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いまのりゅうこう なぞのちょうづめ

「では、拝見いたします…ふむ…なるほど…素材は耐久性を重視した厚紙、握りの部分は丁寧に処理して手に馴染むように…刻まれているのは防水に星屑、それと衝撃吸収…ですか…」

「衝撃吸収は叩かれたときに振動が頭部などに伝わらないように、音だけはしっかり出るようになってる」

「なるほど…ではこれでいかがですかな?」

「取引成立で…」

「毎度、また何か上物が出来たら持ち込んでくだせぇ…」

「何でいちいちそんな怪しい取引をするの…ただハリセンを売りに来ただけじゃん…」

「ハッハッハッ、これは手厳しい、様式美と言う物ですよ、様式美」

「なんか一度闇市が出来てからは何か…こう…怪しい感じで取引するのが常識になっちゃってるからねぇ、特に個人で売る場合は」

 久々に作ったハリセンを売りに来たのだが、フィリスに取引の方法を突っ込まれてしまった、別に違法な物でもなくただの玩具ではあるのだが、何か怪しい雰囲気を出して取引をしているとこう…特別感が出るよね、なんて事のない厚紙を折っただけのハリセンなのに凄く危険な代物、もしくは裏取引に使う時の手形か何かかみたいな。

 そう言うちょっとしたお遊び要素的な取引って大事よね、知らない人が見たらびっくりするけど…

「それにしてもここはいつ来ても賑わってるね、ハリセンもちゃんと扱えば長持ちするし、早々買い替える物でもないと思うけど」

「その時の流行があるからねぇ、高い物でもないから流行の物が出来たらその度に買い替える人も居るし、一品物でもない限りは大体直ぐに買い替える人が多いね」

「そうですぞフィリス殿下、それに気にしていない人でもない限り、誰でも流行の最先端を行きたい物ですぞ、誰もが流行の火付け役になりたいのです」

「大体銅貨1枚程度だから気軽に買い替えれるし、古いのはばらして焚き付けにでも使えばいいしね、紙だし」

「物理的に燃やしてどうするのさ…」

 取引を済ませた後は店内を散策、今の流行は…音と衝撃に拘った金箔張り、叩かれたら山の向こうまで吹っ飛んでいくんじゃないかと言う衝撃に、紙とは思えないほどの高音か…実際に飛んでいくわけではないが、強めの衝撃が良いのか。

 金箔張りと言うのも中々、貼り付けるのに失敗すると台無しになりそうだ。

 他には光沢と色を着けた色とりどりのハリセン、振ると虹の出るハリセン、共通しているのは見た目が派手目で衝撃強めか…飛んでいくんじゃないかと思えるほどの強さ、でも実際にはそれほどでもなく柔らかめの衝撃、飛んでいくんじゃないかと瞬間的に錯覚させる衝撃…強いのに弱くて柔らかい…中々難しいね…

「何を悩んでるの?」

「いやー、この辺りがなかなか興味深いなって、強弱が混在しているし、一つ間違えたらとんでもない事になるなーって」

「んー?良く分からないね」

「弱の部分がないと叩かれた人は文字通り山の向こうまで飛んでいくようになってるって事、弱で干渉してあるから実際は飛んでいかないんだけど、一つ欠けるだけで本当に飛んでいくから本能的に飛ぶんじゃないかって錯覚するように作られているって言う、まあどれか一つ欠けてもただの紙を折っただけのハリセンと変わらなくなるようにして有るけど」

「つまり…?」

「寝起きが悪い人に使うと便利?かっ飛んでいくような錯覚に襲われるから下手したら失神するけど」

 まあ、普通の人に対して使った場合はであって、鍛えたりしている人には効果は出ないんじゃないかなぁ…

「なるほどなるほど…店主、このハリセンを包んでくれ」

「えー…金箔張りは…銅貨5枚になりますフィリス殿下」

「釣りはいらん」

「まいど、有難うございます」

「買い替え?」

「それほど凄いのならお仕置きに使えるかなと、今使ってるのもそろそろ限界がきそうだしね」

 妹さんはまだ度々お仕置きをされているのね…


「んーむ、容量が減るけど本当にこれでいいの?」

「はい、スタンドと台もセットでお願いします、ラベルは瓶の方ではなく箱の方に」

 今の流行の入れ物はこれと、お酒を詰めるボトルを言われた通りに作成中、ただなぁ…

「数を集めたら何かの実験をしているようにしか見えないよねこれ」

 お酒を詰めてコルクで栓をした丸底フラスコ、それを立てておくためのスタンドとフラスコ台…

「しかしなんでまた丸底フラスコ?」

「冷やすのに便利だとか、ボトルとは違った趣があるとかなんとか、後ちょうど良い飲み切れる量になるからじゃないですか?」

「これ位の大きさならまあ、確かにコップ一杯分あるかないかだけど…」

 量が減る分安くはなるけど、それなら葵さん達のいる所にあるカップ酒みたいな飲み切りでも良い気がしないでもない…

「まあ一番の理由は研究中に飲んでいてもばれ辛いから、じゃないでしょうかね?同じ形のフラスコが並んでいれば分かりませんし」

「…間違って危険な薬品を飲んでも責任は一切取らないからね?」

 丸底フラスコ型ボトルのお酒はスタンドと台付きで150箱用意はしたが…そもそも研究中に飲むってどういうことなの…まあ事故が起きないようにと願っておこう…

 小物類の予約注文は特に変わりはなかった、フラスコ型のボトルが流行っているというだけで、他には影響はないか。


 部屋の模様替えの為に飾っている釣り道具の入れ換え、飾っている物はバラバラで統一感が無かったし、何かに統一して揃えようかな?とはいえまだ道具は買ってきてないし、ちょっと買いに行こうかな、近場の小さい店は川や池がメインだし、そっちで統一するのなら小さなお店でも大丈夫か、ちょっと行って見よう。

 お財布の中身はちょっと多めに補充してまずは近場の釣具屋へ、何で揃えて統一するかは道具を見てから、継ぎ竿でもショーケースに飾れば安くてもそれなりに見えるし、フライロッドなら毛バリを多め…かなぁ…?

