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一応確認は取る 結局のところただの屋台

 えー…これは許可、これも許可、これは却下、これとこれも却下でこっちは許可…うぅむ…開放的な場所に来ると思考も開放的になるのか、割と無茶な要求が有るのが何とも…海は常時開放してあるから行き来は自由だけど、牧場その物をこっちに持って来るのは流石にダメ、世話をしっかりしていれば週に何度来ようと構わないし、休みの日に葵さんの家に作ってるゲームセンターで遊んでも屋敷のゲーム部屋に籠っても良い、けど…

 牧場の移設はまあ無しよね、その地域で取れる牧草やら野菜やら果物を与えて育てているからこそ、と言うのも有るし、移設したらしたで飼育環境が変わるから餌から何まで全部見直しになるし、同じ環境を作ると言う解決方法も無くは無いけど…なら移設する必要は無いよねってなるし、当然の如く却下よねぇ…治安が絶望的なまでに悪くなって毎日牛泥棒が出るどころか、毎日牧場が襲撃されるような事態にならない限りは移設する必要も無し、と言うより襲撃されても大丈夫な様に警備担当はしっかり教育済みだし、国が崩壊しない限りは…現状維持で、どうしようもなくなったら牧場は放棄して、働いている娘達を全員回収して…んー…今考える事ではないな。

 取りあえず許可を出した牧場と農場のお風呂に取り付けるバブルは後で作るとして、急ぎでやる必要があるのがストーカー対策…と言うより迷惑な人を遠ざける事か、この辺りはシエルか王女様に牽制して貰うのが一番良いかねぇ?半端に権力を持ってる貴族の子息っぽいし、痛い目に合わない限り絶対に理解しないタイプだろうし、しても理解しない可能性も無くは無いけど…こういう時は使える権力を使って牽制するのが一番。

 シエルが休暇に入るのは焼肉屋と同じだからそれまでには済ませないとねって事で、ササッと話を付けてきましょうかね。


「これが第一と第二牧場の娘に付き纏っている人のリスト、第三牧場は御膝下なのでそう言った報告は無し、第一が一番遠くて国境近く、第二がその中間位でやや離れた位置に有る分ふらふらーっと遊びだなんだと出かけた子息の目に留まってるみたい。

後はその街の近くにる小さめの町とか村に住んでる男爵とか子爵家の子息の目にもちらほら留まってるっぽい」

「田舎の方に居る貴族は割と引きこもりがちであまり街の方までは来ませんからねぇ、全員が全員そうではないですが、その出てこない貴族からたまに出て来る謎の自信に満ちた子息の目に留まったとかそう言うのでしょうね。

得てしてそう言う子息は自分に都合の良い情報しか耳に入れる事は無いですし、その村や町社会の中では一番権力の有る一族では有るので勘違いに拍車を掛けると言いますか」

「貴族に生まれたからと言っても生まれて直ぐ爵位を持っているわけではなく、爵位を継がない限りは地位も何も無い平民と言うのが頭から抜けてますわね、王族は余程の事が無い限りは生まれてから死ぬまで王族のままですが」

「そもそも王族は爵位じゃないしねー、貴族と比べるまでも無し、それはそれとして牧場にちょっかいを掛けてる馬鹿ってどこの誰ー?」

「幸いと言って良いのかは分かりませんけど全てうちの国の貴族、比較的街に近い中途半端に発展した少し大きめの町、そこを治めている貴族の子息が多いですね」

「あー、片田舎ね、ドが付く田舎だと保守的なのが多いし、そう言う考えには至らないと言うか、地元愛が強すぎて貴族なのに自ら鍬を振るう事も有るし、そう言う所は農家の娘さんと、ってのが多いよね、出自を気にする所も無くは無いけど」

「牧場の近くに有る街の貴族とか、以前ちょっかいを掛けてきた所にはにらみを利かせたり警告を飛ばして落ち着いたと思ってたんだけどねー」

「そう言う情報が入ってはいるでしょうけど、自分の都合の良いように解釈、変換して認識するので何の効果も無いでしょうね、周りが止めても自分なら大丈夫と謎の自信に満ち溢れていますので」

「まあ、冬の休暇が終わるまでには処理をしておいてくれればと、私は別に権力を持ってるわけじゃないし、こういう手合いを黙らせるにはどうしても物理的な方面になっちゃうしねぇ」

「いきなり物理的な方で解決されると処理が面倒になるので、こちらに回してくれる方が楽と言えば楽ですね」

「子息の一人や二人減った所で何も問題は無いですけど、その一人か二人しか居ない場合も有りますし、そうなると後々面倒になるので最初は話し合いからですわ、それでもダメな様であれば実力行使もやむなし」

