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考えも倫理観も違います 引籠っちゃった

「なるほどねー、それで旅費やら食費をを貯めるために今は住み込みで働いていると」

「ええ、村が魔物の襲撃で滅んでからは各地を転々としつつ、逗留先で子供達に簡単な授業を開いたり、食文化を伝えたりとしているのでどうしてもお金が必要になりまして」

「基本的に無償でやってたらそりゃお金は無くなるよね、教会の維持も基本的にはお布施か、もしくは国からの支援金が無いとそこで働く人は何も買えないし、壊れた箇所の修理も出来ないし」

「こちらであれば日当中銀貨1枚、一月も働けば大銀貨3枚にはなるので比較的早く稼げるんですよね、もっと稼げる所も有りますけど、そう言った所は身体を売らないといけないので」

「一応シスターだもんね、お酒は飲むけど」

「飲んではいけないと言う戒律は有りませんし、動物肉も摂取してはいけないと言う戒律も有りませんからね、前後不覚になるまで飲むなと言う常識が有る位ですね、またお酒で酔って身体を許した場合は破門と言うのも有りますが、限度一杯まで飲む人以外は早々無いですね」

「同性同士しでやっちゃった場合は?」

「処女のままであれば何も、ただし念入りに確認されるので結構恥ずかしいですよ」

「神職って変な所で律儀というか、ある意味倫理観が壊れていると言うか…」

「信仰する神に身を捧げていますので、処女を失った原因が何であれ即破門ですからね、神が降りてきてその神に捧げた、と言うのであれば一介のシスターでも神女に格上げされて大聖堂辺りで保護されますが…大戦以降は降りて来たという話は聞かないですね」

「あー…うん…あの碌でもない趣味の人達ね…」

「神ではなく人ですか?」

「神ではなくただの人だね、神様を気取っていただけのただの人、住んでる場所がちょっと高い所ってだけで、降りてきただのなんだのはただ単に好みの異性を見つけたから遊んでただけだと思うよ?自分の玩具だから何をしても良いみたいな感じで」

「一介の、ではありますが、シスターとしてはその話は信じる事が出来ませんね」

「事実なんだけどねぇ、まあ信じる信じないは人それぞれ、もう存在していない物をそうだと証明するのも難しいしね、取りあえず話を戻すとして、稼ぐだけ稼いだらこの王都に根付いてる食文化を広める予定で?」

「そうですね、肉を焼くだけ、と言う物はどこにでも有りますし、焼くだけであるが故に味付けは塩や香草のみが基本ですし、こう言ったタレと言う物を作る、と言うのは珍しいですし、そのたれにしても複雑な味わいというか…」

「栄養面で見てもこのタレって悪くないんだよね、玉ねぎとニンニクに加えて果物も入ってるし、西の国で作られている醤油と言う大豆を使ったソース、乾燥唐辛子と、摂取し過ぎなければ身体には良いんだよね」

「なるほど、このタレ自体がもう野菜と同じ様な物ですか」

「一応お仕事の事も考えてニンニク抜きの物にしてるけどね、時期が時期なら柚子で香りを漬けた物も有るんだけど、今は柚子が高いから比較的安いレモンを使った物になってるね」

「こちらの冷麺と言う物にも同じ物が掛かっているようですが、こちらにも合いますね、パスタとはまた違うようですが」

「小麦粉と少しの塩、それに片栗粉と呼ばれる芋から取れる物を練って出来た麺だね、芋じゃなくてもトウモロコシ、西で取れる葛を使っても大丈夫、この辺りは芋が安いから芋を使ってるだけだね」

「西の国で揚げ物に使っている粉の1つですね、お菓子などにも使われているようですが」

「そうそう、それ、葛の根を砕いて水に曝しておくと出て来るものが片栗粉の元、上澄みの水を捨てて、綺麗な水を入れて沈んだ物を洗って、もう一度沈殿したらまた水を捨てて、その後乾かせば出来上がり。

芋でも作り方は基本的に変わらない、すりおろした物を布で包んで水に曝す、そうすると底に沈んでいくからまた上澄みを捨てる、捨てたら洗って乾燥させてと同じ、砕いた芋は芋で乾燥させて粉末にすると使い方色々、うちでは使わないからお隣のパスタ屋さんに回してるけど」

