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最初の目的は遥か彼方 容器の方が高い

 んぅ?んー…砂山と大量の収納された宝石や鉱石になっている木とかをそろそろ放出しないと溜まる一方だなぁ…でも放出するにしてもどうした物か…シャンデリアを作っても仕方ないし、グラス用のクリスタルは定期的に使ってるけどそれでもまだまだ在庫は沢山…

 どうしようかなぁ…特に意味も無く世界一高い水でも作ってみようかな…アレは中の水より容器が誰々のデザインでー、ダイヤが何カラット使用ー、とかそんなのだったはずだし…うん、暇潰しには良いかもしれない。

 まずは…ここで一番価値が高いのはダイヤモンド、レッドとかオレンジとかピンクで1カラット当たりの値段はかなり上下するし、アレは大きい物で採掘されてカットが云々不純物が云々とか色々有るけど、どの宝石もトン単位で用意できるので特に気にする必要は無し、まあここはシンプルに普通のダイヤの方が清涼感が有っていいね。

 えーと、最初にブロック状のダイヤモンドを作りまして、見栄えと輝きが美しくなるようにカット、内側が空洞じゃないと水を入れる事が出来ないので中も削り取って…色んな角度から確認しつつ光も当てて対象になっていない部分が無いかを探して、更に水を入れもう一度確認。

 蓋も当然ダイヤで、気密性を高めるためにコルクを使う事も有るけど、今回は透明感も出したいのでその辺りは無しで、こういう時に便利なのはペットボトルと同じ様なネジ穴の蓋、ちょっと高級感を出したいので最小限のネジ穴にして、栓を差しこんでから1回回すだけで完全に気密される様に…こんな物か。

 容器が完成した所で最後に水道水で満たして蓋をすれば…良し、世界一高い水道水の出来上がり、ついでにレッド、オレンジ、ピンクにブラック、それとこちらだとイミテーションだとか言われるレインボーの容器もデザインを変えて作りまして…これ鑑定したらどこまで値上がりするんだろうなぁ…まあ良いや、そう言う遊びだし、ついでに同じ素材でグラスも作ってルシフに適当に鑑定させよっと。


「さて、この水道水は容器とグラス込みでルシフ的にはおいくら万円?」

「またけったいな物作ったねご主人様…掃いて捨てるほど余ってたんだろうけど」

「今回は世界一高い水を作ってみようって感じでやってみた、あれって中身云々より容器が高いってやつじゃない?」

「まあ…そうだね、どこどのの有名デザイナーによるデザインのボトルに金とか銀とか白金、そこにダイヤやら何やらを取り付けて…で中身は別に、ボトルだけで700万とかそう言う世界だね」

「でしょー?だから価値の高いダイヤでグラスとボトルを作ったら水道水がいくらまで値上がりするのかなーって感じでやってみた」

「あー…一応売りに出してみる?うちの鑑定書付きでこれを構成するために必要な物以外の不純物は一切なしで全て本物である、って感じで、それに普通は宝石類はカラットで測る物だけど、これはもうカラットじゃなくてグラムとかキロだよね」

「カラットで測る方がめんどいと思う、まあそれは置いといて、ルシフ的にはおいくら万円?」

「んー…まあこっちで売るとして…有名なデザイナーがデザインしたって言うわけでもなく、その界隈では無名のご主人様のデザインだからデザイン料は無しとして…まず一番安いグラスだけで47億、ピンクとかオレンジの色つきになると4倍以上、ボトルは中をどうやって削り出したのか分からない、しかも均一で内部には気泡もひび割れも一切なし、グラスの様に薄いわけでもなく結構しっかり厚め…そうだねー…ボトルが700億からって所?当然色つきになるとそれ以上ね。

ただまあ…グラスは物好きが買うだろうけど、ボトルは高すぎて誰も買わないんじゃないかな?」

「世界一高い水を作るのが目的だから、売れなくても大丈夫」

「取りあえず鑑定書付きの適正価格で売りに出してはみるね、ボトルとグラスは一緒に?」

「2つで1つで」

「はいはい…あ、名前はどうする?」

「ド直球で世界一高い水道水でいいんじゃない?」


 さて、ルシフが鑑定書を作ったり売りに出している間にもう一仕事、ボトルとグラスを1つずつ作った程度では消費していないに等しい量なので、売りに出すのとは別に追加でボトルとグラスを作成、1200年物と100年物が発掘されたわけだし、ならこちらもそれに対抗して更なる物を作りたくなるわけで…

