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ホテルと野宿 熊とドラム缶風呂

「このジュース箱で有ります?」

「箱でですか?少々お待ちください」

 食材などの補充のために立ち寄ったスーパーで美味しかったジュースを見つけたので、店員さんに箱で抱えていないかを聴きその場で暫し待つ、無かったらあるだけ購入して、帰ってからルシフに頼めばいいや。

 その場で待っていると箱で抱えていると言うので5箱出してもらい、台車も借りて野菜などを見て回っているロザリアと合流、他にも肉と魚介類も少々、支払いを済ませ、荷物は車に積みこむ振りをして収納、軽トラと違って荷物が余り乗らないのが辛いんだよねぇ、乗り心地はかなり良いんだけど…

 台車を返したらまた目的地も無い適当な旅行を再開、何だかんだでもう1週間ほど経過したが、適当に寄り道をしているので多分それほど進んでいない気がしないでもない、気のせいかも知れないけど…

 4日目辺りからはもう寝泊りする場所を確保するのに手段を選ばなくなり、人気のない所で車を収納し、山奥でテントを張り、特に誰の目も無いのでドラム缶風呂に入ったり、結構やりたい放題になってきている気がしないでもない…旅行ってこんなのだっけ…?


「今日はどっちへ進んでみましょうか?」

「そもそも今何所に居るのだろうか?何々店ーって看板は有るから地名は分かるんだけど」

「多分北の方…?漁港も有りますし、フェリー乗り場も有りますし、船に乗っていってみます?」

「そこはお任せ、ロザリアの行きたい所に行く旅行だしね、乗ってみたいのであれば乗ればいいし、他に気になる所が出来たのならそこに行けばいいし、どっちも行きたいならどっちも行けばいい、まあ適当でいいんじゃない?目的はないし」

「では今はフェリーが一番気になりますのでそれに乗りましょう」

 切符を購入していざフェリーの中へ、行き先は…わかりません、というか確認すらしない、こういう行き当たりばったりなのもいいよね。

 フェリーに乗り込んでからそれほど経つことも無く、意外と早く目的地に着いたのでフェリーから下りてまた適当に移動開始、時間的には…ぼちぼち夕食時、適当なお店を探し、これまた適当に注文をした後は今日の宿泊場所探し、少し移動しただけでホテルが有ったのですんなりと決定、部屋はツインではなくダブルで、ツインの部屋も空いてるけどここはダブルの方が安いらしい。

 あまり出費は気にする必要はないとは思うけど、支払いは全部ロザリア持ちなので、抑える所は抑えている感じ…かな?ジュースを5箱ほど買いだめはしたけど…24本入りで980円とかなり安かったし、多分大丈夫…だよね?


 ホテルで一泊したら翌日は直ぐに出発、街並みを観光したり、途中でコンビニに寄って朝食を買ったり、資料館らしき所に寄り道して見たり、何か気になるのか山道を走って見たり、お昼時には街まで戻って昼食、観光地らしく観光者向けのメニューも有るのでそれを注文、値段程々量多めで料理も蟹とかいくらが多めな感じだねぇ、蟹の時期はずれてるけど、美味しければそれでよし。

 蟹は身をちまちま出して食べるのは中々めんどいので、綺麗に縦に割って先の方まで残さず身を取り出してから、殻を斜めに切ってるのはいいけど、それだと食べれるのはその部分だけで、その先の部分は取り出さないと駄目なんだよねぇ…

 ハサミで縦に切れ込みを入れ、後はパカっとわれば身を残さず綺麗に食べられる、爪は無理に取り出そうとせず、爪をぐっと開いて折ってやれば簡単にかつ綺麗に取り出せる、ただ蟹を食べる時の問題は…ほぼ会話が無くなるという事かな…身を取り出すのに集中して、取り出した後は食べるのに集中して…そりゃ会話も無くなるよねって言う…

 茹で蟹を食べたら蟹のほぐし身と鮭の切り身にいくらがたっぷり乗った丼物、マスではなくちゃんと鮭から取ったいくらを使っているのはいいね、ロザリアの好物なので半分ほど分けてあげ、汁物と一緒にゆっくりと味わって食べる、汁物にも蟹が入っているのはちょっとやり過ぎな気がしないでもないけど…美味しいんだけどね…


 満足のいく昼食が終わった所でまた山巡り、何か見たこと有るような無い様な、そんな所に通りかかった所で一旦車を降りて景色を少々堪能、んーむ、この辺りだったような違うような…?

