あてのない旅行 予約は大事
「んー、お値段の割には量が少なくて今一つですね、味もそれほど良いとは…」
「そんな物じゃない?」
適当に入ったお店で適当に注文をしてお昼を食べているのだが…いつか食べた海鮮丼のように値段だけは高く、味と質が今一つだったのを覚えているのでこういう所はこういう物、と認識しているのだが、ロザリアはそうではない様子、滅多に外食しないもんねぇ…月1で皆と行く所位だし、あそこはもう外れは無くなってるからなぁ…
「ふらっと立ち寄っただけですので、もう二度と来る事は無い、というのが救いですかねぇ…」
「そうだねぇ、旅の日記に書いて置けば良いんじゃないかな?それなら後でこんなことも有ったなぁって笑い話にはなるでしょ」
「そうですね、注文してしまった以上は残さず食べますが…お母様、三分の一ほど食べていただけません?」
「ちゃんと全部食べなさい」
初日のお昼からお値段だけは10人前で味と量は半人前以下のお店に当たったわけだが、前情報無し、ナビにも頼らない、特に何の当てもない旅行ならまあこんな物かねぇ?どこに泊まるかすらもまだ決まっていないので、空き地でテントを張って野宿という可能性も無くはない、食材は何所かのスーパーなりなんなりで買ってこないと駄目だが。
進む道も気分で右に曲がったり左に曲がったり適当に、たまに行き止まりにぶつかって仕方なく後退したり、良く分からない骨董品が有るお店に入って見たり…河童のミイラの干物の木彫りってそれはもうただの木彫りの置物では…?そんな怪しい物を漁っては何も買わず、店の人も売れないという事は分かっているので適当に冷やかしたら退店。
またあても無く適当に走り続け、日が暮れた所で今日の宿探し、今日は距離を稼ぐのが目的だったのでお店にはあまり寄らなかったが、野宿でも大丈夫な様にスーパーには寄ったので食料は問題なし、宿がないなら適当に駐車場を交渉して借りれば良いし、何とかなる、はず。
何ヶ所か回っては見た物の、飛び入りで受け入れてくれるような旅館はなく、近くにホテルもないので適当に大きなお店を探し、ついでに食事ができるお店探し、お昼の時と同じく適当に目についた所に入り、パッと目に付いて気になったエビフライ丼が気になったのでこれを注文、サンプルではミニ丼にスープとパスタが付いているが、イメージですって書いてあるのが凄く気になる、他にもサラダが付いて値段も980円と割と普通、イメージ通りの量だったら…多分高くつくくらいかな?
暫く待つと多分遠くから撮影したらイメージ通りなんだろうなという、割と大きな器に入った丼とパスタが運ばれてきた、スープとサラダは普通なのに丼とパスタの量が…別に大盛りメニューでもないのにこれは一体…
「揚げ物一個貰っていいですか?」
「どうぞどうぞ」
この量だと揚げ物が一個減ったくらいでは何も変わらない、パスタもパスタでアサリにカキと複数の貝類が入っていて美味しいのだが、こちらもやはり量が多い、食べ進めてみた感じパスタが7の貝類などの具材が4、丼に至ってはご飯が2のエビフライが2、エビ天が2、塩焼きが2、唐揚げが2と…これをエビフライ丼というにはちょっと無理がある…でもエビ天丼かと言えばそうでもないし、名前的にはフライ丼の方が良いのだろう…
「それにしても、なんでこんなに量が多いんでしょうね?鶏定食も焼き鳥に照り焼き、チキン南蛮とユーリンチー、ご飯も丼に入ってますし…お味噌汁の量は普通なんですけどね」
「まあ一杯食べれるのはいいことだね、食べ終わったら何処か車を1日停めても良い所か、テントを張っても良い所を探さないとねぇ」
お風呂はこの際どうでもいいとして、何所か眠れる場所は探さないと、初日から不眠というのは避けたい所。
食事を終えた後は寝泊まりできる場所がないかを探したが特に見つからず、山道を走り続け、中腹に差し掛かった辺りで広い駐車場が有ったので、そこに車を停め車内で一泊、掛布団を取り出し、助手席を限界まで倒して後は寝るだけ、起きたら最低限の髪の手入れはしないとなぁ…
寝始めて少し経った頃、喉が渇いたので車から降り、自動販売機で適当なジュースを購入、車に戻ってから飲んでも良いが、もう一度ここまで戻ってきてごみ箱に捨てるのも何なので、ガードレールに腰掛けて購入したジュースを一口…
まっず…なにこれ…よく見ないで買ったけど何だろうこれ…ホット青汁、ケールの香りをそのままに温めてみました…青汁は温めて飲むものじゃない…冷やして香りやえぐみを抑えて飲む物で、温めて香りとえぐみを強化して飲むような物では決してない…
ホット青汁を良く冷やし、一気に流し込んだら空き缶をごみ箱に捨て、車に戻って再び就寝、電気が通っている所であれば何所でもジュースが買えるのは便利だけど、缶ジュースなどを作っているメーカーの人はちゃんと普通に飲めるか、美味しいかを確かめてから売りに出して欲しい…珍しい物を出せばいいってものではない…
若干の青臭さが口の中に残っているが、時間とともに消えていくので問題はないだろう、それまではちょっとつらいけどね…
「ロザリア、こっちおいでー、髪を整えちゃうから」
朝起きた所ですぐに出発はせず、まずはちょっとぼさっとした髪を整えてから、蒸しタオルも渡して顔を拭かせ、自分の髪なども整えて顔を拭いたら出発、行き先は全てロザリア任せ、今日は何所へ行くのなぁーと思いつつ、山の中腹に居るという事でもう頂上を目指すらしい。
朝食はまだなので頂上に何かしらお店でもあればいいのだが、無いなら無いで山を下りればコンビニ位は有るだろうし、そこで何か買うのもありかな?
