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今日の夕食 屋敷に響く何時もの悲鳴

実際に作ろうとするとめんどくさくてやってられねぇ!ってのもある

 んーむ、最近の夕食は蒸し、茹でとあっさりとしたもの続き、焼き物、油物もだしてはいるがメインではないので控え目。

 そろそろがっつりと油物で行くべきか、それとも油たっぷりの肉を使った焼き物か…

 調理場で悩むこと暫し。

「揚物でいいのではないですか?

手間のかかる物もありますが、種類も豊富ですし」

 ヴェスティアが揚物でいいのではないかと意見。

「分厚いステーキなども良いかと思います。

最近は香りづけも程々、そろそろ香草やニンニクをたっぷり使用したガツンっとくる物もいいかと」

 エキナセアは香草とニンニクたっぷりの香りが強いステーキ。

「私はお魚が良いですね、お刺身に炙りに、タタキや皮を炙ってパリッとさせた物も良いですねぇ…」

 コウはお魚を希望、内容的に摘みを御所望の様子。

「私もコウに同意かなー、お刺身や炙った皮を肴にこう…キュッと」

 ヴリトラもコウと同じく飲むつもりの…

「私はから揚げが良いですね、軟骨もあると嬉しいです」

 ハクはから揚げの…

「ニンニクに香草、脂身たっぷりの分厚いステーキも良いですね」

 ニールが脂身多めのステーキ。

「分厚いお肉なら分厚いカツも良いですね、それをソースたっぷりでザクザクっと…」

 ティアがカツ。

 魚にから揚げに分厚い肉…

「…揚物でいいな」

 ヴェスティアが提案した揚物にする事にした。


 まずは材料調達から。

「今日は何を捕るの?」

「鰤と鮭、鯛と鱈…そのくらいかな?」

「はいはいー」

 ルシフを連れて海へ行き魚を調達。

「じゃあエキナセアも捌いてみようか、大きいから三枚に下すだけならそれほど難しくはないよ」

「…はえ?」

 エキナセアが捕れたての魚を見てボーっとしていた。

「あれ、まだここの魚見たこと無かったっけ?」

「あ、はい、切り身になった物は見たことありましたが…」

「これがこの海の標準的な大きさね、捌くのはヴェスティアに手伝ってもらいながらやるといいよ」

 どれもこれも5メーターくらいまで育っている。

 生け簀に入れ始めた頃は1.5メーターくらいだったはずなんだけどなぁ…後食事を必要としなくなってるせいか内臓がほぼ無くなっているし…

 でも卵の大きさは変わらない不思議、大きい分量がかなりとれるので鱈子やいくらを使う時には重宝する。

 エキナセアが鰤と格闘している間に他の魚をルシフと一緒に下してしまう。

 鱗も全て落とし、皮を引いてしまいたい所だが大きさが大きさなので、少しずつ刃を入れ身と皮を別けていく。

 終わったら骨の周りについている身を全てこそぎ落し、ほお肉なども全て取る。

 可食部がなくなったら乾燥、粉末にして肥料に、鱗は燃やして灰に。

 エキナセアはヴェスティアに教わりながらまだ格闘中だった。

 その様子を見ながら頬周りの皮、喉付近の皮を少量だけ炙ってルシフと一緒にお茶を一杯。

 軽い休憩が終わる頃にはエキナセアも鰤を下し終わったようだ、可食部は全て取り除き、鱗や骨位しか残っていない。

 2人にお茶を出しつつ、取り分けられた可食部を収納、骨と鱗を燃やしてできた灰も肥料に。

 エキナセアは初めてだったので少しガタガタになっている部分もあるが、元の大きさが大きさなので特に何の問題もない。

 良く出来ましたと頭を撫でてやると、目を細め尻尾を揺らして嬉しそうに笑った。


