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捕らぬ狸の… 皆には内緒だよ?

 前回は竿が折れた事により強制敗北で終了、新しい道具を買う事になったが、今度は見た目だけでなく実用性もばっちり、魔改造によりバットもベリーもティップもより頑丈に、誤って竿を垂直にしたとしてもティップが折れる事も無い、ガイドもより頑丈に滑らかに、継いだ時はより一体化して完全な一本に、リールシートもグリップエンドも調整自由、リールも言わずもがな…糸もリールの限界に合わせて強化した糸を使用、2号程度細さしかないが熱に強く、傷も付きにくく岩肌に擦り付けても傷一つつかない、切る時もそれなりの刃物を使わなければ切れる事も無し、ルアーやハリスは市販品のままだから壊れたり切れたりするけども…そこまでやるならもうウルカン謹製の道具でいいよねって、今の状態でも大概だとは思うけど…なんにせよ道具が壊れるというトラブルに見舞われる可能性は今後ほぼ無し、大きなものから小さなものまでどんと来い、だね。


「そして今日、戦いの舞台は海へ!」

「何時もは湖なのに珍しいですね?」

「簡単な話、たまには食える魚を釣って来いと言う事です、お嬢様は食べれる魚をご所望だ!」

「それで、何を釣ればいいんですか?」

「時期的にはアジ、スズキ、カンパチ…」

「アオリイカがもうほぼ終わりのヒラメもまだまだ、サワラとマゴチがまっただ中、ヒラマサがそろそろ」

「まあ食べれるなら何でもいいんですけどね、青物でもそうでないものでも、取りあえず食べれる魚を釣れば良いのさー、と言うわけで行くぞ野郎ども、道具を準備したら出撃だ!」

「男は1人しか居ませんけどね、磯と堤防と砂浜どれですか?」

「少し前にキス等を釣ってきてくれた所ですね、なのでキスも狙えますよー、今はシーズン真っ只中ですし、近くに釣具屋も有るので餌はそちらで買いますよー」

「車は何所に停めればいいんでしょうかねぇ…」

「車庫にある車なら道路のど真ん中に停めても駐禁を取られませんよ、まあ平日ですし、釣具屋の駐車場を借りればいいんじゃないですか?

私は何時もの軽トラで行きますけどね、クーラーボックスとか色々積み込まないといけませんし、氷は…」

「釣具屋に販売機が有ったよ」

「まあ、そんな感じで、クーラーボックスは特大2つと中型を4つ持って行きますので、各自準備が出来たら出発、現地で会いましょう。

あ、皆は別に好きな車に乗って行っていいですからね?」


「何というか凄い構図だよねぇ、軽トラックを間に挟んでる2台のハイパーカー、更にそれを挟む2代のスーパーカー、知らない人が見たらただの虐めだよね。

まあそんな事は後回し、駐車場を1日借りれないか交渉しましょう、駄目だったら海沿いに直で停めて、いちゃもんをつけられたら免状でも突きつけてやりましょう」

 交渉は恵里香さんに任せてボードなどを見て情報収集、アイナ達は…サビキだったりちょい投げだったり、足りない道具を買足している感じかな…?

 私も道具を一式揃えないとね、今日はウルカン謹製の釣具は使わないし、ちょい投げの仕掛けと、味を確保するためのサビキ、それと50グラムのジグに付け替えるための針、スズキとカンパチが狙えるなら大きめで頑丈な物にしないとだしねぇ、ジグは形状と色を変えて3個も有れば十分か、後はパン粉とアミエビ、青イソメがあれば…あ、泳がせに使う針と重りも買わないと、マゴチも泳がせで狙えばいいや。

「許可は貰えたので買う物買ったら行きますよー、おねーさんが纏めて払うので全部持ってきんしゃい、流石に余計な物は全部弾くからここぞとばかりに持ってきてもダメだからね?」

「パン粉2キロとアミエビ2ブロック、オキアミ1ブロック、青イソメが2000円分、青イソメは3つに分けて」

「籠と針と重りがこれです」

「私もパン粉1キロとアミエビ1ブロックに青イソメ500円分、後仕掛けとジグと付け替えるための針等一式」

「あー…私の使う餌は分けて貰えば十分足りそうですね、これ全部お願いします」

「アミエビとオキアミは溶けるのに時間が少し掛かりますがよろしいですか?」

「海水にぶち込んで溶けるのを待ってる間にイソメを使うので大丈夫です」

「では…全部で10287円になります」

「1万と300円と…よし、それじゃあ買った物を軽トラックに積み込めー、私は一足先に海沿いで待ってるぜ!

…荷物を下したらまたここまで車を停めに戻ってくるけどな!

