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危険物で遊ぼう 元宝石店

危険すぎて危険物とか、該当する物質が無くて石としか表現できない状態

 うーん、まったく売れないな…

 温泉街に宝石店を出したはいいが、白金貨1000枚~の物が未だに売れない。

 銅貨~金貨の物はよく売れた、ただ宝石化しただけの木がまだ数えたくない位あるから材料は尽きる事はないが…

 店長代理に売りに出す数を減らしてくださいと言われたので1日に売りに出す数は全部で4個位ににしてある。

 値段も価値が崩れて他の宝石商が路頭に迷うので上げてくださいと言われたので今では銅貨1枚だった物が白金貨1枚位になった、あげすぎじゃない?

 飛ぶように売れるという事は無くなったが、以前にただのカラフルな蜥蜴の鱗が白金貨で売れていてだけあって買っていく人は居る。

 旅行の記念で買いに来る人もいるので、見た目はほぼ同じだが小さい物を金貨1枚くらいで置いてある。

 それでもかなり安いらしいが、仕入れに来たりしているわけではないのでまあそれくらいならと見逃してもらっている。

 仕入目的できた人はまず店にすら辿り着かないけど…


「店長、本日売りに出していた物は全て売れましたので閉店です」

「えぇ…まだこれ売れてない」

 自信作の入ったショーケースをを指でトントンと叩く。

「それは高すぎて買う人が居ませんし居ても危険なので売りません!」

「はい…」

 しくしく…店長なのに代理に逆らえない…

「わかったらそのケースの中の物全部仕舞って下さい」

「はい…」

 泣く泣くケースの中の物を全て収納する。

 いいもん!次来た時こっそりおいていくもん!

 旅館に引き上げ迎えが来るまでいじけながら過ごした。


「と言うわけで今日も駄目だった」

「ご主人様、頭は大丈夫ですか?」

 えぇ…

「今宝石店で主に売り出している物は?」

「花や蝶を象ったただの宝石細工」

「売れなかった物は?」

「安定させたまま圧縮した豆粒位の球体状の宝石」

「まず普通の人にはただの宝石玉にしか見えません、それが宝石細工よりはるかに高いとなれば誰も手に取りません。

それと見る人が見れば何かあると気づき、内包してる物の一部を読み取り卒倒して倒れます。

一番質が悪い物でも暫くは復帰できなくなるでしょうね」

「えー、結構自信作なんだけどこれ。

狐さんとかルシフじゃないと絶対に不安定にできないし、ここまで綺麗に圧縮するの大変なんだよ?」

 狐さんとルシフ以外では安定している状態を崩せず、圧縮する過程でムラも出さず全て均一に、連続で使用しつづけても暴走を起こさない、これ一つで様々な用途に使える。

 屋敷でも各所で使用しているくらいには用途が広い。

「大前提としてそれが扱えるのはこの屋敷にいる者達位です。

外にはそれをその状態のまま扱える者は居ません、扱うための道具も絶対に作れません」

 それで店長代理達も気にしなくなったのか、使えなければただの宝石と変わらないしな。

「じゃあ売りに出すだけ無駄かぁ…でも使えるように細工すればいいのでは?」

「止めてください、それを元に確実に戦争が起こります」

「そんなにやばい?」

「外からすればそれはもう」

 むぅ…まだ1個も売れてないから収納の中へってないんだけどなぁ…

「ですので売るのであれば、内包している物を全て抜いてただの宝石にしてからにしてください」

「収納の奥にある奴はもうどうやっても抜けないんだけど…」

「ではそのまま肥やしにしておいてください」

 そっけなく言われて少し悲しいので腰が抜けるまで尻尾を弄り回してやった。


 それでも一度扱いだしたらどうにかしたくなってくる。

 まずは砂粒程度の物を全て取出し少しずつ捏ねて纏めていく。

 この時点では属性が混ざりあい方向性が定まっていないので少しづつ方向性を決める。

 今回は何所に持って行っても需要のある水にしたので透き通った水色になる。

 ただ…色や見た目は以前に卸したアクアマリンに近くはあるが別物である、いうなればアクアマリン風の…石?