 魚の後はお肉、こちらは大きさは普通、既に解体済みの物から選んで持って行くだけ。

 脂身の多い分厚いステーキやカツの希望が有ったので…

 サシの入った牛の塊肉、豚ロースブロックを数本拝借。

 帰りに農場へ寄り野菜も収穫。

 添え物として万能なじゃが芋を始め、フライやかき揚げにするための玉ねぎ、香りづけのニンニクに香草。

 他にも大葉やゴボウなど、、どんどん収穫して種類を増やす。

 収穫が終われば海で作った肥料を纏めて置いてあるところに全部出し、収穫した所を耕して終了。


 調理場に戻る前にお風呂で汚れを落としたら狐さんやカレン、リッカとお茶の時間。

「リッカとカレンは夕食何が良い?」

「きつねうどん」

「きつねうどんが良いです」

 2人はきつねうどんを希望。

「私には聴かないのですかご主人様?」

「狐さんいつも稲荷がいいとしか言わないじゃん…」

「失礼ですね、まあ稲荷ですけど」

 まあ狐さんは置いておいて、リッカとカレンの希望に沿って夕食にきつねうどんを追加。

 かき揚げとか他の天ぷらを追加して天ぷらうどんにするメイドもいるだろう。

 3人とお茶を楽しんだ後は調理場に戻り夕食の準備、なお狐さんは主食が稲荷なので朝昼晩に加え間食も稲荷と言う徹底っぷり、確かに狐だけどさぁ…


 調理場に戻り材料を並べ準備開始。

 ヴェスティアとエキナセアがお茶から戻ってくるので一部お任せ。

 まずは牛の塊を分厚いステーキ用にカット、豚ロースブロックも同様に。

 筋切をして縮まない様にしたらニンニクや香草をたっぷり使い香りづけ。

 香りづけをしている間に大葉などをさっと水洗い、魚の皮を取出し、以前余り物で作ったように春巻きの皮として使う。

 ロースの端材を叩いてひき肉に、玉ねぎも端材をみじん切りにし、良く捏ねたら大葉で包み、その上から魚の皮で包み糸で縛る。

 他にも海老や貝柱を戻した物を混ぜた物も用意。

 牛と豚に香りが付く頃に香草やニンニクを取り除き塩を軽く振り、小麦粉、溶き卵、パン粉と順番に衣をつける。

 海老や鱈、鮭などの魚介の他、玉ねぎなど野菜も同様に衣をつけていく。

 フライの準備ができたら今度はから揚げの用意。

 胸肉、腿肉、軟骨に使いきれずに残っている蛸を醤油、塩、砂糖を混ぜた液に漬けこむ、蛸は酒も少々入れておく。

 から揚げはこれ以上は手を加えない、シンプルに揚げるだけで塩を足すか胡椒を足すかレモンを足すかはメイド達にお任せ。

 天ぷらは直前に衣をつけて揚げたてをお届けなので材料と衣ができれば完了。

 牛肉と玉ねぎ、サツマイモの端材がまだあるのでじゃが芋とサツマイモを茹で、潰し、ひき肉にした牛とみじん切りにした玉ねぎを炒めた物と混ぜる。

 形を整えたら衣をつけコロッケに。

 茹でてないじゃが芋は切りそろえ、塩水につければメインの準備は完了。

 後はリッカとカレンの希望通りにうどんを準備、他にも食べるメイドはいるので多めに用意。

 ご飯を炊き始める辺りで牛と豚のカツを低温で上げ始める、春巻きも同様に。

 牛は表面の衣が上がれば一度取出し、春巻きと豚はちょっと長めに。

 油から一度取出しある程度置いたらまたバスケットを沈め油の中に、これを繰り返し、春巻きと豚は中までしっかり火を通す。

 火が通ったら一旦油から下し、他のフライ、から揚げとどんどん揚げていく。

 夕食の時間になりメイド達が入ってくる頃に油を高温にし、最後に表面を一気に揚げサクっと、春巻きはパリッとさせる。

 牛カツはどの程度火が通ってるのがいいのかを聞いてから再度揚げる、生でも行けるので表面だけ揚げたものが好まれるが…

