子?育て相談 やっぱりもう戻らない
「やっぱりね、ここまで精神が幼くなっている状態で部屋に連れ込んでくるのはどうかと思うんだ」
「そお?アリサも父様母様と一緒がいいよねー?」
「うん!一緒がいい!」
「ロッテとマリンは…?」
「ロッティも一緒の方がいいよね?」
「はい母上」
「マリちゃんはどうですかー?」
「パパとママと一緒が良い!」
もうだめだ…
「狐さん、どうにかなりませんか?」
「お好きになさればよろしいのでは?精神は幼くとも年齢も肉体も立派な大人ですよ?」
「アリシア達が部屋に連れてくる度に、ほら父様母様と一緒に楽しみましょうねーとか、アリサがそれに対して父様!アリサいっぱい頑張るね!とか答えるし…
罪悪感が凄いんです…幼児退行させたの私じゃないけど…」
「アリシア達は満足しているのでしょう?」
「はい、ちゃんと満足するまでしてあげてます…気遣って加減するともっとちゃんとして!って催促されるし…」
「なら現状維持のままではいいではないですか、それに今のアリサ達はメイド達に人気がありますので無理やり戻すのも酷かと。
アリサ達は三姉妹と違って大人しいので今では三姉妹より人気があります、アリシア達の後ろを母様母様と雛鳥の様について行く姿がたまらないようです」
相談する人間違えた。
「ルシフどうにかならない?」
「さぁ?私は三姉妹だけで手いっぱいだからねぇ…」
「そこを何とか」
「そもそも教育はしてるけど、純心無垢なままを保つように汚れた物には触れさせてないし。
心を成長させず維持するって部分は結局狐と同じだしねー?」
「うん…まあ…三姉妹は見た目もあれだから、あの姿でエリスみたいになっても困る…」
エリスみたいに身長が高いのであれば似合うであろうが…屋敷で下から数えた方が早い位小さいからなぁ…
「まあそう言ったわけで三姉妹はずっとあのままだね、悪いねご主人様、力になれなくて」
「誰か良い人知らない?」
「ははは、子育てならフローレンスが一番じゃないかな?ここに来るまでは子供の世話をしていたでしょ?」
「ああ確かに、テレサもフローレンスが育てたんだったな」
ルシフも駄目だったがテレサやその他大勢の子供を育てたフローレンスならば…
「子育てですか?」
「はい、アリサ達を少しずつでもいいから成長させる方法は無い物かと…」
「そうですね…子供はよく食べよく遊びよく学び、これを繰り返している内に後は周りの大人達からも学んで行きますので…
良い影響を与えていけば少しずつ改善され戻っていくかと。
焦らないことが大事ですね」
「なるほど…で、今やってるそれは?」
「貫手の特訓ですね」
「ふろーれんす先生みてみてー、綺麗に穴が開いたー!」
「板が割れて綺麗に貫けない」
「指が痛いよー」
「よーしよし、よくやったぞアリサ!」
「ロッティ、もう少し肩の力を抜いて」
「はいはいマリちゃん、治癒しますからこちらに来てくださいねー」
アリサ達に貫手を仕込んでいた、アリシア達は授業参観をしているようだ。
「貫手って子育てに必要ですかね…?」
「必須項目です、男に話しかけられた際、即座に急所を貫かねば子供たちの貞操の危険が危ないです」
「あっはい」
若干言葉がおかしくなっているが大丈夫か?
「こんな可愛い子達が外の獣達に狙われたと思うともう…!
自衛の手段は持ってしかるべきなのです!」
「うんうん、可愛い娘達を獣達に襲われないようにするには自衛の手段も持ってる方がいいよな、そうならない様にはするが」
アリシア達も頷いている、確かにそれなら貫手を使える方がいいのか…?
