換金しよう 増える無駄知識
何所に行っても使えない知識をあなたに
ニールとティアの暴走から数日、さらに細かく流通させて良い物と駄目な物を別けていた。
安定しているのしか残してないから周囲が崩壊を起こすようなものはもう無いけど、無理やり弄り回し不安定にしてその辺にポイっと捨てておけば、何時周囲が崩壊を起こして消滅してもおかしくない物の出来上がりである。
まあ…弄り回すも何も、不安定にできるの狐さんかルシフくらいしかいないけど…
属性も複合化してないかつ、暴走しても周辺に被害がほぼでない物を細かく鑑定していく。
これ駄目なやつ、これも駄目なやつ、こっちは大丈夫なやつ、糠に漬けておけば大丈夫になるやつ…
数が数なのでとにかく細かく分け始めると終わりが見えない、滅多にない事だから終わってしまえば後は流通させたり収納の奥に封印して置けばいいんだけど…
一旦鑑定するのを止め、鑑定の終わった物だけでも処理していく。
駄目な物を奥底に仕舞い込み、大丈夫なのは種類ごとに分けて箱に、残りは糠に漬ける。
しかしずーっと見ていたので少し目が痛い、目薬でも使って横になろう…
小一時間休憩したら再開、次は種類ごとに別けた物の内包量で段階毎に別ける、たまに糠床を混ぜながら仕分けを続ける。
質量と属性の内包量は比例しないので大きくても微妙なのは微妙なんだよなぁ…
加減に加減を加えて意識的に作ればコップ一杯分の水しか生み出さない宝石化した杉の木1本とか作れるだろう、そんな物は一回使ったら消滅するから観賞するくらいしか使い道ないけど…
逆に言えば砂粒程度でも扱いを間違えたら巨大な湖ができるくらいの物もある、大抵収納の奥に仕舞い込んでるか狐さんとルシフに消滅させてもらってるけど。
仕舞い込んであるのもそろそろ一纏めにしないとなぁ…
貯めに貯め込んだ少し危険な物の処理を考えつつも仕分けは進み、換金できるものは纏め終わった。
「はい、これ換金していいやつ」
「お疲れ様でした、ご主人様、今すぐ換金に向かいますか?」
「ずーっと鑑定してて目が痛いからまた今度で、狐さん膝借りるね」
仕分けの終わった箱を渡し、再び目薬を使い狐さんの膝枕で仮眠をとる。
以前渡したキツネノボタンは下に照明を設置して暗くても光って見えるようにしているようだ。
でもそんな事より今は狐さんのフカフカの膝枕でぐっすり…
頭を撫で続けてくれるので心地よい眠りについた。
お昼時を少し過ぎたくらいに目が覚めたので糠床を調理場に戻す、漬けておいた物は取り出し水で洗う、こっちはもうただの宝石としての価値しかないがその分換金はしやすい。
適当にグニグニと弄り形を整えシンプルなリングから花や蝶を象った物、金や銀、白金を使い装飾を施した物も作る。
弄り回した後は一つ一つ箱詰め、こっちは適当に宝石商にでも売ればいいだろう、どうなるかは宝石商次第だけど。
箱詰めが終わったので手を洗い狐さんとお茶の時間、お昼を食べてなかったが夕食が控えているので量は変わらず。
珍しくユノーがいたが、飾られているキツネノボタンの研究をしているだけだった。
気にせず狐さんをもふって癒された。
今日の夕食は蒸し料理。
蒸し野菜や蒸し鶏などシンプルな物から始まり、饅頭や餃子に焼売などの点心、おこわや茶わん蒸し、鯛や鱈の酒蒸しなど。
徹底的に蒸し料理、あっさりとした物が多いので満足できないメイド達の為に油物も少々。
片栗粉を塗し皮ごと揚げた鱈や鯛の甘酢や甘辛、後は山盛りの鶏のから揚げ、この三品だけでもある無しで大分変る。
餃子や焼売に肉類は使われているが、使ってない物もある、そう言った物ばかりを摘まむと口の中が何か物足りなく、口寂しくなるのでちょっとした揚げ物が嬉しくなるものである。
揚げ物ばかりだとまたその逆なので何だかんだでバランスよく減っていく、最終的には全部なくなるのであまり関係はないが。