 硬度も本来の宝石と違いどれだけ強い衝撃を与えようが割れず傷つかず、ここまで来るともう加工できる人も限られるけども…

 他にも熱、風、冷気の石を作り混ぜ合わせ境界を無くす、後は出力の為に属性を何一つ持たない無色透明のクリスタルで覆い完成。

 パッと見はただの円柱のクリスタルに覆われたトンボ玉である…でもこれはこれで凄い物なのだ。

 頑丈さはもちろん永久に使えるし、一度設定すれば後は自動で室内を常に快適に保ってくれる。

 その気になれば大陸全土の季節すら好きに弄れる、さすが私、良い物を作る。

 早速狐さんに見せに行きこれならどうかと見せることにする。


 部屋に入るなり子狐になる事を強要され腰が抜けるまで尻尾を弄られた。

 そういえば昨日腰が抜けるまで弄り回して逃げたんだった…

 腰がまだ抜けて膝もガクガクしているが何とか椅子に座り商品を見せる。

「これならどうよ、自動で室内を快適に保ってくれる便利な道具。

熱・風・冷気・水を内包していて自動で室内の除湿や加湿、室温調整までしてくれる。

効果範囲は最大大陸全土」

「駄目です」

 えぇ…

「効果範囲が明らかに広すぎます、もっと絞りに絞ってこの屋敷位の広さにしてください」

 言われたとおりに再調整する、出力装置であるクリスタルを圧縮して面積を減らす、円柱から円錐っぽくなった。

「はい、これなら大丈夫でしょう。

それで、いくらほどでお売りになるつもりで?」

「んー…白金貨300枚くらい?

さっきの豆粒と違って4属性しかないし、効果もただ快適に過ごすための家具に絞ったからねぇ」

「であれば許可しましょう、設定方法は?」

「このクリスタルプレートに使用者を登録すれば後は自動、その人の快適な状態にしてくれる。

範囲も自分の周囲だけか、設置場所から半径50メートルくらいまで設定可能。

プレートを2回たたけば手動で温度を設定出来るようにもなってる、こっちは下限が10度で上限が30度。

プレートは無くしてもクリスタルを3回叩けば手元に戻ってくる。

登録を解除または上書きしたい場合はクリスタルプレートを持った状態で譲渡するといえば大丈夫。

ただし騙しとろうとしたり、人質捕ったり、無理やり奪おうとした者がプレートに触ると関わった者達全員凍死か焼死か溺死か圧死かで防犯もばっちり」

「防犯対策がしてあるのであれば盗難や強奪の心配はなさそうですね」

「でしょ?早速店に設置して1個売りに出してくる」

「はい、行ってらっしゃいませ」


「と言うわけで使用者登録しておいてね、店長代理で良い?」

「何がと言うわけかは分かりませんが、これに触ればよろしいので?」

 プレートに代理が触れたのを確認し譲渡する。

「何か急に快適になったような…?」

「そういう物にしてみた、説明書と商品は此処に置いておくね」

 その後いつもの場所に座り宝石をコネコネと捏ね合わせる、代理は説明書を読んでいた。

 少し顔を青くしたが直ぐに戻った、購入者に危険は及ばないので安心してほしい。

 客入りは特に変わらず、家具は女将さんが買って行ったのでその日のうちに無くなった。


 1個しか用意してなかったので屋敷に帰った後2個位作っておく。

 次回行くまでにまた何か新しい物を作っておきたい気もするところではあるが…

 何も考えず砂粒の山を取出しまた捏ねる。

 花と蝶だけでなく誰かに似たのを作るのもいいかもしれないなぁ…

 そう考えつつ捏ねていたら狐さんの人形が出来た、メイド服の黒もエプロンの白も肌の色も宝石なので透き通っているはずなのだが角度によっては光が反射せず普通の人形に見える。