「貫手が終われば次は後ろから抱きつかれたときの対処方ですね、手本を見せますのでよく見ててくださいね」
木人に背中をピタッとつけ、木人の腕を抱きつくような形にする。
「こういう風に抱き着かれたときは…こう!」
音もなく木人が腕と脚を残し消し飛んだ、フローレンスはその場で足踏みをしたようにしか見えない。
「せんせいすごーい!」
「このように背中を使って密着している相手の胴体へ衝撃を送り込み吹き飛ばす技ですね。
足で地面を踏み抜きその衝撃を背中から相手に伝える、これは応用も効くので沢山練習しましょうね」
フローレンスが木人を大量に取り出す。
「アリシア様達も練習しますか?」
「ちょっとやってみよう」
アリシアが挑戦するが―
「えっと、組みつかれたら地面を踏み抜いて衝撃を背中から…こうか!」
地面を力強く踏み衝撃を木人に伝え吹き飛ばすがかなりの衝撃音が響く。
「初めてにしては上出来ですね、練習すれば踵や爪先だけで出来るようになるでしょう」
「母様すごーい!」
フローレンスの暴漢撃退方はためになるなぁ…
アリサ達も練習を始め、木人が砕け散ったり、胴体の部分が残り皮一枚と言った感じで抉り取られていたり、手足をその場に残し胴体部分が綺麗に残ったまま吹き飛ばしたり。
衝撃を伝えるだけでも色んなバリエーションがあるなーと見学していた。
「次は応用ですね、先ほどまでは足から背中に向けて衝撃を流していましたが。
今度は衝撃を手に持って行ってみましょう」
巨大な岩を取り出すフローレンス。
「まず対象物に手を当てます、後は先程と同様に地面を踏み、衝撃を手に伝える」
トンっと地面を爪先で叩いたかと思うと岩が砂になった。
「凄いなフローレンス、娘の専属教師にしたいくらいだ」
「おほめに預かり光栄ですアリシア様」
砂になった岩を片付け、次は小石を取り出す。
「それともう一つ、触れる瞬間に衝撃を発生させ、対象物を破壊する」
小石を放り投げ、スッと手をのばし、落ちてくる小石に触れた瞬間地面を軽く足で叩き、粉砕した。
「こちらの技も覚えておくと便利なので覚えてくださいね」
「はい!がんばります!」
アリサ達はやる気満々、岩を次々に持ち込むのはアレなので砂と化した岩をこねて再び塊にしてあげた。
この暴漢対策を学べばもう一人でお使いだって行けるだろう。
衝撃を伝える練習が終わった後は手刀で対象を切り裂く練習をしていた。
「何か違う」
「どうしましたご主人様?」
「いやね…フローレンスに子育てについて聞きに行ったんだけど、ちょっと授業中でね。
何か貫手とか衝撃とか手刀とかの練習してた」
「普通では?私の育ったところでは皆フローレンス様から学んでいましたよ?」
「そういえばテレサはフローレンスに育てられたんだったね…」
「ええ、フローレンス様のおかげで立派な聖女になれましたし、手刀も貫手も衝撃も暴漢撃退以外にも使えて便利ですよ?」
そういって摘み取ってきた花を指先で切り花を活ける、壁に指で穴を空け棚を差し込み追加で設置する、尖っていたりささくれ立っていたりするところは衝撃で削り取り丸く。
椅子に座りトントンと爪先で床を叩いているかと思えば手に持っていた四方体のクリスタルの塊をグラスの形に削り取っていく、しかし削り取ったような跡は無く元々その形であったかのように綺麗で透き通っている。
他にも色のついたグラスに彫刻を施したりと大活躍だった。
「確かに便利だなぁ…」
「ご主人様も方法は違えと同じようなことができるではないですか、それに削り取らない分削りかすが出ませんし」
「確かに削りかすが凄いな」
机の上には削り取られ粉末になったクリスタルの粉が山盛りになっている。
「この粉はどうするの?」
「この粉はこうします」
下に敷いていたシルクで包み、さらにその上から手で包み込みトンッと床を爪先で叩く。
「これでまた利用できます」
包み込んでいたシルクを解くと中から綺麗なクリスタルの球体が出て来た、気泡なども入っておらず密度も一定の様だ。
「衝撃で削り分解する逆ですね、衝撃で結合、纏めています」
うーん、実に便利。
「私はこの程度の大きさしか結合はできませんが、フローレンス様であれば砂から大岩を作る事も出来るでしょう。
後その気になれば別々の生物ですら元から一つであったように結合できるはずです。
実行することはまずありえないですが」
なにそれこわい。
「院で勤めていた時に怪我をした希少動物が運び込まれた際、切り裂かれた部分を綺麗に結合し止血と治療を。
屋根から滑落し骨が砕けてしまった者の骨を患部を切り開くことも無く元通りにしたりと。
まさに聖女と言うのにふさわしい方でした」
「素朴な疑問なんだけど治癒じゃ駄目だったの…?」
「ええ、外の治癒では時間が掛かるので間に合わなかったか、後遺症が残っていたはずです。
それを無償で行い続けていましたので此方に越してくるときはお世話になった方々が盛大に泣いたとか。
人に懐かないはずの希少動物にすら懐かれていましたしね」
「そう聞くと確かに聖女だなぁ…」
そんな聖女の心臓を出会い頭に抜き取った狐さん…もう少し他の方法は無かった物か…
「聖女に伝わる技はどれも極めれば治癒にも破壊にも使える物ばかりですので、院にいる方は治療のために毎日学んでいましたよ。
歪になった部分を壊して治すという方法もありますので」
破壊力ばかりじゃないんだなぁ…
「貫手は血液がたまっている部分に穴を空け排出させる、手刀は患部を切り開く、衝撃は結合。
医療道具も必要ありませんのでその身一つで何時でも治療に駆けつけれるわけですね。
治癒は手術の際の造血や術後の回復などが主でしたね」
「アリサ達も覚えておけば治療などができるようになるのかなぁ…」
「時間はかかりますが出来るようになるとは思いますよ、フローレンス様は子供に好かれやすく、また教えたり伸ばしたりするのも上手ですので」
「ならしばらくはフローレンスに任せるかぁ…」
「でもやっぱり何か違わない?」
「戻ってくるなりいきなりどうしましたご主人様?」
狐さんの所に戻り再び相談。
「いや、うん、授業とかしててゆっくり成長していくのは良いんだ。
でもそれと寝室に連れ込んでくるのは別、まともな情操教育とかできる人は居ませんか?」
「さぁ…?子育ての経験があるのはフローレンスかテレサくらいでは?