「具体的な使い方は?」

「お隣でポテトボールって言う揚げ物を売ってるでしょ?アレ、お湯で芋粉末を捏ねて、決着させるために小麦粉を少々、塩で軽く味をつけて、一口より小さい大きさに丸めたら表面がカリッとするまで揚げるだけ、大きすぎると火が通るのに時間が掛かるのと、食べる時にちょっと苦労する。

おやつ感覚でも食べれるし、添え物にも使えるし、主食にもなるしで結構便利よ」

「覚えておくと料理の幅が広がりそうですね」

「芋の種類は馬鈴薯と呼ばれるやつね、甘味がそれほどないやつ、そっちからも取れるけど甘くなるからこういう物には向かない、水餅を作るのには良いんだけどね」

「それにしても…全員に奢って代金は大丈夫なんですか?何やら一番高い物ばかりを注文しているようですけど?」

「あー、それは大丈夫よ、使っている材料は基本的に全部自前で用意してる物だし、仕入れ価格自体は皆無と言って良いね、これでも王都基準で中規模農場を1つ、それと牧場を3つ持ってるし、このお店も経営してるのは実質私だし、夜まで貸し切りの食べ放題にした所で得に何の問題も無し」

「お金って有る所には有るんですね」

「むしろ有る所に無かったら脱税対策とかそう言うので庭とか所有している土地のどこかに埋めて隠したとかだろうね、何ならお隣のカジノも私の所有物、シスター達が働いているお店も現在は私の所有物、運営してるのはマスター代理だけど」

「質素倹約と言った生活とは無縁そうですね」

「そうでもない、ここに来たばかりの頃は無一文、ゴタゴタが有って手に入れた現金で今君達が住んでいる所に居候、何ヶ月か過ごしてお金になる物を作って売りさばいて貰って、やる事やったらまたここに帰ってきて、その時は無一文で隣のカジノで日雇いとして働いてた。

そこから更に何だかんだ有ってお金が出来て、生活基盤も出来て来て、そして現在に至る」

「色々すっ飛ばしてませんか?」

「細かく長くなりすぎる話はちょっとすっ飛ばすくらいが丁度良い」

「店長ー、特は全部出しても良いんですかー?」

「全部ー、足りなかったら牧場の方に追加の連絡ー」

「はーいわかりましたー、それと8階のお客様の分はー?」

「今日来てるのは…これだっけ?」

「それです、回復祝いでお友達含めて4人」

「あの4人は特が無くてもホルモンが有れば満足だから足りなくなったらホルモンの盛り合わせを出しておいて」

「はーい」

「8階にもテーブルが有るんですか?」

「1階がお店、2階が事務所とエプロンなんかの在庫置場、3階から7階が住み込み用の部屋、一番見晴らしのいい8階が貴賓室みたいな感じ、普段ならこっちに来ることは無いんだけど、2号店が今改装中でねぇ…それでこっちに流れてきた感じ」

「貴賓室…貴族でも来てるんですかね?」

「もっと性質が悪いやつ、悪い人達ではないけどね、入り口と出口が別の所に有るからばったり出会ったりする事も無いから安心すると良いよ。

それより飲み物が空になってるけど何飲む?レモンかライムの砂糖入りか、砂糖無しか、冷水か炭酸か」

「レモンの砂糖無しを氷入りの炭酸でお願いします、それとミントは少し多めで」

「はいはい、それじゃ淹れて来るねー」


「そう言えば周りの娘達も色んな知識が有るみたいだけど、その辺りから知識を仕入れたりはしないの?」

「興味がある物は個人的に聞いたりしていますが、これでも一応は人に勉学を教える立場だった事が有りますので、一通り学んだ事のある物が多いですね、ですがそれは学生向けに広く浅くなので、鉱石学に薬草学、農業に漁業に林業を齧ってはいても深い知識となると初めて聞いたりするものが多いですね。

それに最近は魔石工学がどんどん発展してきていますし、その辺りの知識がほぼ無いので結構勉強になるんですよね」

「以前から無くは無かったし、冷蔵庫も一般家庭には無くても一部お金の有る貴族が大型の物を持っていたりとか、って程度だったけど、今は小型化もされて来てるし、冷却効率も向上、価格もそれなりにお安く、だからねぇ」

