特に何もない一日 それを無くすなんてとんでもない
えーと、カットグラスが10、タンブラーが15、ショットが10と、他は…ワインの赤と白が50ずつ、焼酎と吟醸と大吟醸が20ずつと酒粕が50キロ、今月はちょっと多いねぇ、何かあったんだろうか?
温泉街に卸すためのお酒を海から引き上げ、詰め替え作業をしつつグラスの個数を確認、他に別のグラスの注文は…特に無いか、たまに箱代を足しただけの桐箱に入れた高級っぽく見えるだけの同じグラスの注文が来たりもするが…箱だけ別売りだとなぜか駄目らしい、不思議な物だねぇ…
この感じだと変わった注文は特に無い…わけでもないね、封筒の中にもう一枚あったわ…グラスではなく瓶か、大吟醸は薄い水色で清涼感が感じられる瓶で、形は指定なしの色だけ、ふむ、取りあえず形そのままで色だけ変えた瓶を作ってみて…中に水を詰めてどうなるかを確かめて、少し濃い様な感じがするのでもう少し薄くして水を詰め、さっき作った瓶と並べて比較…
中間くらいがちょうどいい、かな?もしくはもっと薄くしてお酒自体を少し青くしてみるか…?ビオラにバーベラ、ボリジにコーンフラワー、色素を取り出して色を移すのも有りかなぁ、ちょっと手間が掛かるけど、入れ物だけじゃなくて飲む時に持ってなると僅かに青みがかっている方が清涼感も増すか、よし、花壇にビオラとバーベナが有ったはずだし、ちょっと貰ってくるか。
実験用に一輪ずつもらってきたビオラとバーベナから色素を抽出しまして、お酒に少しずつ色を付けて調整しまして…うん、この位がちょうどいいな、濃すぎた色はお酒を継ぎ足して調整して、全部瓶に詰めれば今月の注文分のお酒を卸す用意は出来上がり、さて、後はお任せしてグラスを作って、出来たグラスは割れない様に緩衝材を入れた箱に入れて、箱に蓋をしたら蓋にグラスの種類を書いて完了。
さてと、次は宝石店に行って注文の品物を作って、減っている商品を追加して、いつも通りお昼は食堂で適当に、帰る前に温泉に入って夕食は何を作るか考えると。
んーむ、何も起こらない平和な日常っていいねぇ、たまには刺激的なことが起こって…起らない方が良いな、何が有るか分からない…さて、宝石店に行ってササッと品物を作ってしまいましょ。
「今月はペアリングとネックレス、後額縁ですね」
「ペアリングとネックレスは良いんだけど、額縁って宝石店で取り扱うようなものだっけ…?木工とか鉄工当たりじゃないの…?」
「別にいいんじゃないですか?リングにも金属を使いますし、額縁の各所にデザイン通りに宝石を使用して欲しいとの事ですし」
「絵を見たいのか額縁を見たいのかよく分からないことになりそうね…」
「さぁ…?その辺りは分かりかねますね、使用する貴金属や宝石もこちらに纏めてありますのでお願いしますね」
「外側が金で内側が銀、四隅にダイヤで…所々にサイファイアやらルビーやら、デザインを見る限り絵を見るための額縁じゃなくて、額縁そのものを見る感じだなぁ…まあいいや」
店の奥にある工房に入り、ペアリングとネックレスを先に作り、額縁をデザイン通りに作っていく、縁は兎も角、内側は模様を掘るのではなく、銀をこの形で加工してはめ込むと…それからはめ込んだ銀の所々に指定された宝石を嵌めこんで…これもう完全に絵画がおまけで額縁が本体だな…もう白紙でも入れておけばいいんじゃないかなこれ…
出来上がったペアリングとネックレス、額縁を仲居さんに渡してお仕事終わり、この意味の分からない額縁を注文してきた人が少し気になるが、まあいいか、食堂に行ってお昼食べよっと、今日はかき揚げ丼とざるうどん、これで行こうかな。
「確かに朝から姿が見えませんでしたけど、個人で作ったお酒を卸していたとか、グラスを作っていたとか、貴金属を細工して額縁を作っていたとか、そう言われても今一つ信じられませんよね。
見かける時は料理をしているか、洗濯をしているか、釣り道具を手入れしているか…そもそも個人で作ったお酒の販売とか密造酒の販売に当たるのでは…」
「えぇ…別に個人でお酒を造っても密造にならないし、売った所で誰も何も言わないよ?お小遣い稼ぎで作ってる人も居るし…」
「何所の無法地帯ですか…それとも未開の地ですか?それとどこからどう見てもグラスを作ったり金属加工をしているようには見えません」
「無法地帯…未開…発展はしてると思うんだけどなぁ…機械製品や液体燃料は不要だからほぼ存在してないけど…」
自然と共に暮らす種族もいるから一部は秘境みたいになってるけど、だからって空調やら冷蔵等に使用する道具が無いわけでも無し、こちらの様に鉄筋を通した建築物も無いわけでもない、ちゃんと発展はしてるよね…?一部は人力だったりもするけど、そっちの方が遥かに楽で効率が良いのも有るし…東西南北で細かい違いはあれどちゃんと法は存在してるし…うーん…
「それほど発展しているようには思えないですし、レガリア最新のテレビや冷蔵庫、洗濯機まで、一通り揃えましょうか?洗濯も洗濯板で洗っているようですし」
「アスカ、アスカ」
「なんです?何か用ですかアイナ?」
「ちょ…っとあっちでお話ししようか?」
「あれ?アイナじゃ…ない?」
首根っこを掴まれ、そのままずるずると引きずられていくアスカ、んー、アイナと全く同じ声だったな、流石ルシフ。
アスカの表情が凍っているが多分大丈夫だろう、それにしても少し前にも引きずられていってような気がするが…気のせいだろうか…?