「直接話し合いをするのはボク達では無くて役人だけどねー、直接交渉できない王族の代理としていくわけだから、権力に弱い相手にはもうこれだけで効果は有るけど」

「権力に媚びてくれればそれはそれで楽なんですけどね、餌をちらつかせればその通りに動くので扱いやすいですし、ですが今回の場合だと誇大妄想通りに全てが上手くいくと思っている人の様ですし、話し合いでどうにもならなければ勘当を進めてその後に…ですね」

「感動して縁を切ってしまえばもう赤の他人、赤の他人がどうなろうと知った事ではない、こうして貴族社会が守られていくわけだね、親も似た様な物で取り潰しとかもたまにあるけど」

「その時はその時、代官でも立てて新しい人が出て来るまで治めればいいだけですね」

「それじゃあ付き纏いの処理は王女様に丸投げしておきまして、次はこっちだね、買い物に使う荷馬車を追加して欲しい」

「荷馬車の追加となると馬も追加で購入する事になりますし、保留したい所ですが…主な用途は何ですの?」

「葵さんの所にはキッチンカーってのが有るじゃない?」

「有りますわね?」

「それをやりたいらしい、屋台じゃなくて馬車で調理して売りに出すことに意義が有るらしい、面白そうだから個人的には許可を出しては有るけど」

「馬をその辺に待機させるわけにはいきませんし、中身自体は普通の屋台と変わらないので却下ですわ、やるのであれば普通の屋台でお願いしますわ」

「あ、やっぱりダメ?」

「馬を一頭繋ぐだけでも長くなりますし、キッチンカーほどコンパクトにはならないでしょうね、アレはそう言う世界だからこそできる事ですし、出来るとすれば馬車をそれ用に改造して人で引いて歩く位ですね、馬に繋いだままの営業は流石に認められないと言うより場所の問題で無理です、馬がいつ暴れるかもわかりませんからね」

「それ以前に何を売るつもりですの?」

「まあ、牧場だし、乳牛では無いとは言え交配もしてるから牛乳も取れなくはないし、焼肉クレープ辺りを作って売るんじゃないかな?第一牧場から出てる案だから使う物が必然的に高級品になるけど」

「第一牧場の食肉の保管状況がこれで…市場に流す事は無く余り気味ですが冷蔵庫が特別製なので劣化させる事も無く保存させることは可能で…常に最高の状態で食べれる様に計画的に頭数を増やして…ちょっと在庫が多いですわね」

「1頭から取れる量って使い切るまでにそれなりに掛かるし、特はうちのお店だと一番高い物だし、並に比べると消費量が半分以下だからね、かと言って絞めるのを先送りにすると等級が下がっちゃうし、飼料も増えちゃうからそれも出来ないし、少しでも消費するためにーって事じゃない?」

「そうですね、ここまで余っているなら宣伝も兼ねて屋台で出しても良いですわね、キッチンカー風にする意味は…目立つという点では有りですわね、目立つと言う事はそれだけで客寄せにもなりますし」

「等級なのと値段が値段だから基本薄切りの1枚肉にして、それをさっと焼いて葉物野菜なんかと一緒にクレープに巻いて値段を抑えて」

「市場にポンッと卸すのはダメなの?」

「卸すなら市場より先に王城の方ですわね、王城勤めの料理人がこちらで扱っている特を何所で仕入れているのかと聞いて来ていたようですし」

「実家だからと言って安く売るのは許しませんけどね、多少優遇したり融通を聞かせるのは良いですけど」

「牧場は焼肉屋の直営だから仕入れに掛かる費用は無いけど、実際に売るとなったらとんでもない値段になるだろうねぇ…1頭でいくらだろ…中金貨2枚位?」

「大体そんな物ですわね、市場を経由すると手数料やら何やらと掛かって値上がりするので、市場を介さずに直接卸して、と言うのが最大の譲歩ですわ」

「色々安定して来て経済的にも潤って来ては居ますけど、実は借金塗れで首が回らない状態だと国民が知ったらどう思うでしょうね、端数を切捨てても国が抱えている借金は大金貨1万枚ですよ?」

「返済期限は無し、利子も月々ではなく年で格安、そうじゃなかったら今頃主様は暗殺者に狙われてるとかしてたんじゃない?借金を踏み倒す一番簡単な方法って貸している人を居なかった事にしてしまう事だし」

「怖いねぇ…実際そうなったらさっさと皆を連れて屋敷に逃げ帰らないと」

「私が引き抜いて行った娘も含めてですか?」

「当然、2号店に居る娘なんて一番身近で人質に取ったりなんだとしやすいし、ちょこちょこーっとお願いして連れ帰って来て貰うかな?」

「流石にお父様はそう言う事を考えても実行しない、と言うよりしてはいけない相手の見極めはちゃんと出来ますので、そのまま安心してお過ごしください」

「売れ残りの姉妹なり新しい王女が誕生するなりしたらすぐさま身売りが行われますわね、抱え込んでしまえば暗殺せずとも借金を帳消しに出来ますし」

「流石にもう新しい王女の誕生は無いと思いますが、年齢的にはまだ可能では有るので無いとは言えないのが何とも…本人達にやる気が有れば、ですけど」

「心労が溜まる…様な人では有りませんわね、あれでもこの国を纏めている王ですし、戦時中嫁いでいく前にも色んな国と駆け引きをしていましたし、この程度で倒れるのであれば戦時中に血を吐いて倒れているはずですわ」

