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余った材料の使い道 ちょっとした楽しみ

鰤などの切り身を買ってきて煮付けを作る時はざるに入れて沸いた湯の中に軽く沈める、熱で皮が収縮して鱗が浮き上がりはがれやすくなるので水道で水をかけながら包丁で掻いてやると綺麗に剥がれる。

霜降りも兼ねれるので匂いも少し飛ぶ。

 温泉街での休暇も終わり、用意していた料理もほぼ出し切った。

 残っている物は足りなかったときにと取っておいたまだ茹でていないうどん、肴用の魚の皮、出汁少々、貝の出汁で炊いたご飯少々と刻み海苔、刻みネギ等々。

 種類は多いが量は少ない、昼食や夕食で出すにしても全然足りない。

 こういう時は大抵誰かと食べて処理してしまうのだが…誰と食べた物か…

 ただ火を通さないと麺や皮は食べれないので調理場に籠るので匂いに釣られてきたメイド達でいいか。


 調理場で湯を沸かし、その間に七輪に炭を入れ火をつけておく、湯が沸いたらうどんを入れ茹でる、茹で上がったら冷水で締めて置く。

 炭に火が行き渡ったら皮を炙りパリッとさせ、ご飯の上に乗せ刻み海苔と大葉を散らして出汁をかける。

 余った皮は塩を振って大皿に盛り上げる、出すには出したが、肴より食を優先したので消費量が少なかった。

 大体準備ができた頃見計らったようにエリスがやってくる。

 皮を除くとそんなに量は無いのでアルコールがメイン、うどんとご飯は少量。

 最初に皮を齧り、アルコールを呷る、少しほろ酔いになった所で用意していたうどんとご飯に出汁をかけて締めに食べる。

 が、山盛りに皮についつい手が伸びる、アルコールではなく水に変わっているのでこれ以上酔うことも無いので注意はしない。

 エリスが席を立つ頃に追加で2名、テレサとフローレンスが入ってきた。

 アルコールは飲まず、お茶を飲みつつ皮と出汁茶漬けを食べた後直ぐに去っていった。

 収納からまだ使ってない皮を取出しさらに炙る、鯛に鰤に鮭に…魚が大きい分皮の量も多い、そして皮が鯛や鮭みたいに食べれるようになった魚も多い…

 なのでとにかくひたすら炙る、たまに炙った物を摘まみつつお茶を飲みまた炙る。

 テレサとフローレンス以降は暫く誰も来なかったが、ケレス、クロノア、テラ、ノクスの農場組4人がアルコール片手に入ってきた。

 ケレスとクロノアはたまにすだちを絞り皮にかけて食べる、テラとノクスはそのままぱりぱり食べていた。

 満足するまで飲み、皮を食べた後はうどんと茶漬けを食べてすぐに出ていった、少し顔は赤くなっていたが足取りはしっかりしているので問題なし。

 農場組の次は夕食に使う食材を取りに行っていたヴェスティアとコウだった。

 二人はテレサたちと同じくお茶で皮を摘まみ、お茶漬けは無しでうどんを少しだけ、一服入れた後野菜などを刻んで仕込みをしていた。

 その後もメイド達がぽつぽつと訪れうどんとご飯も残り少々、出汁もほぼ使い切り、ただ皮だけはたっぷりある。

 もう後2.3人くらいでご飯とうどんは終わりかなーと言うときにルシフが三姉妹を連れて来た。

 三姉妹は残っているうどんとご飯全部、ルシフは水を飲みながら皮を齧り、三姉妹が美味しそうに食べるのを見ていた。

 うどんとご飯が全部なくなった後は三姉妹も皮を幾つか食べて帰っていった。

 残っているのは貝の出汁がほんの僅かとネギと大葉、たっぷりの皮だけ。

 出汁を水で薄め沸かし、味を調え炙った皮を投入しネギを散らしてお吸い物。

 刻んだ大葉も皮を細く切り、湯引きして大葉と和える、味付けポン酢を少したらせば出来上がり。

 まだ使いきれていない皮はまた今度だなーと思いつつお吸い物と和え物を摘まみながらお茶を飲んで本日の秘密の食堂は閉店、調理場で堂々とやってるから秘密でも何でもないが…


