加減を知らない牛さん 前科有り
倉庫整理の時にルシフに圧縮して貰ったゴミを再利用。
加工場に持って行き、稼働中の箱の中に圧縮した物を投入し、全て木炭に加工。
変換するときの物は、変換したい物の価値次第ではそれほど関係なく、投入した物と同じ重さになるまで加工してくれる実に便利な変換ボックス。
今回は木材の塊を木炭にするだけなので価値は関係なし、投入したゴミと同じ重量である木炭を30キロほど製造、出来上がったもの箱詰めして纏めて置く。
纏め終わったら自分で使う用、調理場で使う用と分けて保管。
丁度ヴェスティアが来ていたので炭を25キロほど渡しておく、ヴェスティアは使い終わった炭の処分と補充に来ていたようなのでちょうどよかった。
使用済みの炭を引き取り変換ボックスへ、今度は木灰にして肥料用にしたら袋詰め、袋に詰めたら隣の農場送り。
壊れた木材が木炭に、使用済みの木炭は木灰にとある程度無駄なく変換できるのが良い所。
めんどい事が有るとすれば…
「今日の変換レートはどんな感じ?」
「えーと…大豆10キロでサーロインが2キロくらい」
「サーロイン以外だと?」
「バラなら何所でも5キロ、ランプが10キロ」
「今日はランプかー」
食べ物の場合は変換ボックス自体がその日の気分でレートをコロコロ変える事か…
「大豆10キロに桃1個つけると?」
「サーロイン8キロ、バラ10キロランプ10キロ」
何時もながら…レートが謎すぎる…変換する前に変換したい物の量と重さを表示してくれる様にしておいてよかった…
「お肉のランク上げるとどこまで減る…?」
「極上でサーロインが500グラムのバラ1ランプ1.5キロ、特上ならちょうど倍」
「特上のバラでお願いします、脂が食べたい」
「じゃあ決定しちゃうね」
大豆と桃を投入されたボックスが稼働し、バラ肉の塊が2キロ出てくる。
「はいどうぞ」
「ありがとう御座いますナディ様」
受け取ったメイドはお礼を言うと肉を持って屋敷の方へと戻って行った。
こちらはヴェスティアの持ってきていた木材を只管木炭に加工中、切ったばかりの木なので水分を含んでいるが、水分の重さは変換の際に除外されるので100キロ入れても100キロの炭は出てこないが…
変換しては箱に詰めを繰り返すこと1時間、炭が100キロほど完成、出来上がった炭は調理場の裏口にある倉庫に搬入。
渡したのを含めて計125キロ…暫くは持つか…?
使用したボックスの清掃と周辺の掃除の為に加工場に戻ると既に掃除中だった。
「あ、ご主人様、もうすぐ終わりますので」
「こっちのまでしてくれなくても良かったのに」
「いえいえ、特にやる事もなくて暇ですので」
「掃除が終わったら後で何か作ろうか」
「では果物を使った物をお願いしますね?」
途中からではあるが清掃とを掃除を手伝い、綺麗にしたら午前中の稼働は終わり。
加工場の戸締りをして不在の立札をして撤収、ナディが管理責任者という事で不在の時は一応稼働させない事にしている。
一応はと言うだけで誰でも扱えるし、後片付けさえすれば大丈夫、何より農場組は頻繁に利用しているしね。
昼食を取った後はナディの要望通りに果物を使った物の調理。
密閉できる耐熱容器に薄皮を剥いた蜜柑と砂糖水を入れ密閉して加熱、その後冷却。
桃とパイナップルも同じようにした漬けてある物を用意。
桃とパインを蜜柑と同じくらいの大きさに切り、果物とシロップを混ぜる。
カットしたバナナ、キウイなども白玉団子も作り混ぜれば簡単なデザートの出来上がり。
餡子も付けるかどうかはお好みで。
「ナディー、できたよー」
「ありがとう御座います」
出来上がったばかりのフルーツポンチを食べてるナディの隣で同じ物を食べる。
シロップを抜いてホイップクリームを混ぜてフルーツサンドにするのも悪くはない。
今度の軽食はフルーツサンドにしようかな…
「おかわりを下さい」
「ちょっと待っててねー」
おかわりを要求されたので取に行き、戻ってくると…
「早く早く、おかわりを早く」
机をトントン叩いて急かしてくる。
「はい、山盛りお待ち」
「では頂きます」
文字通りの山となったフルーツポンチを次から次へ度口へ運んでいき、20分ほどかけて食べきった。
「御馳走様でした」
