訓練開始 懲りない三人、その末路
「ほらほらー、休むなー!」
「足を止めると危ないぞー」
「はいそこ!こっそりマリを盾にしようとしても駄目!」
「初代様の鬼ー!悪魔ー!人でなしー!」
「きゃー!足に蔦が絡まって動けないぃぃぃ!」
「ピンポイントで私だけに矢があぁぁぁ!!」
今日も庭からアリサとマリとロッティの元気な声が響いてくる。
「誰が鬼で悪魔で人でなしだ!もう一発いっとくか!?」
「すみません許してください!」
そんな中関係がないはずの三姉妹達も走り回っている。
「あははははは」「お姉ちゃんたち遅ーい」「また周回遅れだー」
「あぁもう、この子たちは元気ですねぇ」
「そうですねテレサ、貴女の若い頃を思い出します」
息を切らすことも無く何度も抜き去り、それに笑いながらついて行くテレサとフローレンス。
三姉妹がアリサ達が走っているのを見つけ遊んでいると思ったのか何時の間にか混ざっていた。
遊び感覚で設置されている障害物を全て踏破し、かつ何度も周回遅れにしている。
なおアリサ達はまだスタートしてから1周もしていない、ようやく三分の一程度進んだ所だ。
「ほらほらー!何回周回遅れにされるつもりだー!?」
「まだ半分も進めていないとは情けない」
「このままだと今日も深夜まで特訓だぞ!それともそれがお望みか!?」
「あの人たちがおかしいんです!どうやったらこんな物を突破できると…あああああああああああ!!」
「アリサ様!あなたの死は忘れません!」
「今の内に駆け抜ける…んだああああああああああ!」
「ロッティ!?ってきゃあああああああああ!」
まずアリサが蔦を振り払い次のエリアに入ったとたんトリモチの罠にはまる、それを見たロッティとマリは迂回策を取る、しかし迂回しようとしたところに左右からトリモチが飛んでくる。
避け損ねたロッティがトリモチに捕まり壁に貼り付けに、つい振り返ってしまったマリは勢い余って自ら壁のトリモチに激突。
進行度約41%で全滅である。
「今日も半分いかなかったか、お前たち情けないぞ、それでも私達の血を引いてるのか?
いや引いてるな、並んだら親子みたいだし」
「初代様…自己完結は良いですからお助けを…」
「この程度の拘束自力で抜け出せないと後がつらいぞー?」
「ではトリモチを剥がしますますわね」
トリモチを扱わせたら屋敷で一番になっていたフレールがトリモチを剥がしていく。
無理やり剥がすと毛も抜けてぼろぼろになるので、携帯している鞄から粉末を取出しふっと息を吹きかける、するとトリモチだけが霧散し消える。
「あ…ありがとう御座いますフレール様…」
「いえいえ、これもお仕事ですので当然の事ですわ」
まだトリモチに引っかかっているマリとロッティも救出された。
「じゃあ今日も深夜の特訓はするとして、まずは反省会」
「今日もですか!?あれは無理です!なんで初代様達はあそこまでやって翌日平然としていられるのですか!?」
「そりゃあ慣れだろう、滅多に会えなかった分一回が長くて念入りにされてたし。
良いから反省回やるぞ、まずはスタート地点からだな」
アリサ達を連れスタート地点に戻る、三姉妹はまだ走ってた。
「まだまだ初級のこのコースだが、スタートは少しずつ良くなってるな、スタートに関してはこのまま良くなっていけばほぼ合格。
次のエリア、落とし穴も落ちなくなったのはいいが、そもそも発動しないようにしろ、その辺中穴だらけになってしまっているじゃないか。」
「まず踏んでも発動させないってのが無理です初代様!」
「いやできるだろう、あの三姉妹達を見てみろ、一度も落とし穴の罠を発動させていないじゃないか」
「あれは落とし穴のない所を見極めて走っているだけです、きっとそうに違いありません!」
「本当にそう思うか?じゃあ実際に行ってみようか、まず私から行くぞ」
アリシアが三姉妹の通った所をすたすたと歩くが何も起こらない。
「じゃあ次アリサこっちに来て歩いてみろ」
「歩いて何もないならやっぱり落とし穴なんて…あああああああああああっ!!」
アリサは呼ばれたのでアリシアの通ったところを歩きはじめるとそのまま穴に落ちた。
「ちゃんと落とし穴あるだろう?」
「ぐすん、酷い…なんで初代様歩いても落ちないんですか?」
「そもそも地面に足付けてないしな、踏んで発動する罠がそこにあるなら地面に足付けなければいいじゃない?