 翌日海へ行き海老を捕り、身を細かくしミンサーに入れ海老のミンチを作る。

 農場でタケノコとキクラゲを収穫、加工場で春雨も拝借。

 タケノコとキクラゲを刻み、春雨は水分を吸収させるのに使うので出来るだけ細かく。

 肴の皮を取り出し四角形に切る、切り終わったら端材を細かくして湯引き。

 海老のミンチに刻んだ筍とキクラゲ、細かくした春雨、湯引きした皮を混ぜタネを作る。

 先程四角形にした皮にタネを包み糸で縛り崩れないようにする。

 本来は小麦を練った生地を皮にするが今回は魚の皮で包んだ春巻き。

 普通の魚でやるとあまり作れないし、通常の春巻きの皮の中に具材として入れるくらいしかできないので結構贅沢。


 今日は少し場所を変えて庭で揚げ物。

 バッターの様な長方形の鍋に油をたっぷり入れ熱する、温まったら鍋の形に合わせたフライバスケットに並べて、油の中に沈める。

 少し揚げたら取り出して少し休める、これを何度か繰り返すと中までしっかり火が通る、骨付きの手羽元とかでやるんだけどねほんとは…

 一気に揚げると皮が水分で破裂したりするので今回はこの手法、2度繰り返し3度目に高温の油に入れ表面をパリッと仕上げる。

 後は結んでいた糸を切り離せば皮自体が固まっているのでもう崩れることはない。

 揚がりしだい次々に海老春巻きを大皿に盛って行く。

 授業中だったアリサ達がアリシアやフローレンスを連れて食べにくる。

 机と椅子も用意してあるのでそっちに持って行き食べていた。

 海老は繋ぎにする分以外は粗く砕いた程度なので海老の食感も有り、タケノコとキクラゲのコリコリ感もあり、湯引きした皮のトロっとした感もあり、春雨を仕込んだのでにじみ出た水分とうまみは春雨に吸収され…

 何が何だかまとまりがない気がするが美味い物は美味い、皮も香ばしくパリッと仕上がっているし、美味しければいいのである。

 庭で花壇の手入れをしていたミアとミウも出来上がるのを待っていたのか揚げたてを持って行った。

 エリスも何時の間にかきており、昨日と同じく見計らっていたかのように揚げたてを持って行った。

 まだまだ大量に用意してあるのでどんどん揚げていく、今日もルシフは三姉妹を連れてきて三姉妹はかなりの数を食べていった、ルシフは2本摘まんだくらい。

 それでもまだ残っているので残りを揚げていく、仕事が終わったのかショルダーバッグを付けたフレールが歩いてくる。

 春巻きを3本ほど持って行き、備え付けてあった机てお茶を飲みつつパリパリと音をたてて食べていた。

 用意していた分を上げ終わった後は微妙に残ったタネの処理、団子にし、胡麻を衣の代わりにして揚げた海老団子、炭火でじっくり焼いた海老団子、茹でて残っていた刻み大葉を散らした海老団子の3種を作り、味付けポン酢で頂く。

 その場にまだ残っていた何人かが欲しがったので取り分はほぼ無かった、本日は閉店。


 皮ももう残りわずかになったので生姜と三つ葉を採りに農場へ。

 生姜を千切りにし、三つ葉はざっくり切って洗っておく、醤油、砂糖、酒、みりん、たまり醤油で煮付けようのたれを作る。

 残っている皮を一口サイズに切り、軽く表面が反る程度に炙ってからたれの中に入れる。

 火にかけ、生姜を入れたれが沸いたら火を止め少し置く。

 少し冷ましたら再び火にかけ、タレが少しとろみを帯びたら完成。

 これも本来はちゃんと身の付いた魚でやるべきではあるのだが…余った魚の皮の煮つけの出来上がりである。

 小鉢に入れ一緒に煮付けた生姜を少し添え、三つ葉で彩りも付ければ完成。

 好みは分かれるがちゃんと鱗を処理していれば、熱が入りトロっとした皮を美味しく頂ける。

 これもまたエリスが一番乗りで食べに来た、出来上がるまでずっと監視してるの…?

