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一種の罰ゲーム 目的がすり替わるのはよくある事

「ハッハッハッ」「ピヨピヨ」「クルッポッポー」

 あれだけ毛を刈りとられ、羽を毟り取られたのに肉と豆と稲を持って来たら直ぐにすり寄ってくるのは何なんだろうなぁ…

 毛と羽を毟り取ったお詫びと言う名の餌付けでご機嫌取り、駄犬は結果お肉が食べられればいいのかもしれないけど、ひよこちゃんとぽっぽちゃんは普通に忘れてるんじゃないかなとたまに思えるんだよね…頭は悪くないはずなんだけど…鳥だからそう感じてしまうだけか、それともたまに鍋で煮こまれているからか…逃げた勢いでメイドにぶつかって首の骨を折ったりしている時点でやっぱりあれかも知れない…

 ご機嫌取りの餌付けを済ませた所でウルカンの居る鍛冶場へ、試験運用した試作品を弄り倒して遊ばないとね、無駄な機能を付け足したりするのって何故か楽しいんだよね、分解するのも楽しいけど。


「背もたれは従来通り外れて、足の部分は釘無しではめ込んでいるので解体可能、完成品は有る意味では量産品になるのでボルトやナットで固定で解体するには工具が必要の…」

「何所をどう弄りたいの?」

「そうだね、まずはマッサージ機能を付けようか、長時間のファイトになると確実に足とか腕とかに疲労がたまって何処かで限界が来るから、その限界が来るまでの時間を少しでも遅らせる感じ…かな?

設置している部分的に足と腰くらいしかできそうにないけど」

「リストバンド型のマッサージ器でも作りますか?足と腰より先に握力の方が尽きると思いますし」

「あー、そうだねぇ、竿を放した所ですっぽ抜けて行ったりすることもないけど、糸も巻けなくなるからなぁ」

「磁石とトルマリン辺りを混ぜた物でいいんじゃないでしょうかね?それと手袋、内側も滑りにくい加工をして、手汗等は滑りの原因になりますので吸水と言うよりは適度に乾燥させて…」

「磁石とトルマリンを混ぜた物が基本素材の…吸水じゃなくて乾かすのならペリドットとジルコンを混ぜて常に程よく乾燥するように…」

 あーでもないこうでもない、これだと疲れ知らずになるから駄目、1時間くらいで握力や体力が尽きるとして、それを少し、5分か10分伸ばす程度でいい、これだと弱すぎ…

 微調整に次ぐ微調整、ウルカンから問題なしと言われるまで調整を続け、調整が終われば伸縮性のある糸に加工、これがリストバンド用、これが手袋用、背もたれには液状にした物を塗布、フットステップにはふくらはぎと太腿を補助するための台を新たに取り付けて…

 実際に座って動きを阻害しているかしていないかの確認、膝を曲げ伸ばししても引っかかるような感覚は無し、フットステップに足をかけ踏ん張っても問題なし、問題は…

「脚受部の形が何かこう…どこかで見たこと有る様な…」

「分娩台についているあれじゃないですか?」

「あぁー…じゃあこれはない方が良いね…見た目的に色々酷い事になりそう…」

「アンクルバンドでいいんじゃないですか?後は太腿を補助するならスパッツを履かせればいいのでは?」

「そうだね…これは潰して再利用と…」

 こんな物に足を乗せて踏ん張らせた日にはもう…1ヶ月位口をきいてくれなくなりそうな気がする…潰して紡いで糸に変えて、後で裁縫室でリストバンドと一緒に作ってしまおう。


 紡いだ糸を機織りで生地にしまして、リストバンドとアンクルバンドを人数分、スパッツも人数分…破れる事は無いし、予備はいらないか。

 生地にした後はバンドを両腕両足分作り、スパッツもぴったり吸い付くようにするために少し小さめで…あ、その前にどんな色が好きかを聞いておくか、皆同じ色だとどれが誰の物か分からなくなるし、皆名前にあが付くのでAと入れても仕方なし…となれば色よね、好きな動物でも魚でも模様でもいいけど、一旦聴きに戻るか。


