手段を選ばなければ… 何だかんだで快適な暮らし
うぅむ…ここは何所だろうか…よくある事とは言え何の前触れもなく飛ばされるのは辛い物が有る、とはいえここでじっとしていても仕方がないし、取りあえず木に登って周囲を確認しないとね、気温も少しひんやりしてはいるけど、大体15度くらいかね?
木に登り周囲を確認するも特に開けている所は見つからず、木に登った程度では川も湖も海も見えない、こうなると何所を目指して歩いて行ったものかとなってくるが、位置的には山の谷間、どちらかの山頂まで登れば何かが見つかる可能性は高い、どちら側の山頂を目指すかは…その辺中に棒が落ちてるから棒倒していいや。
適当に棒を倒して進むべき方向を決め、その方向に繋がっている山を目指して一直線に進み、山頂についた所で見晴らしのいい場所を探し、余り開けたところは無かったので再び木に登り辺りを見渡すが、見渡す限り山山山…川も海も湖も何も見えない…見渡す限り山と木ばかり、テントを張るにしても何所にした物か、それ以前に食べれそうな物も見つからないし、どうした物かねぇ?
飛んでみるのが一番早いけど、それはそれで面白味が減るし、山を3つくらい超えたら何かあるかな…進んでいく方向も今のままでいいか、只管真っ直ぐに、途中で沢でも見つかればいいんだけどねぇ、今のところ木の実すら見つからないし、動物なども見つからない、このままだと食べる物が…無くはないな、焼き立てのパンとお米、干し肉は有るので当分は食べるのに困らないな。
とはいえこのままだと作れる物が限られるのでせめて沢でも見つけて沢蟹位は捕りたい所、取りあえず山を幾らか越えて行こう、兎に角まっすぐ進んでいけば何時かは水の有る所、もしくは人里に出るだろうという理論は多分間違っていないはず、海に辿り着く確率が9割のそれ以外の場所が1割、進んでる方角は多分北かな?まあ特に関係はないけど、ちょっと移動する速度上げて今日中に海まで突っ走ろうかな、この感じだと多分この辺りに人は住んでいそうにないし、そもそも動物すら見当たらないし…
そうと決まればさっさと山を越えてしまおう、まあ途中で川とか湖が有れば暫くはそこで生活だな、うん。
山を幾つか超えた所でようやく海が見えてきたので速度を緩めて下山、浜辺も人の手が入っている感じもないし、ここは何所なんだろうかねぇ…
浜辺に辿り着いた所でちょっと離れた所にテントを設置して野営の準備、場合によってはログハウス位は作らないと駄目かもしれんね、家具はあまり良い物が作れそうにないけど、お茶を飲む時に使ったりするテーブルと椅子、焚火の前に座って食事をしたりするときに使う低めの椅子位しかないし、ベッドが恋しくなった時は寝心地が悪くても作るだろうし…
今日の所はとりあえずテント、明日からはログハウスと家具を作ろうかな、足りない素材は手段を選ばなければどうとでもなるか、今は多分昼…かな?時計が完全に狂っていてよく分からん、取りあえず昼と仮定して昼食の材料を確保しないとな、何が釣れるか、そもそも魚がいるかすらわからないけど、適当に投げてみればいいや。
トップには出てこなさそうな気もするので浜辺からジグを遠投、引っかかってもすぐに外せるので気にせず強気でボトム狙い、海藻は引っかかってくるので魚が居そうな気はするんだよなぁ…海藻は食べれる物なのでで捨てずに確保、後でよく洗って干しておこう、今は兎に角魚、魚を釣らないとおかずが海藻と干し肉だけになってしまう…
しかし何所かもわからない、どんな物が住んでいるかすらも分からない状態で釣れるはずもなく、推定昼食と思われる食事は干し肉のスープとパンだけで済ませ、釣れた海藻は水でよく洗って水に漬けておく。
夕食は海藻サラダを足してちょっと豪勢に行こう、釣りも一旦止めて岩場の方に行ってみようかね、はばのりが取れれば万々歳、取れなくても貝類がへばりついている可能性もあるし、貝類があればそれを餌にしてみるのも良し、何かあるといいなぁ…
はばのりは有れど貝類は無し、貝類がついていた跡すら無し、この感じだともし干潟が有ったとしてもアサリも居なさそうだな…先ほどから鳥の姿も無ければ動物もここに来るまで一度も見ていない、それどころか虫すらいない、でも植物はほぼ万遍なく育っている、花粉を運ぶ虫が居ないにもかかわらず草花も広範囲に広がっていたし、なんか変な感じもするし、ちょっと調べてみようかな、枝とかは落ちていても、どんぐりが1個も落ちていなかったのも気になるし、森の方に戻ってみるか。
少し探索してみるもどんぐり等木の実は1個も見つからず、葉と枝は落ちてるんだけどなぁ…花もよくよく見て見ると花弁はあるのに花粉が無ければ雄しべも雌しべも付いていない、どうやって増えてんのこれ…
掘ってみても竹のように地下茎で繋がっていて勢力を増やしている感じでも無し、ほんとなんなんだこれ…ミミズも居ないっぽいし、落ちた枝葉を分解する微生物だけが居る様な状態…収納の中には物が入っていたからゲームの中では無し…そもそも買い物の途中で急に飛ばされたからゲームと言う事は無いはず。
なんというか…適当に植物だけを集めて作りましたー、みたいな、そんな感じがしないでも無い。
それに調べ始めてからそこそこ時間は経っているはずなのに、太陽は全く動いていない、風も吹いているし時間は止まっていない、短針と長針が狂ったように回り続けていて時間の把握は出来ないが、時間の流れが遅いと言う事も速いという事も無し。
それから暫く探索してテントを設置した場所まで戻り、未だに明るいが推定夕食である食事を取り、ちょっと海に潜って海も探索、深くても5メーター、それより深い所はパッと見では無し、海藻は生えていても魚介類は居ない、イソギンチャク等も存在しない、歪なんて物じゃないここは何のために作られたんだろうかね…?