地面に足付けて歩かないと駄目っていう決まりはないんだし」
「何を言っているのかわかりません」
「じゃあもう一度歩くぞ」
またすたすたと歩いていく、やはり何も起こらない。
「じゃあアリサ、私が通った所をよーく見てみろ」
「?…足跡がありません…」
「これが答え、この位は出来ないと初級は卒業させてやれんな、まだ一周も出来てないしな!」
「では初代様、その方法を使わないとどうなりますか?」
「ん?じゃあ普通に歩いてみようか?」
そう言ってまた歩き出す、今度は足跡が付いている。
「はい、それじゃあアリサも歩いてみようか」
「今度は足跡がありますし今度こそブラフです…ねえええええええっ!!!」
またも穴に落ちるアリサ、アリシアは腹を抱えて笑っていた、楽しそうで何より。
「ひー、ひー…あー笑った、じゃあ次は蔦のエリアだな」
「初代様達は皆化け物です、化け物たちが私達で遊んでいるようにしか思えません…」
ぐすぐす泣きながらアリシア達を化け物と言うアリサ。
「ほーん、じゃあその血を引いてるアリサも化け物だねぇ」
うぐっ…と言いよどむアリサ、うんうん、アリサがアリシアの血を引いてるのは保証する。
「で、蔦のエリアだけど、ここは単純に速さとか力が足りてないね。
捕まる前に抜けるか捕まっても速度を落とさず引きちぎるか斬り落としながら進まないと」
ケレス特性伸びる蔦初級編、エリアに入ると足に撒きつきかなりの長さまで伸びる、力任せに伸ばし切って引きちぎるか巻きつかれたら即座に斬り飛ばす、もしくは最初から巻きつかれない速度で駆け抜けるしかない。
「アリサは落とし穴に落ちたから次は…ロッティ!言いってみようか!」
アリシアが凄く良い笑顔でロッティを蔦エリアに放り込む、うむ、笑顔のアリシア可愛い。
「ああああ!もう蔦が足にぃぁああああああ!」
早速蔦に捕まり行動不能に陥るロッティ。
「んー?さっき蔦エリアを突破したのはまぐれか?」
「スタートから落とし穴エリアを通過し加速していたからでは?」
「ですね、速度が乗りに乗っていたので何とか抜けれたのでしょう」
「あちゃー…それじゃだめだなぁ…明日は蔦から開始にするか…」
「相談は良いですからたーすーけーてー!」
足を蔦に絡め取られ動けないロッティ、引きちぎろうにも蔦は伸びない、刃物が無いので斬り飛ばそうにも方法が分からない。
「あらあら、大丈夫ですか?」
「蔦に絡め取られて動けないみたいですよフローレンス様」
蔦エリアで使に絡め取られることなく普通にテレサとフローレンスが歩いてい来る。
「どうか助けていただけないでしょうか!」
「うふふ、いいですよ、少し待っていてくださいね、すぐに追いつきますのでテレサはあの子たちをお願いしますね」
「わかりました、ではお先に失礼します」
テレサはその場から消え三姉妹を追って行った。
「では蔦を切りますね」
切ると言うと同時に蔦を切り飛ばす。
「あ、ありがとう御座います、やっと動けぇえええええ!!」
「あらあら」
切り飛ばした直後再び蔦に捕まるロッティ、どうした物かと考えるフローレンス。
「おーい、そいつほっといていいから三姉妹達追いかけていいよー」
「そうですか、では失礼させていただきますね」
フローレンスもその場から消え三姉妹を追いかけていった。
「せっかく蔦を切って貰ったのに一歩も動けないままとか、初代様達は悲しくて涙が出るよ」
腹を抱えて笑いまくり涙を流していた。
「で…では初代様達は此処をどうやって突破するので…?」
蔦に絡め取られ動けなくなっているロッティが質問する。
「んー?ロッテやってみる?」
「いいでしょう、では参ります」
ロッテは歩いて落とし穴エリアから蔦エリアに侵入する、たちまち蔦に絡め取られるが歩く速度は変わらない。
そのまま蔦を引きちぎりながら蔦エリアを抜けていった。
「えぇ…この蔦ってあんなに軽く引きちぎれましたっけ…」
アリサ達がドン引きしている、ロッティはまだもがいている。