 フライの後はてんぷらの注文を聞き、揚げたてをエキナセアに運んでもらう。

 天ぷらは天丼にしたり天ぷらうどんにしたり、単品でアルコール片手に食している者と別れる。

 から揚げと春巻きはほぼアルコールと、フライはがっつり夕食を食べるメイド達にと。

 どちらにせよかなりの早さで無くなっていくので追加はしていくが、追加しても次から次へと消えていく。

 最後の牛カツがなくなる頃には、天ぷらも品切れ、フライも品切れ、から揚げも品切れと、何も残らなかった。


「と言うわけで今日の夕食はありません」

 と軽く冗談を飛ばすと…

「え…」

 リッカが泣きそうになった。

「ご主人様、冗談は程々に」

「ごめんなさい」

 ヴェスティアに怒られ、リッカを撫で慰める。

「しかし揚物が余っていないのは事実。

なので夕食には出して無かった物を使おうと思います。

用意する物はこちら」

 夕食には使っていなかった各魚の頬肉、頬や喉などの春巻きの皮に使えない皮の部分。

「エキナセア、こっちにおいで」

 エキナセアを手招きして呼ぶ。

「なんでしょうか旦那様?」

「エキナセアならこれをどう調理する?」

 他にも大葉や調味料を並べて置く。

「そうですね…頬肉のソテー…などでしょうか?」

「いいね、じゃあ頑張って作ってみようか」

「よろしいのですか?」

「これも練習の一環だね、ヴェスティアに手伝ってもらってもいいよ」

「わかりました、頑張ります!」

 頬肉はエキナセアに任せ、リッカ用にとっておいたうどんを取出しきつねうどんを作る。

 その間に余った皮を湯引き、刻んだ大葉と混ぜ味付けポン酢で和える。

 ご飯も余っているのでエキナセアが頬肉と格闘している間に寿司酢を取出し寿司飯を作る。

 鮭の皮に少量残っている身をこそぎ落し、マヨネーズ、大葉と和え、ぱぱっと軍艦巻き。

 きつねも余っているので胡麻だけの稲荷も作っちゃえ、後は…

 と悩んでいる内にソテーが出来上がったので残りの皮は仕舞う、また後日炙ってお摘みかな?

「できました旦那様、どうぞご賞味ください」

 ヴェスティアもエキナセアも食べるのを待っているので一口食べる。

「うん、美味しい、良く出来ました」

 魚を下した時と同じく褒めてやる、エキナセアの腕も上達しており、日増しに美味しくなっていく。

 その後はエキナセアの作ったソテーをメインにご飯などを並べていく。

 ソテーにきつねうどんに白ご飯に稲荷に軍艦巻きにと、統一性はないが余り物を美味しく頂く、と言うのが大事。

 それに合わせて新しい物を作るより今ある物を美味しく。


 4人で夕食を食べ終えた後は4人でお風呂、今日はリッカの要望でリッカ好みのスタイルに。

 入浴中リッカは胸を枕にリラックス、エキナセアもヴェスティアの胸を枕にリラックス。

 血は繋がっていなくとも娘は似てくる物なのだろうか…

 お風呂から上がりリッカの髪を整え、エキナセアの髪も整え、最後に尻尾も軽く手入れしたら寝るまでは自由行動。

 今日は何か良い物が出ているらしく、リッカはエキナセアを連れてボードゲームへ。

 ヴェスティアと共に娘達を見送りのんびりとお茶、リッカ達と入れ替わるようにエリスとタニアが寄ってくるので一緒にお茶を飲みのんびり。

「今日は何が出物に?」

「かなり前の写真や映像集ですね、ミアやミウ達が来るより遥かに昔の物ですので参加者は最近此処に着た者が多いですね」

「私とエリスちゃんは持ってるものだから、勝負していた所を眺めていただけかなー」

「いつの時のだろうか…」

「私やタニアがここに来てすぐ位でしょうか?