自動販売機の中身は…残り半分程度、ジュースだけ追加して空き缶空き瓶はリサイクル、お弁当箱や丼は洗って干して置いて、要望書を確認してお弁当や麺類に何を追加するかを決める。
ラーメンは醤油だけじゃなくて味噌と塩の追加、具材は増やさなくて大丈夫、うどんがきつねだけじゃなくて冷やしにざるの追加、そばも同じ、お弁当がおにぎりの追加…そう言えば丼物は有ったけどおにぎりは無かったな、梅とおかかでいいか、他には…爆弾おにぎり…おにぎりとは別枠かぁ…大きい分具材を考えないと食べてる途中に飽きそうだな…
要望書を呼んだ後は商品開発、と言うよりはただの追加、ただ麺類は販売機を追加しないと1種類しか置けないんだよねぇこれ…特注して頼む方が良いかな…今の作りはと…えー…一番上で凍結状態にして、上から降りてきて、受け取り口の手前で凍結状態が解除されて…ふむ、元々1種類だけの販売を目的とした販売機を改造してるから1種類しか置けないわけで、そもそも雰囲気を味わうために何故かお湯を入れたり湯切りをしたりの工程が見えるようになっていて…これいる…?
「そこ、そこ大事!それを無くしてラーメンの自動販売機とは言えない!
本来は麺を専用の丼に入れて、その上にネギやチャーシュー、海苔なんかを入れて、買った時に器にお湯が注がれて麵や具材を温める、その後蓋がされて遠心力で湯切り、最後にお湯とスープの素が注がれて完成!
まあ、海苔がバラバラになったり、お湯を吸ってへにゃへにゃになる悲しみはあるけど。
ちなみに本来なら中は見えなくなってるよ、これは見えるように透明にして有るけど」
「これいる…?」
「機能的には要らないね、そもそも出口を通るまで凍結状態で保存してるし、出口で凍結解除しない限りお湯をかけようが何しようが凍結したままだし、見てて楽しいってだけだね、これがラーメンの自動販売機だーって、うどんも同じだね」
「要望にざるとか有るんだけど…」
「そっちはお弁当の方の販売機でいいんじゃない?スーパーで売っているパックに入ってるあれみたいにして」
「あぁー、有ったなぁ、そう言えばそれらしきものが、ざるではないけど」
「塩とか味噌とかの追加に関しては台数を増やすしかないね、もしくは日替わりにするかいっそ何が出てくるか分からないように適当に入れても良いし、どうせ最後に注いでいるように見えるスープは見せかけで実際は使われてないしね、お湯だけは本物だけど」
「やはり無駄機能…」
「いいのいいの、見てて楽しいってのも大事なんだから、取りあえず今は日替わりでいいんじゃない?毎日同じ物が有るよりは日替わりの方が選ぶ楽しさはあるでしょ。
それに台数増やしたら増やしたでまた拡張しないといけないし、仕込みの量も増えるし、何より電気で動かしている以上たこ足配線が怖い、まあ発電機の使用上火災なんかの心配はないけど、コードにタグを付けないとどれがどれか分からなくなるのがね…」
「もう電気を使わないように改造したほうがいいのでは…ジュースは冷却とか温めとかあるけど、お弁当とかに関しては明るくしたり、見せかけのためのお湯を沸かしてるだけじゃん…」
「突貫で改造した奴だからねぇ…筐体も含めて全部改造しないとねぇ…発電機1つに対して変圧器の大きさがえぐいし」
「大きいよねぇこれ、埋め込んであるからわからないだけで、で、アスカは結局どうなったの?」
「ちょっとお話しただけかな?別に無法地帯でも未開の地でもないって、法に縛られて無念も張らせないほうがよほど無法に近いと思うけどね。
で、どれから手を付けようか…」
「まずは自動販売機周りからかな…壊れず、電気不要、それと内容量の上昇かな…」
アスカがどうなっているかも気になるけど、今はそれより自動販売機の改造だな、まずは電気不要にして、それから中に詰め込める量を増やさないとね、30食ずつだと直ぐになくなっちゃう…
爆弾おにぎり…爆弾おにぎり…具材は何が良いかな…海苔の上薄く塩を振ってご飯を敷き詰めて、4つに分けたとしてその一画に叩いた梅を薄く塗って、おかか、昆布、何もなしの4種を作って…塩鮭、から揚げ、豚角煮、きんぴらゴボウを包み込んで丸めて…これでいいか。