 これはとても良い物だ…すぐにクリスタルに封じ込め狐さんに見せに行った。

 顔を真っ赤にして叩かれた、はいすみません、透ける角度で見ると下着が見えるんです…わざとじゃないんです…

 でも気に入ったのかキツネノボタンの隣に置いて飾っていた。

 方向性は悪くないらしい、家具のバリエーション増やしの一環としてこれで行ってみよう。


 試作一号。

 ティアやニールの龍を象りクリスタル内に4属性の石を仕込む、どうしても面積が増えるため効果範囲が広くなる、かといって小さすぎるとよくわからない。

 売りに出すのは当然駄目、店内に飾るだけになった。


 試作二号。

 聖女であるテレサと元聖女フローレンスを象った物にする。

 メイド服ではなく修道服だけで耳と尻尾と髪が出ている物、ウィンプルをつけて耳と髪を隠している物。

 2通り1個づつで計4個作る、本人の許可も有り、面積はそれほど増えず許可が下りる。

 ウィンプル付白金貨1500枚、ウィンプル無し2000枚にて4個とも湯治に来ていた教皇が買っていった、正確には売約だが。

 なおその後涼みに来ているのか参拝に来ているのかよくわからない信者が増えたとの事。


 試作三号。

 いっその事庭に生えている木、ニールとティアの件でダメになったが狐さんが元に戻したのですくすくと育っている。

 ケレスとテラが一緒に作った自信作の木。

 葉を一枚一枚細かく再現するついでに空気が爽やかな物になるように調整。

 少し大きくなったが浄化作用もあるので問題はないだろう。

 狐さんに見せに行ったらエリスが部屋に居たのでついでに見てみてこれと言わんばかりに出してみる。

 エリスがびっくりしたような顔で象られた木を見ていた、この木は何所で言うので庭にある木を指さす。

 どうして今まで気が付かなかったのかと頭を抱えている、それ植えたのニールとティアが暴走する前日だしね…?

 エリスが狐さんと交渉しルシフを伴い門を通って何処かへ行った。

 白金貨5000枚持って帰ってきた。


 試作四号。

 タニアがモデルにして欲しいと来たのでタニアを象る。

 普段のメイド服ではなく、何時もとは違う豪華な服を着ていたので忠実に。

 透けて足は見えるが下着は見えない、うん、いい出来だ。

 出来上がった後タニアも狐さんと交渉。

 白金貨8000枚持って帰ってきた。


 試作五号。

 アナト(略

 白金貨6000枚持って帰ってくる。


「ご主人様、荒稼ぎしすぎです。

製作は一時終了してください」

 えぇ…

「まだまだ作ってほしいって言うメイド達がいるんだけど?」

「それは何一つ機能を持ってないただの宝石で作ってあげてください、これ以上やると外の経済が崩壊します」

 持って行って白金貨に変えて来たのエリスとかタニアとかアナトなのに…

 確かにここ5カ月くらいの間で白金貨26000枚ほど稼いでいる。

 ただの家具なのに…

「暫く砂山をこねるのは禁止です、手元に舞い込んだ白金貨をすべて処分してからになさってくださいね」

 しくしく…作ってと言われたから作っただけなのに…


「と言うわけで暫く普通の宝石しか弄れなくなっちゃった」

 子狐さんになってお店でぷくーっと膨れる。

「何がは分かりませんが…彫像入りの物でいくらほど稼いだので…?」

「26000枚」

「は?」

「白金貨26000枚」

「どこの国から略奪をしてきたので?」

「失礼な…リクエストされた物を作ったら白金貨になって帰ってきたんだよ…」

 どうにか白金貨をすべて使い切らねば…

「何を元にしたらそんな事に…」

「庭に生えてた木を元にしたらまずそれが5000枚に」

「それで5000枚になるなら何所の宝石商だってその辺の木を模した細工を作らせますよ…

一体どんな木だったので?」

「こんな木だよー」

 と言って庭に歩きを模した物を作り見せる。

「これは…私は見たことがありませんね…」

「これ…世界樹では…」

「は?」

「森人族が保護のために里も含め隠匿していますので、口伝にしか残っていませんが…」

 へー、うちの庭の木に生えてるの狐さんが再生した二代目だけどね、ニールとティアがぶっ飛ばしちゃったし。

「他に象った物は…?」

「タニアとアナトかなー」

 タニアとアナトを象りクリスタルで覆いその場に置く。

「これそっくりさんですか?それとも絵画などを参考に?」

「どういう事で?」

「タニアと言う方は歴史の教本に乗っている妖精女王ティターニアに似すぎています…アナトと言う方も絵画に残るアシュタルテという死と再生の女神に非常に…」

 多分本人です、そうか…実家に売りに行ったのか…

「ティターニアはある日を境に消えてからもう数千年、アシュタルテに至っては絵画が今も残っているのが不思議な位古い女神のはずです、きっと似ているだけですね」

 絵画は多分アナトの実家が生活費の工面と貯蓄の為に売ったり修繕してるだけだと思う、後実家のある所だと信仰対象の中でも最大の派閥だからお布施もすごい…

 タニアはそもそも頻繁にお菓子やお茶を持って実家に帰ってる、こっちの稼ぎはよくわからんね、枯れることの無い鉱脈を持ってるからそれかなぁ…。

「聖女テレサとフローレンスの彫像でも驚きましたが、御二方は現在この地におられない様子。

元聖女のフローレンスも年老いて老女となっていたはずですが…あの姿は一体何所で?」

「まあまあそこまでにしておけ店員Aよ」

「誰が店員Aですか皇帝」

「だから私は店長代理だと…」

「そもそも初代皇帝直筆サイン入りの通行証を持っていた店長だぞ?

