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テストプレイ ご主人様の命は軽い

「新しいゲーム…というか、以前にちょっとお試しして貰ったゲームのバグ取りがある程度終わったからテストプレイしてくれない?」

「何日位…?」

「ゲーム内で1ヶ月、成長要素はないかな?ただ物を作ったりしてそれを楽しむだけのゲームだから。

あ、一応テストするゲームは皆に制限が入って、更にこっちはライフ制ですね、空腹度なんかはないですけど、まあ遊びながら確かめていけばいいですね」

「こっちだと何日位?」

「前回のテストと同じ1日、とはいえ24時間と言うわけにはいかないので、1時間で体感速度30日にしてありますよー、流石にこんな無茶な速度はご主人様とかメイド達じゃないと耐えれませんからねぇ、ちゃちゃっと済ませてしまいましょー」

「それで、どうやって遊ぶの?」

「何時もの耳宛、もしくは耳栓を付けて横になるだけです、今までは直で飛んでましたが、今回はワンクッション挟んで、どのゲームで遊ぶかを選択、その選択した世界へ飛ぶようになってます。

ガチャ召喚が今まで直で飛んでいた世界、今からテストして貰うのが未開の惑星ですね、直球ドストライクな名前ですが、まあ最終決定ではないので変更の恐れがあります」

「あー、まあそれはいいんだけど…」

「取りあえず行きますよー、もう皆ロビーで待っているはずですから」

 何がなんだかよく分からないまま耳宛を着けられ、強制的にベッドに寝かされテストプレイを開始…することになったらしい…まあ1時間で終わるみたいだし、お買物も終わってからでいいか。


 えーと、何か選べるようになってるから未開の惑星を…どうやって選べば良いんだ…?押せばいいのか?直接移動すればいいのか?どっちだ…

『遊びたいゲーム名を思い浮かべて、目の前に出てきたのをタッチね、手でスライドさせて目の前に出てきたのをタッチでもいいよー』

 うん、そう言うのは先に言って欲しかったかな…目の前に出てきた未開の惑星という文字をタッチすると、ルシフと狐さん、アザミとボタンの居る場所に移動し、カウントダウンの後、次々に姿を消してゲームの中へと旅立って行った。

 いろいろ制限があるみたいだけど、どんな物かねぇ…?ライフ制になっているようだし、ちょっとした事でよくあるゲームのように事故死しそう…


「ちょっと…なんか視界が真っ赤なんだけど…一体何が有ったの…何かゲージがすごい勢いで減ってるし」

「うん?リスポーン地点にサボテンを設置してハメ殺し?」

「後身動きが全く取れないんだけど?」

「四方を飛び越えられない位の高さまで土とか砂を積み上げてるからね、死ぬ前に目の前の土とか砂を崩せば脱出できるよ」

「あっ…なんかリスポーンしますか?みたいなのが出てきたんだけど、後何か壁とか抜けて移動できるようになった…」

「死んだ後の挙動は問題なしと、そのままちょっと動き回って見て」

 んー、壁の中にはサボテンが埋まっているだけで何もなし、とりあえず適当に歩いてー…

「何か壁があるみたいに進めなくなったんだけど?」

「死亡後移動できる範囲も問題なし、適当にリスポーンするを選択して生き返って見てー」

「どれどれ…あ、物に触れるようになった」

「リスポーン地点の変更でハメ殺し対策も問題なしと、今度はあの山の所に狐が居るからあっちまでちょっと走って行ってみて」

「はいはい、ってそんなに速く移動できないね、これが制限?」

「そそ、大体100メートル10秒くらいの速度、スタミナとかは無制限だし、坂道でも変わらず走れるから移動は快適な方だね」

 山道を駆け上がり、狐さんがいるという地点まで移動、名前は常に表示されているのでどの方角に居るかはわかるのだが…表示されている名前がどんどん下の方に…足の下にいるの…?

 地面の下に出も居るのかなーと思っていると足元が崩落し、落ちていく途中でスコップを片手に掘っていたと思わしき狐さんと目が合い、そのまま落下して視界が真っ赤、ゲージも消し飛び再びリスポーンをするかどうかの選択肢が出てきた、先ほどと違うのは移動ができない…?このままではどうしようもないので先程と同じ様に選択するとルシフが居る所まで瞬時に移動していた。