 量はそれほどなく軽めではあるが味が濃いのでアルコールを呷りつつ摘まんでいる。

 テレサはフローレンスとお茶を飲みながら、農場組はアルコールを呷りながら、ニールとティアはお茶とアルコールを交互に。

 煮付けた皮のみで量は無かったのでルシフとアリシア達は来なかった。

 三姉妹とアリサは結構食べるからなぁ…

 タレを残し皮も使い切り余らせていた食材は使い終わった。

 今後暫くは出店は無いだろう、大量に余らないと基本的にやらないし。


 夕食は鶏をメインに使う、煮付けてとろみの付いたタレが余っているので鶏を焼き、タレに漬けこみ味を染み込ませる。

 ある程度時間が立ったらタレを落とし再び炭火で焼く、またタレに漬けるを繰り返す。

 出来上がったら薄く切り葉物を敷物にして並べ、刷毛を使って上からタレを塗る。

 手間はかかるが炭火で香ばしく、中まで味のしみ込んだ鳥の照り焼きが出来上がる。

 薄く切っているのは味が濃いから、少しづつ摘まんで他の鶏料理にも手を伸ばすようにする。

 最後の最後まで微妙に余っていた刻みネギも照り焼きに散らせば使い切り、これで本当に余っていた食材は無くなった。

 タレも使い切ったのでバッチリである。

 タレを流用しているので照り焼きの味は似たようなものであるが、メインに使っているのが鶏肉なので煮付けを食べたメイド達ももどんどん食べていった。


 収納していた食材も愛飲しているお茶くらいになりすっきり。

 しかしお茶菓子のストックも減ってきている、毎日少し余分に作りストックはしているが…アリサ達がよくお菓子を食べるんだよなぁ…

 狼三姉妹はお菓子よりご飯!なのでそんなにお菓子は食べない。

 今日は1日中お茶菓子つくり、軽いクッキーからカステラなど色々。

 端材などを使ってパフェも作る、こういうのは作ってる人の特権だよねー。

 などと考えていると狐さんにパフェを強奪される、ケーキやプリンは反応をほぼ示さないのにパフェに対するその執念は何なのだろうか…

 クッキーの余りやケーキの端材が無くなったので余っている果物を刻んでホイップクリームと混ぜる。

 器に入れ後はクッキーに乗せたりして食べる。

 アリサ達は果物が沢山使われたフルーツケーキを好み、アリシア達は生クリームで飾った砂糖がほぼ使われていないプリンを好む。

 エリスは何時でも懐に仕舞えるクッキー、ヴェスティアとコウはそもそも調理している場所にいるのでその時に余った物で作った物を好んで食べる。

 ニールとティアは私の作った物であれば何でもと、農場組はブランデーを使ったケーキ、ミネルヴァとディアナはとにかく大量に砂糖や蜂蜜を入れた甘い物を少しずつ食べる。

 結構好みが分かれてるんだよねぇ、大体は持ち運べて日持ちするクッキーかその日限りのケーキかだけど。

 今日の分とストック分と作り終えた後は狐さんとお茶の時間、何かアリサ達が部屋に連れ込まれていたが…アリシア達はどうしたの?


 こつこつとストックを増やしたり農場のお手伝いをしたり、メイドに拉致されたり授業参観をして過ごし、それなりに日数が経過した頃。

 ぼちぼち宝石店で注文の処理をしに行く事に。

 注文書を受け取り工房に籠り品物を作り始める。

 作り終えた後はもう何もやる事が無いので温泉街をぶらつくかまだ何かを作るか温泉に入るか。

 ショーケースの中に有ったちょっとした物も無くなっているのでトンボ玉やシンプルなリングを適当に作り並べる。

 それほど時間はかからないので時間が余る、なので砂山を取出し加工する。

 やりすぎると怒られるので程々に…

 三姉妹とアリサ達用にどれだけ暴れ回っても髪が乱れなくなるヘアピン。

 テレサとフローレンスが趣味で使うクリスタルの塊10個。

 アリシア達にはまだ贈ってなかった指輪。

 ウルカン用に混ざり物なしのヒヒイロカネとオリハルコン。

 他にも多数作っていく。

 作り終える頃にはお茶の時間少し手前なので狐さんと屋敷に帰りお仕事終了。


 日を跨いで朝食の前に三姉妹とアリサ達の髪を整えてからヘアピンを着ける。

 頭をぶんぶん振り回して髪を乱そうとするが乱れない、うん、いい出来だ。

 アリシア達には髪型を変える時はヘアピンを外すだけと伝えて置いた、まだ指輪は渡さない。

 ウルカンに金属の御届け物、ヒヒイロカネにせよオリハルコンにせよ、錆びず劣化せず軽い、けど…ペン先に加工する意味ある…?