私達の一般常識や知識はまず通じない。

真実を知った何もできはしない、店員Bを見てみろ、今日の夕食は何を食べようか位にしか考えていないぞ」

「国にいた時はあんなのじゃなかったのに…」

「まあここに攻め込んだり間諜を放ってくる奴はいないからな…

それと忘れているかもしれないが数千年前から伝わっていた国宝を作ったその人だぞ。

知り合いでもおかしくはない、そして我々にできることは見なかった事にするくらいだ」

「…はい」

「よろしい、では店員Aよ、その彫像をショーケースの中に入れて飾るように」

「大丈夫ですかこれ?」

「売らなければいいよー、許可取ってないやつだし飾るくらいなら大丈夫」

「売らなければ大丈夫だそうだ、黄金龍の彫像と言い黒紫龍の彫像と言い、これでまた集客率アップだな!」

「はあ…皇帝もすっかり世間に染まってしまいましたねぇ…」

「ははははは、いやー、実にいいところに雇ってもらったよ。

普通の宝石の売り上げはそのまま御給金にしていいなんて、普通はありえないぜ?」

「それは同意しますけどね…おかげで衣食住に困る事はありませんし」

「なんだったら店長に私達の身体を差し出しても良いくらいだな!」

「さ…さすがにそれは…」

「いっそ襲って既成事実作って娶ってもらうか!