「好きな色、もしくは模様などですか?色であれば紫苑色ですかね?後は竜胆色とか」

「色の名前だけで見ればお嬢っ様ぽい気はするけど何だろう、こう…うん…」

「何か問題でも?」

「何でもないです…模様は有り無しどっちが良い?」

「黒と紫苑か竜胆色の桧垣文様で」

「はいはい、アスカは紫苑か竜胆色で桧垣文様…とスパッツの色も同じでいい?」

「スパッ…なんでスパッツを作ってるんですか…変態ですか?穿いている所を見たいんですか?」

「いや、別に?釣りをする時の疲労軽減用だし、履いている間は膝とか太腿にかかる負担を減らして、わずかに疲労回復効果もある、アンクルバンドが足首やらふくらはぎを補助だね」

「あ、ああ…疲労軽減用ですか…それでしたらタイツでもいいんじゃないですか?

タイツでしたら足の全体をカバーできますし、タイツでしたらファッションとして色々な模様を入れる事も有りますし」

「んー、ならスパッツと一緒にタイツも作ろうかねぇ、暑い時はスパッツの方が良いだろうし、使い分けかねぇ…」

「どっちも冷える時に穿く物ですけどね、タイツは白地に竜胆の花で」

「バンドとスパッツが色が同じ、バンドは桧垣のタイツは白地に竜胆…よし、それじゃあと4人に聞いてくるか」

 残りの4人はどんな色と模様になるかな…流石にぶっ飛んでる突飛な物は出てこないだろう、きっと。


 これがアスカの、これがアイナの、これが…よし、抜け無し、サイズ良し、模様も注文通り、タイツの注文通りで吐いて少し伸びたくらいで丁度いい位、こうして並べてみると好みは結構バラバラで個性が出るよねぇ。

 アスカは色や文様の好みがおじさんおばさん臭くて、アイナは薔薇色でタイツにバラまで入れる徹底ぶり、アキラは水色にデフォルメした魚にタイツも青地に縁にお魚さん、アリスは檸檬色に空色のストライプ、スパッツとタイツは無地で白、アヤカは…うん、黒、バンドもスパッツもタイツも黒一色、ただタイツの柄が…金の龍とか…あれだね、チャイナ系統のドレスを着せたら似合いそうな感じ、これを穿いて釣りに行くと言うのか…まあ好みはそれぞれだね、うん、うちのメイドもメイド服のまま釣りをしてるし、チャイナドレスも作ってみるか。

 色々と最初の目的からずれて行っている気もするが、おまけのような物だと思えばいいか、どうせ誰も気にしない、渡す物を渡したらどんなチャイナドレスが良いか聴いて来よう、脚を見せるか腰回りを見せるか、または胸か背中を開けて背中か…ドレスは何所を強調したいかよね、そこでまた好みが別れそう。


「何か今日は大盤振舞してるけどいいことあった?」

「無い…んじゃないかな?椅子の改造をしてたらその流れてつい」

 最初は椅子の改造から始まり、疲労軽減になり、形が色々酷いからと身に付けれる物にしようとなり、そして最終的に似合う物としてドレスへ至る…うむ、経緯が不明にもほどがあるな、楽しかったからいいけど。

「それで、それがファイブAの注文通りのドレスと?」

「そだねー、アスカが胸元、アイナが背中、アキラが全身のバランス、アヤカが脚、アリスが腰、その辺りを強調、一番目が行きやすい様なデザインだね。

もう渡してあるタイツを前提にしてあるからそれがないとまた違った印象になってくると思う」

「ふむ…なるほど、5人専用の新しいドレスができたと…なら時期的にそろそろ丁度いいですし、外食の提案でもしてきましょうかね」

「んー?またあそこ行くの?」

「あそこのお店に強力なバックが付いたので、もう酷いのはどんな立場の奴だろうが弾きだされるようになったのはいいですよねぇ、外れが一切なくなってますし」

「初めて行ったときのアレは酷かった…ロザリアは倒れるし…酒臭い肉の塊を出されるし…」

 酷すぎて記憶に残って、消そうにも消せなくなってるし、頭を叩いてその記憶を消しされるのなら喜んで頭を叩かれよう…あそこまで大漁のお酒を入れたのならもういっそ煮込みにでもしてしまえばよかったのだ、でもそれをステーキとして出されたらもうね…