「で、何でまたサボテン?」

「これもデバッグ作業の一環だから!」

 戻って来たら戻ってきたで再び土や砂の壁の中に埋まってサボテンを踏んでゲージを削り取られるという、もはや虐めでしかないのでは?と言う状態に…なんだかなぁ…


「つまりは最初に踏んだ土が大元の復活地点で、そこで何らかの事故が有って死んだ場合はそれを回避できる所まで移動して復活が可能、回避して復活した所が第二の復活地点になった所で死んだ場合はまたそこを元に安全な所まで行けると、それを試したかったと?」

「まあそう言う事だね、びっくりした?」

「いきなり足元が崩落して笑っていた狐さんと目が合ってびっくりしたし怖かった」

「ははは、まあ狐にはドッキリでご主人様を落下しさせるように言っておいたからね、取りあえず落下ダメージも問題なし、サボテンにせよ落下にせよ痛みはなかったでしょ?」

「ただ視界が赤くなってゲージが削れていくだけだね」

「落下するときはちょっとヒュンッてするかもしれないけど、基本的にここでは痛覚は無しだね、次はあっちに行ってみようか、アザミとボタンが仮拠点を作っているはずだから」

「今度は何の実験をやらされるのやら…」

「んー?まだ後何回か死んで貰うだけだから大丈夫!それが終わったら自由に遊んでいいから!」

「まだ何回か死なないと駄目なのね…」

「復活地点周りはちゃんとしておかないと、嫌がらせでハメ殺しをする人が絶対出ますからねぇ、撃退目的ならいいですけど、そうでない単なる自分の欲求を満たすためだけの場合はアウトです。

ですのでもう何回かは死んでくださいね?」

「普通ならお断りしたい言葉だねぇ…」

 死んでくださいだけでも危険な香りがするのに、何回か死んで?って言われるともう…知らない人相手だとまず危ない人にしか見えないね。


「次は道具の作成回りですね、当然の事ながら未開ですので、まず最初に集めれる素材は土か砂、後は落ちている枝とか石程度ですね。

狐達にはあらかじめ完成品と加工済みの資材などを渡して置いたけど、今度は1からの作成だね、まずは枝を集めようか、それとついでに石、今は拾う設定がオフになっているから、視界の右上の方にある歯車を押すか、メニュー画面って考えれば開くから、そこでオンに、すると拾いたいと思った落ちている素材は自動で回収されていくよ」

 メニューを開いて回収設定をオンに…それで枝や石を拾いたいと…おお、自動で吸いこまれて行っている、それほど範囲は広くないけど。

「大体半径50センチくらいかな?小石と枝は最初から拾えるけど、それ以外は採掘したり伐採したりしないと拾えないからねー。

それである程度溜まったらインベントリを開いて、左の方にズラーっと出てくる物の中から作業台を選択、出来上がった作業台を適当な所に置くと作れる物が増えるからそこで斧を作成、斧が出来たら伐採に行こうか」

「作るのは適当にぽちっと押すだけでいいのか」

「その辺りはお手軽にね、終わりのないゲームだし、一応手作業で作る事も出来るから、そっちの方が好きな人はそっちをだね」

 まずは作業台を作って、適当に取り出して設置して、作れる物が増えた中から斧を作成と…

「こんな斧に適した石落ちてたっけ…?」

「そこはゲーム補正ってやつだね、そこまでやっちゃうと気軽に遊べなくなるからね、何に向いてる向いてないとかは関係なく、どの木の樹液からもゴムが作れたり、本来ならゴムを尽くすはずの樹脂からメープルシロップが作れたり、その辺りはだいぶ楽にしてあるよ」

「何か間違った知識が付きそうだなぁ…」


 その後も何度か死んだりしつつ、言われた通りに道具を作ったり、料理を作ったり釣りをしてみたりと、テストプレイは順調に進んでいたのだが、夕方も過ぎ、夜になった事に外の様子が一転、昼間はデフォルメされた鶏が歩いていたり、牛が歩いたりしていたがその姿はもう無く、代わりに大きなクモや骨が辺りをうろついている、灯りの有る所までは近づいてこないようだが…

「モンスターのスポーンと安全地帯も問題は無しと、じゃあご主人様ちょっとあいつらを叩いて来てー、まずは何も無しの状態で、制限入ってるからどれだけ思いっきり叩いても一定ダメージしか与えられないはずだから」

「つまり?」

「いわゆるゾンビアタック行ってらっしゃい」

「狐さんとかアザミとボタンはついて来てくれないの?」

「頑張ってくださいご主人様」

「私達はここで次のテストに必要な物を作ってますので」

「娘に対して一緒に死にに行こうとか酷い親ですね」

「だってさ、それじゃ頑張ってねー、一応動きは基本的に真っ直ぐ、一直線に向かってくるようになってて、動きも此方よりは遅いから当たり判定を見極めてヒットアンドアウェイね」

