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ご主人様を探せ なんて遊びを考えるんだ…

「村か町で泊めてくれる人が居るといいなぁ…」

「どうでしょうねぇ、パッと見親子連れ、旅をしていると言うにしては何も所持していない。

身なりが良すぎるので旅と言っても信じる人は…

それ以前にまだここが何処かも分かりませんし、村や町の場所も分かりません」

「だよねぇ…」

 狐さんの手により何時かの時と同じようにアウラと共に何処かへ飛ばされ…

「ご主人様、アウラ様、此処から南西に30分歩いた所に湖がありました。

また、湖を中心に周囲を調べてみましたが、人の出入りは無く、周辺に川や村などは有りませんでした」

「お帰りなさいサファイア」

 今回はサファイアもついて来ていた。

「まずは湖の近くまで移動しましょう、少し開けた場所も有りますのでそこを拠点にしましょう」

「ありがとサファイア、じゃあ行こうか」

 サファイアに案内され湖を目指すことに。

「そう言えばアウラ」

「なんでしょうか?」

「どっちが母親でどっちが娘?」

「それは勿論私です」

 母親は私しかありえないと自信満々に答えるアウラ。

 うん、そうだね、と返しつつサファイアと歩き出すアウラを見る。

 片や約185、もう片や約140…うん、どう見ても母娘だな。

 アウラの方が娘にしか見えないけど…


 サファイアについて行き湖の近くまで移動、少し開けた場所にテントを出す。

 以前のように傾斜のある山奥ではなく十分な広さも有るし、持ってるテントは小さいし3人だと窮屈、ログハウスでも建てたほうが良いかなぁ…でもいつ此処を移動し去っていくか分からないしなぁ…

 と、そう考えながら仕舞ってある食材の確認をし、バーベキューのコンロに燃料の炭もどれだけあるか確認。

 乾物は…沢山、野菜はほぼ無し、肉多め、魚介も肉とほぼ同じ…調味料だけはいつも通り大量。

 コンロも問題なしの炭も大量、水は…アウラかサファイアに出して貰えばいいだろう。

 しかし米も小麦もない、主食が無く野菜も微々たるもの、野菜は最悪食べれる野草を採取すればいいのだが主食はなぁ…

 主食抜きでいいのであれば手持ちの食材だけで1ヶ月は持つ、食べれる木の実や湖で食べれる魚でも取れればさらに安泰ではあるが。

 いずれにせよ少しずつ探索範囲を広げて人里を探す方がいいだろう、北なら王都を目指せば寝食には困らない、東なら温泉街を目指せばいい。

 南なら南で現在開拓中で船の出入りもあるから北か東に乗せていってもらえるよう交渉すれば…いけるか?

 西だったらめんどいなぁ…知ってる人いないし、当てがある場所も廃墟になった元アリサの国くらいか?

 そうこう考えている内に日も沈んできたのでコンロに炭を入れ点火、その間に肉を用意してもうただ切るだけ。

 凝った物よりシンプルに、味付けも塩と香草だけで。

 準備もできた頃アウラとサファイアが薪を拾ってきたので収納、予備燃料として取っておく。

 小鍋の中に水を入れて貰い、干し肉を削り、少ない野菜をいくらか入れて簡易なスープに。

 スープが出来上がる頃に用意しておいた肉も焼き、食べ始める頃にはほぼ日は落ちていた。

 沈みかけてから1時間もたっていないので日が落ちるのは早いようだ、かといって場所の特定ができるかと言えばできないの一言。

 日が落ち始めたら今拠点にしている所に戻り夕食を食べ寝る、と言う方針が立てれた程度。

 夕食が終わった後は日も完全に落ちており、照明器具が無ければ月明りのみ。

 炭がまだ燃えている内にお湯を沸かし、タオルで汚れを軽く拭き取り、服も汚れを落とせるだけ落とす。

 終わった後は明日から周囲の探索、人里が見つかれば薪や食べれる物を採取しながら移動。

 または川が見つかれば川に移動し川を下り海を目指す、と大まかに方針を決め、火の後始末が終わり次第就寝する事した。


「アウラが間、左右が私とサファイアで寝ようか」

「違いますよご主人様、サファイアが間、左右が私とご主人様です」

「それだとテントの中のスペースが狭くならない?

