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夏だ!海だ!バカンスだ! やや不味い焼きそば

冷たいパスタ梅味オクラ乗せ

「海…行きたいなぁ…」

 狐さんとお茶をしているときにポツリと呟いた。

「わかりました、来週には海にでも行きましょうか」

 海に行くことになった、今から楽しみで仕方がない。

 海に行ったら何をしようかなー、たまには釣りでもしようかな?

「では今から準備を進めますので、名残惜しいですがこれで失礼させて頂きます」

 何時もは時間いっぱいまで一緒に居る狐さんが浮足立った様子で出ていった。

 即決した割には何か不安なことでもあるのだろうか?

 まあ狐さんだし大丈夫だろうと、残ったお茶を堪能しつつ特に考えないことにした。


「緊急招集、各部署の纏め役と補佐役は今すぐ会議室へ」

 ポツリと呟くと各部署の長達がその場に現れる。

「どしたん狐、緊急招集なんて珍しい」

「そーよー、何か不味いことでもあったー?」

 集まった者達がへらへらと笑いながら質問を始める。

「来週ご主人様と海へ行く事となりました」

 一言でその場が静まりかえり。

「それは…不味いですね…」

 真面目な顔をしている者。

「それで、どこの海を抑えればいい?」

 やる気を出す者。

「仕事が増える…」

 これからの事に頭を抱える者。

 会議室が段々と混沌としてきたところ。

「海は抑える必要はありません、前回の反省を踏まえ創ることにしました。

ですので海は今から創ります、五日ほどあればできると思いますので、各自はそれまでに準備を」

 そう言い残し狐はその場から消えていった。

「とりあえず屋敷の皆に伝えてくる、ついでに水着のデザインもしておくから準備よろしくー」

 ルシフもそう言い残し去っていった。

 その後残されたメンバー達も各々やるべき事を話し合い解散していった。


 一日目

「これ参加希望者の一覧、ここに置いておくよー」

「やはりと言うかなんと言うか、不参加はいないようですね…」

「ははは、皆久しぶりの海だからねぇ」

「許可は出しておきますので羽目を外しすぎないように伝えておいてくださいね」

「はいはい、りょーかい」


 二日目

「おーい、狐ー」

「どうしました、何かありましたか?」

「海に放つ生き物と植える植物の選定終わったけど駄目なのある?」

「これとこれは不許可、後はこちらで調整しますので大丈夫です」

「はいはいっと」


 三日目

「水着のデザインできたよー」

「あら、もう出来たのですか?」

「気にくわない所があったら弄っていいからねー」

「大丈夫です、問題ありません」

「それじゃあ後はよろしくー」


 四日目

「海に持って行く遊具とかの準備はできたー?」

「後もう少しで完成です」

「明後日には全部運びこんでしまうからそれまでに間に合えばいいよー」

「はい、今回は以前より数多く用意しましたのできっと皆楽しめるはずです」

「ははは、期待しておくよ」


 五日目

「きーつーねー」

「呼びましたか?」

「一足先に生き物と植物持ってきたぞー」

「ではそちらに纏めて置いてください」

「はいよっと」


 六日目

「今から建築班は指定された場所に移動、各施設のデザインと内装の指示書は班長に渡してあるから従う事」

「やーやー、精が出るねぇ」

「あら副長、見回りですか?」

「うんうん、手が足りない所があったら手伝おうかなって」

「こちらは順調ですので明日までには終わるので問題はありませんね」

「それはよかった、狐の所に居るから用があったら呼んでねー」


 七日目

「あー働いたわー、七年分は働いたわー」

「あら、もう準備は終わったのですか?」

「準備は終わったよー、遊具も施設もバッチリ、後はご主人様を連れてくるだけー」

「では明日にでも連れてくることにしましょう」

「あ、狐の水着はこれね」

「あら、これは中々いいですわね」

「サイズは自動調整だからどんな体系でも大丈夫、そしてご主人様の水着がこれ」

「そう来ましたか、これは弄りがいがありそうですね」

「ははは、だろう?」

「ええ、もちろん、一緒に楽しみます?」

「当然混ぜてもらおう」


 バカンス当日

「ではこれより1ヶ月ほど特別休暇、バカンスへと参ります。

その間屋敷へは戻れなくなりますので忘れ物はしないように。

・・・無いようですので海への門を開きます、速やかに移動開始」

 狐さんの号令と共に次々と門へと入っていく、待ちに待った海でのバカンス!楽しみだ。

「ご主人様の水着や着替えは宿泊施設に用意してありますのでご安心ください」

 荷物を持って行かなくてもいいのは大変楽である。

「よし、それじゃあ行くか」

 門へ入る前に狐さんが少しニヤついていたのが気になるがそれより海だ!