今日も今日とて綺麗に完食された。
翌日、換金に行くので少々おめかし。
こんな時でもビジネススーツの隣にカクテルドレスとかエンパイアドレスを仕込んでくる狐さん。
であれば少し乗ってやろうと、黒のカクテルドレスを手に取り着替える。
髪は透き通るようなプラチナブロンドに、後は狐耳と尻尾を生やして完了、装飾品は不要。
後は特に弄らず自然体で、着替え終えた後は軽食を取り狐さんの部屋へ。
「おはようございますご主人様、今から向かわれますか?」
「朝食を食べたばかりだから少し休んでからかな」
そう言い、お茶を取り出し狐さんと一服。
「今回付いてくるメイドは?」
「護衛に私が、交渉にはエリスを連れて行きます」
つまりはいつものメンバーである、護衛に関しては狐さん一人で大丈夫、というかルシフはこの時間寝てる。
エリスはこの手の交渉に慣れている、タニアも慣れているが…タニアは小さいから相手に舐められやすいからなぁ…そうなるとタニアが店を消し飛ばすのでエリスが適任。
「お待たせしましたご主人様」
一服し終えたくらいでエリスが部屋に入ってくる。
長い金色の髪は後ろで束ね、メイド服ではなく男物のスーツに身を包んでいる。
パッと見は男に…見えんな…胸部装甲がそれなりにあるし、押し潰さない様に胸部に余裕を持った作りの服だし…
まあそれでもちょっとした事故は防げるので大事、事故を誘発するような服を用意する狐さんもいるけど。
「それでは行きましょうか、まずは宝石商からですね」
狐さんの開いた門を通り少し遠くに街が見える所に出る。
「ご主人様、乗り物の用意をお願いします」
「はいはい、どれがいいかな…」
質素な物、綺麗な物、ゴテゴテに装飾された趣味の悪い物、紋章入り物…綺麗な物でいいか。
「じゃあこれで」
装飾はそれほどなく、綺麗ではあるが豪華と言えるような言えないようなそんな幌を出す、なお引く馬はこの場にはまだいない。
「それでは中に入ってしばらくお待ちください」
「はいはい、じゃあエリス、乗ろうか」
「わかりました、ご主人様、御手をこちらに」
エリスが先に乗り込み手を差し出してくるので手を取り乗り込む。
すると間もなく幌が動き出し立派な幌馬車になった、御者は狐さんがしている。
街に着くまでは少し時間があるので窓から流れていく風景を眺めていた。
街に近づくたびに人が増えて行き、門の前で入門の際の確認をしているがその列に入らず横を通り抜ける。
「そこで止まれ、並んでいる列を無視してくるとは何所の世間知らずだ?通行証と身分証を出すように」
「こちらに」
止められたので狐さんが通行証を出す。
「なんだこの通行証は?偽造するにしてももっとましな物を用意するんだな。
おい、詰所にいる奴らに連絡して拘束しろ」
何やら怪しい雰囲気、周りもなんだなんだと見てくるが狐さんは別に焦ることも無く、どうしようかなーと考えているようだった。
その後詰所からぞろぞろと出てきたのでおとなしく捕まる、馬車は後で回収すればいいか、馬も自分で帰るだろう。
「それで、この通行証は一体なんだ?お前ら一体何所から何の目的で来たんだ?」
「何所から来たかは言えませんね、ただ、その通行証が使えないとなると困りますね…」
聴取が行われるが狐さんが答えている。
「見たことも無い材質で作られているようだし、確認のために少しの間借りていくぞ」
「それは構いませんがちゃんと返してくださいね?でなければ何が起こっても責任は取れませんので」
聴取している人が人を呼び、通行証を渡し鑑定の結果が出るのを待つことにしたようだった。
「さて、ご主人様どうしましょうか?」
「んー、別に今すぐ帰ってもいいけどまだ一つも換金してないしなぁ…」
以前はあの通行証使えたんだけど、何かあったんかねぇ…
1時間経っても戻ってこないので一旦皆で屋敷に帰り昼食を食べてから戻ってきた。