一つで何度も美味しい欲張りな感じではあるが、1日10個位の限定にしておこうかな…そもそも販売機に入れるなら何かしらの容器に入れないと駄目だし、ある意味丁度いいと言えば丁度良いのがラーメンなど麺類の販売機なのだが…よし、ここは発想を変えよう、三角のおにぎりを止めて全て丸にして海苔で包んでしまえばいい、小さくても包む具材を小さくすれば唐揚げや角煮を入れる事も出来るし、定番の梅やおかか単品で包むこともできる…うむ、小さな爆弾おにぎり6個入りでパックに詰めればいいか。
よーし、これでおにぎりと爆弾おにぎり両方の要望を満たせたな、次はざるうどんと盛り蕎麦、パックの中に小さい器を入れて、それに麺つゆ、空いた所に薬味を入れた器…もう片側にパックに合わせた小さなざるを置いて麺を乗せて蓋をするだけ、一玉分しか入らないが、ちゃんとざると盛りにはなっているな、これでよかろうて。
「販売機の改造は終わったよー、容量はまだ手を付けてないけどそこはまた筐体を弄ってからで、まずは発電機の撤去からだね」
「はいはい、取りあえず出来た奴を適当に販売機に入れたら夕食だなぁ」
「今日は何?」
「試作で作った爆弾おにぎりとその具材のあまり、途中で方向転換してサイズを小さくしたから大きいのが丸々余った」
「これは…入れるための販売機が無いね…」
「ラーメンや麺類の販売機ならちょうどいいかなーって思ったけど、それはそれでめんどいからやめた…」
試作で作ったおにぎりだけでは少し悲しい気もするので、お味噌汁を作り、漬物も出せば夕食の準備は終わり、たまにはこういう手抜きも悪くないね、夕食として作ったのはお味噌汁だけではあるが、ちゃんと具材に使ったりした物とかはさっき作ったばかりだから、まだ温かいから!
手抜きのようで手抜きではない夕食後、ゲームセンターの片隅で筐体の改造、次にクレーンゲームの改造と、脱電化製品をめざし半分ほど改造した所で発電機は撤去、残りは明日改造だな、それまで残りの半分は動かないけどまあいいか、さて、お風呂に入って寝よっと、アスカがアイナに縛られた状態で引きずられて行っていたが…今度は何を言ったんだろうか…?
「こちらが今日の収支報告書です、明日辺りには目標金額になり、家の増改築も完了する見込みです、また、斡旋所より指名の依頼が入っていますがどうなさいますか?」
「あー、それじゃあ斡旋所の方に行って聞いてみる、家の事に関してはお任せー」
「かしこまりました、それでは行ってらっしゃいまでご主人様、お気をつけて」
はて、今日の依頼は何だろね、それにしてもこっちもこっちでもう生活の一部になっている気がしないでもない、早く片付きそうな依頼だったら釣りに行こうかな、アキラが国内じゃ釣れない魚が釣れて面白いって言ってたし、アリスとアヤカもスタージオンを釣ったとか言ってたし、まずは情報収集からだな、よし、頑張ろう。
無法地帯と未開の地
まず逮捕してから余罪を調べたり、そこから裁判をして確定などをしている所からすると野蛮でほぼ無法
ここはこうだから他もこうすべき、と言うのは間違ってる、そこはそこ、ここはここ
異国だから色々と遅れている、などと言ってはいけない
爆弾おにぎり
ご飯を海苔で真っ黒になるまで包んで丸くした物
大きい程中に色々な具材が仕込めるがご飯の量も増える、導火線を付けて遠目に見ればボンバーな人が使う爆弾
麺類の自動販売機
予めセットしておいた丼にお湯が注がれ、蓋をした海苔遠心力でお湯を切り、最後にお湯とスープの素を注いで出来上がり
これを無くしては麺類の自動販売機とは言えない、でもゲームセンターの隅にある湯切りなどは飾り、特に意味はない
スタージオン
淡水魚の皇帝、船に乗せられないほど大きくなる、餌は死んだ鮭、または数日放置した物を布に包んで針につける
スタージオンだけでなく、ピラルクも釣れれば海でカジキも釣れるしサメも釣れる
釣り好きの人の間でも話題になってきてる、最近鍛えた身体能力のオンオフが可能になった、よりリアルな体験を楽しもう
縛られたアスカ
アイナに賭け事で挑んで見事に負けてお持ち帰りされた
割と懲りない性格をしているのでちょこちょこやらかす、悪い子ではないんだけどねぇ…