またシロップ漬け作っておかないとなぁ…
デザートを食べ終わったナディは再び加工場へ行ったのでシロップ漬けの準備。
蜜柑の薄皮を重曹を溶かしたお湯に入れ、繊維がある程度溶けるまで茹でたら冷却して残ってる薄皮を丁寧に剥がしたら下処理は完了。
後は密閉できる容器に砂糖水と一緒に入れるのだが…砂糖が足りない…
一旦作業の手を止め農場へ行きサトウキビの収穫、再び加工場に行き砂糖に変換。
袋に詰めたら使ったボックスの清掃とこぼれた分の掃除をして調理場に戻る。
ナディは使用していないボックスのメンテナンス中。
メンテナンスと言っても動力にしている宝石の確認程度、稼働してから故障は一度も発生していない。
…たまにレートがおかしくなるけど…
砂糖を溶かしシロップを作ったら容器に果物と一緒に入れて準備完了。
加熱と冷却を済ませたらしばらく保存、シロップに漬けた果物の香りなどが移るまで置いておく。
置いてる間にシロップが付けた果物に浸透していくので食感も変わってくる。
種類毎に別け終わったら日の当たらない所に纏め、漬けた日付も書いておく。
使った物の補充も終わったので加工場に戻りナディのお手伝い。
「何か手伝うことあるー?」
「いえ特には…?
動力も交換の必要はありませんし」
無駄に燃費良いもんなあ…
「手伝ってほしい事は今はありませんが、また今度乳搾りをお願いします」
「んー?ミルカー全部壊れた?」
「まだ1個残ってますが、たまには道具ではなく手で搾るのもいいかと」
「ついでに調整もしようか?
丈夫に作った分、壊れにくいから今使ってるのが合わなくなってるかもしれないし」
「ですね、今使ってるのだと少し強い感じがします」
「柔らかい方がいいとか硬い方がいいとかはある?」
「今より少し柔らかめでもう少しぴったり張り付くようなのが良いです。
付いてる機能は今のままで」
「はいはいー、今度搾る時に確かめながら作ろうか」
「お願いしますね?」
特に手伝うことは無いけど暫くナディと過ごした。
「んー…どうしたもんかね…?」
ナディに乳搾りをお願いされたので搾りつつ調整を続けているのだが…
「絞るのはもうお終いですか?」
「いや、タンクがもう一杯で入らない」
一杯になったタンクを眺めつつ他の入れ物を探す。
「タンクはそれ一つですから…」
「じゃあ一旦ここでやめてチーズに加工しようか」
「少し待ってくださいね、今拭いてますから」
ナディは垂れた部分を拭き取っているので準備だけしておく。
「ん…よし、では起動しますね」
変換ボックスを起動して搾りたてのミルクを全部注ぎ込む。
「何チーズにします?」
「そうだねー…お菓子にするか昼食とか夕食にするかで変わるからねぇ…」
「悩んだら保存ができる物でいいですね、それにまだまだ搾れますので好きな物でいいかと」
「それもそうか、まずは全部ハードチーズにしようか」
注いだミルクを全てハードチーズに加工、手間をかけて作るのもいいけど、今回は大量にミルクが余るのが確定しているので変換ボックスで手抜き。
加工し終わったらハードチーズを保管してある棚に並べて置く。
「じゃあまた搾ろうか」
「はい、お願いしますね」
絞ってる時も後で作成するミルカーの為にどのくらいが良いかを聞きつつ搾り、その時の強さを覚えて置く。
「もう少し強く…ん…それだと強すぎです、もう少し気持ち弱めに」
「この位?」
「そう、そのくらいで…」
絞っている内にまたタンクが一杯になったのでまた変換、今度はウオッシュ用のチーズに。
塩水の他にお酒でも洗うから酒飲み達からはあまり作らないでほしいと言われているが…一番消費しているのは酒飲み達である…ウオッシュチーズとお酒、ともに酒飲み達に袋へと消えていく…
エポワスとモンドール用を別けてウオッシュ用の棚へ。
…暫くはチーズの御世話とチーズ料理がメインになりそうだなぁ…
ナディが満足するまで手で搾っていたら、セミハード、ハード、ホワイト、ブルー、ウオッシュの棚がほぼ満杯に…
まだミルカーの調整が残ってるんだよなぁ…
手が感触を覚えている内に柔らかい素材で胸にぴったりと張り付くようにしてナディに装着。
「もう少し柔らかく…」
素材を弄りナディが納得するまで調整。