 何も持たされず安全地帯らしい拠点から送り出され、外をうろついている骨とクモを叩いて回る事に…逃げ回っていればやられる事は無いだろうし、出来るだけ粘ってみよう。


「矢が飛んでくるなんて聞いてないんだけど」

「わざと矢が飛んでいくって教えてないんだけど、いったぁ!ライフ!ライフがゴリゴリ削れてる!あっあっあっ…アッー!」

「悪は去った…で、狐さん達が作ってるのは?」

「松明と木製の武器防具、それと料理ですね」

「それではこれを身に着けて、松明は適当にその辺に置いて来て下さい」

「あ、それと可燃性の物が近くにあると燃え移るらしいので、出来れば1本は気の近くに置いて来てほしい、だそうです」

「森林火災を発生させるのか…」

「ま…まあテストプレイの一環だからね…延焼速度が速すぎたら消化できなくなるし、遅すぎたら延焼するようにした意味がないしで、ある程度は調整したんだけどねぇ、まあちゃちゃっと松明と言うより篝火をその辺に設置しながら、森林に放火して来てー、木製とは言え防具があるから今度は早々死なないはずだから」

「どうあがいても死ぬことにはなるのね…」

 今度は木製の武器に松明等を持たされてから出発、さて…森まで辿り着けるかな…


「おー、よく燃えてるねぇ、延焼速度はこのままで大丈夫、頑張って消火すれば間に合う程度…道具次第で周りの木を伐採する速度の方が速くなるから…うん、延焼速度は弄る必要がないね、天候を雨にして…消火速度も大丈夫と」

「森林火災は消えても松明の火は消えないんだね」

「松明が消えちゃうと雨が降る度取り換えになっちゃうからね、道具として回収するまで燃え続ける消えない火になってるよ、あ、木材とかは燃やせてもプレイヤーとかは燃えないから大丈夫、洞窟内にこれでもかと設置しても酸欠にはならないよ。

屋内に設置するのはランプがあるからそれで、屋内に松明を置くと広さと材質次第では燃えるよー?」

「この家は木材と石材で綺麗に半々に分かれてるけど、境目に松明を置いた場合は燃えてないね?」

「ちょっとでも木材に寄せたら燃え始めるよー、ぎりぎり燃えない所に置いて有るだけだね、他にもこういう風に木材と石材を互い違いに積み上げた場合、木材は燃えるけど石材は浮いたままとかね、浮いたままになるのはそう言う仕様、空に浮いてるお城とか作れるよー?動かないけどね」

「重力とかそう言うのは積み方次第で無視できるのか…」

「積み方と言うより、足元に一直線に何かを積み上げていって、そこを始点に横に石材なり木材なりくっ付けていくと重力を無視した建築とかが可能になるね。

取りあえず死に戻り先やら延焼速度やらは終わったから明日からは建築だね、モンスターも湧かないようにしたから、どれだけ無茶な建築が出来るかの実験だね、なお出来上がった物は宣伝用として使います」

「建築材料はどうするの?」

「そこは森林破壊とか洞窟を発破工事して集めようね?大丈夫、崩落はしないから」

「山に登った時は崩落して死んだ気がするんだけどなぁ…」

「あれは狐がピンポイントでぶち抜いただけだよ、足元に1ブロックでも残っていればその下にどれだけ空間があろうと浮いたままになりますからね」

「それで、どうやって朝にすればいいの?」

「こっちも時間の流れが特殊ですからね、皆でベッドに横になれば朝になります、なので寝ましょう、食事はとらなくても大丈夫、食べたい人は食べればいいって感じですねー、味覚はしっかり再現してありますし、材料さえあれば竈の近くでワンボタンで作れます、包丁などもちゃんとありますので自分で作る事も出来ますけどね」

「取り敢えず寝ようか、明るくならないとできる事も少ないしね」

「はいおやすみー、ベッドも大きければ複数で共有可能と、それじゃまた明日ー、とは言っても睡眠時間は1分もないですけどね」


 その後はひたすら伐採したり採掘して建築資材を集めて建築、出来上がった物は何所からどう見でも頭がおかしいんじゃないかと言う建築物だった…まあいいか…

リスポーンテスト

ちゃんと設定した所で復活するか、邪魔なオブジェクトがある場合は安全な所で復活できる

テスト時におけるテストプレイヤーの命はノミより軽い


頭のおかしい建築物

違法建築もびっくり、所謂魔王城的なあれ

内装自体は普通、ただ外観が…

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