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安い物には理由がある 誰か止めろ

「んー、たまには市販されている道具も良い物だねぇ、ウルカン謹製の物に変えてからはほぼ使う事が無かったからちょっと新鮮、ゲームの中では毎日のように使った気もするけど」

「ゲームはゲームこっちはこっちですねー、それにしても飾ってるだけかと思ったら、使うことが有ったんですねぇ?」

「まあ、何となく?安くても性能は良いしねぇ」

「同じメーカーであれば安いお手頃価格の物でも、1世代か2世代前くらいのハイエンドクラス、全部ではないですが一部には現在のハイエンドクラスの技術が入ってたりしますからねぇ、結構侮れません…よ!っと」

「調子いいねぇ」

「はっはっはっ、ファイブAにはまだまだ負ける気はしませんね」

 ただ飾ってるだけもあれだなーと言う事で、車で1時間ほど移動した場所にある湖での釣り勝負、何時もの事ながら買っても帰りにジュースを一本奢る程度なのだが、そもそも勝負の内容もルールも結構大雑把、特定の魚の数だったり大きさだったり、種類だったり全部合わせた数とか大きさとか重さとか、最初から勝負内容を決めるわけではなく後から適当にサイコロを振って決めるという、ルールも勝負内容と同じ様におおざっぱ、ボートに乗る乗らないは個人の自由、相乗りするかどうかも自由、勝負内容は後から決まるのでボートに乗ったからと言って有利になるかと言えばそうでも無し、ある意味公平と錯覚しそうでやっぱり錯覚はしない謎ルール、大きさ勝負でも上の大きさではなく下方向の大きさだったりもするので…

「んー、こっちはウグイだねぇ、12センチ程度だけど、取りあえず写真を撮ってリリースと」

「12センチですかぁ、小ささ勝負になると負けそうな気がしますねぇこれは…」

「サイコロ次第じゃない?」

「まあそうですねー、勝つならば湖にいる全魚種を釣るくらいの勢いで!私は道具的には無理ですけどねー、かっ飛ばすためのリールを魔改造してあるものですし、小さくて軽い物を投げれないんですよね、メカニカルを限界までしめれば行けますが、それだと飛距離がそれほど出ませんし…」

「スピニングも持ってくればよかったのに」

「ハンデですよハンデ、それほど飛ばないってだけで、3グラムあれば限界までしめても50メーターは飛ばせますし、為せば成る、ってやつですね。

ただこれ普通のリールでやるとまず間違いなくバックラッシュしますね…魔改造様様です」

「そう言えばここでの勝負の時はウルカン謹製の道具は使ってないね?」

「食べる魚を釣りに行ったり、大物狙いならそっち一択なんですけどねぇ、道具をある程度合わせるのもまたハンデになるという事…でっ!」

「魔改造してある時点でハンデになっているのかどうかは謎だなぁ…」

 少なくともファイブAの使っている道具なんかと見た目はほぼ同じ、ただし中身はもうほぼ別物と言って良い程に改造済み、竿も竿で細くて柔らかく、良くしなるのだがこれはこれで150キロ位までは余裕で耐えてしまう、150少し過ぎたくらいなら折れないと言うだけで根元からほぼ直角に曲がるけど…はたしてこれはハンデと言えるのかどうか…まあ飛距離や感度が段違いなのと、折れないってだけだし、ボートに乗って行ったファイブA達の方が有利と言えば有利…か?

「んー、サイズアップして57センチのバス、これ以上大きいのを狙うとなるとブラウンを狙わないと駄目ですねぇ」

「まだ始まったばかりだし、焦らなくてもいいんじゃない?」

「ま、それもそうですね、それにしてもまた小さいのを…」

「今度は7センチくらいのアブラハヤだね」

「いくらウルトラライトのスピニングだからって、そんな物を釣るのは想定してないと思うな…」

「結構楽しいよ?物凄く微弱な当たりに柔らかい合わせでかなり集中するし、頑張ればタナゴまで行けそう」

「タナゴは流石にタナゴ針じゃないと辛いんじゃない?というか普通は豆小袖の返しを削った上に極小の毛バリにして使う人は居ないから、それに沈めるために使ってるのも…」

「Bだね、それほど投げなくていいし、浮く毛バリを水中に沈めるのが目的程度だしねー、後は軽く動かして誘って食いついた所に、だね」

「タナゴ用ののべ竿で同じような事は出来ても、その道具だとできる気がしませんね…リールに巻いているのは何号でしたっけ?」

「2号が150メートルくらい、それと0.1号のハリス20センチにSSのハリス止め、ハリス止めの上にがん玉のB」

「ルアーロッドで使ったとしても、間違っても浮き無しでやる仕掛けじゃないですね、それでついてる手作りの毛バリは水中で浮くんでしょ?」

「浮くね、そこには沈まない様にしてる」

「それで辺りを取るならやっぱりタナゴ用ののべ竿じゃないと扱える気がしませんね…見てる限りではどれが当たりかは糸を見ても分かりませんし」

「糸は見た目たるんでるけど、意外とわかる物よ、慣れたら出来ると思う」

「普通に釣りをするより疲れそうなので今は止めときます…」

 ミリ単位で竿を動かし、水中にいる小さな虫っぽい感じにアピール、巻き取る糸もミリ単位…慌てずゆっくりと、大きく動かしても5ミリから1センチ、この誘い方が大事…とにかく水の中で泳ぐ小さな虫を再現すると…

