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ご主人様を探せそのご こいつぁひでぇ!

 巨大なアカエイを釣り上げて3日目、ようやく東の大陸行きの船に乗ることができた。

 封鎖は解除された…解除はされたが…

 桟橋は破壊され海に流され、岸壁は最後の足掻きの毒針により半壊。

 岸壁は舗装とかで時間はかかるので応急処置、桟橋の修復を最優先に。

 港が滅茶苦茶になっているので釣りをするわけにも行かず、アカエイをいくらか放出。

 2日目には漁師が海に出ていたので魚の流通もほぼ元通りに。

 3日目でようやく客船などの出入りが可能に、元に戻るにはまだまだかかるが。

 運航が再開された東の大陸行きの船に乗り、旅行再開。

 ここから暫くは船旅、途中で補給と東に行く人を乗せるため別の港に寄るので大体10日ほど。

 船旅中は何をしようかねぇ…


「ご主人様それ待った!」

「待ったは無しで、というかすごろくに待ったも何も…」

 現在母娘?でチームを組みすごろくで勝負中。

 12組24人とかなり多いが、東までまだまだ時間が掛かるので問題はない。

「今そこに止まられると最下位になっちゃう!」

「じゃあ1位と最下位は入れ変えてね」

「うきゃー!」

 駒を進めイベントマスを踏む。

 そして1位を走っていた元王女のチームは問答無用で最下位を走っていた元メイドB母娘と資金の交換。

 トップの時に踏めば特大の地雷、最下位が不目が逆転の目が見えてくる、それ以外が踏むとトップに対するただの嫌がらせ。

「すみません、これもルールですので」

「お母様最下位になっちゃった」

「ぐぬぬ…」

 すごく悔しそうだ…

 このマス何が酷いって、現1位と最下位の順位を交換の内容が酷い。

 ただゴールに着けば勝ちではなく、ゴールに辿り着いた時の総資産を競うので逃げ切りを狙っていた元王女組は借金を抱えていた元メイドB組と資金の入れ替え、元メイドBは一気にお金持ち、対する元王女は借金生活突入。

「せめて駒の位置も入れ替えてくれないかなぁ…この位置からだともうどうあがいても逆転できないじゃん…」

「駄目です、入れ替えるのは資金だけ、進めた駒はそのままね」

「寄り道せずにまっすぐしか進まないから…

寄り道せずにまっすぐ突っ走れば支払いも先延ばしにできたのにねぇ…」

「しまった…次サイコロ振ると清算マス確実に踏むし維持費払えないから物件売らないと駄目じゃん…」

「ご愁傷様」

 元王女はまっすぐ進み、先行ボーナスで得た資金を使い、維持費だけ残し物件の購入と投資、清算マスを踏み収入を得ると最短距離で行っていたため所持物件はかなり所持している。