あ、途中にコンビニが有るはずだから、お昼に食べる物と飲み物を買っていくのを忘れない様にねー」

 そう言い残し恵里香さんは一足先に海沿いへ、別に全部収納して持って行っても良かったのだが、これも醍醐味の1つであるのと、道具の管理位は自分でしましょうねと言う事で、収納に入ってるのは私の道具のみ、まあ現地まで道具を運んでくれるのでファイブA達にしても大分楽になっているとは思うけど、取りあえずお昼は何を食べようかな、アジとキスは確実に釣れるだろうし、おにぎりでいいや、釣れたばかりの魚を塩焼きにしてお味噌汁も作って…そう考えている内にコンビニに到着、具材に特に拘りはないけど梅と昆布を選択、飲み物も麦茶を選んで購入、さて、早く海岸まで行って道具を下さないとな。


「へいへいへーい、道具はもう全部下しておいたから私はぱぱっと釣具屋まで戻ってついでにお弁当も買って来るぜい、クーラーボックス用に台車も持ってきて置いたから、台車にでも乗せて運んでね、氷も入れてあるから」

「何から何ませすみません」

「いいのいいの、その代り餌はいくらか貰うからねー」

 恵里香さんは車を置きに釣具屋の方に走って行ったので、各自で道具を堤防の方まで運び、アミエビとオキアミが溶けるのを待っている間にちょい投げ、少し前に来た時に比べると大分数を減らしているのか、入れ食いと言うほどは釣れない、それでも良く釣れるのには変わりはないので小さいのはリリースして20センチ以上はキャッチ、キスを釣っている間に恵里香さんが戻ってきたので餌を幾らか献上、キスは30匹ほど確保した所でサビキに変更、もしくは仕掛けを変えてイソメでマゴチ狙いに。

 イソメは献上したことも有り、もう無くなってしまったので堤防の方でサビキ、溶けたアミエビにパン粉を混ぜて準備完了、まずは持ち帰る用のアジからだな、大きなアジの刺身も美味しいけど、小さいアジを3枚に下して骨断ちをして皮を剥いで、そのまま刺身として食べるか握り寿司にしても美味しいんだよねぇ…

 小アジは数が多いのでサビキに変えてからそれほど時間もかからず100匹ほど確保、泳がせ用のアジを釣るのもいいけど、いったん手を止めて早めに内臓の処理を済ませておくか。


「釣りの手を止めてアジの下処理を始めるとは、余裕ですね、」

「早めに処理しておいた方が悪くなりにくいしねー、ついでにキスも処理しておくから、アジとキスは帰ったらすぐにでも使えるね。

それ以外の魚はまだ釣れてないし、釣れたとしても帰ってからだね」

 アジの下処理を終わらせ、キスも終わらせたところで再開、泳がせに使うアジを数匹確保した所で仕掛けを変更、深い所を探って少し大きめのアジ狙い、ただ時間も中途半端な事も有り特に何も釣れず、おかずが増える事は無くお昼はおにぎりと麦茶だけ、お味噌汁も具材に使えるような魚が居ないので無し、イソメが残っている内に根魚でも狙っておけばよかったな…

 あー…いや、解凍が終わってるオキアミを幾らか貰えばそれでよかったか…もう遅いとはいえ、おにぎりと麦茶だけと言うのも何か寂しい物があるしなぁ…うーん…収納に何か仕舞ってなかったかなぁと少し収納を漁ったが、調味料と干し肉は有れど他は無し、でも干し肉が有るのであれば…

「お湯を沸かしてどうするんですか?」

「お昼に大きいアジが釣れたら塩焼きか、根魚だったら味噌汁って考えてたけど、アジは釣れず、根魚はイソメを使い切ってて釣れなかったからねぇ、ソフトルアーも買わなかったし。

それで代わりに干し肉を削って簡単なスープにと、薄く切るか削るかすればすぐ戻るしね」

 追加のおかずと言う感じも欲しいので、沸かしたお湯に入れればすぐ戻る程度の薄さの干し肉も投入、味付けは…塩をちょっと足すだけで十分だな。

 スープが出来るのを待っている間におにぎりの封を開け、ゴミはゴミ袋へ入れて後で皆の分と一緒に纏めて収納、スープが出来上がった所でお昼ご飯開始、多めに作ったので皆と分けつつ、おにぎりを食べてお昼を手早く済ませ、午後から釣る物の準備を開始。

 青物は何人か確実に狙うだろうし、狙いをちょっと変えてハモにしようかな、帰る時間までかすりもしない可能性の方が高いけど、アジはまだまだ釣れそうだし、ちょっと狙ってみるか。


 餌は残しても仕方がないので足元に撒きつつ小アジを寄せ、5匹ほど確保した所で直ぐに処理、生きているとちょっと都合が悪いので切り身にして針に掛け、投げ込んだらドラグを緩めて後はひたすら待つ、本当は秋刀魚とかスルメイカが良いんだけど…無い物よりは有る物を使って、だね。

 竿がすっ飛んで行く事は無いだろうけど念のために固定、ハモが駄目でもアカエイが釣れる可能性も無くはない、どちらが釣れても美味しく頂けるのでハモに拘らなくても良い、待ってる間はどうしようかな…?