「これ…着るの…?マジで…?」

 部屋に入り用意されていた水着を見て目が点になる。

「まあいいんだけど…これはルシフの仕業っぽいなぁ…」

 用意されたいくつかの水着を確かめ、狐さんやルシフが喜びそうなものを選ぶ。

「しかし布地の面積が少ないなぁ…」

 パパッと着替え終り海へ向かう事にする、あまり激しく動くとこぼれないかこれ?

 まあのんびり釣りをしながら過ごすつもりだから大丈夫か。

 フロントに移動中狐さんとルシフと合流、二人は満足げに頷いていた。


 初めての海だし、何が釣れるかなーと大きいのが釣れるといいなーと思いをはせつつ海の家を目指すが先程からメイド達以外の姿が見えない。

 どこかの浜辺を貸し切ったのだろうか?

「ご主人様、釣り具はこちらに用意してありますのでご自由にお使いください。

釣り場所も浜辺、少し先にある堤防でお楽しみいただけます。

船釣りがしたいときは声をかけて下されば船をお出しします」

 狐さんから道具が渡されるのでまずは浜辺で楽しむことにした。

「それより先にする事があるだろー?」

「そうですね、まずはそちらを先に済ませてしまいましょう。

ご主人様こちらへどうぞ、日焼け止めを塗りますので」

 釣りの前にルシフと狐さんに日焼け止めを塗ってもらうことになった。

 でも塗るのはいいけど手を使ったほうが塗りやすいと思います、後胸とお尻ばかり集中して塗るのはやめてください。


 釣り糸を垂らしてぼーっと魚がかかるのを待つ、こののんびりとした時間がたまらない。

 竿がぴくぴく動きググーっとしなる、これは大物が来たか!と竿を握り格闘を開始、数分格闘の後抵抗が少なくなったので一気に引き上げると。

「やだー、釣られちゃっ…」

 人魚族の娘が釣れた、しかしこちらを見た瞬間止まった。

「キャー!ご主人様ちっちゃくてかわいい!なにこれなにこれ!お持ち帰りしていいの!?」

 突如興奮し始めるが―

「はいストップ、興奮するのはいいけどお持ち帰りは駄目ー」

 ルシフが即座に止める。

「バカンスはまだ始まったばかりだから順番にね?どうしても待ちきれない場合は此処に行くといいよ」

 何かメモを渡されその後すぐに「行ってきます!」と何処かへ去っていった。

「ははは、みんな元気だねぇ。

今から飛ばしてると最終日までもたないだろうに」

 再び釣り糸を垂らしまた魚がかかるのを待つことにする。

「そうだね、バカンスは始まったばかり、初日から飛ばしすぎないようにしないとね」

 その後も暫く釣り糸を垂らしていたが魚が釣れることはなかった。


 日も高くなってきてそろそろお昼時かな?と思ったので狐さんとルシフを連れて昼食を取りに海の家に行く事にした。

 途中すれ違うメイド達が顔を真っ赤にして此方をちらちら見ており、ルシフがメモを渡して回っていた。

 中に入り適当なところに座りメニューを見てみる、品数はそれほどなく定番の物ばかりだが、どれもこれも「やや不味い」と書かれている。

 やや不味いと書いているからにはやや不味いのだろう、私はやや不味い焼きそばを、ルシフはやや不味いカレーを、狐さんはやや不味いうどんを注文し出来上がるのを待った。

「これは…普通に不味いな…」

「やや、ではなく普通に不味い…」

「そうですね、普通に不味いです」

 それでも完食し少し休憩した後浜辺でのんびり過ごす事にした。


 浜辺に行くとビーチバレーやビーチフラッグ、波打ち際で遊んだり砂でお城を作っているメイド達がいた。

 そんなメイド達を見ながら借りてきたパラソルなどを設置しビーチチェアに座りぐでーっと伸びる。

 あー…これ楽でいいわー…

 ぐでーっとしながらビーチバレーやビーチフラッグを観戦する。

 どちらも基本的に何でもありなようでバレーの勝利条件は10点先取か相手側が気絶するか。

 フラッグは旗奪い合うのではなく、二本用意してあるうちの一本を回収した後スタート地点まで戻り先に旗を刺した者の勝利、もちろん妨害も有り。

 さすがに各部署の纏め役達は参加せず審判をしたりしている。

 バレーの方は吹っ飛んでいくのが見えたり、フラッグはフラッグで流砂が発生しているのが見えるが概ね平和だった。


 日も暮れ始めた頃バーベキューが始まり大いに盛り上がる。

 ある者はアルコールを片手に、またある者は串を両手に騒いでいた。

「ご主人様、こちらをどうぞ」

