今回は何ごっこ? 活動拠点は大事
んー、家庭菜園は今日も平和、農場だと気を抜いたら雑草が凄い速度で侵食してくるのに、こっちはそうでもないんだよなぁ、肥料は屋敷の方から持ってきて、環境は農場と近いのになんでだろ?雑草との戦いがないぶん水やりとたまの肥料、収穫だけでいいのは楽でいいけどね、虫は湧くけど駆除するまでも無し。
トマトが完熟でいい感じ、ナスはー…ちょっと皮が硬いけど揚物にすれば気にならない、他に収穫する物は特に無いな、冷蔵庫に半端な玉ねぎも有ったはずだし、お昼はトマトソースとナスのフライを付けたパスタでも作ろうかな?収穫した物を籠に入れ、勝手口から厨房に入ると…
少なくとも見慣れた厨房でも無ければ、冷蔵庫も流し台もない、燭台は有るけど。
「おめでとうございます!あなたはトマトとナスを持った状態で扉を7777億7777万7777回目に開いた人になりました!そしてあなたには疲れ切ってしまった今の人生をやり直す機会が与えられました、やったね!?
それでは、あなたには今から重要な選択をして頂きます、まずはその1、肉体を最盛期まで若返らせての転移、その2、平民から王族まで、出自を生まれを選んでの転生、まずはこれを選んでいただきます」
「どうでもいいから帰らせて?そろそろお昼時だから早くトマトソースを作らないと駄目なんだけど…」
「続いて移動先で欲しい、または使いたい能力、技能を選んでください、制限は有りませんので全て選択して頂いても大丈夫です!思う存分無双しちゃってください!」
んーむ…入ってきた時点で扉が消されてるから帰ろうにも帰れないなぁこれ…目の前にいる人は…触れるには触れるな。
「ちょっと触らないでいただけますか?今説明中ですので、それともせっかくのチャンスを不意にして消滅させられたいのですか?」
作り物では無いっぽい?羽は取って着けた感があるけど動いてるし、付け根の辺りは…あまり綺麗にしてないな…汚れと脂が溜まってる…きちゃないなぁ…これがうちのメイドだったら即お風呂に放りこまれて、綺麗になるまで出てくるなってルシフ辺りに言われてるんじゃないかなぁ…私が手入れするときはある程度綺麗な状態になってから、だしねぇ…
「いい加減に触るのはやめてくれませんか?あなたの代わりは幾らでもいるんですよ?それこそ掃いて捨てるほどに…」
取りあえず手に付着した脂は拭き取ってと…さて、どうした物かね?トマトとナスはまだ収穫したばかりだからちょっとは持つけど…
「この宇宙の創造神である私に触れて汚いと来ましたか…良いでしょう、狩られるだけの最底辺に転生させて、ずっとその輪廻の輪に留まるようにしてあげましょう…そうですね、惨めに泣き叫びながら10万回ほど死ねば許してあげましょうか?最底辺で狩られ続けるだけの運命からは逃れませんがね…ふふ…楽しみですねぇ…許しを請いながら死に続けるあなたを見るのが…」
トマトとナスは痛まないように収納…
「そんな屑野菜はもう必要ありませんよね?」
「あーあーあー…収穫したばっかりだったのに…」
収納しようとしたらナスもトマトが籠から叩き落とされ、脚で踏みつぶされてぐちゃぐちゃになってしまった…勿体無いなぁ…
「ちっ…踏み潰したら靴が汚れてしまったわ…この靴は神獣や聖獣の革で作った最高級の物ですのよ?」
「そっちが嫌がらせの為に踏み潰しただけじゃん…せっかく完熟になるまで育てたのに…」
しかしこの人沸点かなり低くない?自分で誘拐してきて置いて触っただけで怒り出すとか…そもそも何が目的なのか…
「もういいわ、視界から消えなさい、会う事はもう無いでしょうけど、少しは私を楽しませる様な死に方を期待しているわ」
目の前にいる人がそう言うと、先ほどまでいた室内から何処かの草原まで飛ばされていた。