 先程の水用ボトルとは違って特に輝くは気にする必要は無し、ただ意味も無くダイヤモンド製のグラスとボトルを作るだけ、栓はコルクではなく水用に作ったのと同じタイプにして…ショットグラスにトールグラスにワイングラスに全てダイヤモンド製、この成金感がたまらんね…

 でー、次は甘口から辛口の大吟醸を負けじとしっかり管理した状態で熟成させてざっと2000年分、少し香りを確かめただけでも甘い果物のに近い香り、そして酒臭いと言う感じは一切無し、まずはこれをボトルに注いで蓋をして2本出来上がり、ラベルは…適当に付箋で大吟醸の甘口辛口って書いておけば良いや。

 他にも焼酎にワインにブランデーにウィスキーと、それ用のボトルを作って熟成させたお酒をボトルに詰めて…良し、年代は兎も角こっちで流通している一般的なお酒はこんな物にしておくか。

 次はカジノの方でカクテルだなんだと使っているスピネルローズやら何やらを漬けた混成酒、ボトルの色は各種お酒に合わせてピンクダイヤにレッドダイヤ、グリーンにブルーにイエロー等を作ったボトルを作成、そして色が変わらない様に気を付けながら同じだけ熟成させた物をボトルに詰めて…

「一応うちの方で大々的に売りには出したけど…なんかさっきより悪化してない?」

「んー?今度はちゃんと普通のボトルに普通のお酒よ、素材と熟成年数がちょっと違うだけで」

「少し前に発掘されたヘイズルーンの1200年物が霞むのは間違いないねこれ、売るの?」

「売らない、ただ溜まりに溜まった砂山とかを崩すついでに対抗して見ただけ、それでも砂山は全然減らないけど」

「むしろ砂山が一度でごっそり減るくらい消費する方が怖い、これ飲んで良いの?」

「飲んでも良いけど、一旦棚に飾ってからね?」

「こういうのは何となく飾りたくなるのは良く分かる、そして人によっては記念に記念にと取っておいてついつい開けるタイミングを逃したり、保存が悪くて熟成する前に悪くなったりとか。

ただおいておけば熟成するって物でもないからねぇ、それで何本の貴重なお酒が酢になったりお腐れ水になって言った事か…買って保存するのは良いけど、長期間飲まないならちゃんと知識を仕入れて保存できる環境を作ってから、だねぇ」

「これは飾って写真に収めたらもう自由に空けていいけどね、1升瓶サイズだから早々無くならないだろうけど…よし、写真にも収めたし、好きに持って行っていいよ、ただ黄色の瓶は狐さん用ね」

「よっしゃ、今日は昼から酒盛りといくかー、たまには狐も引っ張り出してこないとね」

「最近色々とお疲れだし、ゆっくり寝かせて上げて置いても良いと思うけどね」

「私がやっていたのを狐が今やってるだけだし、まあいつもの事と言えばいつもの事なんだけどね、逆に私が寝ている時は狐のやっている事を私が代行してるだけだし」

「まあ…ね、アザミとボタンもお手伝いできなくはないけど、規模がちょっとねー、リッカとカレンはまだまだ無理だし」

「取りあえず今たたき起こしても酒を飲ませて寝かせておけば大丈夫でしょ、それじゃおつまみの準備よろしくー、後昨日食べてたウナギが美味しそうだったからウナギは必須で」

「ウナギか、じゃあちょっと海に行って取ってこないとねぇ」

「最低でも蒲焼き白焼き刺身の3種よろしく」

「何だかんだでいつもの刺身の盛り合わせやら何やらのコースになりそう」

「大吟醸が有るとなれば刺身の盛り合わせは必須だよね」


「あー…なるほど…それで世界一高い水の値段が更新とか、人にとってはどうでも良いニュースが流れてたんですね、私もどうでも良い部類に入りますけど」

「そうやって無駄遣いでもしないとどうにもならない位たまってて…一応名前の通りにアレの中身はただの水道水よ」

「あの手の水は中身は関係ないって言いますしねぇ…今までは純金とダイヤ、それプラスでデザイナー料金で700万でしたけど、今回のはもう純粋にボトルだけで11桁乗ってるのが何とも…」

「もし買う人が居たらこれが高級な水の味かーって思いながら水道水を飲むんでしょうね、恵里香さんも少し飲んで行かれますか?」

「いやー、私は仕事が残ってるので今日はちょっと…夕方であれば大丈夫だったんですけど…」

「それは残念、今日はそこの棚に飾ってあるボトル全部飲み放題だよー?ご主人様が1200年物に対抗して作った2000年物だよー?500年熟成でもあれに負ける気はしないけど」