ただ屋敷で過ごしているだけの写真や映像ですね。」

「あの頃に比べると屋敷も大きくなったよねー、あの頃はまだご主人様含めて20人もいなかったもんね」

「んー…」

 よーく思い出す…タニアとエリスが来た頃か…

「メイド長、ルシフ様、ミネルヴァ様、ディアナ様、ヴェスティア様、ウルカン様、ユノー様、ケレス様、クロノア様、ニール様、ティア様、ヴリトラ様、ハク様、それとご主人様を含め15人ですね」

「その中に私とエリスちゃんが数人お供を連れて加わって、それからアナトちゃんが次に来たんだったかなー」

「懐かしいですね、私はご主人様に一目惚れして国を放り出そうとしてメイド長に叱られて、国を任せれる人を育て上げた後にお供を連れて」

「私は今でも女王様だもんねー、私が消えない限り次代の女王が誕生しないし、此処にいる限りは国も安泰だね」

「私の後任もまだ現役で女王を務めていますし、今でもちゃんと交流はありますね。

こういうところは寿命がもとより存在しない種族に生まれたことを感謝ですね」

「まあ寿命がないぶん誰かが事故や病気で死なない限り新しい子が誕生しないけどねー」

 ルシフがお茶菓子を片手に寄ってくる。

「あらルシフ様、今日は珍しく起きているのですね」

「んー?まあ三姉妹とテレサ達があれに参加してるからねー、昔のご主人様を見てみたーいって。

ご主人様お茶頂戴」

「見てがっかりするんじゃないかなー、屋敷以外驚くほど変わってないし」

「ですねぇ、当時のアルバムを見ても屋敷が少しずつ大きくなるだけで、外見が変わった者はいませんから。

ご主人様への愛は衰える事を知らず今でも強くなっていますが」

「エリスちゃんはご主人様が本当に大好きだねー」

「タニアも似たような口でしょうに」

「ははは、仲良きことは美しきことかな、だねぇ」

 ヴェスティアはにこにこと笑っていて会話には参加しないが、左手で腕を突いて来たりしているのでたまに突き返してやると喜ぶ。

 就寝時間になるまでエリス達とお茶を飲みつつ過ごした。


 就寝時間になったらリッカを部屋に送り届け、今日はエキナセアとヴェスティアを連れ寝室に戻り寝る。

 今日は魚の三枚おろしの初挑戦に、賄いの初調理と頑張ったのでいっぱい甘やかしてやる。

 ヴェスティアも一緒に可愛がってやり、2人が満足するまで頭を撫で、耳の裏をくすぐり、尻尾も付け根を刺激しつつスーッと撫でてやる。

 たまにキュッっと軽く握ってやると気持ちよさそうに声を上げる。

 手を止めると物欲しそうにしてくるのでおねだりもさせ、要望通りに触れたり弄ったり。

 2人が満足して眠りにつくまで続けた。


 日が昇り始めた早朝、屋敷からメイド達の悲鳴が響く。

 両腕に抱いたヴェスティアとエキナセアを起こさない様にゆっくりとベッドから抜け出し。

 これから起こる事に備えて軽く運動、動きやすい服に着替え準備完了。

 部屋を出る前に2人に行ってきますと口付を落としたら覚悟を決めて扉を開けて貰う。

 さぁ、今日も乙女の秘密が大参事、元に戻るまで付き合おう。


 案の定扉を開けた直後、秘密が上限突破したメイド達により拉致、部屋に連れ込まれた後準備運動とばかりに朝から翌日まで激しい運動。

 色々と疲れているがこちらは運動の合間にも夕食の準備もする、心配はされるが何時もの事なのでぱぱっと作ってしまう。

 今日は蒸し料理で油分少な目に。

 翌日まで激しい運動は不眠不休で続き、メイド達はいい汗をかいたとお風呂で汗を流し秘密を再確認、元に戻ったと大喜び。

 その次は拉致しなかった組とお庭で元気にダイエットコースへの参加。

 ダイエットコースを走り切る頃には悲鳴を上げていたメイドは皆元通り。

 残されたのは疲労で地面に倒れ伏すご主人様一名。


 その後残されたご主人様は狐さんに回収され、悲鳴を上げていたメイド達も何時ものお説教。

 幾度となく繰り返される変わり映えのない日常、そんな生活を皆楽しんでいた。

 なお疲労困憊で動けなくなったご主人様は狐の母娘が美味しく頂きました。

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