「絞る強さはこの位?」
「そうですね、この位なら手で優しく搾って頂いているのと変わりませんし、痛くなることが無いですね」
絞る強さは問題なし、後はタンクと繋ぐチューブをつければ完成。
「じゃあ試運転してみようか」
「はい、では早速」
出来上がったばかりのミルカーを起動し、具合を確かめる。
「んっ…」
ぴったりと張り付けた部分が解すように刺激、痛くならないように搾り取りはじめ、チューブを介してタンクの中にミルクがたまっていく。
「ふぅ…」
無理やり絞り出すわけではないので少々時間はかかるが段々とタンクの中を満たして行き、満タンになるとミルカーは自動で停止した。
「どうだった?」
「とても良かったです、これを壊れないように作る事は?」
「出来なくはないけど、ずーっと刺激のままってことも無いでしょ?」
「ですねぇ、たまには違った刺激を与えないと出が悪くなりますし」
その刺激だと出が悪くなるだけなので無理やり搾ればちゃんと出るには出る、嫌がるけど…
「とりあえず複製して20個ほど置いておくね」
「ありがとう御座います」
「それにしても…収納の奥にある物を使えば常に自分好みに調整できるミルカーを作れるのでは?」
うん、出来なくはない。
「作ろうと思えば今すぐにでも作れるね」
「作って下さらないので?」
「んー、じゃあ試しにこれつけてみて」
一応作っておいたミルカーを渡してみる。
「んんっ…」
収納の奥にある物を使った物なので一応壊れない、というか物が物だから壊そうとしないと壊れない。
「はぁ…これもいいですねぇ…ずっと着けていられます…」
ナディはミルカーを着け、椅子に座ったまま眠りそうになっている。
「はい、ここまで」
ミルカーを停止して取り上げる。
「あっ…!もう…
折角心地よく寝れそうだったのに…」
「寝るのはいいけど、これ普通に使う限りは壊れないからなぁ…」
「ますます良いじゃないですか、それ下さいよぉ…」
「上目づかいで行っても駄目、これ渡したら1日中搾乳し続けるでしょ?」
「そ…そんな事は無い…です…よ?」
露骨に目を逸らしてくる…
「壊れやすくしてるのは一日中着けるのを防止する意味もあるんだからね?
そうしないとナディが屋敷中乳製品だらけにしちゃうし…」
ナディは過去に何度かミルカーが短期間で全て壊れるまで着け続けていた事がある、頑丈に作れば作るだけ搾り取り続けるので…
「私のミルクから作った乳製品は美味しいからいいじゃないですか。
それにご主人様に搾って頂けないと中々満足できないんですよ…」
「手で搾らないと中々満足できないって言っても、もうチーズの棚全部埋まってるんだけど…」
手で搾るだけでもチーズの棚は全て埋まっており、道具を使った場合これの数倍以上は搾り取らないと満足してくれない、なのである程度は壊れやすく作ってある。
「また暫くは渡した分で我慢する事。
どうしても我慢できないなら今まで通りに狐さんに相談する事」
「わかりました…」
まあ…近い内また手で搾らないと駄目だろうなぁ…もしくはミルカーを付けて―になるか…
最後のミルクはフレッシュチーズにして終了、注ぐ時などに散った所を綺麗に清掃して終了。
ナディは衣服を正しているが、少し不満げになっている。
とはいえ渡すわけにはいかないのでまた今度別の手段で満足させよう…確実に狐さんが絡んできそうだけど…
清掃が終わった後は夕食に使うチーズを幾つか見繕い持って行く。
…さぁ…今日から暫くチーズ祭りだ。
朝昼晩毎食チーズが付いてくるチーズ祭りが始まって数日、狐さんに呼び出され、隣にはナディがいた。
「お風呂でお好きなだけどうぞ、牛乳風呂なんかもお肌がツルツルになるので良いですねぇ…」
「許可は貰いましたので行きますよご主人様」
「…はい」
その日はお風呂場でずーっとナディからミルクを搾り続けた。
牛乳風呂は盛況で何人かはナディから直接飲んでいった。
これで当分の間は満足してくれるといいなぁ…
屋敷で使ってる牛乳を使った物は全てナディ産
ナディは狐さんの肉体改造などによりちょっと壊れてる
屋敷のメイドは搾りたてを冷やして瓶で飲みたい派と搾りたてより直飲み派がいるとかなんとか
飲ませてくださいと頼めばその場で飲ませてくれる