山の頂上には展望台とちょっとしたカフェは有った物の、まだ朝早く、カフェは開いてなかったので展望台に立ち寄りちょっと時間潰し、景色を見下ろしたり、ちょっと散歩をしている間にカフェが開いたので砂糖多めのコーヒー牛乳と卵サンドで朝食、ロザリアはスモークサーモンとチーズのサンドにブラック、コーヒーはインスタントっぽいけど、特に拘りはないし、ミルクが多めで飲みやすいので良し、カフェラテという若干おしゃれな物でなく、牛乳9に対して濃い目のコーヒーが1、中々良いお店だ…
朝食が終わればまた出発、登ってきた道とは反対の道から下り、更に知らない場所へと進んでいく、この先は何が有るんだろうねぇ?
「山を一つ越えたらそこは都会でした…なんてのはよくある事ですね、何処か駐車場でも探して街中を見物しましょうか」
「そうだねぇ、服飾は何時ものお店で買ったりしてるけど、たまにはこう言う所で取り扱ってる服を見たりするのもいいかも」
外行き用の服などを仕立てて貰っている所以外の服屋は余り行く事が無いんだよねぇ、見たことも無い服が有るかも知れないし、見るだけならいいかも知れない、買う事は…多分無いな…
立体駐車場が有ったのでそこに車を停め、街へ繰り出して街中を観光、衣服は奇抜な物から普通の物まで、何時ものお店に比べると遥かに安いけどその分…まあ買う事は無いからいいか、他にも宝石を大量にあしらった装飾品を取り扱っているお店もあるが高い割に今一つ、誰かに似合いそうだなーという物も無い、これは見て楽しむだけの物かな?
あっちへ行きこっちへ行き、高そうな店に入ってはただ商品を見るだけ、こちらのネックレスは1カラットのダイヤを20個も使用したー…更にー…で200万とたいへんお安くー…と、進められても買う気は一切ないので困る、断ったらさらにこちらでしたら更に贅沢で400万と値段が上がる不思議、買えるだけのお金は持っていると言えば持っているので、そう言うのを嗅ぎ分ける嗅覚でも持っているのだろうか…?
お店を出た頃にはちょうどお昼時、何所か良い所が無いかと探し歩き、食事をする所も場所に違わず高いお店ばかり、高いからと言って美味しいというわけではないのは既に身に染みているので、お店に入るのを少々躊躇ってしまう、ロザリアも値段を見て足踏みをしているが、値段でというよりは昨日のお店が値段の割に不味かったのが響いている感じか…
「ここにしましょう、値段自体はどこも同じような物です、そうなれば後は感のみです」
「じゃあそこに行こうか、さて、今日のお店はどんな所かな?」
「松コースを2人前で飲み物はウーロン茶が2つ、追加は後で注文します」
「若干逃げに走った気はするね」
「高くて不味い料理を食べて気分が落ち込む位なら、安定に走って逃げるのも有だと思います」
ロザリアが選んだお店は少し落ち着いた雰囲気の焼き肉屋さん、これならお肉自体が酷い物じゃない限りはハズレになる事は無い、タレが微妙という事は無くも無いけど、その場合は工夫をすればどうにかなる、最悪塩だけでいい…
「そうそう酷い事にはならないと思いますけどね、目利きは出来なくても卸売業者に任せればいい物は入ってきますし、下処理さえできていれば不味くなる事は無いです」
「それもそうだね」
運ばれてきた物を順次焼き、火が通った物から食べ進めて行くが、特に変わったような味でもなく値段通りの味とも言える、とは言えやはりちょっとお高いので追加を頼む気にはならず、コースで運ばれてきた物を全て食べたら支払いを済ませて退店、まだ時間は有るし、もうちょっと街中を観光していきたい所だね。
「化粧品に小物に、ブランド品が集中して集まっていますが…基本的には高いだけですねぇ…」
「名前だけで売ってるのも有るんじゃない?ちゃんと値段相応の物もあるし、それを見極める力も必要なんじゃないかと?」