「あんなものを顔色一つ変えず食べきった葵さんは尊敬できるね…」

「ポーカーフェイスは基本ですよー、特に社交界や取引などに置いては」


「よっしゃー、豪遊したいかー!?、ただ飯を食いたいかー!?お腹の好き具合は万全かー!?」

「毎度思うんですけどこのノリは何なんですかね?」

「無視していればそのうち止めますので放って置いておいていいですよ、皆車に乗りこめばすぐ止めますし」

「そうそう、あれは放っておいて早く車に乗るべし、乗らないと多分ずっと続けてるから」

「んー、やっぱりあの5人が一番目立つねぇ、こっちは控え目にしてあるからだと思うけど」

「人、それを隠れ蓑と言う、要は目立ちたくないのなら地味にするより、周りに居そうな服装にして、目立つ人を用意すればいいんですよ、間違いなく目立っている人の方にまず目が行きます、その間に紛れ込めば遠くからはもう見つけられません」

「暗殺者か泥棒か何かかな?」

「目立ってはいけない見つかってはいけないという点では似た様な物かと…もう皆車に乗って待ってますから早く行きますよ」

「へーい、お客さん何所に向かいましょうか?」

「樹海って言ったら樹海に向かって走るんですかね?」

「樹海かー、家の裏にある樹海と有名や山にある樹海どっちが良い?」

「あ、これ本気で行くやつだ、ごめんなさい嘘です、いつものリストランテでお願いします」

「初めからそう言いなさいよー、それじゃ出発ー、到着までちょっと時間があるから適当に暇つぶししててね」


「今日は何がメニューにあるのかなー…うん…?まさかの白米味噌汁セットに塩サバの焼き鯖定食、これは予想外」

「他には本場の麻婆にしようとして本場の人以外の口にはほぼ合わないから和に寄せた麻婆、山椒か七味か選べるようですね」

「メニューの名前がアレですね、フレンチなどでよくあるなんちゃら産なになに風なんたら、みたいな…

これお刺身を頼んだら丁寧に産地と使用部位、何所産の醤油とわさびを添えて、見たいに言う奴だ。

違う意味で期待が持てますよこれ、ネジがぶっ飛んでんじゃないかって感じで、追加注文もできるみたいだからまずはアジの開き定食で」

「刺身定食、味噌汁は海苔で」

「よく見たら周りも茶碗とかお碗持って白米を食べたりお味噌汁を飲んだりしてるんですよね、高級感あふれるスーツやドレスで、もう皆でコントをやってるようにしか見えません」

「安心しろアスカ、今から君達もその仲間入りだ!」

 んー、私は何を食べようかねぇ…ロザリアは鮭とイクラの親子丼を頼んでるし…葵さんのように刺身定食も良いし…よし、取りあえずこれにしてみるか。

「私はきんぴらごぼう定食、豚汁で」

 まずは食べてから気になった物を追加していけばいいや、他に筑前煮も有れば高野豆腐と干しシイタケの煮物、から揚げも有ればエビチリもある、うにくらげに梅干しも単品で用意してある…梅干し単品が結構興味を引いてくる…後でご飯の御代わりの時に頼んでみよう。


「いやー…普通に美味しかったですね、殆どコントと化していたことを除けば店の質も以前より遥かに向上して行ってますし。

ただ…あれは腹筋やポーカーフェイスを鍛えるための一環なんでしょうかね…給仕の人が真顔であれを言ってくるとか…」

「鮭とイクラ、シェフ特製のタレ漬け親子丼、あれはまだまあまだ予想はできてましたね、お米とお味噌の産地を頭に付けるのも」

「シェフ一族秘伝の梅干120年物、どこか懐かしい田舎の香りを添えて…これをもう真顔で言ってくる給仕がまた…しかも料理してる人でシェフかと思えばシェフって言う名前の国外の方でしたし、一族秘伝の上に100年以上前から梅干しを漬けているのもびっくりですよ、ちょっと分けて貰ったらかなり酸っぱい上に塩辛いこれぞ梅干しって感じの物でしたし、売ってたらちょっと欲しくなりましたよ」

