のんびり見学 ノリの良い魚拓屋さん
「こちらのショーケースに入っている道具やルアーは比較的新しい物の様ですし、お店でも売っている様な気がしますけど、使えない様に鍵付きにしてあるのは何か違いが有るんですかね?」
「あー…違い自体はほとんどないです、ルアーに関しても復刻版の大量生産品ですし、向こうでいつでも取り出せる様にしている物と変わらないですよ、違いがあるとすれば…はい、こんな感じで店長さんと花井ちゃんのサイン入り。
マーメイディアとワイバーンのエントリーモデル発売、それと同時期に復刻したGBルアーをクリスマスに売りに出したんですが、店長さんのお店で購入した人限定で店長さん、もしくは花井ちゃんのサイン入りルアーが貰えるってやったんですよね、使う目的で買った人がサイン入りで使えねぇ!ってなったりもしましたけど、どうせ復刻でどんどん製造されて入荷もされるので、また次に入荷されたときに買えば良いかとなって観賞用なんかになったりなんたり。
でー、うちの場合は色々付き合いも有りますし、本来であればどちらか一人なんですけど、特別に2人のサイン入りルアーと言う事でここにしか存在しない物になっています、つまりかなり貴重」
「ちょっと読み辛い…と言うより読めませんけど、サインは確かに2人分入ってますね」
「サインは文字を崩してかつ独自の方向に進化を遂げた新しい文字ですし、書いた人以外はまず読めませんよ、読める人の物は原型が残っているので読めますけど、このショーケースに入っている復刻版GBルアーは全てサイン入りで開封厳禁ですね、開封して箱が壊れても別の箱に替えれば良いですけど、サインしてあるのはルアー本体で箱は他の物と変りませんしね」
「なるほど、こちらのベイトキャストは?」
「それは物の価値としてはあまり無いけど超貴重、お兄さんが複製したので4台位ありますけど、ここに入っているのはそれのオリジナルでこの世にその1台しか存在していません。
これを作ったのはアナライズで今はハードルアーの大手、昔はルアーロッドにリールと作っていたんですけど、マキシマやワールドの方が大きいですし、ルアー専用と言うのもバス釣りが下火になって来ると売り上げも落ちますし、そっちの方は元々赤字に近い状態だったので、もうスパッと切り捨てて、その最後に作られていたリールがこちらの試作品、一応電子制御ですけど…付いているのがブレーキじゃなくてアクセルなんですよね…」
「それはどういう…?」
「普通はトラブルを防ぐ為に回り過ぎない様にするんですけど、それだと飛距離が出ないじゃないですか?それに回っていてもいつかは止まりますし、じゃあ止まらない様にすれば良いじゃないって思考に至ったらしく、電子制御のための発電システムはそのままに、ブレーキじゃなくてちょっとしたモーターを装着、ブレーキはメカニカルを思いっきり締めるかサミングで、みたいな。
でも発売される前にスパッと切ってよかったと思いますよこれ、普通に投げる事が出来ませんし、こうやってクラッチを切って、軽くスプールを回すだけでどんどん加速して行きますし、回転数に限界は有りますけど、自分の指で回転数を調整しないといけないんですよね、メカニカルを思いっきり締めればましになりますけど、それは回転数の上限が下がるだけって言う」
「これは…普通の人には扱えませんね…」
「これにPEを巻いて投げた日にはもう…そんな感じで1台しかない代物では有るんですけど、物としての価値はそれ程無いって言う落ちになってます、今のベイトは回転数をほぼ下げないアンチグラビティにキャパシティを倍以上に増やせるディメンショナルスプール、そして家電メーカーが本気を出して作った回転数を制御する電子ブレーキ、アンチグラビティとディメンショナルはつい最近ですけど、電子ブレーキ自体は初代マーメイディアからあまり変わっては無いですね、叩きつけてもちょっと糸が浮くだけでピタッと止まりますし」
「こっちのリールってそんなに進化してるんだねぇ…」
「国外のマキシマとワールドはマーメイディアとワイバーンを扱ってませんからねぇ、買うなら輸入しないとダメですし、輸入したら定価に3割乗せとかも有りますしね」
「そうなんだよね、向こうで買おうとすると最近出たばかりのワイバーンが2200ドルとかで気軽に買えないんだよね、動画を見ると買う人は買ってるみたいだけど、グラヴィナの様に安いのを買っている人の方が多いのは確か」
「レッドウルフの製品も基本国内だけだし、輸入すると値上がりしちゃうからねぇ、後何より税関を通る時が凄いめんどい」
「こっちが安いからこっちで買って帰ろーってやろうとするとそれ1つで上限突破とか良く有る事だよね、だからこそそれが分かっている所は定価からさらに上乗せしてくるんだけど、その上乗せされた状態でも安いし」
「まあ、抜け道は有るには有るんですけどね、面倒なだけで」
「釣り道具なら現地で交換して帰るとかね、なんならリールが1台や2台増えた所で開封済みならお土産とはばれないし、ロッドもケースに収まっていれば問題無し、でも確実なのは持って行った分だけ交換する事かな?怪しまれたら面倒だし」