「今度は更にサイズダウンして4センチのアブラハヤ、これより小さいのは居そうにないかなぁ…」

「サイコロを転がした時にピンポイントでなくても、最小サイズが出たら誰も勝てないねこれは…」


 10センチ前後のアブラハヤやウグイを釣るのに飽きたのでトラウト狙いに変更、の前にお昼ご飯、お弁当と言うわけでもなく湖の近くにあるお店で昼食、何を食べようかなぁ…よし、ピラフとエビフライにしよう、タルタルソースたっぷりのピラフ大盛りで。

「ではまずここの支払いを誰が持つかを決めたいと思います、サイコロを振るぞー?まず最初の出目は…5、釣った魚全部を合わせた大きさ、2回目は降らなくていいですね、さあ、各自大きさを申告せよ!あ、私は午前中の分全部合わせて271センチね、これが釣れたやつ」

「私は…ここからここまでを合わせて…247ですね」

「えーと、203」

「286でーす」

「トラウトばかりでしたので大小合わせて278ですね」

「アキラとアヤカと同じ様にトラウトがメインで275、それで、そちらは?」

「んー?えー…全部足すといくらだ…あー…497?」

「最下位とダブルスコアなんてものじゃないですね…一体何を釣ったらそんな事に…」

「ここの支払いはアイナに決定、ちなみに10センチ前後のアブラハヤとかウグイを60匹以上釣ってたよ、下が4の上が15で振れ幅が大きいけど」

「餌ですか?」

「いんや?別れる前に持ってたルアーロッドに自作の毛バリを付けただけの仕掛けだったね、細くて短いのべ竿ならまだぎりぎり扱えるんじゃないかと言う代物」

「後で見せて頂いても?」

「いいよー、昼からはトラウトを狙うし、今は道具箱の中に仕舞ってるから昼食の後にだね」

 塵も積もれば何とやら、重量や単体でも最大サイズだと確実に負けていたが…長さなら数を釣れば勝てる、でもそれ以前に楽しんだ物勝ちだよね。


「よーし、後半戦行くぞー、多少遅れたからってペナルティはないけど、1時間遅れは置いて帰るからなー?」

 さぁて、トラウトを狙うならどの辺りかなぁ…流れ込み近辺が良いかな?糸が細いから切られる可能性の方が高いし、出来るだけ小さいのを狙う方向だな、大きいのが掛かったら掛ったで…やれるだけのことはやってみよう、うん。

 色は特に考えず、まずは適当に無地のスプーンを投入、スプーンと言えばシンプルな銀色だよね、4回くらい投げて反応が無ければ次から次へと色を変更、一番反応が良かった物に針をつけて本格的にトラウト狙いを開始、どのトラウトが釣れるかなぁ…ブラウンかレインボーか、はたまたカワマスか…それ以前に糸が持つかどうか、これが問題だな。


「あれ、ご主人様はもう終了したの?」

「いやー、見た目だけで選んだのが祟ったのか、トラウトを掛けたら見事にバキッと、これ一本しか持ってきてないから続行は無理だね」

 軽く合わせただけで綺麗に真っ二つ、限界を超えた云々より、元々不良品だったみたいだねぇこれ…

「バットの部分が綺麗に折れてるね、小さいウグイとかハヤなら問題なかったけど、トラウトが掛かっただけでアウトかぁ、元々切れ込みでも入っていたかのような折れ方だね、これいくら位だったの?」

「見た目だけで選んだやつだから3000円もしない位」

「ならまあ、そう言う事も有るか、メーカーも良く分かんない所のだし、帰りに道具屋にでも寄ろうか、値段は20倍近くするけど、普通に扱えばまず折れる事は無いやつにしよう、カラーリングは魔改造するときに変えればいいんじゃない?