サファイアと私でアウラを挟めば納まりが良いし」

「子供は親の間で寝ると決まっております、ですのでサファイアを間にすべきかと」

「サファイアは間で寝るのと左右で寝るのどちらが良い?」

「ご主人様が間で寝るのがよろしいのでは?」

 私はアウラが間、アイラはサファイアが間、サファイアは私が間と、綺麗に意見が別れる。

「これはもうくじ引きで決めたほうが良いの…か?」

「ではそうしましょう、用意するのは…紙でいいですね」

 アウラは紙を1枚取出し3等分、1枚だけ印をつける。

「3枚の紙の内1枚だけ印が付けてあります。

この印を引いた者が間で寝る、という事で」

 アウラは紙をぐしゃぐしゃっと丸めた後ポケットの中に入れる、まあ箱とかないしね…

「ではまずサファイア、引いてください。

次にご主人様、最後に私が」

 指定された順通りに丸められた紙をポケットから取り出し、引き終わったら同時に開封。

 結果は…

「なぜ私が間に…サファイアが間になるよう細工したはずなのに…」

 イカサマよくない。

「細工をしていたのですかアウラ様?」

「うっ…まあ…はい…」

「種明かしをするとサファイアが引いた時にポケットに入ってた紙は全部印付き。

次に私が引く前にポケットの中身を入れ替え、アウラが最後に引くことによって途中でポケットに手を入れすり替えたと思わせない様に」

「でもアウラ様はポケットに紙を入れた後は触れてすらいませんよね?」

「そこはまあ…イカサマ有りのボードゲームで鍛えられてるからねぇ…

実際に印をつけたのは1枚、ポケットに入れる時にポケットの中に入れたのは全部印付きって感じに運命を軽く操作。

サファイアが引いたら、今ポケットに残っているのは印のない紙、って感じにまた弄ればポケットに残っているのは印のない紙だけになる、はずだったのかな?」

「はい、その通りです、サファイアが印付きを引く、サファイアが印付くを引く結果を出した、という風に操作するよりは紙自体を弄るほうが楽ですし、違和感も出ませんので。

ご主人様の結果を弄る事はまず無理ですし、サファイアも…」

「何か少しムズムズします、アウラ様何かしてます?」

「サファイア、自分の爪を見てみなさい」

「爪が少し伸びてますね、朝起きた時に切りそろえていたはずですが…?」

「少し弄って爪は切っていなかった事にしました、普通の人であれば違和感もなく気づきませんが。

サファイアほどであれば違和感を感じますし、わずかな変化にも体が反応するのでしょう」

「それで何か耳や尻尾がムズムズとしたのですね」

「まあ、結果は結果なので私は大人しく間で寝る事にします。

その代りご主人様の胸枕を希望します」

「うん…まあ…それくらいなら…」

 その場合間と言うよりはもう上に乗っかってきているが…

「大きさはそうですね…メロンよりは大きくスイカよりは小さい、柔らかさは水風船位で」

 アウラの注文通りに身体を弄る。

「サファイアも触って確かめておきなさい、これが私の求める理想の枕です」

「わかりました、失礼しますご主人様。

…なるほど、これは確かに…ずっと触っていたくなりますね」

 サファイアは暫く柔らかさなどを確かめた後、頭を胸に埋めてくる。

「実に素晴らしい…流石はご主人様です…

私はこれを目指せばよいのですねアウラ様?」

「いえ、理想の枕はご主人様に頼めば済むことですので目指さなくても良いです。

サファイアにはサファイアの良さが有るのでそれを活かすべきですね」

「わかりました、今の身体にもっと磨きをかける事に致します。

それにしてもこれは…実に…癒され…眠く…」

 サファイアが立ったまま眠りそうになっているので急いで布団に寝かせる。

 布団に寝かせるとすぐに寝始めたのでアウラと私も寝る事にした、のだが…


 何か空中から手が生えている、その手は何かを探す様に動いている。