「冷暖房と呼ばれる物も素晴らしいですよね、暖を取るのに薪が不要、火の後始末もしなくて良いので火事になる事が無いですし、室温の調整も思いのまま」

「北西地区の花街はそこいらの貴族よりお金を持ってるし、大体のお店は全室冷暖房完備だね、暖炉も風情が有っていいけど、安全面を考えた結果切り替えたって感じだね。

でー、魔石工学の知識が一番あるのは…」

「あちらのデザートオウル族の方ですね、以前は監獄に居て、監獄内で学んだ知識を持って工房へ、現場で働いた後に独立をするためにもっと給料の良いこちらで魔石工学の基礎を教えながら、だそうです、現場で働かないと分からないやってはいけない事も知っていますし、その道の人達に人気が有りますね」

「ほーん…んー…んんー…?ふーんむ…あー…確かにあんな娘も居た…かなぁ?」

「お知り合いで?」

「直接知り合いと言うわけでも無く見た事有るかなー程度、私もちょこっと監獄にいた時期が有るし、その時に色々やりまして、監獄の一室を図書室に改造して農業やら林業、魔石工学の本やらを看守が休暇で街に帰る時に代金を渡して一通り買って来て貰って…ってやってたから、そこで独学で勉強したんじゃないかなーと。

一緒に畑を耕していたりした人ははっきり覚えてるんだけどねぇ…その人は現在私の所有とは違う別の農場で働いてる、と言うのは知ってる」

「何か罪を犯したのですか?懺悔室ではないですがここで懺悔して行かれますか?」

「いやいや、冤罪で捕まっただけだから、あそこのデザートオウルの娘もそれで監獄にいただけだと思うし、だからこそ出てきた後に奴隷落ちしてないんだと思うけど」

「誰か確かめる人は居なかったんですかね?」

「貴族相手じゃ確かめれるのはそれより上の爵位を持つ人か、絶対的な権力を持つ王族位だしねぇ、適当に罪をでっち上げられた時点で捕まるしかないね」

「そう言った腐った貴族には天罰が下れば良いのですけど…」

「天罰は無いね、人を裁くのは人だけ、と言うわけで最終的には街中で公開処刑されてたよ、叩いたら埃が大量に出て来たからもう首を斬るしかないな、そうしないと国民が納得しないわ、って感じで」

「なら神は何を裁くのでしょうか?」

「何も裁かないんじゃない?余程の事をされた時はちょこちょこっと介入したりするかもしれないけど、その後どうするかは結局そこに住んでいる人達次第、つまり裁くのは同じ人。

それにその神と呼ばれる存在にしたって個々人で何が全で悪か違うわけでしょー?それで悪い事をしたら天罰が落ちて処罰されるとして、じゃあその天罰を落とすのはどこのどの神ですかってならない?働く事は悪であり怠惰こそ美徳であり善行、と言う神も居るかもしれないじゃない?

まあ怠惰こそ美徳だからと働いている人に天罰を落とす事自体をサボる可能性も無くは無いけど、働き者の生真面目な神が居たら何か自分の居に添わない事をされた時点で天罰を落とす様になるんじゃない?

そう言った事が無い時点で神は居ないし、人を裁くのは神ではなく人のみ、まあこれ以上話すとまた存在しない物を信じろって言う話になって来るから止めるとして、人を裁くのは人だけ、神と呼ばれる存在は基本的に何もしない、する時は自分の考えて動くから人の考えや倫理観とは根本的に合わない、と考えればよろし」

「考えや倫理観が根本的に違う、ですか…」

「たとえば肉食魚、アレは自分達が産んだ卵から孵った稚魚を食べるでしょ?個体調整とか食べる物が無くてとか色々有るけど、じゃあ人が人を食べたらどう思う?」

「それは悪しき事で禁忌とされていますね、人を食べた物は呪われてやせ細り言葉も解せなくなり、最後には身体が崩れて死ぬと言われています」

「ところが考えも倫理観も違うから人が人を食べているのを見ても何とも思わないし、またそれを野蛮だとも思う事も無い、それはなぜだと思う?」

「取るに足らない存在だから…ですかね?」

「それも有るだろうけど、基本的には観察対象でしかないのよ、巣を作って餌を運ぶ蟻を観察している様な物、介入して餌を撒く事も有れば遊びとして意図的に巣を崩して遊ぶ、そしてその撒かれる餌と言うは君達人の事、潰される巣はここで言うと国の事。