構造的欠陥で折れるならどれだけ粘り強くしても一発で折れるしね」

「んー…そうだねぇ…」

「リールもこの際最高峰の物にしちゃおう、リールのメーカーはそれと同じで、大体7万も出せばハイエンドの一番いいのが買えるかな?今日も持ってきているアレの新しいモデルがもう出てるはず。

ロッドも型番が増えてさらに幅が広がってるからそこからお好みで」

「ふぅむ…」

「それに良いリールを持っていても竿が安物だと格好がつかないしね、一番いいリールには一番いい竿、これだね」

「そんな物、なんかねぇ?」

「普段使っている道具だってそうでしょ?竿とリールどちらかが欠けても格好がつかなくなるじゃない、それと同じ事だね」

「ふむ、それなら一番いいのを揃えてみようかな、中身は別物になると思うけど」

「世代が一つ違うだけで性能が大分変るからねぇ、そこから更に手が入ったらどうなるかも見て見たい」

「それが本音なのね」

「そりゃもちろん、折れない壊れない性能向上だけなら型落ちとか安物でも良いしね」

「性能が上がるかどうかは分からないよ?」

「いやー、どこかしらは良くなると思うな、20lbを150メーターは巻ける様になって飛距離も伸びるんじゃない?今使ってるこれが20lbの150だし、新型になっても形はほぼ同じですし、同じ位は巻ける様になると思いますよ」

「そんな物かねぇ?」

 竿が折れたため午後は何も釣れず、負けが確定したことにより早めに引き上げ、全員にジュースを奢ってから釣具屋へ、どれくらい出費する事になるかなぁ…


「やっぱり大きい店だけ有って最新モデルは全部置いてたね、在庫は少なかったけど」

「あのお店一日の最高売り上げが過去最高になったんじゃないでしょうかね…」

「出たばかりのハイエンドが2つずつ、ロッドも全て2本ずつ…リールだけでスピニングとベイト合わせて8個、ロッドが80本…」

「お店の人の対応が凄かったですねぇ、リールが約45万のロッドが約350万、大方400万行ってましたし、一括現金払いでドンっと、普通ならお店の人も使いまわせるからと止めに入るはずの所を、売り上げが一気に伸びると感じ取ったのかそのままレジに通してましたからね」

「最新モデルの型番が全部並んでるとかショー以外じゃまず見ませんよね、有る所には有るらしいですけど」

「止めなかったファイブAの皆も店員と同じ様な物だと思うけどねー、もしくは感覚が麻痺してるかのどちらかだね」

「うぐっ!」

「否定できないのが何とも…」

「のんびり話しているのはいいけど、そろそろ帰らないと夕食に間に合わないよー?」

「はいはい、それじゃ帰るかー、あ、弄り終ったら弄ってないほうでもいいから頂戴?」

「んー?弄り終ってからね?」

「あっ、ずるい!」

「ははははは、最新モデルゲットだぜ!」

 んーむ、外見は以前弄ったのとほぼ同じと言う関わらず、若干軽くなってるし、内部構造が変わった感じなのかねぇ?分解してみないと分からないや、竿はカラーリングの変更と強化、グリップの長さを事由に変えれるようにするだけでこっちはすぐ終わるし、夕食が終わったら竿から先に弄るか。


 夕食後は竿の改造を先に済ませ、リールは分解から開始、内部構造が極僅かに変わってはいるのだが、以前弄った物とほぼ変わらないのでスプールや材質の変更、カラーリングの変更を済ませ、新たにブレーキ部分に手を出し少々改造して終了、もう片方は形は似ているが内部構造は結構違うなぁ…

 リールの改造を済ませた後は糸の巻き取り、ナイロンの20lbが…170か、結構巻ける様になったな、改造前のは…105位か、改造済みと改造後に分けて同じ型番の竿に着けて、重りも同じ物にしてと…さて、どれだけ飛ぶかねぇ?陸から釣るには飛距離も大事、何度か投げて最適化して行かんとね。

謎ルール

複数の項目が有り、それを全て終了後にサイコロを振って決めるので毎回勝負内容が変わる

1回目:単体の大きさか重さか数か、釣った魚全て合わせた大きさか重さか数か

2回目:単体が出た場合その湖に生息する魚を決める、たまに該当者なしで割り勘になる

3回目:該当者なしの場合割り勘か誰の奢りにするかを決める


構造的欠陥

どううまく扱ってもちょっと負荷がかかるだけでバキッと折れる

不良品とも言う


約400万のお買物

普通なら間違いなく店員の誰かが止めに入る

でも持ち込まれた量を見て一瞬で売り上げが伸びると判断して普通にレジに通した


魔改造

竿はカラーリングの変更と限界張力の変更にグリップの伸縮自在、材質の変更と軽量化

リールもカラーリングとドラグやブレーキの改造、スプールも弄り多く巻ける様にしつつさらに飛距離が出る様に

スピニングは巻いてる指でハヤの当たりが取れるくらいの感度に

メンテナンス不要で壊れなくなっているし常に最高の状態を保つようになっている

前回の物より性能が更に向上した、多分気分の問題

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