「ぐぅぅ…急いで仕事を終わらせて全員連れてきます」

「うんうん、それが良いね」

「量が量なので早々無くなる事は無いと思いますが、おつまみの追加も考えると出来るだけ早めに済ませるのが良いですね」

「ぬぅ…超特急で済ませてきます!」

「はーい、行ってらっしゃーい」

「追加注文のフグにトラウトにイカ、スズキにタイにシマアジにカツオにマグロにその他色々盛り合わせー、いくらも当然食べ放題、しゃぶしゃぶでも食べれる様に出汁を張った小鍋も用意したよー」

「おー、きたきたー、薄造りに刺身だけでなくしゃぶしゃぶ用の鍋も用意してくれるこの気遣いよ」

「用意しないと追加でしゃぶしゃぶもーって言われるだけだしねぇ、ネギはボウルに山盛り用意したからご自由に」

「恵里香さん達も後で来るそうなので、これでもまだまだ足りないと思いますが」

「あー…あの様子だと1時間もしない内に来るだろうねぇ、刺身は切るだけの状態だから直ぐ用意できるけど、火を通した物となるとちょっと時間が掛かるねぇ、たたき程度なら直ぐだけど」

「唐揚げなんかは下味を付けないとだしねー、タレを漬けて食べるなら下味は要らないけど、と言うわけで下味に塩を軽く振っただけの唐揚げー、マヨと甘チリとタルタルの3つで」

「大葉ととびこの稲荷を」

「エビの殻焼きー」

「生牡蠣ー」

「大トロユッケを」

「イカソーメンの軍艦ー」

「はいはい、用意するからちょっと待っててねー」

「っしゃおらぁ!超特急でぶん投げて終わらせてきました!」

「ぶん投げるのは終わらせるとは言わないのでは?」

「明日に回せる分を明日に回しただけなので大丈夫ですよ、それで、どれをどう飲めば良いんですか?」

「どれもストレートで大丈夫だけど、長く楽しむならロックの水割りで」

「そんな物は有りません、と言うより水割りも普通に氷入りとかあるし、ロックの水割りと言う事はロックにしてからまた別のグラスに入れて水で割るのかねぇ…?」

「水割り・炭酸割り・ロック・水割り氷入り、多分この氷入りの方をロックに水を注いで割った物と思っていた可能性が…?」

「そう言う哲学的な話になりそうな物は置いときまして、普通にロックか水割りが安定ですね、直接味わうならロック、長く楽しむなら水割り」

「いきなり酔うのもなんですし、水割りでお願いします」

「こっちはロックでー」

「はい、水割り用の水と氷入り用の氷、それとロック用の氷、棚に有る奴は全部好きに空けていいからね、それとおつまみは刺身の盛り合わせとかしゃぶしゃぶでちょっと我慢しててね、今他の物を作ってるから」

「それじゃあ今作ってるのが出来るまで刺身を摘まんでますので、それが出来たらこっちの追加もお願いしますよー?」

「そう時間は掛からないと思うけど、まあ、早めに作るよ」


「お酒のちゃんぽんは酔い易かったり悪酔いすると言いますけど、安すぎるものと違って悪酔いしそうな感じはしないですよねー、あ、オニオンリングー、天ぷら粉で」

「アオリの唐揚げとヤリイカのイカリング、リングも唐揚げで」

「イカマヨエビマヨマヨサーモンー」

「トラウトといくらの親子丼」

「ウニカニいくらの北海風3種盛り」

「軟骨と皮の塩唐揚げ」

「ホタテの貝柱チーズ焼きニンニクバターソース」

「はいはーい、揚げ物はちょっと待ってねー、アリスのイカマヨ等、ロザリアの親子丼、アキラの3種盛りはもう出来るよー」

「いやー、それにしても昼間から飲む酒は美味しいねぇ、世間一般は今頃昼休みが終わって仕事の続きだーってなってると言うのに」

「その分休みは不定期ですけどね、いつ本社に呼び出されるか分かりませんし、自分の会社にもいつ緊急の連絡が飛んでくるか分かりませんし…」

「だからこそこういう日はしっかり休んで楽しまないとね、フグの煮凝り頂戴ー」

「はいはいー」

世界一高い水

1本600万で売られている水が有るには有る、が…アレは容器の値段で中の水は値段には影響しない

詰まっている水が天然水だろうが汚水だろうが水道水だろうが、容器だけで価値が決まる世界一高い水

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