらないね、取り込みまで一人で出来る?」
「ぶっこ抜けば良いだろ、切れるほど柔な糸じゃないんだろ?」
「そうだね、3号だから6キロまでは行ける、結び目は多少弱くなるけど、それでも5キロは行けるね」
「ならぶっこ抜き一択だな」
「ぶっこ抜いてもその後直ぐに血抜きだなんだとする必要があるのはお忘れなく」
「それ位できるわ」
「今日はクロダイがぼちぼち釣れたのとアリスがマグロモドキを釣って来たからちょっと豪勢です」
「クロダイは塩釜、マグロモドキはたたきですか」
「皮はカツオっぽいのに身はカンパチ等のそれ、まだ見た目には慣れませんけど、味は良いですよね」
「聞いてはいても実際に釣って三枚に下した時の違和感が凄いですからね、この見た目で白身かよ!って」
「食感はカツオとかマグロっぽいんですけどねぇ、味はカンパチとブリの中間で全身大トロ、不思議ですよね」
「普通は効率良く酸素を運ぶためにこの手の魚は身が赤く染まって行くはずなんですけど…実際にシエルさん達の世界の魚も赤くなってましたよね?何が違うんでしょうか?血はしっかり赤色なのに」
「んー、見た目がマグロってだけだからねぇ…色は白銀一色だけど、単に一瞬でも速く力強く泳ぐのを求めた結果形がそれになっただけかと?」
「不思議ですねぇ…普通のカツオやマグロも居たりしたんですか?」
「確かいたはず、そっちは全身メタリックブルー、形状はどちらかと言えばカジキだったけど、口が尖って無かったからどちらかと言えば間の子っぽい見た目、カンパチなんかに該当する魚は赤っぽいだけで大体同じかな?」
「そのマグロは見てみたい気がしますけど、カジキと足して割った様な感じとなると…若干薄っぺらくなってそうですね」
「そうだね、シイラの顔をしゅっと細長くして、胴体をほんの少し丸くして、ヒレがマグロとかカツオになった様な感じ、美味しいかどうかで言えば美味しいけどいつまでたっても噛み切れないよ、全身旨味の塊、でも煮込みに失敗した硬い牛アキレスとかそんなやつ」
「ゴリゴリしてるんですね」
「かといって火を通したらとろっとするわけでも無く、ホロホロっと崩れるわけでも無く、更に硬くなるだけ、圧力をかけたり長時間煮込んでもダメ、揚げてもダメ、それでも食べたい釣ってみたいと言うのであれば捕ってきて増やすけど?」
「チャレンジはしてみたいですね、タコみたいに叩いたら繊維が潰れて柔らかくなるかもしれませんし、フグみたいに薄造りと言う手も有りますし、普通のマグロみたいに寝かせると良くなるかもですし」
「それじゃあまた今度捕ってくるよ、びっくりする位硬いと思うから、本当に色々試してみないとね、マグロモドキを捕ってきた時は現地でサクッと出来る事をやっただけだし、何か良い方法があるかもしれない」
「見つからなければその時は釣るだけの魚になると言う事で」
「カジキっぽいだけあって大きさは7メーター位行くけどね」
「ワーオ…」
カニカマ
カニ風味カマボコであってカニを使ったカマボコではない、食べた時にどっちが本当のカニか気が付かない人も居るらしい
かに玉にしたり天ぷらにしたり汁物にしたりと割と万能、もっとカニっぽく食べたいならポン酢で