 アウラは後ろを向いているので気が付いていない、アウラは軽く運動し、胸枕に飛び込んでくる準備をしていると…

 手はアウラの首根っこを掴み空間の中に引きずり込み、空間は閉じていった…

 もう場所が割り出されたのか、しかし外れたので今日の襲撃はもう無いだろう、安心して寝る事にした。

 引きずり込まれたアウラは翌日には戻ってくるだろう、長く続けるためにはいかに相手に嘘情報を流しばれないかが大事。

 相手側も1日1回、就寝前だけというルールに縛られているので明日移動するか、もしくは移動したと思わせて居座るかのどちらか。

 その辺りは明日帰ってきたアウラと話してから決めればいいや…もう眠いから寝よう…

 連れ去られたアウラの事は特に気にせず眠りについた。


 朝起きるとサファイアが胸を枕にして寝ており、アウラはまだ帰ってきていない様だった。

 幸せそうに眠るサファイアを起こすのも可哀想なので頭を撫でつつ自然に起きるまで待つ。

 それから10分くらい立った頃サファイアは目を覚まし、おはようございます、と挨拶をした後テントから出ていった。

 サファイアが出ている間に体を服にあった形に戻し、適当に髪を整える。

 整えた後テントを出て朝食の用意、と言っても干し肉と野菜のスープ位、主食が無いのが寂しい。

 朝食の用意が終わる頃にサファイアが小瓶に詰めた液体を持ってきたので収納、いざと言う時のために取っておく。

 それと同時位にアウラが帰還、米を1キロほど持ち帰ってきた、朝食はもう出来てるので昼食に出も出すとしよう。


「アウラ、今日からの行動に追加したほうが良い物は有る?」

 朝食を取りつつ方針の変更があるかそれとも追加をするかを話し合い。

「そうですね、一応向こうにはこれから村か町を探して移動する、とは流して置きましたので…

後2日位は此処に滞在しても大丈夫でしょう、その間に周辺地理の把握、取引に使えそうな物の収穫などですね」

「しかしなんで初日からピンポイントできたんかねぇ…」

「流石にノーヒントだと見つけられないという事で大雑把にメイド長がヒントは出すはずだったのですが、情報を出すのは2日目から。

テント内に手が出てきたのは本当に偶然、たまたまですね。

アタリをつけて此処だろうと賭けに出たようです」

「結果当たりはしたけど外れを引いたと」

「言い方は酷いですけどその通りですね、痕跡で無く直接私を引きずり込んだことで、痕跡が得られなかった場合メイド長から徐々に与えられるはずだったヒントは今後無しに。

ニアピン引いたからもう後はヒントいらないよねって状態になっていましたので、運が良ければ2日とは言わずずっと此処に滞在も可能ですね。

見つけた情報の受け渡しも禁止されていますし」

「初日にニアピンを引いたからこそ今後特定して捕まえられる可能性が無くなったのか…

引きずり込んだメイドは誰だったの?今屋敷で結構肩身が狭い思いしてそうだけど」

「引きずり込んだのはヴリトラ様、場所のアタリを付けたのはユースティアとマキアですね。

ヴリトラ様は終始部屋の隅で落ち込んでました」

「あー、うん…読みはよかっただけに落ち込むだろうなぁ…」

「ヴリトラ様とユースティア、マキアの3名は残りのメイド達が終わり、1巡するまで参加は不可。

現在情報を持っているのはヴリトラ様達3名のみ、他のメイド達は以降ノーヒントとなりますのでさほど脅威にはならないでしょう。

ですがエリス様達がまだ動いていないので粘れて2日、と言った所ですね、エリス様が外せば此処はもう何時まででも滞在可能でしょう」

「アウラ様、ご主人様、お湯が沸きました」

「おっと、ありがとうサファイア。

じゃあそこに座ってね」

 朝食も終わり、お湯が沸いたので髪のお手入れを開始、何時いかなる時も髪と尻尾の手入れを欠かしてはならない。

 サファイアが終わった後はアウラのお手入れ…はお昼前に。

 お礼手が終わった後はサファイアに周辺の探索を任せ、アウラに湖の探索、私は薪拾いと別れて行動開始。