 清算マスを踏むまでならいくら借金を使用が支払い義務が発生しないので寄り道で資金を赤から黒に戻し、清算マスを踏んで資産を増やしていくと言う手も取れる。

 元王女は寄り道を一切しなかったのでもう寄り道できる場所は無く最後の清算マスを踏んでゴールを残すのみ。

「まあ…一応1着でボーナスは出るから…その時残った資金より皆の資産が少なければ勝てるから…」

「え…無理じゃん…所持物件全部売っても借金状態でゴールするんだけど…」

「一体どれだけ借金してたのさ…」

「えと…ざっと白金貨5000枚ほど…」

「物件全部売っても白金貨2000枚行かないよ…」

 元メイドBの取った戦法それは余りにも外道極まる行為だった…

 まず維持費のかからない装飾品や宝石類を全て一括払いで購入、一括で購入する事により借金はするがローンは発生しない。

 今回は無制限なので元メイドBは寄り道コースに引籠り只管一括払いで借金を重ねた結果、その額白金貨5000枚。

 後は誰かが1位と最下位の入れ換えマスを踏むのを待つだけ…

 元メイドBの取った戦法は見事に嵌り、借金の白金貨5000枚を全て1位に押し付け、自分は手持ちの資金を黒字に戻すことができた。

「これ酷すぎない?」

「うちの屋敷ではよくある事です」

 なお千日手になることも良く有る。

「まあ対処法は同じように維持費のかからない装飾品を買い漁って1位に借金を押しつける、もしくは押し付けられる前にとっととゴールする。

今回はまあ…完全に事故だね…」

「くそぅ…くそぅ…」

 いつもながらこのすごろくは酷いもんだね…

 いくら借金を背負っても清算マスを踏まない限り借金返済の義務が発生しない、一括で購入して置けば通過するときに資金がプラスであれば素通りできてしまう。

 ローンで購入することも可能だがこのシステムのせいで息をしていない。

 元王女は手番が回ってきたのでサイコロを振り、清算マスを踏み物件をすべて売却。

 手元に残るは借金約白金貨3500枚…

「ゴールしても1着のボーナスが白金貨500の…」

「最下位は揺るがないね」

 その後元メイドBは寄り道を止め、装飾品をある程度残し物件の購入。

 順調に増改築をこなし2位に影も踏ませず圧倒的な差をつけて勝利した。


「あんなに大差がつくのってよくあるの?」

「んー、どうだろ…」

「あそこまでプラスの状態で決着がつくのは非常に珍しいですね。

屋敷で行われる場合借金の押し付け合いで1位が借金している状態、と言うのが普通です」

「今回は踏まなかったけど酷いマスが一杯あるからねぇ…」

 なおこのすごろく、1着でゴールした相手が1位であれば対象に入るので如何に1位を取るかではない。

 如何に最下位を維持して最後に資金と資産交換マスを踏むか、である。

「じゃあ次は私は参加せず見学に回るから、アウラは屋敷で何時もやってるような感じでやっちゃっていいよ」

「よろしいのですか?」

「借金の少なさを競うゲームになるのは嫌だなぁ…」

「大丈夫大丈夫、借金の少なさを競う事にはならないから」

 そして2回戦が始まり…

「よし、今度は白金貨1500枚と物件も白金貨3000枚分で上がり、1着のボーナスでさらに白金貨500枚と」

「ではそろそろ仕掛けさせていただきますね」

「え?」

 元王女が1着でゴールした後アウラが動き出す。

「ではまずは此処、強奪マスですね、元メイドBから借金を全て頂きます」

「ええ?」

 また借金を増やしていた元メイドBから白金貨2000枚ほどの借金を強奪、アウラは一気に白金貨1500枚ほどの借金を背負う。

 借金を強奪して突如借金を背負ったアウラに元王女や妻達が困惑する。

「次の目は此処ですね、1位と最下位の資金入れ換え」

「っちょ!」

 アウラがやりたい放題に暴れ始め…

「最後に此処を踏んで全員強制上がり、これで決着ですね」

「………えっ?」

 最終的に1着でゴールしたはずの元王女は3位、元メイドBは最下位、アウラはぶっちぎりの1位で幕を閉じた…


「正直何が起こっているのかよくわからなかった」

「あれに全て対処できなければ屋敷で勝利は得られません」

 イカサマなどを見破ったり止められる者がおらず、好き放題暴れたアウラ。

 普通に進めていたはずの妻達も巻き込まれ、資産や資金をごちゃ混ぜにされ、今まで稼いだ分を無に帰され、何をどうすればいいのか分からなくなっていた。

「なんかもう当分このすごろくはいいや…もう勝筋が見えない…」

「このすごろくで勝つ方法は自分以外をゴールに投げ込んで、資金と資産を1位と入れ替えてゴールする、もしくは1位に立ったらそのまま全員を巻き込んで強制上がりが基本ですね」