「最後まで売れ残ってたのがエステルだし、そのエステルはボクと結婚したわけだし」

「お姉さまはバツイチの出戻りで傷物、身売りをさせるには色々と問題が有りますので当然除外、個人で仲良くするのは構いませんが、それで借金の形に…とはいかないでしょうね」

「そこは仕方ありませんわね、どんな形であれ出戻りしてきた以上は身分を捨てて降嫁するか、一生幽閉されたままお仕事をするか、修道院で軟禁生活のはずでしたしね、どれがましかと言えば修道院ですけど、お仕事は特にする必要なし、待遇もそれなりで割と自由、ただ人前に出る事が無いだけですし」

「戻ってきた早々は色々と頭がおかしくはなっていましたけどね、叩いたら直ったので良いですけど」

「今はもうちゃんと目が覚めているので大丈夫ですわ、それより次の嘆願書を」

「はいはい、次のやつね、えーと、私の一存で決めかねてちょっと保留してあるのがこちら、警備担当の闘技大会の出場だね」

「何人位が参加をご希望で?」

「第一から2人、第二が2人、第三が2人の計6人で焼肉屋の警備担当は不参加、優勝賞金が欲しいらしい」

「牧場ってそこまで薄給だったっけ?」

「薄給では無いけど皆借金持ちと言うのは変わりないからね、解放されるための積立…と言うわけでは無いっぽいけど、何かを買う為と言うのは確かかな?」

「国の代表は誰が出るんだっけ?」

「一応将軍が、ただ椅子の上でふんぞり返っているわけでは無く、有事にちゃんと戦えるし実力も有ると示す必要が有りますので、それ以外にも近衛からも誰かが出て来るでしょうし、昇進の好機でも有りますので一般兵からも何人かと、この辺りは変わりませんね、武力だけあっても昇進は出来ませんけど」

「上に求められるのは力だけでなく統率能力とか判断能力も有るしねー」

「統率能力は無くとも武力が抜き出ていればそれはそれで指導員として使えるので良いんですけどね、それにしても6人ですか…」

「今のところ倍率はどうなっていますの?」

「我が国の将軍が3倍、有名な傭兵団の団長が同じく3倍、去年の優勝者である近衛隊長が1.1倍、全くの無名からの参加となるので…一般参加の力自慢枠として大穴は確定で50から100倍にはなるんじゃないですか?私は当然限度一杯までこの6人に賭けます」

「じゃあ参加を認めると言う事で海に戻ったら伝えておくね」

「そう言えば恵里香ちゃんの所でこういう闘技大会とかで優勝したら王女様の婚約者ーとか、そう言うゲームが有ったけど、何をどうやったら血筋不明で武力しかない様な人を婚約者にするって考えに至るんだろうね?しかも婚約者と言うだけでなく王位を継がせるとかまで飛躍するし」

「そこは作り話だから、としか言えませんわね、武力だけで王位が継げるなら世の中蛮族の国だらけになっていますわ」

「だよねー、取りあえずボクもその6人に限度一杯賭けよーっと」

「私も賭けますわ」

「王女様ー、私達の分は…?」

「ご自由にどうぞ、ですが外には決して洩らさない様に」

「よし!これで冬の特別報酬は確定!」

「そもそも国が胴元の賭けだと限度額が大銀貨1枚までと結構低かったりするんだけどね、賭けすぎて身を滅ぼす人がいるし、大穴に当たっても小金貨1枚程度と言う小金持ち止まりと言うのが良い所だよね」

「国が関与していない所でも賭けは行われていますし、そちらでは限度額無しで倍率も全然違うんですけどね」

「大銀貨を6枚賭けて50枚以上になって帰ってくると考えると相当美味しい賭けだよねー、年が明けて焼肉屋が再開したら特上を頼まなきゃ、オパールもオニキスも食べ放題だぞー?」

「がう」

「ヴォフ」

「でー…聞く必要が有ったのはこれ位で後は大丈夫かな?一応許可を出した嘆願書は置いて行くから、やっぱりダメってのが有ったら屋敷の方まで、そっちでキッチンカー風屋台を作るので」

「分かりました、ダメそうなのが有れば使いを送りますね」

キッチンカー風

馬車の荷台を改造してキッチンカー風に作り変えるのは問題ない、問題は無いけど馬が繋いでいると言うのが問題なので運用不可、衛生面ではなくいつ暴れ出すか分からないので

人が動かす分には問題ないので運用は可能…だけど結局のところそれはただのちょっと大きい屋台である…

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