「そうまでして買うなら素直に輸入品を買えと言う気もしないではないですけどね」
「だね、こっちのロッドは?」
「それも同じアナライズの物ですね、リールより一足先に撤退した物になります、未使用品なのと、性能自体は普通に当時のハイエンドクラスなので…今でも2万位はしますね、当時は7万する様な物でしたけど、オールドタックルと言うわけでもないですし、コレクター以外は持ってないと思います」
「私の使っていた道具は今も製造されてるし、こっちだとちょっと上乗せされるけどそれでも6000円位で買えるし、コレクションするって言う程ではないなぁ」
「何なら最近はRシリーズばかり使ってますしね」
「軽くて丈夫で強くて扱いやすいと言うのが良いよね、今まで使ってた物はどうしようか…新しいのが出る度買ってはいたけど、どれも2回か3回、多くて5回位しか使ってないんだよね」
「うちの公式マーケットで売るか、店長さんの所に売るか、思い出の品として整備してショーケースに入れるかのどちらかですね」
「思い入れは無いし、大量生産品だし、欲しくなればいつでも買えるから処分かな?」
「即金なら店長さんのお店で整備も向こうが勝手にするので必要なし、その代りマーケットで売るよりは安い、マーケットで売る場合は適正価格での取引になるから儲けは増えるけど整備は自分でやる必要あり」
「店長さんのお店に売る方向で行こうかな?今度行った時にRシリーズをいくらか買いたいし、借りてばかりと言うのもね」
「じゃあ次に晴れた時にでも持って行きましょうか」
「それにしても…魚拓が多い割には剥製は無いね?」
「全く無いと言うわけではないんですけどね、お手軽さで行くとデジタル魚拓になりがちです、一番大きな物は一応カジキですかね?次にピラルク、マグロにピララーラと続く感じで」
「でもこの部屋には収まらないから通路に飾られていると」
「大きい物は迫力が有りますけど、置き場所に困ると言うのが現実的な問題として圧し掛かってきますからね…横長なので通路を少し延長したり、ガレージの上から吊るしたり色々苦労しています。
この部屋は魚拓をちょこちょこ変えてますけど、大体は見栄えの良いGTやキングサーモンの魚拓の事が多いですね、インパクト重視ならこれ」
「空のカップ麺…?」
「以前有った半分公式の大会で店長さんが湖に落とした中身が空のカップ麺ですね、突風で飛ばされて行ったのを釣って回収したと言う事でネタで魚拓にして貰いました、いつも頼んでいる所が中々ノリの良い所でして、こんな感じで色々作ってくれるんですよ」
「マキシマ45Lアブソリュート、餌タナゴ1センチ」
「カヤック大会の景品ですね、お立ち台とは別の特別賞です、タナゴはまあ大体8センチ前後、釣れるのもその位で優勝ラインが9センチからって所なんですが、何をどうやったらそんなに小さいのが釣れるの?むしろ良く釣れたねって感じの特別賞です、3センチとか4センチはたまにあるんですけどね。
ちなみにこの45Lアブソリュートは夏場にはかなり良いですよ、開け閉めの頻度が少なければ詰めた氷が溶けきるまで20日位掛かりますので、どこかにお出かけって時にはかなり便利です、釣りだけでなくキャンプなんかでも大活躍、夏は国内には居ない事の方が多いんですけどね」
「他に有るのはバラマンディ、クエ、ピーコック…基本的にはどれもこれもメーターオーバーばかりですね」
「そうですね、1号湖で釣れた物は入って無いですけど、基本的にはメーターオーバーが多いですね、小さいと配信中映った時に何が何だかわかりませんし、そうなると遠目でもわかるメーターオーバーの物に集中しがちです、小さい物はガレージののべ竿コーナーに有りますよ、1センチのタナゴもタナゴ用の所に有りますよ、小さすぎるのでサイズ比較に1円玉を並べて拡大しているのと、実物大模型付きで」
「ガレージも広いのでまだ全部見て回れてませんし、後で探検してみるのも良いですね」
「ここに置いてあるのはメーター超えばかりですけど、フナにワカサギにと色々有るので見て回ると結構楽しいですよ、個人でふらっと言って釣ってくる時も良く有りますし、気が付かないうちに増えている事も良く有ります。
それとデジタル魚拓の良い所は使用タックルも記載してくれる所ですね、たまに本当かよーってのも有りますけど、お兄さんのクエ2メーター14センチ224キロ、使用タックル穴釣りロングNT、クリムゾンウルフ1000番ナイロン5号20lbとか、普通なら無理っ!ってなりますけど、目撃者がいてかつ動画にもなってますからねぇ…そもそもそこまで育ったクエは目撃情報が無いので、本当にクエなのか、マハタとの交雑か?3倍体か?とかいろんな話題が出てましたね」
「お兄さん以外で釣れる人は居るんですかね…?」
「店長さんと花井ちゃんが条件次第で釣れるんじゃないかな?擦れる場所が無いとか、キャパに余裕があるとか、根に潜らないとか、潜れるような根が有ったらお兄さんも流石に糸を切られていたと思いますよ?