まだ鑑定結果が出ないらしい、お茶を取出しエリスと狐さんとでお茶を楽しむ。
お茶を3回ほどお代わりする頃にようやく戻ってきた。
「通行証に使われている材質は何一つわからない、刻まれている文字らしき物も解読できなかった。
もう一度聞く、お前たちの目的は何で何所から来た?」
えぇ…あれだけ時間かけて何もわからなかったの…
「これは困りましたね…これでは目的を果たさず帰らなければなりません」
「はいそうですかと帰らせるわけにはいかない、使われている材質は何なのか、刻まれている文字らしき物は何なのかと、城で研究者や魔導士たちが大騒ぎしている。
悪いがあれも返却されることはないだろうし、お前らは城の牢に移送されることになった」
使っている物も文字もこの辺りで使われていた物のはずだが…
「仕方ありませんね、ご主人様、幌の回収を、もうここに用はありません」
「はいはい」
何所に持って行かれたか分からないけど適当に回収する、なんか外が騒がしいけど気にしない。
繋がれてた馬もお役御免と理解したのか空に向かって走っていったようだった。
「通行証の回収終わりました」
「エリス、ご苦労様です、では帰りましょうか」
狐さんが門を開いたので屋敷へ帰る。
聴取していた人は何が起こっているか分からず停止していた。
「うーん、換金できなかったかぁ…」
「あの通行証は無期限で使用可能となっていたはずですが、おかしいですね…」
通行証にもあの国の初代皇帝の名前で無期限で通行を許可すると刻まれている、その後も問題なく使えてたからいけるはずなんだけどなぁ…
「宝石を売るのは諦めて属性石を売りに行きましょうか」
「そうだね、宝石はともかくこれは無いと困る所が多いし、ユースティアの国から回ろうか」
「では再び門を開きますね、今回は直接国王の所で良いですね」
事前に連絡も取らず国王の所に押し掛けることになった。
「それで…我が国に一番に売りに来て下さったと」
新しく国王になった人が胃の辺りを抑えている、胃の調子が悪いのかな?
「はい、この国であればそうですね…こちらなどは如何ですか?」
取り出したるはウズラの卵程度のアクアマリン、なんとこちらの商品、1個でざっと巨大な湖10個分の水を生み出す力を持っています、これが10個セットで何と白金貨100枚!
今ならおまけで狐さんとルシフが使えば巨大な湖一個を一瞬で凍結させれるアイスラリマーを何と2個もお付けしちゃいます!
なお狐さんとルシフ以外が使った場合快適な室温に保ってくれるだけである。
「10個セットを3つ頂こう」
「お買い上げありがとうございます」
生活用水にして良し農業用水にして良し、水不足とはお別れだね。
その後他にも一年中凍土に覆われた国に常に一定の熱量を出し続けるレッドコーラル、水の確保も大変なのでアクアマリン。
砂漠に覆われた国には先の国と同じくアクアマリン、夜は冷え込むため熱を放つレッドコーラル。
洞窟の中で暮らしたまに発生するガスに悩まされている国には風を送り毒素と中和させ、さらに活力も増加させるグリーンファントムクォーツなど。
その国に必要であろう物を次々と売っていった。
なお回った国はちゃんと通行証が使えた。
「今回もかなりの額になりましたね」
「白金貨が…7000枚くらい?」
「メイド達の御給金とボーナスに1000枚ほど残して後は属性石を売った国でお買い物ですね」
ここにいると使うこと自体はそんなにないので1000枚もあればかなり持つ、メイド達がたまにお外に行って新作の本や娯楽品を買ってくるくらいである。
一度にばら撒くと市場が混乱するのでわからない様に、投資という形を取ったりそれとなく寄付したり、ほぼほぼその国へ還元していく。
そして個人的に温泉街には多めに投資、女将さんに個人的にいくらか預けひそかに出店準備中。
利益なんて知らない完全に趣味の店なので宣伝は不要、土地が確保できればいいのだ!