店員AとBよ、店を閉め服を脱ぐのだ!」

 店長代理が服を脱ぎ始めた辺りで―

「何をふざけたことを言っているので?」

 ―気配を消し控えていた狐さんが止めに入る。

「ひっ!い…いつの間に…?」

「ご主人様が此処に来た時からずーっとご主人様のそばに控えておりましたが、気づきませんでしたか?」

 狐さんが圧力をかけると店長代理が震え始める。

「こここ…これ…は…そ…の…」

 だから言わんこっちゃないと言った表情で店員Aが代理を見つめている。

「はっきり申し上げますね、今はお情けで雇っているだけであり、今のあなた達はご主人様には相応しくありません。

ご主人様の物になりたいのであればそれ相応の価値を示すように」

「は…はぃ…」

「よろしい、それでは今日はもう引き上げますので明日からもよろしくお願いしますね。

それとこちらはボーナスです、受け取るように」

 狐さんは袋を渡した後門を開き、私を引きずり屋敷に帰っていった。


「臨時ボーナスの分を除き市場に戻すべき白金貨は残り約24000枚、まだまだ先は長いですね」

「実家に持ち帰るなら何もいらなかったのに白金貨に変えてくるんだもん…」

「対価を払って正式に権利を得たかったのでしょう?エリスもタニアもアナトも象徴となる物を国や教会が欲していたようですし。

教皇も象徴としてテレサとフローレンスの彫像をお買いになっていったでしょう?」

 むぅーん、なら信者に扮してお布施として戻していけばいいか…

「一度に寄付する額は程々にしてくださいね?一度で貰った額を戻しますと相手から抗議が来ますので」

「…はい」

 その後時間はかかったが手元に残った白金貨は全て市場や国に戻したので再び弄る許可が下りた。


「では袋を開けるぞ」

「ボーナスとの事ですが一体いくら入っているのでしょうか…」

「ボーナスを貰えるようなもの売りましたっけ?」

「わからん、取りあえずじゃらじゃらーっと」

「いきなりひっくり返さないでください!えっと…全部白金貨ですね…」

「これ全部白金貨…何枚ある?」

「少し待ってください、数えますので………

全部で210枚ですね、それと一人70枚受け取るようにと書かれたメモも有りました」

「まじ?」

「ボーナスで白金貨出してくる所か70枚ってどういう金銭感覚…」

「なんにせよ臨時収入だ!今日は豪遊だ!」

「何所か良いお店でも?」

「この街基本的に食に関する物は全てやすいんだよねぇ、高くても銀貨行かないし」

「私に任せろ、良い所知っている」

 店長代理はそう言い店員ABを連れて元旅館に入っていった。


「ご主人様、店で雇っている三人ですが」

「何かあったの?」

「はい、ボーナスをすべてつぎ込み土地を広げ店をさらに拡張したようです。

タニアやアナトの彫像、それにニールとティアの龍の彫像も有り観光場所の一つとなったようです。

それに伴い各女神たちの彫像を作れるのであれば作ってほしいと要望が出ています」

「それは本人たちの許可が出れば構わないけど…売るの?飾るだけ?」

「飾るだけで全て非売品のようですね」

「じゃあ砂山捏ねていい?」

「やり過ぎなければいいでしょう」

「早速許可取ってくる!」

 その後全員の許可を取りメイド服とは違う本来の服を着て貰い、細部までこだわって一人一人の彫像を作っていった。

 ミネルヴァ・ディアナ・ユノー・ケレス・クロノア・ウルカン・ヴェスティアの彫像を作りついでにテラとノクスも作る。

 興が乗りに乗ったのでポーズを変えたり小物を変えたものとかなりの種類を作ってしまった…

 いつぞやの串に刺した甲子豆を持つミネルヴァにゴボウの弓を持つディアナまで…

 流石にそれは恥ずかしいので止めてくださいと言われたので二人に渡して無かったことにした、でも二人は嬉しそうに部屋に飾ってた。


「注文の彫像持ってきたよー」

「おはようございます店長、注文していた品は置く所に各女神さまの名前を書いてありますのでそこへ」

「少し大きいのもあるけど大丈夫?」

「多少広めに場所は捕ってありますがどのくらいの大きさで?」

「等身大」

「は?」

「ミリの狂いもなく仕上げた等身大の彫像」

 許可が下りちゃったんだから仕方がない、あたかも本人がいるかの様にしか見えない宝石で作られた等身大の彫像、7人分。

「ちゃんと髪の一本一本細部までこだわったからねぇ…あ、ちゃんと下着は見えないようにしてあるよ、怒られるから。

それ以外は身に付けている物や胸の大きさから全て同じ」

「…」

「で、何所に置けばいい?」

「少し待ってくださいね。

店員AB集合!」

「どうしました皇帝?」

「何かありました?」

「少し早まったかもしれません…注文した物がかなり酷いことになっているというか、斜め上すぎるというか…」

「そんなに?」

「一度出してもらっては…?場所は大丈夫なのでしょう?」

「場所は配置を変えれば問題はない…そうだな、出して貰おうか…

んんっ!お待たせしました、ではディアナ様の彫像を此方へ」

「はいはい」

 収納から取り出しディアナの像をドンっと置くと―

「――!!」

「なんと美しい…」

「ここで雇われて本当によかった…」

 三人はディアナの彫像を見て泣きはじめた、まだ1人目なんだけど大丈夫?

 三人が正気に戻るのを待った後残り像を設置していったがもういつ死んでもいいみたいな顔をしていた。

「しかしこれもう宝石店じゃなくて神殿とか博物館寄りだよねぇ…」

「大丈夫です、宝石店のままですから。

ただ…注文して届いた像がこれですから…参拝に押し掛ける人がかなり現れるでしょうね…」

「皇帝、開店するのが怖いです」

「改装後初日という事ですでに観光客が外で待機してます」

「やってしまった物はもうどうしようもなく、後はなるようにしかなりません。

店員AB、開店です!」


 その後宝石店は各女神の信者が参拝するようになり、お布施だけで毎日白金貨1枚ほど稼いでいるらしい。

 宝石も売るには売っているが彫像に目を奪われ中にある宝石店まで足は届かず、売り上げは無くなってしまった…

 後最近店長代理達が巫女様とか呼ばれていた、服装的にはそこいらの店で働く人と同じなんだけどなぁ…


「私たちの像は作って下さらないのですか?」

「ミネルヴァ達だけだとちょっとずるいよねー」

 狐さんとルシフから催促されたので二人の等身大も作った、自分の像を見てニヤニヤしているが自分を象った物を見て楽しいのだろうか…

 一応圧縮して小さくしたり元に戻したりできるので邪魔にはならないけど。

 ついでに無駄にポーズを思い通りにしたり、服装も変えれる機能も付けてやった。

 他にも希望するメイド達、最終的には全員の等身大像を作り終え砂山の2%位を消費したのであった。

 使い切る前にまた補充されるのが先かなこれは…後普通の宝石だけでも売れる流れを如何にかして戻さないとなぁ…

 神殿と化した元宝石店の中にある宝石店で宝石をこねつつ悩むのであった。

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