さて、どうした物か…それ以前に今度は何ごっこだ?何の前振りも無く扉を開けたら知らない場所と知らない人、何をしたいのかはわからないが、まずは食料と寝床の確保、人がいるかどうかは特に確かめなくてもいいか。
方角も場所も分からないときの棒倒しって何かこう、万能感があるよね、出来るだけ真っ直ぐな棒を探して、適当にコマのように回して倒れるのを待つ…倒れたら棒を拾ってその方向へ一直線、ある程度歩いて気分が変わったらまた棒倒し、行ったり来たりしているような気もするが、元の場所には戻ってないので多分大丈夫。
その後の棒を倒してはフラフラと彷徨い、暫くすると開けた場所が見えてきたのでそこを目指し、森を抜けると程々に整備された道が続いている、次はこの道をどちらに進んで行くかだが、そうだね、棒だよね、倒れた棒が指し示す先は…道を挟んだ先の向こう側にある森…なるほど?もう一度棒を倒すと向かって左手側の道…よし、道を進もう、というかなんなんだろうなぁ…飛ばされて出る所は森と草原と言うのはお約束か何かなんだろうか…
まだまだお日様は高い位置にあるし、余り慌てても良い事は無さそうなので、テーブルと椅子を収納から取り出し、お茶を入れてちょっと一息、お米と調味料は有れどお茶菓子は無し、七輪と炭は有る…のし煎餅でも作るか。
「ステータスオープン!おっ、もうレベル70か、女神様から貰った能力様様だな、ステータス上昇も10倍でもう向かうところ敵なし、そろそろ魔王でも倒して世界を救っちゃいますか、そしてお姫様を頂いて王族の仲間入り!そしてその後は…」
煎餅を焼いていると何やら独り言を言いながら歩いている人がやってくる、聞こえた内容だけから推察すると…王政の国と言う事は分かった、それ以外の事は一切わからないけど、倒すだのなんだの言ってたから戦争中か何かかね?おっと、煎餅が焦げる一歩手前だ、お米はまだまだ余ってるけど無駄にして良いわけではない、一旦火から下して薄く味噌や醤油を塗り、七輪で軽く炙れば味噌と醤油ののし煎餅の出来上がり。
水出しの麦茶を良く冷やし、煎餅をお皿に乗せてお茶の時間、んー…パリパリとしていて焼きおにぎりの外側を食べている感じがして美味しいのはいいけど、歯にくっ付くのがつらい所か…お茶とお煎餅を楽しんでいると独り言を言っていた男はこちらを軽く見た後何か呟き、そのまま顔を逸らしてそのまま道の先へを歩いて行った…なんだろね?
さて、お茶とお煎餅は無くなったし、棒の先が指し示す方向、男が歩いて行った方向とは逆方向に進んで行きますかね、宿は無くてもテントが有るので大丈夫、食料に関しては…物々交換、もしくは川でもあれば魚を調達、この先に村も何もないという可能性も無くはないが…無いなら無いで歩き続ければ何時かは海に出る理論で行こう。
片づけを済ませ、暫く歩いていると橋がかかっている少し広めの川に出てきたのでちょっと寄り道、水は濁っておらず透き通っており、泳いでる魚も見えるので、物々交換の事を考えると6匹くらい…かな?それくらい釣れば多分大丈夫、でも毒を持ってるかどうかは分からないのでまずは1匹釣って確認しましょ。
餌は何を食べてるか分からないので適当にスプーンを投げ、特に苦労する事も無く釣れたのでその場で調理、寄生虫無しの刺身で食べても問題なし、焼いても美味しい、これなら物々交換に使えそうだし、6匹確保したらどんどん先に進みましょ。
釣った魚の血抜きから内臓処理まで済ませ、再び道をどんどん進んで行き、日が暮れる前には村に着いたので、村人に物々交換を持ちかけ、魚4匹と野菜を少々交換して貰い、宿はないので村はずれでテントで寝泊まりする許可を貰い、今日はここで一泊。
村人の様子から見るに何かに怯えるわけでもなく、不作でもなく安定した収穫があり、皆生き生きしているように見える、特に戦争がどうのと言った雰囲気もなさそうだし、明日村を発つ前にちょっと話を聞いてみようかな。