ちなみに宝石を売れなかった国は悲しいかな、対象外である。
狐さんと一緒に変装して直接街の中に侵入したら指名手配されてた、罪状は研究所から我が国の保有する貴重な金属を盗み逃走とあった。
あれ金属じゃないんだけど…後盗んでないし返してくれないから取り返しただけだし…
屋敷に戻ったらルシフが―
「狐たち指名手配されてやんの、ははは」
―と笑って狐さんにぶっ飛ばされていた、懲りないやつである。
渡しも含まれていたのでぶっ飛ばされた後に軽い追い打ちをかけてやった、暫くもだえ苦しむがいい。
エリスはさすがに手を出せないのでエリスの分も含めて置いた。
その後コツコツと資金を貯め、女将に託し、温泉街の土地を確保する事に成功した。
場所がなぜか旅館の真横であるがまあいいだろう…
小ぢんまりとしたお店を建て、今まで溜まりに溜まった少し危ない金属と宝石を加工して売りに出した。
お値段が一番安いので白金貨1000枚~、まず売れることはないだろう、物好きが買うかもしれないが何があっても自己責任と注意書きはしてある。
それとは別に何の効果もない宝石のコーナーに売れなかった宝石類も並べる、こっちは安くて銅貨1枚~、高くて金貨2枚くらい。
日がな一日ここで店番をするわけにも行かないので女将に信頼できる人を派遣をして貰いお店を任せる。
暫くは店と認識される客は来なかった、なので女将さんに商品を見て貰ったらただの宝石類を見て固まっていた。
その後旅館にすっ飛んで戻り、旅館にいる人全員を連れてきてお買い物をしていた。
複合属性の宝石は売れなかった。
「隣の大陸に行っていた貴族からの報告です。
温泉街にて我が国の国宝と似ている宝石を身に付けている者達がいたとの事です」
「どういう事だ?盗まれたわけでも贋物が作られたわけでもあるまい?」
「確かめました所、国宝は無事です、また一般には公開されていませんし、見た者は誓約書で縛っているので贋物も作られていません」
「あれが作られたのは何千年も前と言う鑑定結果が出ているが…たまたま似ていただけと言う可能性は?」
「旅行に行っていた貴族から聞いたところでは国宝以上かつ真新しい物だったと」
「王にこの話は?」
「まだ耳に入れていません」
「伝えないほうが良いだろうなぁ…隣の大陸に攻め込みかねんぞ…」
「あの国宝欲しさに皇帝の一族と当時の重臣を罪人に陥れたほどですからねぇ…」
「王の耳に入ると我々も罪人にされるぞ」
「それは勘弁願いたいですね、それと私は皇帝を追ってそろそろこの国を出ますがどうします?」
「私は今の仕事を終えたら君に続くよ、その貴族の言っていた温泉街とやらに行ってみるのもいいかもしれんな」
「それとこれはまだ言ってなかった事ですし、貴族にも口止めはしましたが。
温泉街のとある店で皇帝に似た人が店番をしていたとの事です」
「それはそれは…ぜひとも温泉街に行かないとな」
「はい、お待ちしておりますね、では失礼いたします」
「やれやれ…この書類仕事が終わったら私もさっさと国を出るとしよう、あの豚が上に立っている以上この国ももう長くはあるまい…」
「へー、これが伝え聞いてた通行証かぁ」
「使えなかったけどね、今となってはただの紙切れ、いるならあげるよ」
「記念に貰っとく、初代のサイン入りとか国宝以上の価値があるじゃん」
温泉街に出した店で正式に雇った女性と話しつつ店番、なんか少し前に国を追われてきたらしい。
「それにしても現存する国宝が銅貨1枚か…こんな者の為に罪人に落とされかけた私って一体…」
宝石はただ綺麗なだけであってそれ自体は何の効果もないからなぁ…
「使われてる宝石の質もこっちの方がいいし、どうやったらこんなに綺麗に加工できるんだい?」
国宝になっているらしいカサブランカを象った宝石を指さすので、ローズオーラとマザーオブパールを取出し手でこねこねして渡す。
「宝石の加工ってそう言うもんだっけ、別々の宝石なのに継ぎ目とか一切ないし…?」
「上げるよ、何の効果もないただの宝石だし」
糠に漬けて属性抜いた物だしね、糠漬けにしたら属性が抜けるとはだれも思うまい。
「ローズオーラは思いやり、優しさ。
マザーオブパールは母性。
カサブランカは高貴、祝福、雄大な愛、他にもあるけどこんな所だね。
今の皇帝には何一つ備わっていない物だね」
話しながら店番をしていると客が入ってくる。
「いらっしゃいませ、何をお探しですか?」
「皇帝、ようやく見つけましたよ」
「いやいや、私はしがない一店員ですよー」
「まあそう言うと思っていましたが、お元気なようで何よりです」
知り合いらしい、会話を止めるのもあれなのでお茶を出して隣で宝石コネコネ。