その二名を除くと子育てをした事が有りませんし」
そうなんだよねぇ…そもそも出来ないから育てる必要もなければ経験も無かった。
「どうした物か…」
「悩むのは結構ですがお茶が終わった後は手入れをお願いしますね」
うんうんと悩みつつ狐さんの口に稲荷を入れ、食べ終えた後は狐さんの手入れをした。
今は私だけの事を考えてくださいと尻尾ではたかれた。
子育て相談から数日…
「父様父様みてみてー!」
アリサが岩の表面を衝撃で削り取る。
テレサやフローレンスと比べるとまだ踏み込む動作が大きく、入り口に立った程度だが進歩は進歩である。
「よーし、良くやったぞアリサー」
走ってきたアリサを抱き留め頭を撫でて褒めてやる。
「えへへー」
「アリサばかりずるいー」
「わたしも!わたしも!」
ロッティとマリも駆け寄ってくるので同じく頭を撫でてやり褒める。
アリシア達はアリサ達に教えれるようにとまだフローレンスから教えを受けている。
粉々に砕けはするが砂になるまでは至らない、フローレンスは粉々になった山に衝撃を通し粉末にし、結合、さらに密度を上げた岩を作る。
アリシア達も密度を上げに上げた岩はまだ砕けず軽くひびが入る程度、フローレンスはその岩を切り、板状にして行く。
切り取った断面も綺麗で日を反射している。
「こちらの板で練習をしましょうか」
「はい、先生!」
アリシア達もすっかり生徒である。
「テレサ、まず貫手からお手本を」
「わかりました」
テレサが岩でできた板に貫手を放ち、板はひびが入る事も無く綺麗に穴が開いた。
「次に手刀」
角を切り落とし四角形から八角形に。
「最後に衝撃」
地面を爪先で叩くと粉末になった。
「よろしい、見事なお手本でした」
「ありがとうございますフローレンス様」
アリシア達も凄いと言いながら拍手をしている。
「まずはこの三つの基礎をこの板でできるようになりましょうね」
そう言って板を渡していくフローレンス。
各々貰った板を程よい高さに調整し練習していく。
貫手を放つと板は割れはするが穴は開かない、手刀は角が欠けても切り落とせない、衝撃はひびは入るが崩れない。
相当硬いようだ。
「皆さん頑張って下さいねー」
フローレンスは応援を飛ばしつつ駄目になった板を直し、テレサは板を各自に渡していく。
アリサ達も母様に負けてられないと板に向かって行った。
「さぁ、父様、今日もいっぱい頑張ったアリサを可愛がってあげてくださいね」
「ロッティも一緒がいいよねー」
「マリちゃんもちゃんと可愛がってあげてくださいねパパ」
「…はい」
三人が何か良い事をしたい頑張ったりすると事あるごとに部屋に連れてくる。
アリサ達も尻尾をパタパタ振って楽しみにしている。
何もしないと泣きそうになるので可愛がってあげるしかないのだ…
一度これは駄目だろうと手を出さずに返そうとしならアリサ何か悪い事した?父様アリサのこと嫌いになっちゃったの?って泣きだしたし…
このままではまずい、どうにかしなければと思いつつ今はただ流されるだけだった。
「狐さんなにとぞ…なにとぞあの三人を元に戻す方法を…」
「そんなに辛いですか?」
「もう罪悪感が凄くて凄くて…」
「でも可愛がっているのでしょう?」
「何もしないと泣き出すから…」
「子育てとはそういう物ではないでしょうか」
「そうなの…か…?いやいや母娘で部屋に押し掛けてくるのは何か違うだろう」
いかん、流されかけた、修正せねば。
「お願いします、どうか…どうかあの三人を元に…」
「仕方ないですね、どういう結果になっても責任は取りませんからね?」
「狐さんありがとう!」
飛びついて抱きしめた、尻尾は嬉しそうに揺れていた。
「こちら三人に飲ませれば大丈夫です、効果はすぐに表れますので」
そう言われて渡された薬を持って三人が授業を受けているところに行く。
「あっ!父様!」