「変な和食の人より和食に通じてるんじゃないでしょうかね彼は…漬物は全て手作り、醤油や味噌も自家製のようで」

「まあ次行ったときに彼がまだいるかどうかは分かりませんけどね、何処かで独立してお店を出すかもしれませんし」

「毎回行く度に料理人が変わっている所も含めて面白い店ではあるんだよね、外れを引いた時以外は」

「今月は当たりだったという事で、夕食までまだまだ時間は有りますし、このまま何処かへ行きますか?それとも家に戻りますか?」

「腹筋がつらいので帰宅でお願いします…」

「シェフの気まぐれ漬物セットきゅうりの糠漬けと白菜の浅漬け、沢庵を添えて…惜しかったんですけどやはりメニューの名前が…名前がね…」

「定食はそのまま直球、刺身定食だったり焼き鯖定食だったり唐揚げ定食だったりなのに、何で単品とか丼になった途端変わるんですかね…暫く単品で漬物とかを見たら思い出し笑いしそうです…」

「耐えろ後輩、慣れればお店にいた人達のように平然としていられるようになるから」

「帰ったら交流の有る所に片っ端からあのお店をお勧めしておきますよ、数撃てば誰か一人くらいはあそこの会員で当たるでしょうし、やはり美味しい物は皆で楽しく頂きませんとね?」

「アイナの楽しいは絶対違う、誰かが噴出して失敗するのを楽しみにしているだけだ…」

「そうそう、自分が我慢できずに味噌汁を吹きだしたからって、アイナの時は誰も笑わなかったでしょ、だから我慢しようね?」

「むうー…」

 噴出した時に瞬時に給仕の人が来てササッと片づけて行ったが、あれはもう既に何度か有ったんだろうな…


「へー、今はそんな人が居るんだ、私なら大笑いしながら注文してるだろうねぇ」

「ルシフはまあそんな感じよね、そう言うのは遠慮なく笑うだろうし」

 まあまた今度行ったときにまだいるかは不明だが、美味しいのは確かだった、一番高いメニューが梅干1個と言うのもびっくりしたが…

「それで、結局ファイティングチェアの改造はどうなったん?」

「あっ…」

マッサージ機能付ファイティングチェア

ファイト出来る時間をほんの僅かだけ増やせるように調整しようとしてできた物、まだ試作段階

脚受台で太腿とふくらはぎをカバーしたら分娩台みたいになった、色々と不味いという事で取り外し、フットステップも元の形に直した


バンド

腕用と足首用と2種

着けていると微弱なきずかない程度の電気で疲労を少し回復、1時間しか持たないのが1時間5分くらいになる


スパッツ・タイツ

防寒用の下着

下半身の疲労を少し和らげる、リストバンドとセットでどうぞ


チャイナドレス

タイツに合わせて急遽つくられた目的外の服、特に何の効果もない

各自指定した所を強調、目が行きやすいデザインになっている

アヤカの場合何所からどう見てもそっち系の関係者にしか見えない、綺麗だからと近づいたらその夜海に沈められそうな見た目をしてる


リストランテ

コント会場とも、客として来ている皆が1着数十から数百、下手すれば全身合わせて億に届くような身なりで定食を頼み、茶碗と箸を持って白米を食べたりお味噌汁を飲んだりしてる

一部丼物や単品などになると急に怪しい名前になってくる、一番の被害者は多分ホールスタッフ、真顔で品名を告げなければならない…


シェフ

漬物屋兼料理屋、混ざりすぎて一族は国内の人と変わらない見た目、先祖帰りで何所からどう見ても国外の人

実家で作ってる漬物を料理に使ったりして出してる、梅干しは1個15000円とかなりお安い、でも一番高い

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