何せ2メーター超え、潜れるような根が堤防に有るわけもなく、その代り浮き袋が膨らんで浮かび上がってくると言う事は無かったみたいですけど、根擦れで切れる心配は無かったので時間を掛ければー、だそうです」
「キャパが無限で周りには何もなく下は砂地、針掛かりもバッチリで折れる心配も歯に当たる心配も無い…と言うのであれば出来そうな気はするけど、取り込みが出来なさそう」
「お兄さんの場合は限界まで寄せて、エラに腕を突っ込んで引っこ抜きですからね、普通の人は無理です」
「だよね、んー?この隅っこにポツンとあるベイトキャストは?」
「それはお兄さんがこっちに来て初めて買ったリールですね、改造済みで売るに売れないので記念品として飾ってあります、カラーリングが変わってますけど、一応何代か前の電子を取っ払って海水淡水両用にと遠心ブレーキに戻したGBを改造した物になります」
「なるほど」
「お兄さんがこっちに来た時は出たばかりでしたし、1台税込みで8万してましたけど…性能は期待はずれでしたね、シャロースプールで5号が50しか巻けませんし、トラブルは少ないんですけど肝心の飛距離も今一、海で使えるとは言っても遠投は出来ずほぼ船専用。
それを色々弄繰り回したのがこのゴールドブラッドエクストラハンターカスタムですね、長ったらしい名前ですけど、カスタム以外はちゃんとした商品名です基本的にはBGEXって略されてます」
「改造した結果どうなったの?」
「トラブルがまず無くなって、遠心ブレーキのピンが無くなってスプリング式の遠心ブレーキに変って、更に外部ブレーキの増設、スプールは今のDスプールと同じ物になって、ベアリングにモジュールに素材も変更、ボディもコーティングの過程でカラーリングを変えて」
「スプリング式と言う事はグラヴィナと同じタイプか」
「そうだね、回転すると遠心力で伸びてブレーキがかかるやつ、違うのは外部ブレーキでそのスプリングを柔らかくしたり硬くしたりできるって事かな?3台買って1台は構造把握のために分解されて、1台は改造前との比較用として、改造終了後は元に戻して弄って無い方を貰いましたけど、それはもうチャリティーのフリーマーケットで売ったので残って無いですね、残っているのは改造済みで売るに売れないこれだけ、性能で行けば2代目マーメイディアとワイバーン以上最新版以下と言った所です、つまり性能はかなりいいです」
「弄った結果適正価格になったのか、それともマーメイディアが安いのか…」
「マーメイディアなんかのハイエンドが安いだけですね、適正価格で行けばワイバーンも本来なら17万からは取れますし、クリムゾンウルフは20万以上取れますよ、グラヴィナクイーンと同じ様な物です、性能の割にやたらと安いとかそう言うのです」
「買う側としては安くて性能が良いのはありがたいね、他に気になるのは…ダンボールの山かな?」
「お兄さん用のセレスタイトフェンリルの追加が入っていた箱ですね、落ち着いたら片付けないとですねぇ…」
「道具が無料で貰えるとは言っても、ここまで大量に届くのも考え物だね」
「処分する時も地味に困りますしね」
ダンボールの山
各所から新作にテスト品にと大量に送られ来るので定期的に出来る山
長物用小物用大物用と大体3種に分かれている、精密機械ではないので緩衝材はほぼ入って無い、が、その分ぎっちり詰まっている




