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勝利に向けての一歩 果てしない道のり

【観察日記】

 1日目。

 今日から観察してみる事にした。

 まずは朝早くから事前に見つけて置いた所定の位置につき、気配を消して少しでも見つかる可能性を減らす。

 位置につき1時間ほど経過、日が昇り始めた頃にターゲットが部屋から出てくる。

 出てくる時も扉を開ける動作に遠慮は無く、大きな音を立てて扉が開き廊下に音が響く。

 ターゲットは周りを気にする事無く廊下を走り抜け、外へと向かって行った。

 観察を続けるために気づかれない距離から尾行、隙を見て予め見つけて置いた潜伏場所へと移動する事にした。

 尾行開始してからも此方に気づくことは無く、潜伏場所にも難なく到着し、潜伏する事に成功。

 部屋から出てくる前から支給されている記録媒体にターゲットの行動を録画しいる。

 ターゲットは行動が全て記録されているのも気づかず、大きな口を開けて欠伸をしている。

 隙だらけだ、しかし此処で手を出すわけにはいかない、今はまだじっと我慢をする。

 録画開始から2時間程経過した頃、ターゲットは再び移動を開始、屋敷内へと戻っていく。

 屋敷内に入ったのを見届けた後、直ちに移動開始、見失わないよう、しかし見つからないよう静かに素早く。

 細心の注意を払ったおかげかターゲットには見つかっていない、此方にも気づいていないようだ。

 廊下には歩く人たちが増えてきていたので、人の中に紛れ込み一定巨距離を保ち追跡。

 食堂の中へと入って行ったので録画を一旦停止する、録画を続けても問題はないが、ここから先は常にターゲットを見続けるわけにも行かない。

 周囲に気を配りつつ食堂へ入り仲間達と合流、ターゲットの方も時折確認しながら少し会話をする。

 会話をしていると後ろから抱きかかえられ、ターゲットから少し離れた所へ連れて行かれた。

 連れて行かれた先に有った食事を食べながら遠くからターゲットを観察。

 あの体のどこにあれほどの量が入っていったのか、山ほどあった食べ物の山がすべて消えていた。

 ターゲットは直ぐに動くことは無く、口の周りを大人しく拭き取られている。

 拭きとられた後、ターゲットは移動を開始したので追跡を開始したかったのだが…

 こちらはまだ捕まったままで抜け出せず追跡を断念、抵抗はせず大人しくされるがままにされる。

 解放された後に追跡を試みる。

 ターゲットは木陰に寝具を持ち込み枕を抱いて寝ている。

 ターゲットは寝ているので堂々と近くで録画を再開、隙だらけの情けない姿を記録していく。

 だが録画をしている途中で意識を失い、気が付いた頃にはターゲットは消えていた。

 録画を再び一旦停止、辺りを伺い変わった所が無いかを確認。

 幸い気づかれておらず、ターゲットもあまり遠くへ行っておらず、近くで軽い運動をしていた。

 観察するために出来るだけ近くで潜伏、録画を再開し、ターゲットの動きを記録していく。

 ターゲットは動きを記録、解析されているとは思いもしないだろう。

 勝利に向けて一歩前進したと言っていいだろう。

 だが慢心はせず、勝利をさらに確実な物にするために記録を続ける。

 軽い運動の録画を開始してから3時間程経過した頃、またしても屋敷へと入って行く。

 見失わないように出入りしている人に紛れ込み、一定巨距離でついて行く。

 再び食堂へと入って行ったので此処でまた録画を一旦停止する事にする。

 食堂では午前中と同じことが繰り返された。

 ターゲットは大人しく口の周りを拭かれ、此方もされるがままにされている。

 解放され、ターゲットを急いで探すと午前中の様にまた枕を抱きかかえ、口を大きく開けて涎を垂らしながら寝ている。

 近くで観察、録画されているとも知らず呑気な物だ。

 良く見える位置に陣取り、観察と録画をしているとまたしても意識を失った。

 気が付く頃にはターゲットはやはりいなくなっていたが、此方には気づいていなかった。

 ターゲットは相当鈍いらしい、ここまで接近していても気が付かないとは…

 周囲を見渡すと直ぐにターゲットを発見、花壇で花を観察しているようだ。