こちらに気づいたアリサが走り寄ってくるので抱き留める。
ロッティとマリも来たので三人まとめで抱きしめる。
「父様ちょっと苦しい」
「ああ、ごめんごめん」
謝りながら三人に薬を渡す。
「父様これ何のお薬?」
「ちょっとした病気の治療薬かな?」
「私たち何処か病気なの?」
「今はまだ大丈夫かもしれないけど予防薬も兼ねているからね、ぐっと飲んじゃいなさい」
「わかった!」
少し罪悪感を感じつつ薬を飲むのを待った。
「飲んだよ父様…っ!」
狐さんの言ったとおりにすぐに効果が出始めたようだ。
「ぐっ…がっ…!」
少し苦しんでいるがアリサ達の為だ、許してほしい…
「ご主人様一体何が!?」
「ロッティは大丈夫なのですか?」
「マリちゃんも苦しそうです!」
「狐さんにもらった元に戻す薬を飲ませた、直に元に戻るはず…」
戻ると言いかけた時アリサ達が叫び、悲鳴を上げ発狂しはじめた。
「アリサ!落ち着いて!」
「ロッティ!」
「マリちゃん!ママは此処よ!」
アリサ達は髪を振り乱し毛を逆立て暴れはじめる。
声にならない声を上げた後すぐ意識を失った。
「一体薬に何を仕込んだんだ狐…」
「仕込んだとは失礼な、幼児退行する直前に戻しただけです」
「それでどうしていきなり悲鳴を上げて発狂するなんてことになるんだ?」
「いえ、あの三人が選んだお仕置きメニューの結果ですので私は別に?」
えぇ…何を選んだら発狂するの?
「まあお仕置きのメニューは3つあったわけですね。
1、お薬を飲んで三姉妹と楽しく遊ぼう。
2、お薬を飲んでルシフと楽しいブートキャンプ。
3、お薬を飲んで狐さんの楽しいお仕置き短時間コース。
この中であの三人は3を選んだわけです」
「薬は絶対飲むんだな…それで、薬の効果は?」
「1が疲労しなくなる薬、副作用は三姉妹が少し興奮する匂いを発する物を付けてあります。
2が気力がわく薬、ルシフの厳しいキャンプについて行けるようになります、副作用が極度の空腹感ですね。
最後に3つめ、治癒力極大のお薬、心臓を抜き取られようが頭を潰されようが即座に治ります。」
「こう聞くと一番マシなのは2番か…?」
うん、空腹になるくらいなら問題ないと思う。
「では一つ一つ解説していきましょう。
三姉妹と楽しく遊ぼう、首輪を外した全開状態の三姉妹と終わりのない鬼ごっこですね、薬が切れても興奮は続きますので三姉妹を止める方法を見つけるまで追われ続けます、そのための疲労しない効果ですね」
「うわぁ…」
ひどい…
「ルシフと楽しいブートキャンプ、こちらは少し厳しいですが基礎を大目に学ぶくらいですね」
「ならやっぱり2番が当たりじゃ?」
「ただし極度の空腹感に襲われいつもより多く、いくら食べても満たされません、結果太ります。
後はご主人様ならわかりますね?」
あー、はいはい…あれね…
「どういうこと?」
「基礎訓練に初級・中級・上級があるのはご存知の通り。
ただあれより難易度の高いダイエットコースと言う物があります。
具体的にはコースに立つだけで体力吸収、落とし穴自体が軽く運命を弄って穴に落ちた事にしてきますので抵抗できなければ落ちます。
蔦は全面に張り巡らされ少しでも触れれば即座に拘束、強度も上級の何倍も有ります。
トリモチは無色透明で見る事すら叶いません、それが常にコース上に漂っています、もちろん引っかかればさらに強力になった体力吸収に加えコースの吸収も有り抜け出すのは困難でしょう。
他にも障害物には対物破壊も有りますし、滝登りも有ります、どれも全て痩せたいメイド達のために創られた物なので全てが別格です。
なお一度コースに入ると完走、もしくは限界ぎりぎりまで体力を搾り取られるまで出ることは叶いません。
夕食などを過剰摂取した場合は囚われる時間が非常に長いので完走する方が先でしょうかね?」
「なにそれこわい」