 お店に入りまずは竿から…と思ったのだが…海用の竿ばかりで川などで使う竿が少ない、海用の竿も3000円以下の買えばすぐ何処かに釣りへ行ける物ばかり、継ぎ竿やフライロッドは…隅の方にちょこんとあるだけか…

「今は川より海が流行だねぇ、まあたまにあるんだよ、いつも川や池、湖がメインだからちょっと遠出して海に行こうかって言うのが、それで今は川用とかは下げて海用を多めに並べてるって感じだな」

 海釣りが流行中かぁ、海釣りの道具で揃えるのなら…なんだろ、餌木や大型のメタルジグ辺りが見た目はいいんだけど、置いて有る竿はどちらかと言えば投げ釣り用、んー…ちょっと遠いけど大型の釣具屋に行くか…

 少々時間をかけ大型の釣具店で何にしようかとまずは竿選びから、何が良いかなぁ…トラウトでルアーロッドとスプーンを飾るも良し、のべ竿も種類が有るのでそれと浮きを飾ってみるのも良いし、悩むなぁ…

 しかし、ここでも海釣りの流行の波にのまれているのか、海釣りの道具は若干お安く、流行から外れて不良在庫になりつつある道具は更にお安く、海でも川でもどちらでも使えるのはそれほど影響はないが、まあいいや、部屋の模様替えに流行は関係ないや、トラウトに使えるロッドとリールが2つずつ、後は色やパターンの違うスプーンを全部で50個ほどドサドサー…っと、返しのない針はまだ余ってたはずだし、家で取り換えればいいや。


 今日のテレビは何があるかなーと番組表を開いてみるが…同じような物ばかりだなぁ…随分前に行った事のある遊園地の話題ばかり、特に話題に上がっているのが遊園地の中に出ているレストラン等の食事ができる所、流行発信の地とかいろいろ言われているが、何が流行したのだろうか…

 見始めた頃にはもう紹介は終わっていたらしく何が流行か分からず、少しモヤモヤした感じになる…何が流行になるようなものあったかなぁ…

「何かお悩みですか?」

「ん?あー、何かテレビで取り上げてたレストランが流行発信とかやってたんだけど、結局何が流行してたのかがさっぱりで」

「あー、レストランがと言うと…ピラフの腸詰ですかね?」

「なぜピラフを腸詰に…?」

「さぁ…?大元は遊園地のようですし、食べ歩きが出来るご飯物、と言う感じで作ったんじゃないでしょうかね?中のピラフが漏れないように縛っておく必要があるので地味に手間が掛かるようですが、まあ変わった食べ物と言う事でちょっと流行っているみたいですよ、燻製にした物だったり、茹でて温めた物だったりと、中身が中身ですので焼いたり揚げたりは出来ないみたいですけどね」

「変わった物を作るねぇ、おにぎりじゃ駄目だったんだろうか?」

「おにぎりだと在り来たりだからじゃないですか?人目を引く、ちょっと変わってる、食べやすい、後はお手頃価格だったりとかですかね?流行中の腸詰は一口で食べれますし、燻製で香りをつけるだけでまた変わった感じになりますしね」

「ふぅむ…」

「真似をして炒飯やリゾットを詰めるお店もあるそうですよ?炒飯を詰めている所では餃子や焼売の皮の代わりに腸を使用しているとか」

「それもう野菜の入ったソーセージじゃ…」

 なんかもうとりあえず腸詰にして売ればいいって言う方向に行ってないかなぁこれ…

「類似品を売りに出したお店も紹介するみたいですね」

 紹介されたお店から出てくるのは何とも形容しがたい…いや悪くはないんだろうけど…はんぺんやカマボコなどに使う練り物を詰めたり、ポテトサラダを詰めたり、パスタを詰めたり、とりあえず流行に乗って詰めれそうな物を詰めましたって感じが凄いな…

「腸詰って大体専用の機材が必要なので流用して練り物と言うのはいいのですが…パスタをペースト状にして詰めるのは何か意味があるのでしょうか…」

 パスタに関してはもう間違えて入れたようにしか見えない気がする…


 また少し時間がたった後にテレビをつけてみるとこの夏流行のファッションを紹介していたが、それほど取り扱っている所がないにもかかわらず、流行と言って宣伝するのは意識操作の一環か…?

 水着もまだ少々早い気がするが、水着の宣伝もどんどん行っている、去年はこれだったから今年はこれと言われてもなぁ…極端に体形が変わらない限り買い替える事はほぼ無いだろうし、流されて乗ったら乗った出回りが同じ物だらけで無個性に…まあ結局は人次第か。


「で、この腸詰は一体?」

「テレビで見てから頭から離れなくなったから作ってみた、多分もう作らない」

 パリッとした食感はいいんだけど、掛る手間の割に食事と言う感じがしないのがどうもね…

流行

意図せず流行って行ったり、人為的に意識操作をして流行っていると勘違いさせたり色々

でも流れに乗ればいいと言う物ではない


謎腸詰

何か目を引く変わったものをと言う事でピラフを腸詰にして表の屋台で売りに出したらなぜか流行った

その後各店舗が真似をして数々のオリジナル腸詰を販売、でもパスタをペーストにするのは何か違うと思う

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