「ご主人様、ここの湖は鱒が多く生息しています。

また他にも食用に適している魚もいるので、いくらか捕っておけば人里を見つけた時に交換などに使えるでしょう」

「じゃあお昼からはちょっと魚を捕ろうか」

「わかりました」

 湖から上がってきたアウラは沸しておいたお湯で髪を軽く洗い、体を拭いた後着替える。

 集まった薪はある程度別けてから纏めて収納、サファイアが戻ってきたのでお昼を食べつつ報告を聞く。

「ここから約2時間ほどの位置に川が流れていました、ですがやはり人が出入りしているような痕跡は無く。

川を下って行っても人里に当たる事は無いと思われます」

「では予定通り今日と明日は食料と薪の収集、3日目に移動を開始いましょうか」

 人里は無かったが川が見つかったので川を下り海を目指す方向に。

 しかしまあ…なんでこんなことになったんだろうねぇ…


 2日前

「以前ご主人様を適当に飛ばした時に思いついたのですが。

ちょっとした鬼ごっこをしましょう」

「どういう事で…?」

「私が今からご主人様を適当なところに飛ばします、御付は…アウラで良いですね。

何所に飛ぶかは飛ばした後でないと私にもわかりません、メイド達にはそのどこかへ飛んだご主人様を見つけていただきます。

人海戦術で行くとすぐ終わって面白くありませんので…チームは組んでも良いですが1日1組参加したらその日はもう他のメイドも参加できません。

早い者勝ちではありますが、このように手さぐりで探して頂きます」

 狐さんが空間を開きそこに手を入れて別の所から手を出し、手探りで何かを探し、掴んだ物を引っ張り出す。

「このように手だけで痕跡、またはご主人様を直接つかみ引きずり込んでいただきます。

引きずり込んだ物がご主人様であれば、こちら、1ヶ月ご主人様と好きに過ごせる権利書をプレゼント致します。

小出しのヒントを元に絞り込むもよし、アタリを付けて痕跡狙いで博打に出るもよし。

ただヒントを小出しにするのは1日毎で痕跡が見つからなかった場合のみ、痕跡が見つかった場合ヒントを出すのは終了します。

誰が何所にアタリをつけて痕跡を見つけたか、そこから予想しってください。

なおその日参加したメイド達の情報は秘匿します、また得た情報を流すのは禁止させていただきます」

「難易度高くない?」

「問題ないでしょう、長く遊ぶのが目的ですので。

短期間で捕まえたら捕まえたで…何か特別報酬を用意しましょうか。

ではご主人様行ってらっしゃいませ。

後ほどアウラをお連れしますのでその場でじっとお待ちくださいませ」


 と、準備も何もなく飛ばされ、小出しにする情報と位置確認のためにアウラを連れてくる。

 アウラはサファイアを連れて来たので3人で逃走開始、今に至る。

 アウラが言うには他にも細かいルールがあったようだが、特に気にしなくていいらしい。

 なんにせよひたすら逃げ回り、捕まったらゲーム終了、景品として贈呈される。

 アウラとサファイアは長く逃げれば逃げるだけ一緒に過ごせる期間が増えるので痕跡にも偽物を混ぜて置く…つもりだったがもう情報が流れる事は無いので痕跡を消す方向にシフト。

 以前は迎えを待つのが目的で今回は逃げるのが目的。

 3日目の朝、出発前にアウラと荷物の確認、先程までテントの有った方を見るとサファイアは痕跡を消していた。

 サファイアとアウラも楽しんでいるようだし、本気で逃げてみようかな。

情報が出る前にアウラを引き摺り込んでニアピンしたので今後情報が得られなくなったクソゲー

ヴリトラ達は1巡するまで挑戦は出来ないので確実に逃げられる、けどユースティアとマキアは何所の大陸かはアタリをつけて当たっていたので希は有る

他のメイドの今の状態は世界地図を眺めて見えない相手を探しているようなもの

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