やたらと高いのは微妙な感じだけど、投げ売り同然で売られている物はちゃんと値段相応、たまにかなりお買い得というのも混じっているので、ちゃんと目利きができれば問題はなさそう、でもこの手の物は流行がどうのとか有るし…こういう物は型落ちの良品よりは新しく出た不良品の方が高く売れるのが何とも言えない所だね…
適当にお店をぶらぶらと歩きまわり、デパートでは物産展をやっていたので、これ食べてみたいなーと思った物を購入、多分旅行の途中の何所かしらで食べるつもりなので2人分で十分、お土産は帰る前に居た土地の物で大丈夫、何もない可能性もあるが…地域限定の何かしら張るはずなので、それを探せば多分大丈夫…多分…
お買物とちょっとした観光を少し楽しんだ後、車に戻ってまたあても無く適当に決めた方向へ進んで行き、都会を離れてまた山に囲まれた田舎といった趣の場所へ。
山に囲まれているだけはあって水も綺麗でちょっとした湖も有る、街中とは違った観光を楽しみつつ、陽が落ち始めた頃に今日の宿探し、色んなところを回っている間に何ヶ所かは見つけているので今日は大丈夫、露天風呂が有った所から行ってみようか。
「いやー…全部ダメだったね」
「オフシーズンとはいえ、やはり飛び込みは何所も受け入れてくれませんねぇ…」
「湖の方にキャンプ場っぽい場所も有ったから、そこにも行ってみようか、駄目だったらまた車内で寝泊まりだね」
旅館は全滅、ホテルは何故かない、でもキャンプ場らしきところは有ったので湖まで移動、少し探してみると看板が出ており、料金も書かれていたので中に入り料金を払い、テント等は自前なので追加料金は無し。
夕食を作るついでにお湯を沸かし、お湯が沸いたらロザリアに渡してテントの中で身体を拭いて貰い、拭き終わったら後退して貰って身体を拭く、髪は…夕食の後でいいな、追加でお湯を沸かさないといけないし、それ用の洗髪剤も出さないといけないしね。
ご飯も炊きあがり、初日にスーパーで買って置いた食材で作ったこれぞキャンプ料理、と言った物からは程遠い普通のお味噌汁に焼き魚、それとデパートで買った昆布と海苔の佃煮、キャンプをしに来ているとは思えないこのメニュー…これはこれで有りと言えば有りか。
食事を終えたらまたお湯を沸かし、今日はしっかりと髪のお手入れ、ただ拭くだけだと直ぐボサボサになっちゃうからなぁ…
手入れが終わったら灯りを消し、寝袋に潜って就寝、明日こそは、明日こそはちゃんとお風呂でロザリアの髪のお手入れをしてあげないとねぇ…せっかく伸ばした髪がくすんでいるのは何とも…明日もう一度旅館を回って貰って、お風呂だけでも有料で入れないか聴いてみようかな…
そう考えながら直ぐ眠りについたのだが、また途中で目が覚め、喉が渇いたのでテントから這い出し、自動販売機でジュースを適当に購入して一口…
んー、今日のジュースは普通に美味しいな、これは何だろうか…リンゴとリンゴとリンゴのミックスジュース、ふじと王林と紅玉を混ぜちゃいました…ミックスには違いないんだけど…ただのリンゴジュースではダメだったのだろうか…
でも美味しいので10本購入、旅行が終わったら箱買いしてゲームセンターにでも置いておこうかな?
ホット青汁
ケールのきつい臭いがホットになった事によりさらにマシマシ
飲んだ時の青臭さもきつければえぐみも凄い、冷やして飲んでもきつい
エビフライ丼
エビフライと言いつつ、エビとご飯の割合が8:2、8のうち分けはエビフライ2天2塩焼2唐揚げ2、フライと天ぷらは絶対に入る、塩焼きと唐揚げはエビチリになったりエビ団子になったりエビカツになったり
セットで日替わりパスタも付いてくる、家族か仲のいい友達と分けて食べよう
鶏定食
丼とは違い別のお皿に分けて入れただけ、こちらも毎日入ってる物が変わる
定食ひとつと追加で味噌汁とご飯を人数分頼むのが多分正しい注文の仕方?
逃げ
高くて不味い物を食べるなら値段相応の可能性がある焼肉に走る
結果は値段相応で普通、高いので追加注文をすることは無かった
旅館
オフシーズンで客入りは皆無、でも予約が無かったので宿泊は全て拒否された
でも有料で入浴は可能