「ひ…引きちぎるのはインドアの私達には無理かなぁ…」
「じゃあマリン行ってみる?」
「わかりました、行ってきます」
次はマリンがエリアに侵入、そもそも蔦が一切寄ってこないままエリアを歩いて抜けていった。
「なんで蔦に絡め取られないんですか!おかしいでしょう!?」
「絡みつこうとして来る蔦だけ逆に拘束すればよくない?」
「そんなトンでもな理論初代様達以外ができるとでも!?」
「え?できないの?」
「普通出来ません!」
アリサがきゃんきゃん吠える、うーん、狼と言うよりわんこだなぁ…
「さっきテレサとフローレンスがやってたじゃない?」
「えぇ…たしかに蔦が一切動いてませんでしたけど、ロッティを拘束していたからでは…?」
「んー…じゃあ、ほいっ!」
「きゃあああああぁぁぁぁ!!」
アリサをロッティの近くに投げ込むアリシア、拘束されるアリサ。
「ね?拘束されるでしょ?」
「されるでしょ?ではありません!ああああぁぁぁ!助けて下さいー!」
「ついでにほいっ!」
「いやああああぁぁぁぁ!!」
マリも放り込まれ拘束され三人とも動けなくなる。
「あははははは!三人とも拘束されて動けなくなってやんの!」
腹を抱えて笑いだすアリシア、マリンもロッテも爆笑している。
なお拘束されている三人は必死で助けを求めていた。
「あー…お腹痛い…じゃあ最後はトリモチエリアだな」
その後アリシアに三人とも救出され涙目になりながら睨んでいた。
復讐してやると言った顔をしているので何かやりそうだ。
「えーっとここは…」
アリシア達が後ろを向いているとアリサ達が後ろへ回り込み押し出そうと―
「ほいっ!」
「いぃぃやああぁぁぁぁ!!」
―したら捕まってトリモチに放り込まれた。
フレールも顔をそらし口元を抑えて笑うのを堪えている。
「うんうん、放り込む手間が省けたね、そのトリモチは単純。
最初から当たらなければいい、また、あるところには踏み込まなければいい、踏み込んでくっ付いたとしたら無理やり剥がすか消すしかないね」
「あの…謝るので助けて下さい…このトリモチに捕まってると力が出ないんです…」
トリモチにっくっ付いたまま動けなくなる三人、トリモチに関しては屋敷で採用している特別性。
しぶとい生命力を持つ黒いやつですら捕まればイチコロ!捕まった物はポイされる未来しか待っていない…まあでたら出たで狐さんが屋敷を掃除するのでポイする前に消滅するけど。
「ではトリモチを消しますわね」
再びフレールが粉に息を吹きかけトリモチを消す。
「ありがとう御座いますフレール様…」
「この程度の物を対処できないなんて初代様は悲しいよ」
目薬を使って涙を流すアリシア、ロッテとマリンは玉ねぎを刻んで涙を流していた。
刻んだ玉ねぎはこっちに頂戴ねー、次はこの野菜をお願いね。
「じゃあ簡単な対処方だけ見せていくぞー」
アリシアがトリモチエリアに入っていく。
「まず一つ目、踏んでも倒れない事、この辺は蔦と一緒だな、止まらなければ勝手にちぎれる、まあトリモチはくっ付いたままだが」
トリモチを踏みそのまま歩き引きちぎりエリアを抜けていく。
「無理です、できません、踏んだ時点で力が抜けて倒れます!」
「じゃあもう一つ、落とし穴エリアのおさらいでそもそも踏まなければいい」
また普通に歩いていってエリアを抜けていった。
「飛んでくるトリモチの対処が分かりません」
「そこは蔦エリアのおさらいだね、自分の所に来る奴だけ抑えてこないようにすればいい」
結局は今の所走っている3つのエリアは落とし穴と蔦とトリモチは全部基礎である、踏まなければそもそも引っかからない、抑えてしまえばそもそも飛んでこない、引っかかったら引きちぎるなりすればいい。
初級編だけあって基礎の塊である。
「そこで高みの見物で何か作っているご主人様はこれを突破できるんですか?」
変な後方から矢が飛んできた。
「えぇ…めんどい…今昼食作ってるし…」
「ほらー!ご主人様は逃げてるじゃないですかー!」