 ペンは剣よりも強しと言っていたが…そこら辺で流通してる剣ならまずこのペン先で穴が空けられるか真っ二つに切られるだけだろう、鎧とかも意味無いしな…

 アリサ達の授業の見学、休憩時間にテレサとフローレンスにクリスタルの塊の贈り物。

 球体と四方形を各5個ずつ、テレサとフローレンスは四方体を板状に切り、地面とトントンと叩きつつ板にしたクリスタルを削り、何か彫刻をしていた。

 何やら教会の窓にはめ込んで使う物らしい、日が当たると彫刻をした部分が地面に綺麗に影となって映るとかなんとか。

 でも聖女の仕事ではないよなぁ…そういうのをやる人が作る物では…

 休憩時間が終わるまで彫刻している様子をアリシア達とみていた。


 夕食もお風呂も終わり寝る少し前の時間、今日はこちらからアリシア達を呼び出す。

 なんか今日は父様やるきだねーと言っているが特に気にせず部屋に連れ込む。

 扉を閉めると灯りは無くほぼ真っ暗、少し暗めの照明をつけ机の上に用意してあった箱を取り、アリシアの前で開けてみせ、手を取り指に填めていく。

 アリシア達は少しの間固まっていたが直ぐに気を取り戻し抱きついてきた。

 アリサ達は以前渡した指輪を右手に付け替え、新しく用意した指輪をつける、あまり理解はしていなかったが今はまあ仕方ないか…

 驚かせるのに成功した後は6人の尻尾を手入れしつつ朝まで過ごした。


「で、なんでいきなり指輪だったの?」

「単純に今のままで忘れてた」

 最低な答えである。

「父様ひどーい、アリサに父様は酷い人だって言っちゃおうかな?」

「この後ちょっとした式典も用意してあります」

 なお本命はこちら、フローレンスは来てすぐに式を挙げた。

 だがアリシア達はアリサが幼児退行したり発狂したりまた幼児退行したりと忙しく。

 やるなら休暇の後が良いなーとなったわけである。

「ではご主人様はあちらに、アリシア達は借りて行きますよ」

「え?何?狐いきなり何?」

 突然現れた狐さんに攫われていく6人、指輪の他にもドレスを作っておいたのでバッチリである。

 その後はつつがなく進行し、式を終えた。

 アリシア達はほぼ思考が停止して顔が真っ赤なままだった。

 アリサ達は少し緊張していたが直ぐ元に戻っていた、アリシア達がアリサ達にリードされるという珍しい光景も見れた。


「式を何度でもあげたい場合はこちらのゲームをお勧めしておきます」

「なにこれ?」

「私が創ったボードゲームです、直接中に入ってミニゲームなどで遊べます。

ゴールすればご主人様と二人っきりの結婚式を挙げられるようになっています」

「そんなのあったのか…」

「メイド達が毎晩少しずつ進めて遊んでいるのを見ていませんか?」

「お風呂から出たらアリサ達を連れてすぐ部屋に戻って一緒に遊んでたから知らない…」

「夕食後は毎日あちらの部屋で遊ばれていますので息抜きにどうぞ」

「他にも何かゲームあったりする?」

「有りますが簡単な物から難しい物まで色々ありますね、難しい物は暫く足腰が立たなくなりますが…挑戦してみます?」

「クリアした時の報酬は?」

「今はこちらですね」

「割に合っているのか合っていないのか…」

「基本的にはこれをクリアするかちょっとしたお祭りの時以外では出ない物ですので」

「悩む…すごく悩む…ご主人様の使用済み枕とかめっちゃ欲しい…」

「参加は自己責任でお願いしますね、一月かけて何人かが一回クリアできるくらいの難易度ですので」

「とりあえず試しに行ってみる、行けそうだったら時間をかけてクリアしてみるさ」

「無理だとは思いますが見当を祈ります」


 翌日部屋でうめき声をあげアリサに心配されているアリシアの姿が有った。

「あれクリアできる気がしない…」

「母様大丈夫?狐のおねえちゃん呼ぶ?」

「寝てればよくなるから大丈夫だよアリサ、今日もお勉強に行っておいで」

「母様がそういうのなら…じゃあ行ってきます!」

「はい、行ってらっしゃい」