うん、あれは本当にひどい、でもダイエットするメイド達は普通に完走するんだよね…
「3つめ、お仕置き短時間コース。
これが一番シンプルです、指定した時間逃げ切るか私に触れれば許す、と言う物ですね」
「ならそっちが一番…」
「ただし全力で圧力をかけ、仕留める気で行きます」
「あっ…」
あっ…何となく分かった…
「まああの三人達は最初は向かってきましたが直ぐに撤退を選びましたね。
指定時間は3時間、3時間以内に私に直接触れるか逃げ切るだけ、私も反撃はしますので回復効果ですね」
「三人は結局逃げ切れなかったと…」
「はい、近づいてきたところを触れないように腕を切り、消し飛ばし。
撤退を選んだ後は足を落とし、くっ付く前に消し、一人づつ心臓を抉り出し頭を潰し。
再生を待った後時間が来るまで延々とですね、お仕置きですので泣こうが喚こうが許しを請おうが一切手は緩めていません」
「そんなもん誰だって発狂するわ!」
「ですので薬の副作用に幼児退行し、有ったことを忘れる効果をつけておきました。
子供の方がいう事は聞きますし覚えが良いですしね」
「で、さっきの薬を飲んでその発狂する直前に記憶が戻ったと…」
「ではないでしょうか?ただ今度は副作用を付けていませんので目覚めたらもうそのままですね」
「発狂したままだとどうなる?」
「大丈夫でしょう、もう三人達はどうすれば恐怖から逃れられるかは覚えていますので」
「駄目だったら恨むぞ狐」
「御心配なく、確実にそうなるだろうとは思っていますので」
狐さんとアリシアが話した後アリサ達の目が覚める。
「あれ?父様母様どうしたの?それに狐のおねえちゃん?」
「はい、お姉ちゃんですよー」
狐さんを見るたびいつも隠れていたアリサがお姉ちゃんと呼んだ?
狐さんも何か嬉しそうに尻尾を振っている。
「一応元?に戻ったのか?」
「はい、今度は自らの意志で今までの恐怖やその体験を忘れ、楽しかった頃の記憶だけ残したようですね。
ですので私がした事も一切覚えていないでしょう、その証拠に。
アリサちゃん、こっちにいらっしゃい」
「何おねえちゃん?」
狐さんに近づいていくアリサ。
「ふふ、アリサちゃんは可愛いわねぇ…お姉ちゃんの子供にならない?」
「駄目ー、母様が泣いちゃうもん」
「残念、私の子供になれば父様ともっと一緒にいられる時間が増えたのに」
「えっ!?本当!?でも…うー…うー…!」
アリシアと狐さんを交互に見て唸るアリサ。
「おい、狐、アリサは私の娘だ、渡さんぞ」
アリサを抱きしめ誘惑を断ち切るアリシア。
「冗談ですよ」
「嘘付け!お前絶対こうなるって分かっててやっただろ!
お前恨みは忘れたとか言いつつ今度はアリサまで持って行く気か!?」
「気のせいですよ気のせい」
ほほほと笑いながら狐さんはその場を去っていった。
「あの狐は…ほんと…もお…」
「母様大丈夫?」
「ああ大丈夫だよアリサ、母様は此処にいるよー」
アリサに心配されそんなアリサを抱きしめ癒されるアリシアだった。
ロッテとマリンも娘扱いしていたロッティとマリが密かに狙われていたことを感じ取り抱きしめていた。
「今日から私も混ぜて貰いますね」
「狐お前絶対根に持ったままだろう」
「いえいえ、これはただ一緒に楽しみたいだけですよ」
「本当かー?」
「母様もおねえちゃんも喧嘩しちゃダメー!」
「くっ…狐覚えてろよ…」
「いつでも受けて立って差し上げますよ」
アリサ達の狐さんへの恐怖心は無くなりお姉ちゃんと慕うようになった結果、狐さんが混ざるようになった。
この6人の時だけは狐さんだけ省かれていたからなぁ…泣き出すから…
「ではご主人様、今日もいっぱい可愛がってくださいね?」
何所で何を間違ったのか、今となってはもうどうしようもなかった。
もう遠慮して寂しがらせるくらいなら罪悪感なんて捨てちまえ…その方がこの子達も幸せだ…きっとね!