大戦時の魔物の異常発生やら何やらは全て人為的に行われた事、それを引き起こした側はそれを見て楽しんでるから根本的に考えも倫理観も合わないから話にならないのよね、だから天罰と言う物が落ちる事は無い、落ちるとすればそいつの意に添わない、玩具や舞台を壊すような都合の悪い事をされた時だけ、になるかな?」

「餌は私達人ですか…」

「それを食べるのは各地に大量に撒かれた魔物、それと勇者として召喚されてきた人達、後者の場合は食肉的な意味ではなく肉欲的な意味でだけど、最終的には法も何も無い、暴力だけの世界、弱い物は奪われ犯される、神に祈れどその神は笑って見ているだけ、それこそがその神と呼ばれる存在が望んだ展開だから何もしないし笑って見ているだけ、飽きたら新しい玩具を用意するために壊れた玩具は廃棄、その後に更地に戻してまた巣を作らせて…と言う感じ。

それがこの世界であった事かな?そうなる前に止めて全部処理したけど、こっちでの生活基盤も出来てたし、短いけどそれなりに交流も有ったしね」

「神託が降りて来て世界を救うためと召喚した勇者自体が罠だったと?」

「そんな所だね、その勇者自体も一枚岩じゃなくて普通の人も混ざってたし、その普通の人もその勇者達の餌でしかなかったと言うのが有るよー?同性からは嫉妬され、異性からは身体を狙われ、性格からしても同調する事は無いから最終的には…ね?実際最終的には玩具にされていたし。

また大分話がそれたから今度こそここでお終い、この話を信じる信じないは個人の自由、今は美味しい食事を食べましょうねって事で、それと後でデザートオウルの娘に挨拶をしないとなぁ…魔石工学の知識次第では工房を開く資金援助をしても良いし…」

「神とは何なんでしょうね?それと今までの信仰は無意味だったのでしょうか?」

「んー…まあ信仰する事自体は悪くないんじゃない?それが心の拠り所になる事も有るからね、それに進行すればなんでも神になるよ、それこそイワシの頭でさえもね」

「生臭い神は遠慮願いたいですね…」


「マスター」

「はいはい、なんでございましょう?」

「シスターが昨日の食事以降部屋から出て来なくなったようなのですが、何かしました?無理矢理襲いました?」

「襲わないよ…食事をしながら話をした位よ、その時の会話内容でちょっと思う所が有ったんじゃない?一応神に身を捧げたとか言ってたし、今までの信仰に疑問を抱いたんじゃない?」

「仕事をしなくなる…と言うのは大問題なんですけど…まあ働く日や休みの日は自由にして良いって契約内容に有るので良いんですけど、休んだら日当が出ないだけですし」

「疑問が解決するなり新しい信仰先なり、そう言うのが解決したらまた元気に働くんじゃない?」

「信仰ですか…特に真実神は居ませんね、と言うよりもう居ないんですよね?」

「神を名乗っていた物はもう居ないね、ここに居ないだけで遥か彼方遠くには居るけど、もうとっくに壊れてるだろうから廃棄処分されて消滅してるんじゃない?」

「壊れるって一体何をしたのやら…」

「観測や観察するのが大好きな第二世代に引き渡しただけよ、因果律の観測をしたり、全く同じ世界を複数用意して、気温をゼロコンマ単位でずらしてみたり、重力も少し強くしたり弱くした場合どういう進化を辿るのか、姿形にどういう違いが出るのか、地形の変化や天変地異の場所は規模に際は出るのか、とかそう言う事をやっている暇な人達、息抜きに動物実験をする事も有るし、丁度良かったと言えば丁度良かったんじゃない?」

「絶対碌でもない実験をしてそうな気がします」

「普通の人が傍から見るとそうかもしれないね、でも普通に観察しているだけじゃわからないデータも取れるから悪くは無いのよ?

例えば心臓を完全に止めて、血液の流れも完全に止めて、でも脳死はさせずに意識を保たせるとどうなるのかとか、死ぬ直前で固定して死なない様に保護して、どれだけの時間置いておくとどうなるのかとか、死なない様にしてから血液を溶かした鉛に置き換えるとどうなるのかとか」

「死にたくても死ねないとかえぐいですね…」

「窒息で意識が無くなる直前で固定した場合体感速度はどうなっているのか、正常な思考は出来るのか、思考速度はどうなっているのかとか、同じ存在複製、複数用意して一ヶ所に集めた場合何人だと何をやるのかとか、同じ思考回路と行動をする男性の複製10人に対して女性を1人だけ用意するとどうなるのかとか、色々やっていると言えばやっているね」