「強制上がりとかゴール直前にしかないじゃん…狙って踏むとか無理…」

「ポイントは相手のサイコロに干渉して相手には絶対に踏ませない事、自分に都合のいい目を常に出したり出させたりすることですね」

「その時点でもうゲームとは言えない何かになってない…?」

「もちろんそれらをすべて禁止したルールも有りますが…禁止していたのが1回目ですね」

「禁止していても借金を押し付けられる可能性があるのはなあ…」

「そこはもう完全に運次第ですし、寄り道の滞在期間の制限を設けるしかないですね」

 1回目と2回目も勝利を確信していたのに負けた元王女。

 すごろくが駄目となると何があるかなぁ…


「なんでえぐいゲームしかないの…?」

「屋敷のメイド達に合わせて作られた物ばかりだから…」

 皆イカサマとか結果に干渉したりするし、それ前提で作られた物が多いからどうしても普通に遊べない物が多い。

「もっとこう…もっとこう普通なのは無いの…?」

「んー…手持ちだとないなぁ…」

「次の港で何か娯楽品探そうか…」

 今の手持ちの中にまともなゲームが無かったので次の港に寄った時に何か適当な娯楽品を買う事に。


「まあカードゲームは基本だよね」

「カードがあれば色々遊べるね」

 寄港時のちょっとした休憩時間にカードを購入、これなら色々遊べるし時間は潰せるだろう。

「後はもう買うものは無いかな?」

「私は特に無いかな、船上で釣りは出来そうにないし」

「んー?しても良い様に許可貰おうか?」

「そうだねぇ、夕食を過ごし豪華にする、という目的もあるし出来れば」

「はいはいー、じゃあ餌でも買ってから船に戻ろうか」

「餌は海老でいいかな、小魚が釣れればそれ餌にすればいいしね」

「…またあんなとんでもないもの釣らないでね…?」

「あれは…うん…酷かったね…」

 流石にもうあのアカエイの様な物は釣れないだろう…多分…


「許可はもらってきたよー、ただ停泊中じゃないと無理だねぇ」

「停泊中でなくても釣る方法はあるけど、それだとかなり大きいのが来そうだからまあ次の停泊中かな?」

「じゃあ早速カードゲームでもしよう、とはいえ人数が多いから何人かでチームを組んで、かな」


 その後沖で停泊するまでは皆でカードゲーム、私は不参加で見守るだけ。

 …参加禁止にされたから…


「まずはブラックジャックから―」

 誰がディーラーをやろうが常にブラックジャックになり、ディーラーを務めた時はディーラーの1人勝ちでチップを全て巻き上げ…

「次はポーカーでも…」

 ファイブカードやロイヤルストレートフラッシュが交換する前からできている。

「大貧民!」

 良く混ぜて1枚ずつ配ったはずなのに1から13までの階段が出来ている状態で私から開始する。

 他にも色々やったら勝負にならず終了、出禁をくらった…


 日も落ちてきたので船は停泊、許可は貰ってきてくれているのでまず浅い所で小魚を狙う。

 糸を垂らしてからそう待つことも無く小魚が釣れる、ボックスに海水を汲み、空気を送り込みつつ小魚を数匹確保。

 針を少し大きな物に変え、泳がせ釣り。

 小魚を5匹ほど食いちぎられ、6匹目を投入してすぐ針に掛かる。

 食いちぎっていったのとは別物っぽく、掛かってすぐ勢いよく走り始めたので暫し格闘。

 流石に少々大きいので引き上げるのに時間が掛かったが夕食が豪華になるのは確定した。


 船内の厨房を少し借りる前に甲板で解体を済ませる、アウラも呼んで解体開始、アウラには流れる血などを綺麗に処理して船が汚れないようにして貰う。

 解体が終われば船内へ持ち込み厨房で料理、料理人から少し羨ましそうに見られるが…うちは少々大所帯なので分けてあげる事は出来ないんだ、すまない…

 釣って解体したばかりの鮪の兜焼き、炙り、刺身、漬けといろいろ作る。

 ステーキは…流石に鮪よりは牛さんか…

 元メイドABCDにも手伝ってもらい人数分作った後、部屋まで運び皆で夕食。

 鮪の刺身などは滅多に食べられないらしく少々感動していた。

 まあ…そこそこ沖に出ないと釣れないしなぁ…


 食事が終わった後は桶にお湯を入れて貰いそれで体を拭いて後は寝るだけ。