 狐さんが焼けた串を差し出してくるので食べる。

「ごーしゅーじーんーさーまー!随分と立派なものをお持ちのようでー」

 もくもくと食べていると後ろから胸を鷲掴みにされ揉みしだかれる。

 突然の事により食べていたものが喉に詰まる、狐さんが飛んできたので助かったが。

 ケホケホと少し涙目になりながら咳き込む。

「少し飲みすぎです、頭を冷やしてくるように」

 鷲掴みにしてきたメイドは狐さんの手によりどこかへ飛ばされていった。

「他の皆様も飲んで騒ぐのは結構ですが節度は守るように」

 ちょっとしたアクシデントはあったがバーベキューを大いに楽しんだ。

 ただ鷲掴みにされた時にこっちを見ていたメイド達が少し鼻を押さえていたが大丈夫だろうか?


 宿泊施設に戻る前にシャワーを軽く浴びて軽く汗や汚れなどを落とす、着替えは部屋に置いてきてるのでペタペタと歩いて部屋に戻る。

 ロビーまで来たところで狐さんとルシフに捕まり遊技場へと連れていかれ、遊技場の入り口には「バカンス初日夜の部会場」と書かれた立札が置いてあった。

 中に入るとメイド達が全員集合しており、まだかまだかとソワソワしていた。

 狐さんとルシフに先導されながら案内された場所に座る。

「これよりバカンス初日夜の部を開始いたします」

 会場が割れんばかりの歓声に包まれる、耳が痛い…

「まずルールの説明いたします。

その一、手持ちのチップが尽きた場合はチップを貸し出しという形追加でお出しします、返せないほど借りることの無いように、後借り入れ分を返すまでは景品と交換はできませんのでご注意を。

その二―」

 長々としたルール説明が始まり…

「―最後に、ディーラーは各部署の纏め役達が務めます、チップを巻き上げられても泣かない、イカサマがばれても泣かない事。

以上です」

 ルール説明され終わった後ルシフが景品の内容を説明し始める。

「次に景品だ、まず日替わりと常設がある、日替わりは毎日入れ替わり常設は最終日までそのままだ。

日替わりは各自確認してくれ、常設についての説明だが―」

 常設の説明が始まる、常設は何とお触りをする権利や撮影をする権利らしい。

「―後何故常設を説明したかだが、これはご主人様の水着と体型が毎日変わるからだな、自分好みの見た目の時のご主人様の時を狙うといい。

以上だ」

 メイド達が各ディーラーのところに散って行き、己の欲望を賭けた勝負が始まる。

「お触りとか撮影とか聞いてないんだけど…」

「逃げるといけないから今まで黙っていたからな、ははは」

「ここで逃げ出すとみんな悲しんでしまいますわよ?ご主人様」

 そう言われると諦めておとなしくするしかない。


 …しかし

「さっきから二人してずーっと胸を揉んでるのは何故?他のメイド達がすっごいうらやましそうに見てるんだけど?」

「これは発破をかけるためとちょっとした役得です」

「ははは、みんなやる気出して大穴狙いに行ってるな。

あ、イカサマした奴がばれてる」

「最低でも時間を停止した上でその痕跡すら消せないではすぐに見つかるでしょうね」

 二人は話しながらも胸を揉む手を止めない、まあ重いから下から持ち上げてくれている分には楽でいいんだけど。

「あ、そういえばルシフが渡しまわってたメモって何なの?」

「ご主人様の生着替えを撮影した物を一足先に取り扱ってる所を記した物、当然狐の許可は取ってるし、どうせ最終日には皆の手に渡るよー。

あ、当然だけど最終日まで毎日生着替えを撮影するからね、ははは」

 はぁ…まぁ…皆がそれでやる気を出してくれるならいいか…

 お祭り騒ぎはまだ始まったばかり、どうなることやら…


 なお常設の目玉枠にあった個室撮影会は結局だれも交換することができなかった、その結果。

「ご主人様、次はこちらの服でお願いします」

 狐さんにフリルが沢山付いたひらひらのドレスを着せられ。

「それが終わったらこっちはこれで頼む」

 ルシフはシンプルなメイド服を着せてくる。

 狐さんとルシフの二人による撮影会はまだ始まったばかりだ。


 撮影された物は後日メイド達に配布され、暫くの間ご主人様を少女の姿にして置いて下さいとメイド長に嘆願があったとかなかったとか。

 そして狐さんは「今回もまたやや不味い焼きそばを作れなかった…」と嘆いていた。

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