「最後の複製はどうなったんですか?」

「自分同士で殺し合って全滅、同じ思考回路で同じ行動をするわけだから自分自身が邪魔になるのよ、順番待ちとかそう言う考えには至らない、至ったとしても優劣をつけ始めるから結局争う、他人であれば譲り合いとかそう言う考えも出て来るだろうけどね。

女性は女性で全く同じ存在である男10人を見て発狂、2人に増やした場合も発狂、男は殺し合いから変わらず、3人と4人でもダメ、5人だと1人に付き2人、でも全く同じ事を始めてそれが癪に障ったのか結局殺し合い、10人10人の同数でも変わらず、同じ存在が同じ事をすぐ隣でやっていると認識した辺りから狂い初めて殺し合いになる。

神を名乗っていた連中と好き放題やっていた勇者達はそう言う実験動物として消費された感じだね」

「想像するだけでも地獄絵図…こういうのをテーブルトークでなんて言うんでしたっけ…三知直葬でしたっけ…?2つまでは大丈夫だけど3つ目を知ってしまうと狂って死ぬって言う…」

「その概念も人であるからこそ存在する物だね、まあ動物実験じゃない時は自然現象とか、作物とか、そう言う物を観測、観察、研究してるから平和な物よ。

人に因果律と呼ばれている物を除外した場合は気温がゼロコンマで変っただけでも進化の時に差異は出る、変わらなければ同じ、因果律と呼ばれる物を設定すると10度高くしようが最終的には同じ物になる、と言う研究結果も有るね」

「動物実験がアレなだけで結構真面な研究はしてるんですね」

「研究者ってそう言う物じゃない?因果律と言う物を設定していても無量大数まで試行回数を重ねれば同じ世界かつ同じ環境でも差異は出て来るのか、とかもやってるしね、今の所は何もしない限りは何も変わらないと言う結果、因果律が無くても変わらない、星の誕生から消滅まで何一つ変わる事無く同じ道筋を辿る…らしいよ?

でも因果律が無い方が星の寿命に差異は出ると言う結果も有ったかな?星の寿命を縮める存在が有ったとして、因果律が有る場合その存在を消してもまた別の所で同じ様なのが生えて来て寿命を縮める、無い場合は一度消せばもう出てこない、ただ、似た様なのがまた出て来るかも知れないし出て来ないかもしれないという可能性が出て来て、そこから似た様物が誕生した未来としなかった未来で枝分かれ、気温をゼロコンマで弄るだけでも誕生したりしなかったり、またその存在が何所で生えて来るかも変わる。

例えばまず1と言う存在を消した場合、同じ考えの2と言う存在が何処かで必ず生えて来るのが因果律が有る場合、1と言う存在を消した場合2と言う存在が生えるかもしれないし生えないかも知れないのが因果律が無い場合。

で、無い場合はその2と言う存在はいつどこで生えて来るかどうかが分からない、2と言存在は無くて3と言う存在で出て来るかも知れない、出て来ても星の寿命を縮めるどころか伸ばすかもしれない、そう言う感じでどんどん枝分かれして行くのよね。

ただし、この時に同じ環境で再現すると結果は変わらない、少しでも変えると差異が出て来る、その辺の道端に落ちてる石でも何でも良いから1ミリでもずらしてみる、それだけで人や動植物の生き死にに影響が出て来て、当然星の寿命にも差異が出て来る、その時間に1ミリずらせば人が半数死ぬけど星の寿命が2000年伸びる、ゼロコンマ秒送らせるだけで人が倍増して寿命は1000年伸びるとか、そう言う結果になって来るのが因果律無し。

有りの場合は何をどう弄ろうが結果に代わり無し、どう設定しているのかにもよるけどね、星の寿命は1000年って設定していたら因果律の外側から破壊しない限りは1000年は持つ、人工が20億まで増えると設定していればたとえ残り1人になってもどこからともなく異性が生えて来て最終的には20億まで増える」

「頭がこんがらがりそうですねぇ…それで、この世界にその因果律とやらは?」

「無い、そう言う物から外れた世界になるね、私が来た時点ではまだあった、つまりは勇者に世界を支配されると言う結末が待っていたわけだね、無くなったのは私が最初の奴隷を買った辺り、神を気取っていた連中とか、勇者より強く鍛えて、更にはこの世界の理というか、ゲームで言うステータスとかそう言う枷を外した時点で壊れた…のかな?因果律ってそう言う物に対しては滅法脆いし、何か異物が混じるだけで壊れるのよね、何もしない限りはエラー吐き続けるけど動くプログラムみたいなものだけど、結末に影響する物がポンっと出て来ると完全に壊れる。