「ハモですかぁ、釣れるといいですねぇ」

「時期的にはきわどい感じだから何とも言えないけどね、何か掛かってもアカエイの可能性の方が高いね」

「それで、もう片方の竿は?糸を垂らしているだけにしか見えませんが」

「こっちはクロダイ、仕掛けもシンプルに重りと針だけ、餌は拝借したオキアミ、包むための団子はパン粉をアミエビをさらによく混ぜて細かくした物」

「それ用の配合餌を使わない辺り、有る物を使って何とかしようって感じがしますね。

フカセでもなくボトム狙いの一点張りと言うのも中々」

「エサ取りが多いのも難点だけどね、その代り…」

 糸が少し動いた所で早めに合わせ、一気に巻き取って引っこ抜けば…

「ハギですか、結構いいサイズですね、と言うかよくその針で掛かりましたね…」

「突かれている最中に針先が口の方に向いた時にこう…キュっとね?」

「水中にある針先が何所を向いているかとか普通は把握できませんよ…ましてやハギの口にピンポイントで通すとか…」

「集中すればたぶんできるようになる…?ハギも後4匹は釣りたい所だねぇ」

 25センチ前後のウマヅラが現在17匹、取れる身の量は少ないので少し多めに釣りたい所、でも狙ってるのはクロダイだし、ハギももう十分と言えば十分か。

「ところで胆醤油と胆ポン酢どっちが良い?」

「私は胆醤油ですね、それが何か?」

「十分な数が有ると言えば有るから、1匹くらい摘まんでしまおうかと」

「あぁー…」

 手を良く洗い、まな板と包丁を取り出し、釣ったばかりのハギを絞めて三枚下しに、胆を取り除き、要らない食べれない部分は切り落としてゴミ袋へ、身は一旦収納して熟成、その間に新鮮な取れたての胆を軽く叩いて器に入れ、熟成が終わった身を刺身に、醤油とわさびも用意すればウマヅラハギのお刺身の出来上がり、ネギとか大葉が無いのがちょっと残念だが。

「さて、誰も気づいてないうちに食べようか」

「んー、ちょっと罪悪感、でも量を考えると…」

 アヤカは少し悩み、誰に知らせる事も無くその場で食べる事を選んだ、1匹だと量がそれほど取れないからね…知らせて殺到されようものなら肝心の胆が微妙な量になり、味も何とも言えない感じになるだろう…


 特に誰かに見つかる事も無く、食器等をぱぱっと片付けて証拠隠滅、アヤカも青物狙いに戻ったのでこちらもクロダイ狙いを再開、とはいえクロダイが釣れる気配はなく、ハギも3匹追加した所で餌と団子切れ、ハモ狙いも反応が無いので少し周囲の様子を見て気分転換。

 恵里香さんはイソメが無くなって以降ずーっとマゴチ狙い、ファイブAは穴釣りだったり青物狙いだったり、オキアミやパン粉を混ぜたアミエビををパラパラと巻きつつ何かを狙っていたり…ハギすらいなくなったのはあれが原因か…?いや、反対側だからそんな事もないか、単純に大きいハギが何処かに行っただけだな、クサフグとか小さいのは突いてたし。

 なんにせよ餌はもうハモ用にと絞めてあるアジのみ、反応は今のところないし、ちょっと撒き餌として投げ込んでみるか。

 取りあえず投げ込んでいた仕掛けを回収し、餌を付け替え再び投げ、そこにめがけて切り身にしたアジを投げ込んで準備完了、ここからはもう時間切れ寸前まで待つだけだな。

 時間切れまで後1時間、アカエイでもいいから掛かるといいなぁ…

餌の献上

荷物運搬の代金替わりとも言う

気分を味わうために収納での道具の持ち運び禁止、台車も完備


ハギ

お刺身に胆醤油か胆ポン酢か…鍋物なら後者一択

2.3日寝かせて熟成させると美味しい


塩焼とお味噌汁

塩焼きにする魚もお味噌汁に入れる根魚も無かったんだよ…

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