 やはり隙だらけ…だが現状では此方が不利なことには変わらない、ぐっと我慢する。

 隙だらけのターゲットに襲い掛かるのを我慢する事2時間、ターゲットは仲間と合流し去って行った。

 ここから先は追跡できず、録画を停止。

 直ぐに隠れ家に帰還し、次のチャンスを待つことにする。

 隠れ家にて暫し休息、ずっと息を潜め見つからないよう、気づかれないようにしていたので、ようやく気を抜くことができる。

 用意されたお茶と甘いお菓子を頂き疲れを癒す。

 お茶をお菓子を頂き、完全に気を抜いた頃、突如拘束される。

 抵抗むなしく、拘束した者に好き放題されてしまった。

 まだまだ未熟という事か…

 夕食後に観察のチャンス到来、追跡を開始し、じっくりを観察をする。

 惜しむべきは記録媒体の持ち込みに失敗した事か…

 全てをさらけ出しているターゲットの情報を記録できれば解析がまた進んだかもしれないというのに…

 せめて脳裏に焼けつけて解析を進めるとしよう。

 この日はこれ以上の進展は無かったので観察を終了する。


 2日目。

 今日も早くから所定の位置につき、隠れ潜む。

 記録媒体は昨日の行動観察により、容量が一杯になったので新しい物を用意してもらった、これでより一層ターゲットの解析が捗るだろう。

 ターゲットの部屋の近くに潜み1時間程経過、先日と同じであれば今日も扉を勢いよく開け出てくるはず。

 しかし扉は開かず出てこなかった、潜んでいるのがばれたか?

 暫く待つもやはり出てこない、ここは中に潜入してターゲットの様子を伺うべきか?

 迷った結果、音を立てないように扉を開け、中の様子を伺い、侵入する事にした。

 侵入後、音を立てないように扉を閉め、仲の様子を再度確認する。

 外から見た限りではターゲットは動き出していない、音を立てず、気配を消し、ベッドの方へ移動する。

 ベッドの方へ移動するとやはりターゲットはまだ寝ていた、抱き枕に抱き着き、涎を垂らし実に情けない姿を晒している。

 これも何かの役に立つかもしれない、録画を開始する事にする。

 あらゆる角度から起こさないように観察、録画。

 観察を続けている内に先日と同じ様に意識を失いそうになる、何とか抗おうとするが抗えない。

 ターゲットに見つかりませんようにと祈りながら意識を失った。

 意識を取り戻すとターゲットは既にそこにはいない、だがこちらも見つかる事は無かったようだ。

 己の幸運に感謝しながら録画を停止、部屋を退室し先日のターゲットの行動から行先を割出し、食堂へと向かった。

 読みは正しく、ターゲットは呑気に食事を取っていた。

 気づかれない距離までターゲットに近づこうとしたが、幸運は此処で尽きたようだ…

 食堂に入った所で捕まり、用意されている食事を食べる事となった。

 解放されるまで時間はかかったが、幸いターゲットはまだ食堂から出て行っていない、対してこちらは既に解放されている。

 まだ幸運は尽きていないようだ、ターゲットが動き始めるまで食堂に潜み、動き始めた後追跡を開始した。

 追跡を開始するとターゲットは部屋に戻り、枕や布団、新しいシーツを大量に持ち出している。

 昨日の行動を振り返り、これからの行先を予測し、先回りをする。

 またしても読みは当たりターゲットは木陰にやってきた。

 布団やシーツを設置して最後に枕を置いた後、ターゲットは寝始めた。

 潜んでいた場所から抜け出し、寝ているターゲットを録画しつつ観察。

 暫く続けていると意識が途絶えてしまった、何かの力が働いているのだろうか…?

 その後の行動は先日と変わらず、全てをさらけ出している時の録画をまたも試みようとするが失敗。

 しかし、一歩一歩確実に前進していると言えるだろう。

 手元には少しずつではあるが確実にターゲットの情報が集まってきている。

 我々が勝利を手にする日は近い。


 3日目。

 飽きた、何より毎日早起きするのがつらい。

 なぜ主様の寝所をわざわざ朝早くから抜け出して観察する必要があるのか…

 早朝から廊下に潜んでいる暇があれば、寝所を抜け出さず、そのまま主様に抱かれたまま寝ている方が良いのではないだろうか?