お湯が沸いたので鍋に交換して貰った野菜を入れ、川魚と調味料を入れ煮込み、火が通れば川魚のお鍋の出来上がり、鍋物に関してはもう何所行っても共通な気がするね、入っている物と使用する鍋が違うだけで。
夕食を食べた後は早めに就寝、お風呂はないので身体は拭くだけ、髪もお湯につけたタオルで拭いて誤魔化し、川の水は綺麗だったし、川を上って行けば水浴びが出来る場所が見つかるかな?なんにせよ明日話しを聞いてから、さ、寝よ寝よ…
お日様が昇り始める頃に目を覚まし、昨日の残りを火にかけて温め、ご飯を投入して朝から雑炊、味噌を追加して味噌雑炊で、粗挽き胡椒もちょっと入れて香りもかなり良い感じ、朝からこれは地味に贅沢よねぇ…
朝食を食べ終えた後は村に入り、話しを軽く聴いてみたが特に何所とも戦争をしているわけでもなく、平和その物らしい、隣の国が何やら怪しい動きをしている、と言う噂は有る様子、あくまでも隣の国が何かやっているというだけで、小さな村は小競り合いで知らないうちに他の国の領土になっていた、と言うことも有るので、普通に暮らしている限りは何も変わらないらしい、税率が多少変動すれど生活は何も変わらないのと言っているので、ここで一番強いのは小さな村の村人なのかもしれない。
大きな街なら兎も角、この辺りの傭兵や兵士崩れの野盗や盗賊は害獣ついでに駆除されているらしく、ここの村から次の村まではかなり安全らしい、隣の村も隣の村で定期的に害獣駆除などを行っており、森の中は罠だらけなので出来るだけ森の中には入らず、道を進んでいく方が良いとも教えてくれた。
村人に別れを告げた後は隣の村へ、その村でまた話を聞きその先へ…多分お昼時と思える時間には村から街に辿り着いたので働き口を探すことに、何所か分からない場所で生活するにはまずお金、これがないとどうにもならない、とはいえ雇ってくれる所があるかどうかだよなぁ…そもそもまだ街に入れていないから何とも言えないけど…
それ以前にお金がないので街に入るための通行料なんて当然払えるわけもなく、通行証なんて物もあるわけもなく、門前払いを受けたので街を迂回して海を目指すことに、街で暮らすには宿代等が必要でお金は必要だが、テントで寝泊まりすればお金は要らないし、海伝いに移動して川を見つければその近辺を拠点にしても良し、それじゃこのまま移動を続けますかね…
途中の村や街は全て無視して移動速度も上げ、海を目指して一気に移動、夕暮れ前には海に到着したので今日はここで一泊、テントの準備をしたら目の前に広がる海で魚釣り、やっぱり餌は何が良いか分からないのでメタルジグでショアジギング、青物に近い物がいるかどうかは分からないけど、何か釣れるといいな…
と考えている内にヒラメっぽい魚が釣れたので釣りは終了、ササッと処理をしてムニエルに、貝やエビ、トマトが有ればパエリアも作ったんだけどなぁ…潰される前にさっさと収納しておけばよかった…
食事を終えた後は大きめのタライにお湯を張り、服を脱いで下半身だけでも入浴、ついでに髪と尻尾も綺麗に洗い、ついでに服と下着も洗濯、替えはないので髪の水気を切り、身体を噴いている間に乾燥させ、下着だけ身に着けて服はアイロン掛け、作っててよかった何所でもアイロン掛けが出来る道具…海中や空中でアイロンを掛ける人も居るらしいけど、海中だと意味はないんじゃないかなぁ…空に住んでる種族なら空中でも普通だから何ともだけど。
アイロンを掛けた服は折り畳み、寝袋の中に入って今日はもう就寝、次の目的は…程々に海が近くて湖や川とそれほど離れていない場所を探す事…かな…
陽が少し高くなったころにテントから這い出し、まずは肌にお日様の光を浴び、温かさを堪能した所で服を着て移動を再開、今日は海と繋がっている川の発見と湖の発見、それと出来れば拠点も作りたい所、さぁて、どちらの方向に進んでいこうかな、右手側は磯、左手側は砂浜…右、それとも左かな?