 周囲を見渡し、何か目印になる様な物は有ったかなーと探してみたけど特に無し、木が切り倒されていて見通しが良くなっているくらい、似たような景色は何所にでもあるので多分気のせい…かな?景色を堪能した後は車に戻り更に山奥へ、日も暮れてきているがどんどん先へ。

 辺りが真っ暗になり、車通りも無くなった所で車を降り、車を収納したら山の中に入っていって食事と寝床の準備、羆出没注意とか書いてあったけど気にしてはいけない、出てきたら出てきたで交渉すればいいし、話しにならない相手なら追い払ってしまえばいい。

 テントの設置を終えたらドラム缶にお湯を入れ、程々の温度に覚めるのを待っている間に夕食作り、昼がちょっと豪華だったので夕食は控え目に野菜のスープと茸の炊き込みご飯、それと炭火で焼いた一枚の鶏肉、味付けもシンプルに塩コショウのみ。

 夕食が終わった後はドラム缶に入れておいたお湯の温度の確認、ちょっと熱い位だけど入っている内にちょうど良くなる位なので問題なし、ロザリアを先に入浴させている間に夕食のお片付け、残った炊き込みご飯はおにぎりにして明日の朝食用に、火の後始末をしたらドラム缶風呂から上がったロザリアと交代して入浴、若干ぬるくなっていたので熱いお湯を足して温度調整、あぁー…極楽…

「…よし、お風呂で温まった事だし、今日はもう寝ようか」

「先に寝袋に入って温めてます、山の中というのも有って若干冷えますし」

「まあ寝る前にジュースを一杯飲んでから…かな?」

 お風呂上がりに良く冷やしたリンゴジュースをコップに入れ、ロザリアと分けて飲んだら2人用の寝袋に潜り込んで就寝、寝袋の中は温めておいてくれたので、入ってすぐに程よい眠気がやってきたのでそのまま眠りに…明日は何所連れていってくれるのかな…


「がう…がう…ぐるぅ…がうっ!」

「んー…?お客さん?」

「あ、おはようございますお母様、今外にお客様が来ていますので、ちょっとお話し中です」

「起きたばかりだから何を話しているのかさっぱり…」

「がうがう、がうっ」

「んー…あー…ドラム缶が欲しいと…」

「木の実なんかを貯蓄して置くのに使いたい様で」

 確かにドラム缶が有ると便利だけど、野生の羆としてそれはいいのだろうか…普通は穴倉とかそう言う所に貯蓄しておくものじゃないの?

「野生としてそれはどうかと思うので今回の話は無かった事に…」

「がるぅ!」

「そんなに驚かなくても…」

 ショックを受けている間にテントを片付け、朝食を食べたら羆をその場に放置して山を下り、車を出していざ出発…とはいかず…余程ドラム缶が欲しいのか道路の近くまで付いて来てしまった…人通りも車通りも無いからいいけど、誰か通りかかったら騒ぎになりそう…仕方がないのでドラム缶を羆に渡すと器用に抱えて山の中へ帰って行った、こうして野生が失われて…いや、あの個体がおかしいだけだな、多分…


「お風呂用のドラム缶がなくなっちゃったし、ちょっとホームセンターを探そう、売ってるかどうかは分からないけど」

「今まで通った道は観光地ーって感じでしたので、そこから外れた方に進めばありますかねぇ?」

 山を下り、今まで進んで来た道とは違う方向へ進み、ドラム缶を取り扱っているホームセンター探し、取り扱っていない場所も有るので何ヶ所か回って探さないといけない、取り扱っていても200リットルの物が無いと駄目なのだが…

 1軒目のホームセンターでは取り扱ってはいた物の容量不足、大きいのが無いかと聞くと入荷次第連絡ーと言われたので断り、今すぐ必要なので取り扱ってそうな所を聴き、聴きだした次のお店まで移動。

 次のお店では聴いた通りに取り扱っていたのですぐ購入し、お風呂用に手を加える必要が有るので駐車場の片隅を借り、ドラム缶をお風呂用に改造、改造が終わったら収納してまた知らない場所へ。

 ドラム缶を買うためにお店を探して移動していたので時間はもうお昼過ぎ、観光地からはそこそこ離れているらしく、地元の人向けの料理屋が立ち並んでいるのでそこで遅めの昼食、朝ご飯はおにぎり一個だったので少し多めにラーメンの大盛り、味噌一択だったけど拘りが有るのだろうか?

 ラーメンをスープまで残さず頂いたら今度は海方面へ、途中で釣具屋へ寄り、この時期は鮭が釣れ始めるという情報も貰ったので浜辺で暫く鮭狙い、卵を抱えた鮭が釣れたら卵は醤油漬けにして、身は塩漬けにして焼き鮭かな…?