「もう少ししたら近衛兵長もここへ来られるはずです」
「なるほど、それだともうあの国は終りね、それにしてもよく無事だったわね」
「普段から男装してますし、ばれないようにお互い気を付けていましたので。
それにあの国に女性はもう一人も残っていません、妻を持っていた男性も国から逃げたようです。
今残っているのは豚の側近位ですね」
「もう明日には滅んでいてもおかしくはなさそうだねそれ…」
聞き流しながらタンザナイトとホワイトオニキスをコネコネしてリンドウを象る。
「はい、君にはこれ」
「は?はぁ…ありがとうございます」
「それよーくみてみ、凄いから」
「え?はぁ…はぁ!?」
近くで叫ばれると耳が痛い…
「これ…違う色なのに継ぎ目も全くないし色ガラスでもなく本物の宝石…?」
「凄いでしょ、うちの国宝もこうやって作ったんだってさ」
「え?あれ数千年前に作られた物では?」
「そこの棚見てみ」
棚の方を指さしそれを見る女性。
「…!?国宝が銅貨一枚!?」
「作った人が言うにはただの色のついた綺麗な石とそんなに変わらないらしいよ」
ただの色のついた綺麗な石とはいって無い。
「え?この人が国宝作った人?え…数千年前?」
客は混乱している。
ロードナイトとカーネリアンを取出しまたこねる、そしてカランコエを象った物を作ると―
「陛下、ただいま参りました」
「はい君にはこれ」
「え?はい、ありがとうございます?」
入ってきた2人目の女性にも渡す。
3人での会話が始まったので隅っこに移動して宝石をひたすらこね続けた。
その後3人は宝石店の店員として雇った、コネコネして作った装飾品の売れ行きはいいらしい。
銅貨1枚はちょっとした観光のお土産に、金貨はプロポーズなどにと買っていく人が多いらしい。
ただ白金貨1000枚~の危ない物は未だに一つも売れていない、最初に来た店員の知り合いらしき人が鑑定をかけていたけど一部しか読み取れず、またその読み解けた部分だけでも顔を真っ青にして震えていた。
うん、その豆粒位のサイズの宝石1個で大陸一つ消滅するからね。
安定しているからそんな事にはまずならないが、身に付ければ常に周囲を自分の思う快適な温度に、喉が乾いたら何時でも冷たい水を出せる、毒ガスが噴き出る行動の奥深くに潜っても風が吹いて霧散させてくれる、他にもちょっとした骨折なら治癒してくれるなど。
多数の便利な物が内包されている、他にも使い方によっては色々できるが割愛。
割れ物を扱うように震えて居たので大丈夫だと示すために地面に叩きつけたら凄い悲鳴を上げて気絶した。
読み解けた一文を聞かされていた二人も気絶していた、これでは仕事にならぬ…
仕方がないのでまだ出してない値段のつけれないセレナイトを加工、指輪にして三人の指に填める、出来るだけ心臓の近くが良いので左手の薬指に。
癒しに特化しているだけあってすぐに気を取り戻した。
「大陸は!?ここは!?」
「安定してるから崩壊なんて起こさないよ。
それと気絶されるとお仕事にならないから指輪つけて置いたからね。
それ癒しに特化してるから大陸が消し飛んだくらいじゃ傷一つ残らないから」
いつの間にか薬指にはめられた指輪を見て三人は顔を真っ赤にした後、大陸が消し飛んだくらいじゃ死ぬことはない治癒力を持っていることにアワアワし、気絶しようにも癒され精神が安定し何とも言えない表情をしていた。
左手の薬指が一番効果が高いだけで他の場所でも良いと言うとすぐに付け替えてた。
つけてから暫くすると外してももう動じなくなっていた、慣れるの早いね。
「あ、そういえば店長からこれを貰ったんでした」
「皇帝、何か変ったもの貰ったの?」
「皇帝はやめてください、店長代理と呼びなさい、これです!初代皇帝の直筆サイン入り通行証!」
「うわぁ…見ただけでもうやばい物ってわかる…」
「あー…それ確か豚お抱えの自称研究者や自称魔術師が材質も刻まれてる文字も解読できなかったって言う…」
「密度が異常で硬質化しているだけで材質は紙だそうですよ」
「少しお借りします…紙ですね…刻まれてる文字も初代皇帝の名において国への出入りを永久に許可すると書かれていますね」
「え?それ豚お抱えは希少な金属とか希少な古代碑文とか、さらには盗まれたと言って指名手配まで出してたぞ」
「こ…この程度の鑑定もできないとか…これその辺の子供でも鑑定の初歩を習ってれば読めますよ…」
「そういえば聞きましたか皇帝?あの豚、国宝を売りに出したそうですよ、それも白金貨10万枚で」
「はあ…そうですか、ここに来れば銅貨1枚で買える物を、ねぇ…」
目の前には安置されていた国宝よりさらに美しく作り込まれた宝石で出来たカサブランカが輝いていた。
 