できないとは言って無い、めんどいだけである…
「まあご主人様はする必要もないからね、でも本当に突破するところ見たいの?心折れるよ?」
「そんな風に言ってかばおうとしても駄目です!ぜひともご主人様が走る所を見てみたいです!」
「うーん…ご主人様お願いできる?後で私達を好きなだけもふらせてあげるから」
「まあそれなら…」
スタートエリアまで行き、トリモチエリアまで歩きはじめた。
「え…?なんで落とし穴に落ちないの?足跡はちゃんとついてるのに?」
「蔦も何か動きがおかしいですね…足を捕まえようとして別の蔦に絡まってその蔦をまた別の蔦が…」
「トリモチにも足跡が残っているのにくっついた形跡がない…なんで…」
偶然に違いないとアリサ達が落とし穴のエリアに入り落とし穴に落ち、蔦も何かあるとエリアに入り捕まり、足跡しかつかなかったトリモチも不良品だと指でつついてくっ付きとれなくなっていた。
アリシア達は笑い死にさせる気かと腹を抱えていた。
元の場所に戻り昼食の準備を再開した、落ちたアリサと蔦に捕まったロッティとトリモチにくっついたマリは放置された。
「よし、反省会は此処までにしてお昼食べようか」
「わーい!ご主人様の手料理だー!」
「野菜は私達が切りました」
「用意したのはご主人様だけどね」
いつもは野菜がその場で採れる農場の片隅でやるけど今日は庭の真ん中で焼きはじめる。
「あー、どうしてここの野菜も肉もこんなに美味しいのかねぇ…」
「引っ越してきて本当によかった…」
「ご主人様に飛びついて怪我させたアリシアが悪い」
「えー…もう過ぎたことだしいいじゃん」
各々野菜や肉を焼き食べる。
「あのー…私達も食べたいのでそろそろ助けていただけないでしょうか…」
落とし穴の底にあるトラップに掛かったまま引き上げられたアリサ、切り離しはしたものの蔦が絡まったままのロッティ、トリモチをつついて脱力し自分から土地持ちに掛かったマリから救出要請が来る。
三人の目の前で焼いて食べてるからね、匂いだけでも辛かろう。
「いやー、ご主人様の能力を疑った罰みたいなものだよ、極々普通の人が私達のご主人様なんて勤まるわけないじゃん」
「宝石細工が出来るだけの人かと…謝りますからご飯食べさせてくださいお願いします…」
アリサ達はお腹をくぅくぅ鳴らしながら解放された、泣きながらお肉を食べていた、野菜も食べなさい。
「午後は休憩、しっかり休むように、まあ午後三時でお仕事終わりだから昼食後は何かやるにしても次の日の段取り決めるだけで終わるけどね」
「はい、では失礼させていただきます初代様…」
アリサ達はアリシア達に挨拶をして部屋に戻っていった、今から寝るのであろう。
「じゃあ明日の内容だが、蔦エリアを最初に持ってくるのは確定で、以降のエリアをどう弄る?」
「まだ半分も行ってませんからねぇ…蔦・落とし穴・トリモチだけでも当分クリアできる気がしませんね…」
「手本を見せても理解できていなかった、これも少し問題では?」
「そこからかぁ…座学からやらないと駄目なんかねぇ?」
あーでもないこーでもないと明日の訓練内容が話し合われる、そんな三人を置いて狐さんの所にお茶を飲みに行った。
「あの三人は使い物になりそうですか?」
「どうだろうねぇ…アリシア達が訓練内容を毎日決めているようだけど」
「では当分任せておけば大丈夫でしょうね」
お茶を飲み稲荷を包みながら休憩、狐さんの尻尾の手入れも忘れない。
「そういえばご主人様に忠誠を誓ったはずなのにご主人様の事を疑ったと聞きましたが?」
耳が早いというか何時の間に…
「あー…まあ…それは一応解決したから」
「今後同じようなことがあれば次は私が出ますので」
「ほどほどにね…?」
「ご主人様が癒して差し上げれば大丈夫かと」
んー、なんだろうね、狐さん達が鞭打って私が飴を上げると言う図式になりそうな気がする。
「夕食も終わり入浴も済ませた、では今から夜の特訓だな」
「本当に行くんですか初代様?」