 アリサは元気よくフローレンスの待つ部屋へ走っていった。

「で、実際のところどうなの?」

「しばらく動けそうにない、狐呼んでほしい…」

「はいはい」

 狐さんを呼び診断してもらう。

「これを飲んで食事さえとれば3日後には動けるようになるでしょう」

 狐さんが小瓶を渡しアリシアが飲む。

「狐、あれ本当にクリアできるの?私開始して1分持たなかったんだけど」

「できますよ、ルシフは1日で、ミネルヴァとディアナとユノーは1週間、ケレスとクロノア、最近来たテラとノクスが2週間、ウルカンとヴェスティアが2週間と2日ですね」

「基準がおかしい」

「エリスが3週間、ニールとティアが1週間と5日、三姉妹が2週間、テレサとフローレンスが3週間ですのでまあ1ヶ月あれば行けるかと?」

「はいった瞬間足腰と力が抜けて立てなくなった所にトリモチとかどうしろと」

「鍛え方が足りないだけですね」

「あの尻尾と耳の一番いい所を攻められるあれは?」

「ご主人様の技術を再現しています、力が抜けて倒れると容赦なく襲いかかります。

ご主人様の本気よりは大分ましですけどね」

「ご主人様の本気ってそんなにすごい?今までの手入れでもかなり気持ちよかったんだけど」

「受けてみますか?ちょうどご主人様もいますし、それにアリサもいませんのでちょうどいいですね」

「狐、何をする気だ!?体をひっくり返すな!スカートを降ろすな!」

「ではご主人様どうぞ、この金狼に本気を出した手入れをいう物を教えてあげてください」

「ご主人様待って止めて!今力が抜けててどうしようもないの!後狐!胸を大きくして頭を抱え込んでいい匂いをさせるな!変な気分になる!」

「あらあら、この金狼さん少し興奮してますね、発情期でしょうか?」

 狐さんがアリシアをからかっている。

 それはそれとして力が抜けて尻尾もだらーんとしているので手入れがしやすい。

 なのでアリシア達にはまだしていなかった本気の手入れをすることにした。

「はいはい、アリシアちゃん、終わったら今までより綺麗になってるから我慢しましょうねー」

「―――!!!―…!」

 アリシアは声にならない声を上げ狐さんは頭を撫であやしている、普段のアリシアとアリサみたいだなぁ…

 離れようとする気配は無く、狐さんの胸に顔をうずめしがみ付いているので手入れを続ける。

「……―!」

 足腰に力が入らず立ち上がれない今、アリシアはなすすべもなく手入れをされている。

 手入れによりさらに力が入らなくなっている今少し悲劇が発生してしまった…

「…すん…ぐすっ…」

 体が少しぶるっと震えたと思うと漏らしてしまったようだ。

 一度溢れた物はもう止めようがなく全部出し切るまで流れ続けた。

 アリシアはぐすぐすと泣き、狐さんから離れることなくしがみついたままだったので、狐さんが抱きかかえお風呂に。

 布団を収納し、代わりのものがないので寝室から布団を取ってきて入れ替える。

 濡れた布団などは狐さんが洗う物の中に放り込んでおく、来ている服も濡れていたのでついでに入れて一緒にお風呂に入る。

「アリシアちゃんは困った子ねえ…」

 未だに狐さんの胸に顔をうずめしがみ付いたまま入浴していた。

 少し幼児退行しているようだったが暫くすると元に戻った。

 顔を真っ赤にしてさっきまでの事は忘れろ!と叫んでた。


「母様母様!お布団から父様の匂いがする!」

「そうねアリサ、今日からはこの匂いに包まれて寝ましょうねー」

「うん!いい匂いー」

「ほんと、父様のいい匂いがするねー」

 恥ずかしい思いはしたものの、ゲームを完走することなく使用済みの寝具一式を手に入れたアリシアだった。

 そして恥ずかしい思いはするだろうと考えつつも、また狐の胸に顔をうずめしがみ付き、ご主人様に本気で手入れをしてもらうのも良いなと思っていた。

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