 夜が明け次第怒りを上げ再び東に向けて進み始める。

 しかし夜は夜で釣れる魚がいるので私寝ずに釣りをすることにする。

 カードゲームで出禁くらったからもう午前中とか寝るしかないもん…


 皆が体を拭き終え床に入った頃、釣り竿を持って甲板へ。

 見回りの船員もいるにはいるが許可は貰ってあるので問題なし。

 海面に向かって照明を当て、残っている小魚を餌に寄ってきたイカを釣る。

 小魚がなくなった後は疑似餌に変更しさらに釣る、興が乗ってきたので一心不乱に釣る。

 イカは釣った端から絞め、甲板に棒を立て、紐を通し開いたイカを吊るす。

 それを暫く続け吊るすところが無くなった所で今度はイカを生きたまま餌にする。

 以前のアカエイの様に少々ドラグを緩め何かが掛かるのを待つ。

 イカを寄せるために使っていた照明もいはま弱め、自分の周辺を照らす程度にしてある。

 ここからはじっくりと待つだけなのでお茶を飲みつつのんびり…


 何分か置きに引き上げ、イカが元気なら戻す、齧られていたら交換、齧られていたのは撒き餌に。

 繰り返す事約2時間、糸が一気に持って行かれ、何かが食いついたことが確認できる。

 意図が持って行かれない様に手で止め合わせ、ドラグも調整。

 手応え的には夕食前に釣った鮪よりは確実に大きい…

 桟橋の時とは違い踏ん張りも効くし、持って行かれない様に固定もしてあるので時間はかかるが釣れるであろう。

 ポンピングで巻き取ることも出来るし、針もがっちりかかってるっポイので外れることもないだろう。


 その後夜明け近くまで格闘、枚ては少し持って行かれを繰り返しようやく姿が見えてくる。

 相手も相当疲れておりもう抵抗する力は残っていないようだ…

 ただどうやって引き上げたら良い物か…

 海面を尾でパシャパシャと叩いている魚を見ながら悩む。

 ダイヤかアウラが起きてきてくれればいいんだけどなぁ…

 あまり悠長にしてると鮫に齧られそうだし…

 悩むこと10数秒、ダイヤを呼ぶことにした、きっと起きてきてくれるだろう。

「ダイヤー、ヘルプー」

「お呼びでしょうか?」

「流石ダイヤ、頼りになる…

ちょっとこの糸に先にいる魚引き上げてくれない?」

「わかりました、では少々お待ちください」

 ダイヤが指を鳴らすと魚は海面から浮き上がり甲板へと降ろされた。


「おはようご主人様、寝床に居なかったけど何して…」

「おはよう、見ての通りかな…」

 甲板でイカの一夜干しやイカ刺しでパーティー中、船員のテンションも最高潮。

 最後に釣れた獲物は…

「あそこに吊るされてるあれ何…?」

「んー、冷凍鮪?」

「うん、鮪なのは遠くから見れば分かった、大きすぎない?」

「さぁ…どうだろう、アカエイだって横幅30メーターまで育ってたし」

 釣り上げた鮪は5メーターほどあった…甲板に下された後暴れられる前に締め、内臓を取り除いた後、船員が騒ぎ始めた。

 大きすぎて解体できそうにないので収納しようとしたが、どうせなら驚かせてやろうとちょっど悪巧み。

 ダイヤに冷凍して貰い、甲板に吊し上げた、鮪が融けないように鮪周辺のみ冷凍にちょうどいい温度に保ってある。

「なんと言うか…あんなのいるんだねぇ…」

「頑張って釣りました、じゃあ私はまた夕食前まで練るから後はよろしくー…」

 元王女に全て丸投げ、寝床について眠る事にした…


「後はよろしくーって…あれをどうすればいいのさ…」

 甲板に吊るされた5メーターの冷凍マグロ、その周りでイカを炙ったり刺身で食べる船員と船長。

 騒ぎを聞きつけて出てくる他のお客、どう収拾をつけたら良い物かと元王女は頭を抱えていた…

 なお当然ながらお酒は誰一人として飲んでいなかったので朝食が終わり次第船は東を目指して進み始めた。

 そして冷凍鮪は東の大陸に着くまで吊るされっぱなしだった。

鮪はアカエイみたいに大きくなったのではなく普通に育った

多分港町の漁師とか今乗ってる船の船員からは何かとんでもない化け物を釣るねえちゃんと認識されてる

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