「当然だ、もうすでにご主人様を待たせてある、逃げようとしても駄目だからな?」
「はい…」
「ご主人様、連れてきたぞ」
部屋の扉が開かれアリシア達がアリサ達を連れて入ってくる。
「はいはい、待っていたよ、準備が出来たらベッドで横になってね」
アリシア達はニコニコしながら、アリサ達は顔を真っ赤にしながらベッドに上がる。
緊張をほぐすためにまずはアリシア達から済ませてしまう、アリシア達は慣れた物なので抵抗をしない、すぐに受け入れる。
指で慣らし、解していく、その後道具も使う。
気持ちよさそうな声を出すので頭を撫でてやりつつももう片方の手は止めない。
じっくり時間をかけ慣らした後は仕上げに香油を使い櫛を入れツヤツヤな尻尾とお耳にして出来上がり。
ロッテとマリンはふわっとしているのが好きなので香油を差した後一度拭き取り櫛を入れながら温風で乾かしふわっと。
三人ともツヤツヤ、フワフワな尻尾や耳を触り満足そうである。
次はアリサ達なのだが顔を真っ赤にして震えて居る、だが容赦はしない。
指で慣らし始めるとすぐに声を上げ尻尾を振り回し始める、なのでアリシアが胸に抱きかかえ頭を撫であやしているうちに手入れをする。
こうしてみると三人とも娘をあやしている母親なんだよなぁ…
アリサ達も何だかんだでアリシア達に抱きかかえられ頭を撫でられている時は凄く落ち着いている。
そんな仲良しな6人を愛でつつ手入れをしていった。
「そんな軟弱は娘に育てた覚えはないぞー!」
「だから無理ですってばー!後初代様には育ててもらっていません!」
早朝まで仲良く過ごした時間は何だったのか、今日も今日とて庭で3人の悲鳴と3人の笑い声が上がる。
「これを普通の人が突破できるとでも!?ご主人様も見てないでクリアできるか挑戦してみてくださいよ!」
えぇ…また…
「だから心が折れるって昨日も言ったでしょ!後さすがにこれ以上は駄目!」
「はい、これ以上は見逃せませんね、少し特別メニューを行いましょうか」
「あぁ…遅かったか…許せ子孫たちよ…もう私達にできることは何もない…」
え?え?となるアリサ達3人、そんなアリサ達を見て合掌するアリシア達3人。
「では3人とも彼方へ、せめてもの情けにコースは選ばせてあげます」
アリサ達は狐さんに引きずられ去っていった。
「どうなると思う…?」
「間違いなく初級編はクリアできるようになるとは思う」
「ただ精神状態は保証できない…」
「だよねぇ…」
アリサ達が引きずられていった方向を向き再び合掌する3人であった。
とりあえず今日もお昼の準備できたから一緒に食べようね。
その後狐さんの特別メニューを1週間続けた結果初級編はなんとかクリアできるようになった。
ただし力技のみで全ての基礎は終わって無い様子、後挙動不審になっていたので甘いもので癒したら泣きながら抱きついてきた。
アリシアも挙動不審だったアリサをあやしたりしてさらに懐かれていた。
常に一緒に行動し、寝るのもお風呂も全て一緒、アリシア達も困った娘達ねと言った様子。
訓練の内容に文句をいう事は無くなった、ちゃんと座学も学んで基礎の基礎も習っているらしい。
初級を卒業するのも時間の問題、ただ狐さんを見ると挙動不審になりアリシア達に抱き着いて隠れるという癖が付いてしまった、いったい何をしたんだ狐さん…
後、幼児退行しているがそれでいいのか…?アリシア達の事を母様と呼び、見ている分には可愛いからいいけど…
「少し精神を弄って幼児退行させただけです、幼いころの方が親のいう事は聞きますし。
元に戻るかどうかはアリサ達次第ですが」
と狐さんは言っていた、元に戻る保証はないらしい…まあ今のままでもいいか、おとなしくて可愛いし、本物の親子みたいで癒されるしな。
でも幼児退行している状態で寝室に連れてくるのはいけないと思います。
なんか母様達と一緒にがんばるとか言ってるし、母様の教育方針間違えていませんか?
少し父様と話し合おうね?たまに母様にもなるけど…
 