時間が分からないので一度睡眠をとり、テントを片付けて空からの調査に切り替え、以前太陽の位置が変わる事は無く、何所まで行っても太陽が張り付いてくるような、常に真上から陽が当たるようになっているような、一気に裏側まで移動してみて陽の当り方は一切変わらず、太陽も常に真上、出来る限り高い位置から見下ろして暗くなっている場所は無し、木陰などはある物の、全て真上から当る様になっている。
星1個丸々使った出来の悪いアクアリウムを作ろうとしているような、そんな感じがしないでもない。
まともに食べれる物が海藻類だけと言うのも生物が生きていくには全く適していないし、そもそも生物どころか茸すら見つからなかったし、そもそも繁殖方法からして既におかしくなってるし、見て回った限りではどこもかしこも同じ環境、山と川か湖か海かの違い程度で植物は全て同じ、木の実をつけなければ草花も雌しべに雄しべもなし、育ち方も全く同じだし、複製して増やした感じかなぁ…
そもそも何でここに飛ばされたんだろうかね…?
それに狐さんに飛ばされたのか全く違う人に依る物かもわからないし、下手に離れると何時合流できるか分からないしなぁ…できる事と言えば切り開いて見つけやすいような目印でも作って置くくらいか。
途中で見つけた湖の近くを拠点とするためにある程度切り開き、少し大きめのログハウスをまず作り、家具にお風呂と必要な物を作り、砂山を加工して水と火を何時でも使えるように、食器は…焼き物用の竈を作ってからか…耐火レンガを作るのはめんどいし、適当に砂山を耐火性のあるものに加工してそれを竈にすればいいや、焼き物に使う土も湖の底から浚って来れば大丈夫かな?
問題は食用に適した物が海藻くらいしかないという事、お米は大量に有れどパンは1斤しかないし、干し肉もそれほどないし、早急に変換ボックスを作らんといかんね、木材から食材に変換できる物を…でも食べ物じゃない物を食べ物に変換すると変換率がおかしい事になりそうだなぁ…でも仕方の無い事か、食べれる物が海藻しかないのが悪い。
焼き物用の竈は自動で温度調節をしてくれるようにして、竈が出来たら湖の底から焼き物に適した土を掘りだしてある程度水分を飛ばして程よい粘土になるのを待つ間に変換ボックスを作って…
変換ボックスの変換率調整が終わるのを待っている間に粘土を捏ねて、簡易なろくろも作りまして、大皿小皿にお茶碗に湯呑み、花瓶に壺等色々作って乾燥させまして、自動調整の終わった変換ボックスに伐採した木を突っ込んでみると…
未加工の木材100キロに対して糠が500キロ…漬物にする物がないので却下、他には米200キロ、白菜1キロ、海苔5枚、海苔の佃煮20トン、極上のお肉が各種何所でも1トン、やっぱり色々とおかしくなるなぁ…取りあえずお米とお肉は各種確保して収納しておきましょ、野菜類は変換率が悪いけど、毎日変動するし、気長に待てばいいか。
多分飛ばされてから約3ヶ月、何も生息していない湖でキャスティングの練習をしたり、意味のない焼き物を作ったり、1人だと寂しかったので人形を作ってみたり、色々やっている内に段々と快適な暮らしにはなってきた、暇つぶしの為に湖の周囲一帯はちょっと切り開かれて湖の中ほどに立派な家まで作ってしまったが…
特にする事も大体無くなってきた辺りでベイトリールの改造を進め、ギアの見直しから遠心ブレーキにメカニカル、ドラグ、スプール、全てに手を出した結果、皮だけを被った別物に大変身、市販の20lbなら200は巻ける様になり、ブレーキ調整を失敗するとバックラッシュ間違いなし、でも使用できる重さの幅の広がって飛距離も伸びたし、逆に使い辛くなった気がしないでもないな。
伸び過ぎた飛距離を少し落とすためにギアをまた弄り、最終的に約180メーターまで下がった所で調整終了、細い糸ならさらに巻けるし飛ぶようにもなるけど、飛ばすとなると投げる技術も必要だし、扱い辛いのはそこまで軽減されて無い気もするけどそこは仕方なし、距離も大事だけど狙った所に投げ込めるか、これが一番大事よね。
しかし何時頃迎えに来てくれるのかねぇ…体感では3ヶ月で合っているはずなのだが、常に太陽が出たままで夜という概念が存在していないし、正確な場所も良く分からないし、迎えに来てくれないと帰るに帰れんね。
よくある転移
葵さん達の居る星に住んでいる人は飛ばされないようにした
でも居候しているだけのご主人様は適応外、買い物に出かけている時に飛ばされた
歪な世界
植物と落ちた枝葉などを分解するための菌類しか居ない
植物も全て複製して貼り付けて増やした様な感じ、全て同じ育ち方、全て同じ形、自然に育ったとは考えられないほど統一されている
そもそも木の実はないし花粉もない
さらなる魔改造
12lbなら最大で巻いた糸が全部なくなる、更にそこまで投げるには技術も必要、飛距離を何となく伸ばした結果バックラッシュをするようになってしまった
デチューンでバックラッシュは解消、飛距離も20lbで180メーター位で止まるようにした、でもちょっと扱い辛い、普通の感覚で投げると間違いなく飛び過ぎる
迎え
ただ今捜索アンド関係各所を締め上げ中
今日も誰かの胃が悲鳴を上げている