 そう考え、主様に抱かれたまま寝る事を選んだ。

 今まで録画してきた映像もよくよく考えれば解析するも何も、ただ庭で走っていたり寝ている所を録画しただけの記録映像。

 主様に記録映像を渡し処分を任せた。

 観察していたのはたった2日とは言え、無駄に気を張っていたので少し疲れている。

 今日も主様に抱かれてゆっくりと眠るとしよう。


「ご主人様これいります?」

「んー?なにそれ?」

「ルビーがここ最近熱心に録画してすぐ飽きた物です」

「中は確認したの?」

「一応確認は、なんてことの無いただの日常風景でしたね」

 ニールが記録媒体を2つほど渡してくるのでその場で中身を確認。

 記録されている映像は…


「あー、ルビーちゃんだー」「朝早くからどうしたのー?」「一緒に遊びに行くー?」

「私は今此処に隠れているのです、話しかけないでください」

「へんなのー」「まあいいやー」「いこー」

「っちょ!ひっぱらないで!」

 ルビーが狼三姉妹に引っ張られて一緒に庭へ。

「ふわー」「今日もいい天気ー」「まだちょっと眠い」

「くふぁ…」

 三姉妹と共にルビーも大きな欠伸をしている。

「じゃあ朝の運動ー」「いーちーにー」「さーんーしー」

「ごーおーろーくー」「しーちーはーちー」「きゅーうーじゅーうー」

 ティアとエリスのルビーも合流し一緒に朝の運動を開始。

「次はランニングー」「目標ー特に無しー」「朝食まで全力で走れー」

「おー」「ふぁーい」「おー」

 朝食の時間まで庭を全力で走る狼とルビーの三姉妹、よくある光景だねぇ。

「朝食の時間ー」「食堂にいくぞー」「今日の朝ごはんなんだろー」

「あ、録画止めるの忘れてた」「何か録画してたの?」「何か珍しいものでもありました?」

「ちょっとした観察を少々…」

 此処で一旦映像が切れてるね、途中早送りで飛ばしたけど朝食まで庭を爆走してるだけだった。


 次の映像は…食堂から出た所からか。

「食休みでちょっと仮眠ー」「さぁさぁ此方へ」「一緒に寝るよー」

「もうちょっと横に詰めて」「大きいお布団が欲しいですね」「今度メイド長に頼みましょうか」

「くぅ…」「すぴー…」「すぅ…すぅ…」

「もう寝てますね…」「寝つき良いですねぇ」「私達もだけど…じゃあお休み…」

 6人は少々狭い布団の上で団子になって寝始める、ニールのルビーは寝るのが少し遅く、寝顔を少し観察していたようだ。

 でも睡魔には抗えずそのまま団子に纏まり寝始め、その様子がずっと録画されていた。

 少し寝るのを我慢したせいか皆より起きるのが少々遅く、狼三姉妹とティアとエリスのルビーは一足早く組み手を開始。

 とはいえ本格的に始まる前には起きだし、組み手に参加。

「起きたー」「良く寝れた?」「疲れているなら休んでていいよ?」

「無理に参加すると怪我をするだけですよ?」「疲れている時はちゃんとねないと…」

「大丈夫です、ちょっと寝過ぎただけです」

 5人に心配されるが疲れている様子はないのでそのまま問題なく組み手を開始。

 昼食時まで続け、昼食前にまた映像は切れた。


 映像が再開したのは5人が木陰で寝ている場面から。

「はぁ…やっぱりいつみても可愛い寝顔ですねぇ…

この角度…いえ…やっぱりこの角度の方が…」

 録画するのに一番いい角度を探っている様子が映し出され…

「うん、この角度ですね。

オリジナルである三姉妹と我が姉妹達の寝顔もばっちりです…

んん…ふわ…もうだめ…おやすみなさい…」

 団子になっている姉妹の中に倒れ込みそのまま寝始めた。

 たまに寝言は言ったりするが、ただただお昼寝している場面が続く。

 暫くすると5人が起き上がり、起こそうとするが「後10分ー」と言って起きないので、先に花壇へと向かって行くのが確認できる。

 きっかり10分経過した頃、布団からもぞもぞと起き出して急いで花壇へと向かって行った。

「あ、きたー」「そろそろ始めるよー」「今日は此処から向こうの端まで―」

 各々手に金網を持ち、花壇に生えている雑草を一旦大雑把に抜き、金網に乗せ振るい、土を落としていく。

 落とした土は一纏めにし、割り振られた区画の雑草処理が終わったら土を戻していく。

 根と葉だけが残った雑草は乾燥させてから農場へ持って行き、農場で除去した雑草と一緒に焼却。

 帰る前に肥料を貰い花壇に撒いたらお仕事は終わり、手を洗った所でテレサとフローレンスが三姉妹を迎えに、ニールやティア、エリス達もルビーの迎えに来た所で映像が終了した。