 浜辺には地元の人らしい人達がズラーっと並んで釣りをしているので、空いている所で道具と餌を用意して釣りを開始、でも砂浜に杭を打ってあったり、杭に竿を括り付けて放置してあるのは何だかなぁ…個人の私有地でもないのに杭を打ちこんでまで場所取りをするのは何か違うんじゃないかなぁ…

 巡回中というたすきをかけた人達が杭の撤去をしているので、以前から問題になっているのかねぇ…?釣りをするのはいいけど、まあ最低限のマナーは守らないと駄目だよね、これは最低限も何も無い気はするけど…

 旅行中なので動画の撮影も何も無し、ただ餌を付けて投げ込んでぼーっと待つだけ、道具も最近ご無沙汰だったウルカン製の愛用道具、やっぱりこれが一番しっくりくるよねぇ…好きに長さも硬さも変えれるし、何より折れる事が無ければ糸も切れる事が無い、根掛かりしても針や重り等が勝手に変形して自動で外れてくれるので、根掛かりを気にせず何所にでも投げれる、環境にも多分…やさしい?

 投げ込んでから待つこと暫し、1匹目が釣れたのでちょっと確認、雄だったのでリリースして次の鮭狙う、雌が2匹釣れるといいんだけどねぇ、いくらはロザリアの好物だし、狐さんの海で養殖している鮭ではなく、たまには天然物もーと言った所。

 また暫く待つとお腹にたっぷり卵を抱えた雌鮭が2匹釣れたので釣りは終了、その場で捌いて卵の処理、卵巣から卵を落として醤油で漬けるのだが、その前に塩水で卵巣を洗う、ちょっと皮が硬くてプチっというのが好みなので温度はちょっと高めで、そのまま塩水の中でゆっくり解して筋だけになったら筋は捨てる、何度か塩水で洗い、程々の所でざるに上げて漬け汁作り、酒、味醂、醤油、後は気分で出汁。

 釣りをしている人がこちらを見てくるのも気にせず、酒と味醂は煮切ってアルコール分を飛ばし、醤油を混ぜて味を調え、出汁をちょっと加えてざるに上げて置いたいくらを容器に移し、漬け汁を多めに流し込んで1日寝かせればプチプチとした硬めの食感のいくらの出来上がり。

 流石に身の方は…ね…天然物は冷凍しないと寄生虫が怖いから無理、がっつり辛口に塩漬けして塩鮭にしてしまう、これがお土産になる可能性も無くはない、お腹は空っぽだけど…


 夕食の時間も近いので浜辺でそのまま夕食作り、まだ塩に漬けていないほうの鮭の骨と鱗を丁寧に取り除き、キャベツに人参、しめじ等野菜をたっぷり使ったちゃんちゃん焼きに、焼く時ではなくあえて仕上げでバターを…

 炊き立てのご飯に味は染み込んでいるがまだちょっと柔らかい感じのいくらを添えて、鮭のアラで味噌汁を作れば夕食の出来上がり、後はちゃんちゃん焼きを解して一緒に食べるだけ、でもその前に明日の朝食用に中央に穴を空けたおにぎりも作っておく、おにぎりは翌日にいくらを流し込み、海苔で巻いて上げればちょっと贅沢な朝食に早変わりする。

 浜辺で夕食を食べた後は車に戻りホテルを探して移動開始、観光地から外れた所ではあるがホテルが有ったのでそこで一泊、今回もツインではなくダブル、露天風呂付きだったのでロザリアと一緒に入浴し、ドラム缶風呂ではできなかった髪の手入れなどをしっかりと行い、お風呂から上がれば最近お気に入りになったジュースを飲んで一緒のベッドで寝る。

 少しずつ少しずつ北の方に来ているみたいだけど、このまま最北端を目指してみるのも良いかもしれないね…

 ま…何所へ行くかはロザリア次第…どういう景色を見せてくれるかは全部ロザリアにお任せしよう…


 そのままロザリアを抱き枕の様に抱きかかえ、ゆっくりと眠りに付き、やっぱり鮭を後1匹は確保しておいた方が良かったかなーと地味に後悔をしたりもしていた…

 お土産に持って帰った鮭のお腹の中が空っぽだと皆がっかりするだろうしなぁ…

茹で蟹など火の通した物は中に通ってる筋を抜けば綺麗に身が取り出せる

食べ始めると大体無口になる


ドラム缶

液体を保存したり固形物を保存したりお風呂にもなる便利な物

お風呂に出来るような大容量の大きい物は結構高い


野生の羆

野性を失いつつある…わけでもない、匂いが付着しているのと保管に良さそうなのでドラム缶を欲しがった

黙って持ち去ったり、奪おうとしたら確実に返り討ちにあうのが分かっていたので交渉していた


9月ごろから大体シーズン、地域によっては家族の誰かが釣って持って帰ってくる事も

お土産に持って帰った雌鮭がお腹を切り開かれて卵巣が入っていないと多分がっかりする、食べて証拠を無くしてしまえばがっかりされることも無い

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