一番最初の奴隷で言えば何だかんだで勇者を全員返り討ち、神を気取っていた存在も軽く仕留める事が出来る位には強くなったから完全に壊れた…みたいな?」

「つまりは暗部の人達はこの世界で一番強いと言う事…で良いんです?」

「そう言うわけでもない、神を気取っていたのも自分が作ったステータスと言う道具や設定の中で強くなった気になっていてだけで、勇者達もそうだけど実際の強さで言えばその辺のチンピラ以下なのよ、なのでそう言う枷が無くなってしまえば文字通り赤子の手をひねるのと同じ事になるわけだね、後この世界で一番強いのはオパールとオニキスね、あの2匹は強いよー?1匹で大陸全土滅ぼせる位には、何なら東の大陸に残ってる兄弟姉妹も群れで行動すれば簡単に、ステータスと言う物で縛りつけていたからこそどうにかなっていただけよ」

「あのたまに太りすぎでダイエットに連れて行かれる2匹が世界最強とかびっくりですね」

「でもあの2匹でも私の所に来ると死にはしないけど兎に蹴り飛ばされて重傷は確定しそうなんだよねぇ、森の生態系の頂点に立ってる位には強いから」

「一体どういう魔境で育ったらそんな兎が誕生するんですか…」

「一応草食なのよ?でも機嫌が悪いと2キロ離れていても足音に反応して突撃してくるし、5メーター超える熊の頭を蹴り砕いたり、当たり所次第では首を落としたり、まあこれも環境による進化の違いだね、兎自体も大きいやつだと5メーター超えるし」

「こちらの兎は食肉として重宝されてますし美味しいんですけど…そこまで危険だと狩れる気がしませんね」

「普通に狩ってるけどね、安全に狩れるのは猟師位だけど、兎だから増える時は増えるし、間引く必要もあるから定期的に、それと毛皮が結構人気あるからね」

「一体どんな化け物が住んでる世界…とは言っても見た目自体は私達と同じなんですよね…」

「鍛え方が違う位だね、でー、話しは戻して、シスターが現在進行形で引籠り中だっけ?」

「そう、それで授業を受けに来た学生さんが回れ右をして帰って行ってるんですよね、ちょっと売り上げ減です」

「色々本を買って調べ物だなんだとしてるみたいだし、折り合いが付いたら出て来るでしょ、それが明日か来週か、それとも来月かは分からないけどね。

でだね、その話は一旦置いといて魔石工房建設の件だけど」

「優秀な人なんですか?」

「知識は問題無し、現場経験も有り、ただし自由が利くわけでは無かったから自分の作りたい物が作れなかったみたいだね、うちで使う事は…まあ…無いかも知れないけど、画期的な物が出来る可能性は有るからね、開発所的な感じの工房を作って、それの権利やら何やらを売ったり製造と販売する権利を上げる代わりに1個に付きいくらとかそんな感じで」

「うちで使わない物を作らせても仕方のない気はしますけどねぇ…」

「街道整備にも魔石工学が色々関係してるし、悪くは無いと思うんだよね」

「短期間で回収できる物が出来れば、ですけどね、長期的に回収する物と短期で回収する物では物が全然違ってきますし、今回に関してはその短期である事が必要なので…」

「ま、別に黒字は出なくても良いんだけどね、個人的にってだけだし」

「私情が絡んでいると言う事ですね」

「同じ監獄で臭い飯を食べた仲だしね、ちゃんと話したのは昨日が初めてだけど」

「それもどうなんでしょうね…まあ一応考えておきます、土地探しから始めないといけませんしね」

「お願いねー?取りあえず私はシスターの所に行って来るよ、ひょっとしたら引籠り状態を解決できるかもしれないしね」

「引籠りを助長するような事は控えてくださいね?」

「善処します」

魔石工房

魔石を加工したり加工した物を使った道具を開発したり製造したりする所

同じ釜の臭い飯を食べた仲、と言う事で個人的に支援しようとしている、でもちゃんと話したの昨日が初めて、お互い顔を知っている程度でしかなかった

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