「なんてことの無い何時もの日常だね」

「ですね、日記も一緒に渡されましたが…こちらは読んだらすぐに処分したほうが良いですね…」

「どれどれ…」

 タイトルは観察日記…日記を捲っているが書いてあるのは3ページ目まで、以降は白紙。

 軽く内容を読んでみるが…

「これは…処分したほうが良いね…」

 後で見て顔が真っ赤になって恥ずかしくなる奴だこれ…

「2日目らしき映像は休養日だったのを忘れていて、部屋の前で出待ち、出てこないので部屋に入った所、三姉妹が寝ていたのでそのまま一緒に寝た感じですね。

三姉妹に抱き着かれて寝ているルビーのこの幸せそうな寝顔、大変中が良いようで」

「一応血が繋がってると言えば繋がってる…からかな?

ティアとエリスのルビーも似たような感じだし」

 ベッドに倒れ込んできたルビーをベッドの真ん中に移動させ、各自抱きつき、抱きつかれているルビーも両腕に2人を抱え、お腹に1人乗せ幸せそうな表情で寝ている

 実に仲のよろしい姉妹、ティアとエリスのルビーがこれ見たらちょっと嫉妬しそうだな…


「まあ日記は焼却処分で、映像も2日目はティアとエリスには見せないほうが良いかな…」

「ティアとエリスはともかくとして、ティアとエリスのルビー2人からは抜け駆けと言われそうですねぇ…

勘違いして突撃していったうちのルビーが悪いんですけども…」

「しかし、勝利するって何に勝利するんだろうか…」

「何にでしょうね…?

聞いてもまず答えれくれないでしょうし、無言手叩いてくるでしょうね、顔を真っ赤にして」

 しばし沈黙し、日記はその場で焼却処分、記録映像はルシフに渡し処分完了。

 ルシフに渡しておけばティアやエリスの目に触れる事はないだろう。


「これがお昼寝映像ねー。

見れる角度と位置を替えられないけどこれ古いタイプか…」

「長時間の録画なら旧式の方が遥かに長いからねぇ、新型で容量増やすとなると狐さんの許可が下りないとどうしてもね…」

「まあ新型だと指定した範囲内の出来事をありとあらゆる角度から記録するからねぇ…

範囲によっては2時間くらいが限度か…」

「部分部分なら2時間もあれば十分だしね、これみたいにほぼ1日録画するとなると駄目だけど」

「なんにせよこれはこれで良い物だから貰っとくね、後でテレサやフローレンスも呼んで一緒にみよっと。

ユノーも何だかんだで可愛い物が好きだから見るかなぁ…」

「その辺はご自由に、ティアとエリスのルビーに2日目を見せなければ問題はないはず」

「かなぁ…?まあ個別に1人ずつ一緒に寝させれば解決だと思うけどね」

「そんな気もする。

三姉妹も特に気にしないだろうし、ルビー達も最終的に平等っぽくなれば納得もするしねぇ」

「また今度個別に呼んで一緒に寝させておくよ、その時に録画して置けば行けるでしょ」

「ルシフも一緒になって寝ないようにね?」

「それは約束できかねる!」

 …まあ大丈夫だろう…その辺はしっかりしてるし…


 後日ティアとエリスのルビーが個別に呼ばれ、ニールのルビーと同じ様に寝ている所を録画。

 問題がほぼ解決した所で1日目と2日目の映像を複製し、ニールに返した後は複製品をティアとエリスの元へ。

 ただ庭を走ったりお昼寝したり花壇を弄ってるだけの映像だが、ティアとエリスは喜んで受け取っていた。

 ニールも何だかんだで手元に戻ってきたのは嬉しい様子。

 ニールのルビーも暫くすればただの日常風景を録画した物として受け入れるだろう。

 日記は焼却処分して残っていないし、寝ている三姉妹とルビー2人の映像を一時停止してじっくり眺めている。

 日記の事を思い出して少し引籠りそうな気もするが…この様子ならそんな心配もいらないか。

三日坊主

狼三姉妹も日記は多分2.3日で終わる、下手したら1日で終わる


一方的にライバル視してるけど何だかんだで狼三姉妹大好き、最近はもう夜に寝る時と食事の時以外はほぼ常に一緒に行動

一応血は繋がってると言えるので六姉妹に近い


後お風呂場での撮影は原則禁止、でなきゃご主人様の裸体を撮影するメイド達で溢れかえる

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