困った時の棒倒しで棒を倒すと右手方向に倒れたので磯方面へ、超えた向こう側に川が有ると信じて移動を開始、磯を超えた先は崖、棒の示す先へ進むためにそのまま崖を登って上から見下ろして周囲の確認、進行方向には入り江が有り、誰の手も入っていないので拠点にするにはちょうどいい、でも川と湖が近い所が良いしなぁ…
入江は諦めてそのまま2時間進んだところで海と繋がっている川を発見、周囲を山に囲まれているせいかここも人の手は入っていない、後は川を上って行って湖が有ればいいのだが…無いなら無いで作るか、誰の手も入ってないし、何処かから水を引かないと田んぼを作れないし、畑も水が無いと…ね…
川を上って行き、湖は有るにはあったが山頂近く、環境的に田んぼを作るのには向いていない、でも高原で育てる野菜などには最適な環境…拠点はここにして、ちょっと下った所の森を切り開いて川の水を引いて田んぼにして、川沿いを整備して海までの道を作って…
これからの予定を立てた所で湖の一部を切り開き木材を作り、何処かで建てたことが有る様な建物を湖上に作り、湖の周辺には菜園、山を下った所には田んぼを急ぎで作り、何所か知らない所へ飛ばされてから4日ほどで拠点と菜園、田んぼが完成、これで暫くはここで安定した生活が送れるな。
…しかし…本当に今度は何ごっこなんだろうね…?誘拐ごっこでも無し、転移ごっこでも無し、暫くして誰かが迎えに来たらネタばらしが有るか。
「はい、これにサインしてー、それが終わったら自分で首輪を嵌めるか自決するか選んでねー?」
「いきなり人の家に踏み込んできて、あなた達は一体何なんですか?創造神である私に喧嘩を売っているのですか?」
「はいはい、キャンキャンうるさいお口はチャックしましょうねー?名前が書けなければ血判でもいいよー?契約内容は絶対服従、それとこの星の譲渡、自決をしない場合は私の手による再教育を受けますと言う同意、さ、え・ら・ん・で・くっださっいな?」
「んー!んーー!んんー!?」
「え、何?自決の方が良いって?」
「んーっ!んんっー!!?」
「自決は嫌と?じゃあこれにサインか血判を押してねー?そうしたら死ななくて済むよー?抵抗しても無駄なのはもうわかってるよねー?」
「んっ…んんっ…」
「んー…血判の方が速いか、指切ってー…あ、骨まで切れて指が落ちちゃった、まあいいや契約書にポンッと、はいこれで契約成立ー、それじゃこれ首輪ねー。
…自分で嵌めろよ?今この場におけるお前の価値は虫けら以下だ、私がここに来るまでの間に自決してなかった自分を恨め、もうお前は死ぬことも許されない、これから先ずっとお前は私の玩具だ、いいな?」
「んー!んんんーっ!?」
「ははは、そうかそうか、そんなに嬉しいか…、指は繋げなくていい、何なら全部落としてもいいぞ、どうせこれから何度も壊れるんだ、ついでに脂ぎった羽も毟り取って置け、暫く滞在するから後任の選出は後でいい…連れていけ。
さてさて、ご主人様が今いる所はー…前回の所を気にいってたんかねぇ?また湖上に家を建ててるや、何かちょっかいを出しそうな人も居ないし、ご主人様が寂しがったり満足した辺りで迎え位に行こうかね…」
雑草エリート
ギリギリ家庭菜園を侵食しない程度の位置で肥料のおこぼれをもらっている
菜園に近い位置にいる雑草ほど地位が高い、でも雑草なのでそもそもそんなに栄養が要らない、外側の雑草からしたら魂を売り渡して肥え太った草
〇回目詐欺
適当に切りが良さそうな数字とかを適当に言ってご招待
ただの娯楽のためだけに呼び出し、その後どう破滅していくかを観察するときの常套手段
他には死ぬように仕組んでからのうっかり死なせた詐欺、まだ死ぬはずじゃなかった詐欺等色々ある
自称創造神
収穫を終えてさぁお昼ご飯を作ろうかと言うご主人様を誘拐した
羽は表面上取り繕っているけど生え際などが脂ぎっている、現在改造手術中
契約書
従順な言う事を聴く社員の作り方、至る所を監視しているルシフ式ネットワーク作成術
ルシフの手が離せないときは先輩社員たちが教育してくれる、ついでに契約が成立した時点で自分の意志で死ぬことは許されなくなるのでどれだけ辛くても死ねない、最終的にルシフにとって都合のいいように作り変えられる
簡単に言えば当たり屋
ごっこ遊び
別にごっこ遊びでは無かった、強いて言えばわざとに誘拐させてからの自分より遥かに上の者かどうかを見抜けるかの抜き打ちテスト
不合格の行動をとった場合は直ちに自決、しなかった場合は強制契約、ルシフにとっては得しかない
狐さんとしてはどちらでもいい、後でちょっと怒られるけど邪魔になったらご主人様の居る所を残して全て消すくらいはやる
通りすがりの男
ステータスオープン!と言えって見えない物が見えちゃう危ない人、ではなく、玩具として呼び出された人、自称創造神が居なくなったので一般人に戻った
多分渡されていたのは有りもしない経験値100倍とか、それっぽい物が見えるようにした能力、道を歩くのも経験の1つなので歩くだけでレベルアップ!
呟いていたのは道端でちゃぶ台出して煎餅食ってる…だった




